テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
ちょっと遅刻気味に投稿。
年始はやっぱりたて込んじゃいますね。
さておき、どうぞ。
「ではでは、“しょーたいむ”といこうじゃねぇか」
俺は片手を上へと掲げ、武器を呼び出す。
「来い、エレキディストーション」
俺が呼び出したのは、見た目で言えば見紛うことのないエレキギター。
だがこいつは、見た目に反して
エフェクトとして何故か電気を纏っていて、振る度にギターサウンドが鳴る。
汚れた大人にゃ分からない、アツいエレキがほとばしるんだそうだ。
「墓にはこう書くといい。死因はギターですってな」
さぁ始めようかと、剣(ギター)を凜達に向けてそう宣言する。
しかし、その刃(ギター)を向けた先に居る3人は何とも微妙な表情だ。
なんで?
なにゆえにそのような表情をなさるのか。さっきまで臨戦態勢だったじゃないですか。
「せ、セイバー、士郎、相手のペースに乗っちゃダメよ。
これはきっとあの子の作戦よ。こちらのペースを崩してその隙に…うん、たぶん、きっとそうだから」
「お、おう」
「は、はい…」
俺が疑問に頭をかしげていると3人はそんなやり取りを始めた。
あれ、もしかして俺ディスられてる!?
「コウジュ…、もうちょっと、その、なかったの? 何でギターなの?」
「な、なんだよ! ギターの何がわりぃんだよ!! これでも剣だし強いんだぞこれ!!」
イリヤは俺が“こういうの”を使う理由を知っているはずなのに、何故か微妙な表情でそんなことを言って来る。
何故だ。
ヴァイオリンとかフルートとかピアノとかトランペットとか、そういうのを武器にしてる人って結構強いしかっこいいじゃん。
なのに俺がエレキギターを持つとそんな目で見られないといけないのか。
いや泣いてない。泣いて無いッたら泣いてない。
というかこっちはそれなりに真剣に闘おうとしてるのに何だこの不当な扱いは。
改善を要求する。
あーあー良いですよ。
そんなにこの武器のことを馬鹿にするなら、なんでこの武器を選んだかその体に教えてやる。
「っるぁ!!」
俺は大きく飛び上り、3人の真ん中へとギターを振り下ろす。
大きい挙動でやったから、セイバーは勿論、士郎と凜も難なく避けた。
地に降ろしたギターは小さいクレーターを作りつつ、エレキギター特有の甲高い音を響かせた。
同時に地面へと走る電流と、砕かれるのではなく粉々になる土。
「厄介なっ…」
うへぇ、今ので気づくかセイバーさん。
俺が持つこれの厄介さが分かったのか、セイバーは未だ振り下ろした姿勢の俺に、その見えない剣を振るってくる。
それを俺はギターで防ごうと逆袈裟に振り上げるが鍔競合う前にセイバーは剣を引いてしまう。
「はっはぁ悪いね! 剣士と剣を競えるほど俺は強くないもんでね!」
「だからそれですか!」
追撃に、振り上げていたギターをセイバーに近づきながら振り下ろすが身体を半身にして避けられてしまう。
そのままセイバーは身体を回し、その勢いで俺の脇腹へと剣を振るう。
「ちっ」
舌打ち一つ、咄嗟に振り下ろした手の勢いを殺さぬように前転して回避。ほぼ同時に頭上を風が抜ける。
すかさずギターを持っていない方の手を地に着き、カポエイラの様に足で蹴り掛かる。
だがセイバーも既に追撃に移っていたのだろう。
俺の脚は固い何かを蹴っただけに終わり、弾かれる。
弾かれるままに身体を回し、再び地に立つ。
セイバーもまた正眼に構えた状態ですぐそこに居た。
「その障壁も厄介ですね。斬り落とすつもりでしたが」
「鞘に収まったままじゃぁ無理なんじゃないかな」
中々に物騒なことを言ってくれるセイバー。
対する俺も、内心ヒヤヒヤしながらも表だけは笑みながら返す。
いやまじで足落とされなくてよかった。
確か小次郎がセイバーに言ってたんだっけか。鞘のままではってやつ。
だから俺の障壁は抜けなかった。
恐らく風の鞘に包まれてる状態じゃない本当の刃ならスパンと斬られてただろう。
ほぼ身体が動くままに蹴り上げてたけど、ちょっと間違えば大惨事だったわけだ。俺が。
とは言え油断は大敵だろう。
あの鞘となっている風は刃にもなる。
障壁ばかりに頼ってはいられないな。
「やはり、私の真名を知っているのですね」
ばれないように心の中で冷や汗を掻いていると、そんな風にセイバーが問うてきた。
「まぁね。悪いけど、調べる方法があってね」
「本当にバーサーカーというクラスか疑います」
「ははっ、そいつは自分でも思うさ。だけど、他のクラスに当てはまらないからこのクラスになっただけだと思うよ」
改めて考えてみると現状の俺じゃぁ、剣士も槍兵も弓兵も、当然魔術師も暗殺者も騎兵も俺には合わんだろう。
できないこともないけど、力押ししかできない俺ではやはり狂った戦士が妥当だろう。
色々ずれてるのは自覚しているさ。
「それにしてもその武器は厄介ですね。剣士殺しとでも言うべきか」
「そっちこそやっぱ気づいてたか。電撃と音撃の効果」
「あの地面を見れば受けてはいけないのは一目瞭然です」
そう、何故俺がこれを使ったのか。その理由がこの雷撃と音撃のコンボ。
エフェクトでしかなかったゲーム内の演出が現実に作用していることを利用したこの剣の本質。
それが常に纏う電流と接触時に発生する音による振動。
電流は当然として、音の方も某マフィア漫画の鮫の人が使ってた
もしも剣で受けていたならば、たちまちにその二つの効果で手は痺れていただろう。
セイバーの対魔力は高いからひょっとすれば多少手がしびれる程度だったかもしれないが、その少しが事の趨勢に関わっていたかもしれない。
そこまで瞬時に思い至ったのか、ギターに全然触れようとしないセイバーの直感もまた一流のそれだろう。
さすがは俺と違って本物のサーヴァントってことか。
え、卑怯?
そんなことは無い。
以前ならともかく、向こうは確実にこっちの首を落としに掛かってる。
その上で士郎とあれこれしてセイバーの状態は良くなっている。
実際に、以前交わした刃に比べ今のセイバーの太刀筋はさらに鋭くなっている。
前のは俺の滅茶苦茶な動きとスピードにパワーってチートスペックに惑わされただけだったのだろう。
だから今回は小細工を弄させてもらった。
一流の剣士にペーペーのにわかサーヴァントが真正面から叶う訳ないじゃない。
という訳でここいらで精神にダイレクトアタックもさせてもらおう。
精神攻撃は基本って言うしね。
「それにしてもセイバーさん。この間とは動きが違うね。魔力もそれなりに充実しているようだ」
「回復しましたので」
油断なく、剣を構えたまま簡潔にそう答えるセイバー。
だけど俺の敏感な鼻と原作知識は、そんな単純な言葉で終わらせてはいけないことを知っている。
「そっかぁ、どんな方法だったのか気になるなぁ」
「敵たるあなたに教える訳が無いでしょう」
「そっかー。でも仕方ないか。3人の匂いがなんか混ざってるのが気になったから聞いてみたんだけど…」
ピシリっ。
そんな風に空気が凍ったのが分かった。
俺の言葉に、ザ・ワールドを食らったかのごとく動けないでいるセイバー、そして凛と士郎。
ちなみにイリヤさんはその言葉の意味が分かったのか後ろでニヤニヤしてます。この幼女怖い。
「な、何のことを言ってるの?」
いち早く復帰した凜がそう問うてきた。
それに対し俺は自らのケモミミをピコピコと見えるように動かしてあげながら言う。
「俺って獣人だから匂いに敏感なんだよ」
何とか誤魔化そうとしていたんだろうが実際に匂いが混ざってるんだから仕方ない。
「というか何を動揺してるのやら。ねぇ何で? 何で何で?」
ふむ、どうやら俺も後ろで離れて見てる幼女を馬鹿に出来ないな。
皆して顔真っ赤にするんだもの。
戦闘そっちのけでいじるのが楽しくなってきた。
「なんでかにゃぁ?」
その微笑ましさにニヤニヤが止まらない。
魔力供給(意味深 な部分を弄ってちょっとだけ挑発するつもりだったんだけど、Sの気持ちが分かってきた気がする。
「うるさいのよもうっ!! セイバー!!」
「はいっ!!」
しかしどうやら弄りすぎたようで、凜ちゃんとセイバーが沸点を通り越してしまったようだ。
というか凜さんや、何故にセイバーに指示を出したし。
聞くセイバーもセイバーだけどさ。
ってそんな場合じゃなかった!
「ぜぁ!!」
「うおっと!!?」
すんません。馬鹿なこと考えてほんとサーセン。でも正直ぎりぎりです。
横薙ぎ、斬り上げ、下ろし、突き…と、連続して斬り込んでくるセイバーに上手く一撃を入れられない。
これはやばい。
流石は最優のサーヴァントというべきか。
激おこに見せかけておいて、音と雷の効果があるのはボディ部分であると気づいたのかそこは避けて、持ち手にしているネックの部分へと丁寧に当ててくる。
間合いを掴まれてしまったか。
弾かれた右手を再び、無理矢理に逆袈裟で振る。
しかしこれもまたボディを避けるようにして防がれる。
これはやばいね。
だけどその程度は想定済み!
ぐっと押し込むように右で鍔競合ったまま、左手を横に出す。
「ツインディストーション!!」
「っ!?」
「俺は言ったぜ。そう
純粋な剣技では絶対に勝てないことは分かっているので、ギターを二本に増やして対応する。
ネックの部分で受けられていたがそのままもう片方で横薙ぎに振る。
だが、抑え込んでいたと思っていたのに頭一つ分姿勢を低くすることで避けられる。
これだからサーヴァントってやつは!
そう心の中で罵倒しながら、結果的にハサミの様にクロスしてしまっている両手越しにセイバーを見る。
既にセイバーは斬り掛かる体勢だ。対して自分は両手を振り切った形。
がら空きの俺の脇腹は実に斬りやすいだろう。
駄菓子菓子、そのまま決めさせるわけがない。
「まだ終わらんよ!」
「くっ!?」
俺はあえて両手のギターを
普通なら意味の解らない行動だろう。だが俺にとっては意味がある。
手から離れた刃(ギター)は俺を中心に、残像を残すほどの速さで円を描くように回転した。
産み出されるのは、見る分には華やかな剣の舞。
だが受け手に回っているセイバーは防ぐので手いっぱいだ。
――双剣系フォトンアーツ:ブレードデストラクション――
使用者を中心に回転する剣の乱舞は敵を寄せ付けず切り裂く。
手を離れた刃を何故操れるのかはわからないが出来るものは仕方ない。
むしろ、PSPo2のステータスを持っているんだから
「続きだ!」
俺を軸として横に回転していたギターを一度掴み、そのまま一足にセイバーへと近づく。
剣の間合いより一歩中へ、そのままもう一度放つ。
今度は下から斬り上げるように、俺を中心に回転する刃達。
だがこれもセイバーは卓越した剣技で、刃を下に構えた剣で連続して走る俺の刃(ギター)を受け流していく。
何でそんなことができるんだよ!? そう心の中で叫ばずには居られない。
剣技では敵わない故に小手先の技で攻めてるというのに、騎士王の名は伊達じゃないということだろうか。
けど剣で防いだということはそれしか手が無かったということでもあるのだろう。
先程までの様にボディを避けるように弾いたのではなく、完全に本体に当たっていた。
つまり雷撃と音撃の両方を食らっているはず。
「くぅっ」
それでもセイバーは動いた。
俺のこの技は連続切りとはいえ
だからだろう、思った以上にセイバーへの状態異常付与は行えていない。
彼女は反らすために使っている剣の柄をこちらに向け、剣先から魔力を放出したのかそのまま柄を俺の腹に叩き込んできた。
「うぐぁっ!?」
一定以上のダメージだったのか、レジストできずに俺の腹へとそのまま叩き込まれる。
その衝撃に肺から空気が抜けた。
吹き飛ばされる。
そう思った俺は咄嗟にセイバーへと攻撃を仕掛ける。
自身が吹き飛ぶ前になんとかできた俺の攻撃に、同じく後ろへと吹き飛ぶセイバー。
互いに吹き飛んだ俺たちは、地面を滑りながら着地する。
とはいえ大きなダメージには至っていないのか、片膝を着きつつセイバーは時折頭を振りながらもこちらを睨みつけている。
その睨まれている俺はというと、腹からは激痛、両手の至る所が弾けたように内側の肉を見せ血を流していた。
「あー、痛ぇ…」
つい、ぼやくようにそう言ってしまう。
しかしそれも仕方ない。自業自得だ。
セイバーの追撃を防ぐために、両手のギター同士をぶつけて音を爆発させたのだ。
その際の衝撃も電撃も、自分に返ってきた。
片方だけでも多大な威力だ。
それを二つ力を入れずにとはいえぶつけてしまった。
それ故の手の損傷だ。
「無茶をしますね」
「死ぬよりはマシさね」
だが効果はあった。
至近で受けたセイバーは、未だ三半規管辺りでもやられているのか未だに立てずに居る。
見た目で言えば俺の方がぼろぼろだが―――、
「ディメイト」
まぁ当然俺は回復します。
飲料水型の回復薬をごくごくと飲み、負った傷を癒していく。
念のため中回復薬にしたが今の戦闘で負った傷は全て癒えた。
そんな俺の姿を見て、驚愕するセイバー達。
ふふん、剣技では勝てない分小細工しまくってるがどんなもんだい。
肉も骨も断たせといてそれでも勝つなんていうチート任せのごり押しだが効果は絶大だ。
ある人も言ってた。
勝てばよかろうなのだぁ!!!
「何故、とどめを刺さないのですか?」
むふふと一人得意気にしていると、そんな質問をセイバーにされた。
流石に回復したのか、やや危うい足取りながらも地に立っているセイバー。
確かに彼女からすれば不思議だろうな。
今まさに隙だらけの自分を何故襲わないのか。
勿論目的があるからなのだが、さて何と答えよう。
そのまま言う訳にはいかないからな。
「うーん、何というか…」
「ふん、お情けのつもり?」
どう説明するか考えていると、俺の言葉に凛が突っかかってきた。
「えと、違うんだけどなぁ。……もういいやそれで。お情けお情け」
「ホントに何のつもり?」
「いいじゃんいいじゃん。あ、そうだ。お情けついでに良いことを教えたげるよ。俺を倒したいのならあと一度俺を倒すといい」
俺は仰々しく指を一本立てる。
「1回。たった1回俺を殺したらそっちの勝ち。俺は元々、蘇生アイテムで1回、自身の命で1回死んだら終わりだったんだよ。そんで、昨日アーチャーが文字通り命を掛けて俺を一回殺したから後一回」
今度はカードを出し、ヒラヒラとしながら凜たちに見せる。
書かれているのは白い人形のカード。
「そんなこと信じられるわけ…ってまさか、あの時の衛宮くんのカードって…」
「カード……、カード!?」
凛と士郎が何か思い出したように驚愕する。
「そうそう大正解。というかむしろなんで今まで気づかなかったのかね? 士郎に直接あのカードをあげたのは俺なのにさ」
何でその辺りの言及がないのか不思議だったんだけど、素で覚えてなかったのかよ。
あの、なんだか受けなかったネタの説明をさせられてるような微妙な気分なんですが…。
士郎の復活時に見られてるしグングニルした時にも見られてるから、命のストックまで想像が付いてると思ってこんな説明してるのに。
これじゃ『お前を生かしてやったのは私なのだ!(ババーン』みたいな感じに自らの成果をひけらかす痛い子じゃないか!
いや考え方によれば勇者に真実を告げる魔王っぽい演出だし有りは有りか?
まぁ言った後だし今更考えても仕方ないか。
ケセラセラだよねケセラセラ。
「そんなことをして…あなたに得があるとは思えないのですが?」
ようやく動けるようになったのか、見えない剣を構えながらそういうセイバー。
だけど向こうもそう簡単に俺が答えるとは思ってないだろう。
言ってみればこの会話は向こうの時間稼ぎ。
その程度は俺でも予想できる。
でもあえて乗るよ。
俺の勝手な期待に応えてもらうためにも。
「そうさねぇ、勝ったら教えてあげるよ」
自分で言ってて思うけど今の俺って嫌な奴だね。
まぁそう演じてるわけだけどもさ。
答え合わせは一番最後って相場が決まってるし。
「さぁ、仕切り直そうか。俺のオート防御を抜けてさらに俺を殺せるだけの攻撃をしてみな」
俺はギターを直し、新たに武器を出す。
「来いライトニングエスパーダ…」
呼びだしたのは光り輝く幅広の片刃の大剣。
この武器も『真に強き者が手にした時黄金色に輝く』とか、『手にした者の力は枯れることなく泉のように溢れ、輝き続ける』といった説明がゲーム内で書いてはいるが今回は概念付加としては使わずにおこうと思ってる。
と言っても、この武器自体の攻撃力が半端無いんだけどね。
「後悔しても…知りませんよ?」
「覚悟しなさい」
セイバーと凜の言葉に俺はニヤリと返した。
いかがだったでしょうか?
シリアスっぽく見せかけておいてやっぱりギャグでしかないこのSSですが、以前よりは戦闘描写を変えるようになっているでしょうか?
成れていたら…嬉しいなぁ…(遠い目
さて、今回の話は長くなったので分割したわけですが、この続きは早ければこの月・火曜日どっちかに出せればと考えています。
なのでよろしければまたよろしくお願いします。
ではでは(`・ω・´)ノシ