テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
随分と遅れてしまいました…。
申し訳ありません<(_ _)>
あと、支援絵を頂きました!!
詳細は後書きにて!!
「ふぇあ~・・・・・・生き返るんじゃぁ~」
「まったく何て声を出しているんですか。まあ分からなくもないですが」
俺の言葉にそう返してきためぐみん。
しかし言葉とは裏腹にその表情は蕩けきっている。
「「はぁ~・・・・・・」」
気づけば二人して、そのまま湯に溶けていきそうになりながら風呂へと深く身を沈める。
カエルとの戦闘を終えた俺たちは、予定通りに風呂屋へと来ていた。
え、女風呂に入る忌避感?
そんなもん数十年前には無くなっとるがな。いやさ亡くなっとるがな。
ただ、断じて精神が女性よりになったとかではない。あくまでも慣れだ。
だってさ、イリヤとか女性サーヴァント達とか、他にも綺麗所が一緒に風呂へ入ろうとするんだぜ? いい加減慣れもするというものだ。
それに、本体と違って今の俺は精神の揺れが少ない状態だったりする。
というのも、“俺”はそもそもアンジュちゃんの身体を間借りしている状態なわけだが、今の俺は本体でありながらも一個の存在として確立された別存在でもある。俺の中のそれぞれの因子を核にして俺という存在を肉付けする感じだな。
簡単に言えばコピーにあたる分身ではなく、違う可能性の自分を固定化した感じだ。まだ分かりにくければ各クラスのアルトリアとでも思えば良いだろう。実際そこから着想を得たわけだし。
兎も角、そういった理由もあって今の俺はアルターエゴクラスの"コウジュ”というわけだな。
で、長くなったがそれがどうして精神の揺れが少なくなっている理由に繋がるかというと、『幻想を現実に変える程度の能力』・・・・・・つまりは『創造』の機能が俺の中にはないことに由来する。
『幻想を現実に変える程度の能力』として受け取っていた俺は、そのデメリットとして負の方向に考えたことすらも現実へと反映させてしまっていた。転生してすぐなんかは特にそうだ。
そしてその負の方向での
だがそれは間違いだった。
何せ"俺”の中には"男”としての因子が無いとわかってしまっているのだ。俺という精神は確かにアンジュちゃんの中に相乗りさせてもらっているわけだが、実のところ因子の一つとして融け出しているわけではなかった。因子にすら足りないぐらいの一部でしかなかったんだな。
だから“コウジュ”から“俺”を抽出しようと幾ら頑張っても無いものは出せない。するべきだったのはまるっきりの創造だったと、今になって分かった訳だ。
つまり俺は、“男の精神性が女性化しないように頑張っていた”のではなく、“どこまで行っても女性なアンジュちゃんの身体を無理矢理自分は男だと言い聞かせることで自己暗示を掛けていた”というのが実際のところだったのだ。
いや何が違うんだよと思うだろう。
これ全然違うから!!
だってさ、つまりこれってば何かが違えば俺は精神までTSしていた可能性があるということだかんね? そりゃもう性格が変わるとかのレベルじゃなく、転換と言って良いほどだ。因子になれない程の“俺”がどれだけ頑張ったところでアンジュちゃんの身体に引っ張られるのは当然だもんな。
ほんと薄氷の上を歩くように、男としての矜持は守られてきたわけだ。
でまぁ、また話が長くなってしまったが、いまはその『創造』が俺の中に無い。
一応『
だがここで大事なのが、設定されたステータスという部分。
そう、今の俺は感情によって
先にも言ったように今の俺はあらかじめ決められたステータスが割り振られた身体となっている。
当然その体は"アンジュちゃんの身体を間借りしている状態の俺”が大元な訳だから本体と共通している部分がほとんどだ。
そしてそこから“狼”“狐”“猫”“龍”を抽出して其々の核をもとにこの『俺』を産み出しているわけだが、Zeroの時の分体レベルよりさらにもうひとつ上の状態に出来ている。
あの世界で使った『獣の軍勢』、あのときの其々の俺たちが各世界を今旅しているのに近い状態だ。Zeroの時と違ってバーサーカーの枠にはまるために削ぎ落とす必要もないしね。
ちなみに俺は“狼”担当。
『創造』が引き継げなかったのは実はよく分かっていないが、アンジュちゃんの身体なのに『収集』の方がスキルレベルにランクダウンしていることを思えば仕方ないのかとも思う。
とはいえそのお陰で、感情の力、もしくは願いの力を俺の爆発力に変えられないのは痛いが、その分感情に引っ張られることも無いと思えば十分にメリットはある。
長々と語ってしまったが結局のところ何が言いたいかというと、今の俺は比較的男性体としての意識が強いということだ。
身体に引っ張られることなく、とはいえアンジュちゃんの身体ではあるから女性体としての認識はあるが、それでも今意識をもって動いているのは自分であるという認識もある。
だから、今の俺は美女や美少女とお風呂に入ると役得だなぁと思いはする。そしてその一方で身体が幼女なので欲情とか出来ないでいる。
あれ、虚しさ増してない?
「どうしたのですかコウジュ、何やら考え事をしていたようですが」
「ま、他愛もないことさね」
うん、あとね、この状態の俺がもしもイリヤに見つかっていたとしたらどうなったのかなってぇのが頭の隅に浮かんだが故の考えだったのだ。
あの時はそうせざるを得なかったというのもあって諦めてくれたっぽかったが、じゃあ望んでこうなっている今の状態は?
どうもあのお嬢さんは色んな意味で俺を欲してくれているようで、それ事態は男冥利につきると言えるのだが、問題は俺であれば幼女の身体をしていても構わず喰っちまいそうな勢いだってことだ。
キマシタワーとか言おうとしている奴が居るかもしれんがそうなったらもうそれこそ俺の男としての精神は消し飛んでしまうだろう。あの肉食イリヤの前では借りてきた猫のようになってしまうだろう。
それこそネコになってしまう。
あ、良い子はどういう意味か検索しちゃダメだぞ☆
そんな風に、めぐみんと並びながら湯に浸かっていると、扉の開く音が耳に入ってくる。
「ダクネスさんでしょうか?」
「あー、鎧を脱ぐの苦労してたもんな」
一応手伝うと言ったのだけど、恥ずかしいからと遠慮したのだ。
あ、ちなみにアクア先輩は気持ちよさそうに寝ていたので脱衣所の横の休憩場所に転がしてある。それからクリスって子には何故か脱兎のごとく逃げられた。ダクネスさん曰く口調もやけに固かったらしいし、内気な子なのかな?
ともかくそんなダクネスさんが漸く脱ぎ終えて入ってきたのだろう。
予想は当たっていたようで、扉からぴょこんと顔だけを恥ずかしそうに覗かせているダクネスさん。かわいい。
日本の銭湯のようにガラガラっと開く硝子の引き戸ではなく木の開き戸のため、その様な状態だ。
「どうしたのですかダクネスさん」
「早く入ってくればいいのに」
「あ、私の事はダクネスと呼んでくれれば・・・・・・いやそうではなく、実はこういった場所に来るのは初めてで・・・・・・」
モジモジとしながらそう言うダクネスさん。
ダクネスと、そう呼ぶのは吝かではないがそれにしてもやけに恥ずかしがっている。
まあ初めて来たということだし仕方ないのかな?
しかしこの町で冒険者をしているというのに珍しい。
この町はその名の通り初級冒険者ばかりが居る町だ。
だから中にはその日の生活費すらままならず、最初のカズマのように馬小屋生活をして居る人も多い。
一部のそこそこ稼げている冒険者たちは宿をとったりしているが、現代日本で言えば毎日ビジネスホテル住まいをしているような状態なので、勿論お金が結構かかる。
まあ俺がそれを出来ているのはちょろっと突っ走っておいしそ・・・・・・換金効率が高い獲物とかをハントしているからなのだけど、それでも大体はこの公衆浴場へと通っている。
何故かと言えばお風呂を沸かすのが面倒だし個人で沸かせるにはこれまた余計な出費となるからだ。
日本のような便利さがあるわけもなく、全て手動で沸かさないといけないし、水はクリエイトウォーターで出せるとしても温める上で温度調節とかは逐一しないといけない。風呂付の部屋を借りるだけでも料金割り増しだが、湯の準備を宿側に任せると当然ながらさらに割増料金だ。ピッとスイッチを押せば適度な温度・量の湯が出てくる日本のなんと便利なこと・・・・・・。
そんなわけで、例え風呂場つきのホテルに泊まっていたとしても、持ち家だったとしても、毎日自分のところのお風呂に入るなんてめんどくさくてやってられないのだ。
冒険者なら尚のこと。
冒険をしてへとへとになって帰ってきてからそこそこ手間の掛かる自宅風呂なんて、それも毎日なんて面倒すぎる(経験談。
そんなわけで珍しいなぁと思っていると、そのダクネスさんの後ろから新たに声が聞こえた。
それもよく知っている声だった。
「どうしたのよ、早く入りなさいよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ押さないでほしい! あ、やめっ!?」
トンと押された形でダクネスさん・・・・・・ダクネスが入ってくる。
その後ろからはキョトンとした表情のアクア先輩が入ってきて、ダクネスの横をスルッと抜けて洗い場の方へといく。
が、俺はすぐさまダクネスの方へと吸い込まれるように目を戻した。
「・・・・・・ろ、ロケット」
「ハッ」
俺は思わずそんな言葉を、
隣のめぐみんも思わずソレを見てしまったのか、鼻を鳴らして死んだ目をした。
いや、あの、何あれ。
今まで結構色んな人の
リズクラス? いやリズのはなんというかメロンだった。
だけどダクネスのは、そう、特大のスライムだ。サイズ的にはたぶん似たようなものなんだろうけど、きっと何かが違う。
俺が口を開けて呆けていると、ダクネスはソレに気づいたのか慌てて胸元を手で隠す。
そう、ソレとはお胸様のことだ。俺にもついちゃってるあれだ。
まあ俺も身長とかからしたら結構ある方だよ?
だけど見てくださいよ奥さん。
ダクネスさんったら手で隠そうにも隠しきれてないしむしろなんか間から溢れてエロ・・・・・・ゲフンゲフン・・・・・・えらいことになっとるよ!?
「あ、あの、コウジュ殿? そうマジマジと見られると流石に同姓でも恥ずかしいのだが・・・・・・」
「あ、ごめん・・・・・・いやありがとう?」
「どうして感謝を!?」
いやそりゃあソレほどご立派なものを見せていただいたら男としては嬉しい限りですよ。体は幼女だけど。
ああでも素晴らしいものを素晴らしいと思えるほどには男としての感性が戻ってきたから嬉しい。幼女だけど。
とりあえず手を合わせて拝んでおく。
チラッと見ればめぐみんも拝んでいた。
こちらは肖りたいからの様だが。
「うぅ、こういう恥ずかしさは求めていないのに・・・・・・」
何やらダクネスが言っているがどういう意味だろうか?
まあとりあえず今のは流石に同性(見た目は)として考えても失礼だったな。
俺は湯船からでてダクネスのもとまで行き、手を引いて中まで連れてくる。
そして洗い場まで行き座らせた。
「ゴメンねダクネス。綺麗だったからつい見とれちゃってさ。それと、俺もコウジュで良いよ」
勿論嘘ではない。
男性意識としてぱないの!と思いはするが身体が幼女なので欲情という感情がわかない。浴場だけど・・・・・・ごめん忘れて。
さておき綺麗だと思ったのは事実だったし、純粋にこの子と仲良くなりたいなと思っている自分がいたりする。
というのも、どうも俺は神に至ることができたからか人の性質というのが何となく分かるようになった。
そんな俺の感覚からして、彼女はとても清い魂を持っていると分かったのだ。
そしてそこから産み出されている“願い”から、今の俺では内容までは分からないがとても心地良い感情を感じるのだ。
恐らくだけど、きっとどこぞの宗教の敬虔な信徒なのだろう。
ただただ純粋な願いだ。
その信仰されている神様が羨ましくなるよ。
「コウジュど・・・・・・コウジュ、あなたはひょっとして女ったらしとか言われていないか? 幾ら同性とはいえそれほど純粋な笑みでそう言われてしまうと流石に恥ずかしい」
「ははっ、そう言われてりゃぁ嬉しいがそうでもないよ。ただそう思っただけの事さ」
そんな話をしながら、俺はダクネスと仲良くなるべく公衆浴場デビューを手伝っていった。
◆◆◆
「改めて名乗ろう。私の名前はダクネス。職業はクルセイダーだ。これからよろしく頼む」
そう俺の前で名乗ったのは、コウジュがキャベツのお姉さんと呼んだ女騎士さんだった。
その横ではコウジュが何故かフンスと鼻息荒く腕を組んで鼻高々としている。
いや待とうか。
「待って、ちょっと待って。なんで風呂から出て来たら仲間が一人増えてる流れになるの?」
ほんと謎である。
所属メンバーの関係上、俺が一人で風呂に入らないとならなくなるのは当然だ。男が一人だからな。
だからってこの疎外感はなんだ。
幾らなんでも理不尽だと訴えたい。
あとなんでコウジュが得意げなのかが知りたい。
「別に良いじゃない。クルセイダーと言えば上級職よ? 寧ろ私が居るべきパーティとして良い感じになってきたと思うのよ」
黙ってて
それに、別に文句がある訳ではない。
さっきは疎外感が云々と言ったし、実際それに関して不満があるのは確かだ。
問題は、だ。
ここまでの流れから考えて本当にただ上級職のメンバーが増えて喜べる状況なのかってところだ。
ぶっちゃけ不安しかない。
確かに俺以外は皆上級職だ。
アクアはアークプリースト、コウジュはアルターエゴというエクストラクラス、そしてめぐみんはアークウィザード。
だけど、そうポンポンと上級職が集まるものなのだろうか?
そもそもこの町は初級冒険者の町と呼ばれている場所だ。
当然ながら最前線とは違い上級職なんてほぼほぼ居ないと言われているそうだ。
逆に言えば全くいない訳ではないみたいだが、その人達は何かしらの訳があってこの町に留まっているという。
だというのに、昨日の今日でまた上級職がパーティ加入希望?
絶対何かある!
俺の勘がそう告げている!!
今だってそうだ、何やらコウジュやめぐみん、アクアと楽し気に会話をしている。
あのメンバーに溶け込めるスペックを持っている上級職?
ハハッ、直感というスキルを俺が持っていたとしたらガンガンと警鐘を鳴らしている事だろう。
俺は一つ嘆息する。
どうやらコウジュとめぐみん、それにアクアはもう話した後のようで、一歩下がって成り行きを見るつもりのようだ。
話を進めるべく口を開いた。
「あー、それで結局どうしてうちのパーティに入るってことになったんだ?」
先ずはそこを聞きたいと思う。
そう思い聞いてみる。
だが、何故かダクネスは頬を薄らと赤く染め、目を反らした。
ほんとなにゆえ!?
元々湯上りだったために上気していた頬。
それを恥ずかし気に更に染め、潤んだ瞳をこちらへと向けてくる。
ゴクリと、思わず生唾を飲む。
いかんでしょ、これは。
俺はその邪念を振り切るように首を振り、改めて彼女を見た。
金髪碧眼でその長い髪をポニーテールにしており、背丈は俺よりも少し高い位だが出る所は出て引っ込む所は引っ込みモデル体型と言えるだろう。そして容姿は貴族の娘と言われた方がしっくりくるほどに整っており、しかしその身に纏う鎧によって冒険者然とした力強さも感じられる。
そんな彼女が、モジモジと恥ずかし気にしつつ、ついに口を開いた。
「・・・・・・先程彼女たちはネトネトになっていたな」
「お、おう。ちょっとジャイアントトードに食べられちゃってな」
「そう! それだ! 聞けば戦力としては申し分無さそうなのだが、盾役が居ないのではないかと思ったのだ」
あれ、予想に反してまともな意見だ。
そして実際、俺もそう思っていた。
ぶっちゃけ今のパーティはバランスが悪すぎるのだ。
俺は言わば遊撃担当だ。コウジュは近接火力で、アクアは回復支援、そしてめぐみんが魔法火力。
うん、どう考えてもバランスが悪い。
例えば、敵がかなり強いモンスター一匹だとしよう。
その場合はコウジュが前線で戦うのを俺が邪魔したりアクアが回復したり、隙ができたらめぐみんによって
しかし敵が複数体だった場合、コウジュと俺が前に出ている間にアクアとめぐみんがやられてしまう。もしコウジュを二人の盾役にした場合はコウジュの持ち味が消えてしまうし、俺が盾役になった場合は紙盾にもほどがある。撹乱してヘイト管理を行うというのも1つの手ではあろうが、それが出来るのも精々が2、3体というのが希望的に見ても限界だろう。
これらは所謂ゲーム脳として考えた場合の話だ。
現実的にはもっと最初の段階で火力を以てして敵を押し潰すような方法もある。
例えばコウジュにアクアのヒールを飛ばし続けるとか、遠距離からめぐみんにブッパさせて残りをコウジュが仕留めるとか。
まあ確かにそれらも立派な戦略と言えるかもしれないが、そうじゃないだろうと言いたい。
ただそんな現状に欲しい存在が盾役だった。
『メイン盾来た!これで勝つる!』なんて言葉があるが実際にそうだ。
火力が火力として活躍できる、それがどれだけ大事かはゲーマーならよく分かるだろう。
「確かに盾役は欲しいよ? でも何でうちを希望するのかが分からない」
気分は就活する学生を見る試験官だ。
そもそも学校すらアレなのでバイトもしたことないけど。
そしてかなり偏見が入っているけど、今俺は大企業の面接官のごとくこの面接を落させるくらいのつもりで居た。
何故か目の前の美女騎士は興奮し始めたが・・・・・・。
うん、やはり嫌な予感しかしない。
「あなたのパーティに私が入ったなら、より難易度の高いクエストも効率よく受けることが出来るようになるのではないか?」
「まあ確かにそうだよ。前衛2枚に後衛2枚、バランスが良いように思えるけど、このパーティのメンバーだと前後での距離が開き過ぎる。間に一枚欲しいなと思ってた。そしてそれが出来たらコウジュの火力もめぐみんの火力も活かしやすくはなる」
まあその戦力を実際に活かす敵と戦いに行くかは別として。
「自慢になってしまうが私はスキルをほぼ防御系に振っている。盾役としては十分な力を発揮すると言わせてもらおう」
トンと、胸の大きさに合わせたのであろう大きい二つの丸みを持った胸鎧を叩くダクネス。
金属故に全く揺れないのが残念だ。
っと、見ている場合じゃないや。
「だからそんな人が何故うちみたいな出来立てパーティに来るのかって聞きたいんだよ。前線なら引く手数多なんじゃないか?」
魔王城に近づくほどモンスターは強くなるそうだ。
逆に言えば離れる程弱くなり、この町が初級冒険者の町たれるのは一番離れている街だからだ。
そんな町に上級職でありながら居るのは何かしらの理由があるからとなる。
俺はそこを聞きたい。
いやまあプライベートな内容なら仕方ないけど、めぐみんという前例がある。
そういう戦略上のデメリットがもしもあるならば先に言って貰わないといけないだろう。
俺の返しにダクネスが言葉に詰まる。
そして何かを言おうとして、けれど言いよどむ。
だがそれも少しの事で、再び口を開いた。
「私は盾になりたい」
いや私は貝になりたいみたいに言われても・・・・・・。
「あなた達の火力ではその辺の敵では役不足だろう。弱かったとしてもかなりの数が居なければうまく機能しない筈。それらを全て私が受け止める。あぁ、それこそ私が求めて来た騎士の姿だ!!」
あ、やっぱりあかんやつや。
いやだってね、目がやばい。
血走っていて、それでいて恍惚とした表情、更には息を荒くしている。
「さぁこれはもう私を仲間に入れるしかないのではないか!?」
「盾は欲しいけど貴方は要らないです」
「んなぁっ」
つい反射的に断ってしまったんだが何故かこのクルセイダー喜んでいらしゃる。
なんていうかこう、人前でしちゃいけない蕩け顔だ。
俺が表情を引き攣らせて引いていると、それにまた悶える。
うん、なるほど、つまりそういうことか。
ドMだ、この女騎士。
え、待って、この女騎士をうちのパーティに入れる?
いやいやいやいや、ちょっと俺には荷が勝ち過ぎてると思うんだよ。
アクアだけでもいっぱいいっぱいだっていうのに、そこにめぐみんが加わった。更にはドMクルセイダー?
ないわー、ほんとない。
というかコウジュはどうして加入肯定派に加わっているんだ?
戦闘力はともかく判断力は真面だと思っていたんだが・・・・・・。
そう思いチラリとコウジュを見る。
ニマニマとした笑みで親指を立てて居るコウジュ。
確信犯かよ!?
可愛いドジッコオレッコケモロリ女神だと思っていたのにこの場においては邪神の類いにしか思えない。
というかしれっと服装が変わってるけど、どうしたのそれ。それもアイテムボックスとやらに入ってたのか?
え、カエルの涎でベトベトになったから一応洗う? そうですか。
兎も角、さてどうしたものかと悩んでいると、ガンガンと鐘を叩く音が聞こえ始めた。
『緊急クエスト!! 緊急クエスト!!!』
「な、なんだ!?」
日本で言う所の町内放送のように、スピーカーを通したようなややかすれた声が当たりへと響いてきた。
しかも声は冒険者ギルドのあのお姉さんのものだ。
その声は緊迫したものであり、大事が差し迫っているというのがその声からよく分かる。
つい先程までは、ありふれた日常が辺りにも溢れていたというのに、その声を聴いた皆が慌てて家路へと付く。
店を開いていたものは顔面を蒼白にしながら片づけを始め、子連れの親は泣き叫ぶ子供を叱咤しながら抱えて走る。
なんだ、何が一体始まるってんだ。
見ればつい今し方まで蕩けた表情をしていたダクネスが凛とした真剣な表情をしていた。
「そうだったわね、もうそんな時期なのね・・・・・・」
アクアがそう呟く。
それにめぐみんが頷き、ギュッと杖を強く握った。
「今年は例年以上に厄介かもしれないとのことですが、さてどうでしょうね」
めぐみんがそう呟くと、今度はダクネスが騎士然と、口を開く。
「心配ない。あなた達は私が守ろう」
そんなダクネスの言葉に、アクアとめぐみんが笑みを浮かべて頷いた。
『冒険者各員は至急、正門前へ集まってください!! 繰り返します!! 冒険者各員は至急、正門前へ集まってください!!!』
「カズマ、急ぐわよ」
いつにない真剣な表情のアクアが走り始めた。
それに続くようにめぐみん、コウジュ、ダクネスも走り始める。
「っくそ! 何なんだよ!!!!」
状況が今一つ分からないが、このままここに居るという選択肢は流石に取れない。
俺は悪態を吐きながらも、慌ててその後に続くのであった。
いかがだったでしょうか?
そして皆さま、次回は狩りの時間でございます。
ああ楽しみですねぇ、緑の悪m・・・ゲフンゲフン・・・アレを前にカズマたちは一体どう対応するのか(遠い目
ちなみに、ちょっと時間軸が変わってきていてスキル習得の前に奴らを討伐することになります。
それによる大きな変化や今後に対する影響は特に無いですが、まぁちょっとした都合上です。
さて、それでは頂いた支援絵に関してですが、クラネスハインド様よりコウジュの絵を頂きました。
【挿絵表示】
めっちゃ可愛くないですか!?
デフォルメコウジュちゃんですよかわいいやったー!
思わずツイッターのアイコンにさせてくださいとお願いしてしまいました・・・。
いやぁ、ホントに嬉しいです。
改めましてありがとうございます!!
それでは今回はこの辺で!
また次話もよろしくお願い致します!!
P.S.1
はい、遅れた原因はいろいろありますが、その一つはFGOの夏イベです・・・。
礼装全く1枚もドロップしなかったから結局全部80万までポイント貯めて交換する羽目に・・・。
ガチャも大人の力で引きはしましたがBBちゃんを重ねたかったのにメイブちゃんばっかり来るし金額的にもアレだったので撤退しました。我慢して単独ピックアップまで待てばよかったと後悔してます(´;ω;`)
P.S.2
チラッとコウジュの服装が変わった的な文章を入れましたが、詳細は次話にて!
P.S.3
活動報告にてアズレンの話をちょろっとしたのですが思った以上に同胞が居て嬉しかったです!
私はルルイエ鯖で活動しているのですが、もし同じ鯖だったなら是非フレンドさんになってやってくだしあ。まだ指折り数えるほどしか居なかったりします・・・。
感想で誰と結婚したか仰ってくれてもええんやで!!(露骨な感想稼ぎ
ちなみに私はユニコーン、インディ、プリンツ、フィーゼです(*´﹃`*)