テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
今回は短めです。
前回から次につなげる閑話みたいなものです。
どうぞ。
「ああちくしょう、きっちり一回持って逝かれちまった」
そう嘆くも、一度死んだことには変わりない。
だが逆に言えば、一度の死亡であの征服王イスカンダルに勝てたのだ。
安い代償とも言えるだろう。
考え直している間にも周囲の空間には亀裂が走っていく。
それも当然で、この空間の主はもうこの世には居ないのだ。
ならば、空間を圧迫していた心象風景が消え去るのは道理。
永遠と続く青空と砂漠が、夜空と森へ変わっていく。
「ん?」
ふと視線をやれば、そこにはウェイバー君が居た。
彼は、必死に涙をこらえながら、こちらを睨みつける様に強い視線を送っていた。
俺はそんな彼へとゆっくり近づく。
「・・・・・・悪いな、俺の勝ちだ」
どう声を掛けようか悩んだ末に出た言葉だった。
後悔は無い。
だけど、どうやっても罪悪感はある。
やはり俺はどうあっても戦士にはなれないのだろう。
闘うことは嫌いではないが、命を奪うことには罪悪感が産まれてしまう。
闘い始めれば思考も切り替わり戦闘に集中できるが、終わってしまえばこんなものだ。
しかしそんな俺へと、ウェイバー君はキッと更に目付きを鋭くして叫んだ。
「謝るな!!」
今度はウェイバー君から近づいてきて、目と鼻の先まで顔を近づけて言う。
「我が王はお前と戦って確かに負けた。だけど、勝ったお前がそんな顔してたら浮かばれないじゃないか! それに、ライダーは負けると分かっていてもお前に挑んだ。諦めたんじゃなくて挑戦するために。駆け続けるのがあの人だからだ。なのに、そんな顔するな!」
そう彼は言った後、顔を離してフンと言いながら背けた。
そんな彼に遅れて、俺は自身の顔を触る。
なるほど、確かに自分は苦虫を潰したような表情をしている。
そうして自覚してみれば、今の心情は主人公を倒してしまった悪役の様な感覚だ。
いや悪役なら倒して喜ぶのか?
うん、細かい事はさておいて、微妙な心情なのは確かだ。
でも確かに、勝者がする表情ではないか。
それに、勝って嬉しいのは確かだ。
それにしても、自身のサーヴァントが倒されたというのにこちらの心配とは、聞きしに勝る主人公属性というかなんというか。
余程俺より英霊らしい。
いや、だからこそ彼は
どちらにしろ、彼の在り方はやはり好ましい。
俺も、こうありたいものだ。
「・・・・・・ウェイバー君はホント強いな」
「強くないっ。・・・・・・強かったのなら僕は、ライダーを勝たせることが出来た筈だ」
思わず零れた言葉だったのだが、涙目で睨まれながらそう言われるとまるで弱い者いじめをしているような気分になる。
いやまぁ勝者側なのであながち間違いでもないのかもしれないが、これ以上俺が何か言うのも野暮かもしれないな。
「そういうことじゃないけど、うん、了解した。後2騎、あんたのライダーを倒した身として、華々しく勝利を飾ってみるよ」
「当たり前だ。そもそもお前、
その言葉に、ついビクリと身体を震わせる。
マジか、さっきの戦闘で気づいたのか!?
俺の一番の切り札って言ってもいいものなのに、しかもさっきの戦闘で見たのは一回死んだだけ。
前の港でも一回死んだだけだ。
それでも気づかれるとか・・・・・・。
「・・・・・・何で気付いたわけ?」
「アレだけ死ぬことを恐れてなかったら馬鹿でも気づく。いや、どちらかというとお前は死んでも大丈夫なようにしてるんだろ?」
「あっははは。・・・・・・まじで気付いてるよこの人」
そう、ご存知の通り俺は死んでも生き返る。
不老不死とスケープドールによる2重の生存能力。
前者は言わずもがなだが、後者においても俺は復活する。
いや、正確にはスケドの方は転生だ。
最初は何で二つも不死要因があるのかと思ったけど、実際には別ものだった。
元の状態に戻る為の不老不死と、死んでも新たな命を持って復活するスケープドール。
その二つで以て俺の不死性は上がっている。
そしてさらに言えば、道具での回復も出来ると来た。
これがあるからこそ俺は死を恐れずに戦うことが出来る。バーサーカーとして在ることができる。
そして死に続けてきたからこそ、生をなお感じることが出来てきた。
だから俺は死ぬことは怖くない。
痛いのは嫌だけど、死ぬこと自体に恐怖感は無いのだ。
これが、俺が持つチートの中でも群を抜いてチートなものだ。
何せ、これがあれば少なくとも簡単に負けることはない。
チート、所謂ズル。正規の聖杯戦争から考えれば、これほどのチートもそうないだろう。
まぁ、勝てるかどうかは別ものだが。
とはいえ、今回に限ってはそれだけでは無い。
今回からは更なるチートを―――、
「・・・・・・あと、こっちは推測だけど命のストックみたいなのも出来たりするだろ。・・・・・・正確には同位体?」
「―――それも気付いたってのかよ・・・・・・」
新しいチート、それがライダーの固有結界を覚えたことで出来るようになったものだ。
そしてこれは対ギルガメッシュ用の切り札でもある。
それを、まさか気づかれるとは・・・・・・。
「まぁ、そっちは即席だよ。いや、やっと完成したってところか」
そう言うと、ウェイバー君も荒々しく涙を袖で拭った後、大きく溜息を吐いた。
「・・・・・・はぁ、そもそもが勝ち目が無かったわけか。道理でライダーもしっかり見てろなんていうわけだ。何だよその理不尽。強さだけじゃなくて死なないなんて」
「アハハー」
苦笑いを浮かべながらつい目線を反らしてしまう。
うんまぁ自分でも理不尽極まりないとは思うよ。
でも、それでも超えてきそうな奴が居るんだよ、まだ。
「それってやっぱりあいつを倒す為か? あの金色のアーチャー」
「That's right! にしても、まさかそれも分かったのかい?」
「違うよ。あいつに関してはライダーから話を聞いてたからな。お前の場合は正体が分からないけどやばい感じがする。けどあいつに関しては正体がおおよそ把握できたからこそやばいと言われてたんだ」
あれ、
イリヤに関しては俺と一セットだとしても、もう一つ陣営があるんだが、まぁ、深くは問うまい。
「言っておくけど、次は勝たせてもらうからな」
「次?」
俺が苦笑していると、唐突にそう告げてきたウェイバー君。
ビシッと音がしそうな程に指を突き付けてきた。
「お前がライダーに言ったんじゃないか。次は同胞であることを願うって。それに登録がどうとかって」
「あー・・・・・・」
ウェイバー君が言っていることは本当だ。
ライダーは自身がやられた際に、第二の人生については拒否した。自分で手に入れてこそだと言いながら。
しかし、アサシン同様に俺との縁を結ぶことについては了承してくれた。
その時のことを彼は言っているのだろう。
「お前みたいなのが居るって分かったんだ。でも、分かれば対処できる。そして今度こそは王を勝たせる。来るかも分からない未来だけど、その時が来れば絶対に勝つ!」
ウェイバー君は、そう言って踵を返した。
ザッザッと音を立てながら、彼は森の中へと消えて行く。
そんな彼を静かに見送っていれば、その内に見えなくなった。
何だかいつの間にか青春スポーツ漫画みたいに宣言されてしまったが、そのお蔭で心も幾分か楽になった。
そして今になってやっと実感が湧いてくる。
俺はライダーに勝ったのだ。
あのマケドニアの征服王に、勝ったのだ。
確かに負けることは無かった。
しかし“負けない”ことが“勝てる”事に繋がるとは限らないのがこの世界だ。
そしてギルガメッシュに関しては、2重の生存能力を持っていたとしても負ける可能性が十分にある。
『英雄殺し』、そう称されることもあるのもその辺りに関係してくる。
故に俺は、ライダーの宝具から更にチートを増やした。
以前から考えていた
その状態で、ライダーに挑んだ。
勝てたのは相性が良かったのもある。
あくまでも、戦闘スタイルでの相性だ。
それが俺とライダーの場合は合致していた。
主に俺へと天秤が傾く形でだ。
それでも一回殺されたわけですがね!
まぁ何はともあれこれで折り返し地点だ。
倒すべき相手は残り二騎。
ゴールまで後少しだ。
まぁ、頑張ろう。
「・・・・・・よし」
そういいながら、俺は小さく拳を握った。
◆◆◆
「ギルガメッシュ、お前が言っていた調べものが終わったぞ」
「ああ、それはもう良い。意味が無くなった」
「・・・・・・何?」
分厚くなってしまった資料を持ちながら、自室へと戻って来た言峰綺礼。
しかし、自室の筈であるそこに居座っている存在へと用があった彼は、彼らしくもない気だるげな表情でソレを渡そうとした。
なのに、言った本人は受け取るまでも無く要らないと言う。
それには綺礼も眉を顰める。
そもそもこれに関しては綺礼は行うつもりではなかった。
だがギルガメッシュが綺礼の在り方について知る為だと言う甘言に乗せられてしまい、ついそれを実行に移したのだ。
調べた内容は各陣営が聖杯戦争へと参加した理由だ。
アサシンによる諜報活動の合間に行っていたそれは、当初の予定より時間が掛かったものの一先ずの完成を見た。
予定より遅れたのはアサシンをライダーへとぶつけることになったからだ。
それ自体は師や父から受けたものである為、仕方がない。
しかし、そうなると中途半端になってしまった調査だけが残ってくる。
綺礼としてはそれを放置することは出来なかった。
特に意味はない、筈であった。
しかし、不思議と気になるのは確かであった。
いや、不思議ではないかと彼は自嘲する。
何せ彼は自身の欲望というものが分からなかったのだ。
だから、他者の欲望を知ることで何か取っ掛かりが掴めるのではないかと思ってしまった。
他者を蹴落として得る願望器へと掛ける願い、それがまともな物である筈がないのにだ。
そうしていつからか、手ずから調査を続けた綺礼。
調べれば調べる程、興味深い結果が出てきた。
さて後は、これがどう自身の欲望へと繋がるかということだ。
そしてその辺りは、ギルガメッシュが自ら教える事となっていた。
しかし―――、
「意味が無いとはどういう意味だ? これはお前から言いだしたことだぞ」
「だがな、それに意味は無くなった」
そう言いながらワインを傾けるギルガメッシュ。
またしても秘蔵のワインを飲まれて、しかし抗議しても意味はないのだろうと諦める綺礼は、ギルガメッシュが言葉を続けるのを待った。
そして暫くしてから、彼は再び口を開いた。
「なぁ綺礼、その資料の中に貴様の空虚を埋めそうな者は居たか?」
「いや、特には居ない」
「王に対し虚言とは不敬だぞ。2度は言わぬ。気になる者は居なかったのか?」
「・・・・・・実際に居ないのだ。確かに気になりはした。しかしどれに対して興味を持ったのかが―――」
「ふむ、いやまぁ良い。其れだけでも貴様には上出来であろうよ」
そう言うと、ギルガメッシュはソファーへと沈ませていた身を起こし、座る体勢となってから綺礼の方へと目線を向けた。
「これも
ギルガメッシュが言う獣とはコウジュの事だ。
ギルガメッシュにとって、彼女はどうも勘に障りすぎる。
そして今回の事にしてもそうだった。
故の言葉であったが、綺礼は少し目を見開いた後に肯定した。
「良く分かったな」
「たわけ。我に見通せぬ物など無いわ。しかし、やはりか。まったく腹立たしい」
だが、言いながらもギルガメッシュは笑みを浮かべていた。
笑み、とは言うがそれは獰猛な獣のそれだ。
よく聞く話であろう、笑みとは本来威嚇するための物であったと。
今まさにギルガメッシュが浮かべている物はそれで合った。
「つい今し方ライダーも落ちたようだ。残るはこの我にセイバー、キャスター、そしてバーサーカーの4騎。恐らく、次の闘争でこの聖杯戦争も終いになるであろうな」
「そんなに早く終わるものとは思えんがな」
「いいや終わる。終わらせに来る。その為の“今”のようだからな」
「その為の今? それは一体―――」
「それを言う義理はもはや無くなったのだ綺礼よ」
立ち上がるギルガメッシュ。
机の上には空になったワイングラスや瓶が散乱しているが、至高の王たる彼にはそんな物些事であり、気にすることではない。
それを見て目を細めるギルガメッシュだが、どこ吹く風と彼は実体化を解き始める。
そして霞と身体が消えていく中で、続けた。
「ともすれば貴様を連れてこの地に君臨する未来もあったやも知れぬ。しかし、
その言葉に、漸く先程からアーチャーが誰に対して敵意を産みだしているのかが綺礼にも分かった。
バーサーカー:コウジュ、その姿が綺礼の脳裏に浮かんだ。
つい先日までは忌々しく思っている素振りで在った。
しかし、何を見たのか今の彼はバーサーカーを“敵”と認識していた。
それは、ギルガメッシュを知る者からすればそうそうある事ではなかった。
敵として見るということは、自身に届きうると認めることに他ならない。
今までは他のサーヴァントを雑草を抜き取るような些事にしか思っていなかった彼が、だ。
だが綺礼の思う限りそれほどの脅威には思えなかった。
あの変身能力は厄介と言えば厄介だが、それだけだ。
超回復に見えたスキルも、世の伝承の中には治らない傷を作る宝具など山のようにある。数多の宝具の原点を持つアーチャーの脅威になるとは思えない。
しかし、短い間しか話してこなかった綺礼からしても、今のギルガメッシュは普段から考えてかなり能動的だと言えた。
「久方ぶりに少しは骨のある輩で遊べそうだ」
「勝てるのか?」
「誰に物を問うている。この我に勝てぬ物など無い。まぁ、それ自体は
自信過剰、とは綺礼には思えなかった。
自信に裏付けされる何かが確かにそこに見えた。
そして気づけば、ギルガメッシュの姿は全て、空間に溶けるようにして消えていた。
霊体化したのであろう。
そしてそれは、もう何も話すことはないというギルガメッシュの意思表示でもあった。
綺礼は手元に持っていた資料をチラリと見た後、乱暴に机の上へと落とした。
軽くクリップで端を止められていただけのそれは、容易くばらけて中身を曝した。
綺礼は、それを一瞥するも踵を返して部屋を出た。
いつもの彼からすればらしくない行動だ。
しかし、今は片づけ1つする気にはなれなかった。
何せ身体の中にぽっかりと空いた穴は未だ埋まることを知らず、その兆候も掴めなかった。
いや、正しく言えば調査途中には何か掴めそうな気がしていた。
だからこそ余計に、その空虚を意識してしまう。
人間として何かが欠落しているようにしか感じられない原因である
だが、そうはならなかった。
「・・・・・・ふぅ。結局、私を埋めるものでは無かったというだけか」
久しく感じることの無かった苛立ちを飲み込むと、綺礼は一息ついた後にいつもの如く自身の職務へと向かった。
いかがだったでしょうか?
タイトルに関しては勿論、Zeroにおける真の主人公と言われる彼の事ですね。
最近では王の話大好き夢魔とセットでりゅうまい積む感じにバフレンズしているようですが、まぁ実際バフが強すぎるので仕方ないですよねw
ホントタイトルの元ネタと同じように、頭からっぽにして「わーすごーい!」「たーのしー」が出来ちゃうので仕方ない・・・。
まぁそんなFGO話はさておき、ウェイバー君は将来ロードエルメロイを継ぐものとして数多の活躍をされる訳ですが、今回はその片鱗を覗かせ事が出来ていたら幸いです。
Zeroでもライダーが褒めていましたが、ウェイバー君って潜在能力高いですよね。
Zero編の最後で、生き残った彼がどうなるのかを書けたら良いなと思っています。
そういえば、唐突ですが最近TS要素をあまり入れられてなくて困ってるんです。
いやまぁZero編は仕方ない気もしますが、どうしようか悩み中。
そうだ!イリヤに頼めば良いんだ!
・・・というのは冗談で(半分は)、どこかで入れたいなぁと画策しています。
皆さんはどんなTSものが御好きなんでしょうかね。
TS特有の葛藤なんてのもありますが、ロリBBAが現実化してきているのもあって難しいw
まぁそんなことを思いつつ、ボチボチとまだ続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。
ではでは!
P.S.
FGOで追加された鯖が浪漫過ぎてやばい・・・。
新宿アーチャーはむせるし、アサシンは刀語してるし、アヴェンジャーはワンコだし、これまたぶっこんでくるなぁと思いつつも喜々としてクリアしました。
とりあえず総括して言えること、オルタセイバーと邪ンヌ可愛い!!(狂化
P.S.2
今期アニメ見たいもの多いけど、くそぅ中々時間が・・・。
とりあえず、けものフレンズは予想外でした()