テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
さて皆さまZero定番のアレが来ましたよ。
その日、聖杯戦争を管理・運営する聖堂教会よりランサーの脱落が確認されたと各マスターへ通達された。
聖杯戦争が本格的に開始されてまだ数日と経っていないのに、早くも欠けた一角。
しかし、どの陣営も焦りはしない。
そもそも聖杯戦争はそうして他陣営を蹴落とし、その上で自身の願望を成就させる儀式。
魔術師にとっては、単にライバルが減った程度の認識でしかない。
むしろ、ランサー陣営がどうやって敗北したのかをそれぞれが調べていた。
聖杯戦争は殺し合い奪い合う故、誰かが敗北したのならば次は己かもしれない。
そうならない為の防御策を考えるのは当然である。
当然、なのだが・・・。
「やっ」
「おぉ!」
そんな声と共に、それぞれ親しい仲であるかのように片手を上げながら気軽に挨拶をする二人。
彼らが居るのは冬木における商店街の一角だ。
平日の昼真っただ中の為、人通りはそこそこと言ったところ。
都心部からは少し離れているとはいえ、少々寂しさも感じる通行量だろう。
そんな中をあまりにも特徴的な二人が歩いて来て、丁度中心部辺りで対面した。
彼らの名は、バーサーカーであるコウジュと、ライダーであるイスカンダル。
共に、たった一つの願望器を求め、そして本来であらば互いに敵同士である筈の二人だ。
二人は、人通りの少ないにも拘らず人々すべての目をその身に浴びていた。
いや、人の通りが少ないからこそその姿に目が行きやすいというべきか。
まぁそれでなくとも目立つ姿ではある。
片やいつもの戦闘服ではないとはいえ、大きな帽子では隠し切れない銀髪に紅い瞳をした美少女。
片や2メートルを超える巨漢でありながら鍛え抜かれた筋肉がこれでもかと着ているシャツを押し上げている筋骨隆々の大男。
そんな明らかに日本人離れした容姿をした二人が何の変哲も無い街中で旧知の仲の様に会話を始めたのだから目が行かない筈もない。
そんな二人は周りの目など気にもしないで話を始める。
「いやはや奇遇ですなぁ」
「うむ。貴様は散策中か?」
「そんな感じ。そっちは?」
「余は酒屋を探しておる途中よ。我がマスターが金で買えと煩くてな」
「当然だよ!? 買う以外の方法でどうやって得るつもりだったのさ!!」
「それはこう―――」
「腕振り上げてる時点で間違ってるからね?」
「むぅ、現代とは斯くも不便な物か」
「まぁ王様からしたらそうだろうけどさ・・・・・・」
二人の会話は中々に弾んでいるようで、焦るように手をワタワタと動かす少女と、ガハハハと豪快に笑うライダーは途切れることなく会話を続ける。
「それで、なんで酒屋さんを? 酒屋って言うんだからお酒を探してるんだろうけど」
「おうとも。余は他のサーヴァント共と酒を酌み交わしたくてな、その為の酒を求めておるところよ。どれ、貴様も来てみぬか? アーチャーは偶々先程すれ違ったのですでに声を掛けてある。ランサーはもう居らぬし、後はお前さんとキャスターだけだったのだ」
ライダーはコウジュへと説明していく。
それを聞きながらふんふんと頷くコウジュ。
そしてボソリと口にする。
「・・・・・・ああ、それはどっちにしろやるのか」
「んん? 何か言ったか?」
征服王がコウジュが呟いた言葉に反応するもコウジュは首を横へと振る。
そしてライダーへとニヤリと笑った。
「いや、何でも。うい分かった。参加しますよ俺も」
「ガハハハっ、そうでなくてはな!! 良し、ならば次は酒屋だ!! 貴様は場所を知っているか? 買いに行くぞ!!」
「いやまぁ知ってますけどもね? この体型で入って良い訳がないでしょう?」
ライダーの誘いに了承するも、酒屋へ行くことについては微妙な顔をするコウジュ。
そのコウジュにライダーは問う。
「何? 貴様酒が飲めんのか?」
「飲めるけど、飲めるけどもね、この国ではお酒は20歳からなんだよ。この俺が飲める年齢に見える?」
「ま、確かにちんちくりんだのぅ」
「誰がちんちくりんや」
ライダ―に向かってすかさず蹴りを放つコウジュ。
しかしライダーもその鍛え抜かれた身体で以てヒョイと避け、そのままにコウジュの首根っこを掴んだ。
「あ、こら、離せ!!!」
「フハハハ、こうなっては貴様も飼い猫と同義よ。そら、酒屋までの道筋を言うが良い」
「ぐぬぬ、でかいからって好き勝手しやがって・・・・・・。はぁ、分かったよ。案内するから下ろしてくれ」
「いやいや、貴様の様な幼子の後ろをついていくのは少々征服王の名には似つかわしくない。故に、このままだ!! さぁ行くぞ!!!」
「あんた面白がってるだけだろぅ!!?」
「さーて何のことかのう」
そんな言葉と共に、少女は巨漢に攫われつつその場を去った。
一気にいつもの町の静けさが戻る。
そして周りの人間は、通報した方が良いのかと一瞬考えるもどうやら知り合いのようだしと見なかったことにし、生活に戻っていった。
◆◆◆
「御免なウェイバーちゃん」
「ちゃん付けするな! ぼ、僕より小さいくせに!!」
「これでもウェイバーちゃんより年上なんだけどなぁ・・・・・・」
「まてまてバーサーカーよ、うちのマスターをそう苛めてくれるでない」
「別に苛めてはないけど苛めたくはなるというか、ね?」
「分からんでもない」
「ライダァー!!?」
俺が乗ってるからか、かなり高い位置にあるからか、隅の方で蹲ってガタガタ震えてるウェイバー君。
お前はタケシか。タンスにでも入ってろ。
それはさておき、俺は今ライダーの宝具たる二匹の神獣が引く戦車型宝具『
お酒買ったらそのままウェイバー君が拠点にしているマッケンジー夫妻の家に転がり込んで、そこでウェイバー君を回収したら会場に向かおうとし出した時は焦った。
まだ昼だし、何処に向かうつもりだとすかさず突っ込んだとも。
一応原作知識として何処を会場にしようとしているかは俺も知ってはいたが、ライダーはアインツベルンが拠点にしている城だと当然のように答えた。
むしろそうすればセイバーも居るし一石二鳥とまで言った。
それは確かにそうなんだが、流石に日が暮れてからにしようと言うと横でウェイバー君も涙目でうんうん頷いていた。
たぶん、原作では彼一人でライダーを止めたんだろうなぁ・・・・・・。
まぁそんなこんながあってなんとかライダーと俺が持っていた最新ゲームとかしながら時間を潰しをしていたらいつの間にか夜になっていたのでマッケンジー宅を後にしたのだ。とりあえず言いたい、ガノンドロフ使うの上手過ぎんよ。
それでまぁ、イリヤにメールだけして空でも飛んでいこうかと思ったら、ライダーが乗せてくれるというのでお言葉に甘えることにした。
いやぁ、こういうのも良いですなぁ爽快感があってさ。
ただ、ちょっとだけ見当が外れたのは、乗っただけでは神威の車輪をラーニング出来なかった事。
やはり喰らう必要があるようだ。
まぁそもそも俺はどちらかというと乗せる側に成る方だし、覚えたところで個人的なうまみは無いとも思う。
どうせなら
それにもしも神威の車輪を覚えたいってなら食べればいいじゃないか。
丁度牛だし。
「どうどう!! 静まらぬかお前たち!」
いきなり揺れ始めた
まったく、安全運転でお願いしますよ(目反らし
それから暫くして、空を駆る戦車はアインツベルン城へと着いた。
敷地内の森上空へ辿り着いた時に見えない壁みたいなものをぶち壊したが、俺知ーらないっと・・・。
そしてそんな戦車を駆るライダーは、蹂躙走法としての真名解放を行わないまでも、その名に恥じぬ勢いでアインツベルン城の正門から押し入――――ろうとしたのだが、流石に止めた。
だって原作と違ってアインツベルン城は未だ健在だ。
それを壊すのは勿体ない。
「いやしかしだなぁ・・・・・・」
「良いから降りるんだよ! 今から宴会する場所をただでさえ無断で来てるってのに散らかす気か!!」
「うーむ、それもそうか」
「バーサーカーなのにうちのサーヴァントより常識人だなんて・・・・・・」
「こらそこ逆に失礼だからね!」
なんとかライダーを窘め、玄関扉・・・というには些か大きく、そしてある意味で馴染み深いそれの前に戦車が降り立ち、俺達は降りた。
「ってこらこら何で普通に入ろうとするんだよ。ここにドアノッカーがあるでしょう!?」
「むぅ、それは必要か?」
「必要だよ!! じゃぁ何でこれはあるんだよ飾りですか!?」
「やっかましいバーサーカーだのぅ。まるでうちの秘書官のようだ」
「あんたが言わせてるんだよ!!」
っておいこらそこの
これあんたのサーヴァントだからね!?
なんで俺がツッコミ役しなきゃいけないんだよ!!
とりあえず、ふーふーと荒くなっていた息を落ち着けドアノッカーをコンコンコンと鳴らす。
すると、少し躊躇いがちに『ど、どちら様・・・でしょうか?』と声が聞こえたので答えようと口を開いた。
「余だ」
『やはりライダー!?』
口を開いたんだが。それよりも早くライダーが話していた。
というかよくそれで通じたな!?
いや、よく考えればあれだけ騒がしくここまで来れば分かりもするよな。
しかも独特の雷鳴音を轟かせてきたんだからさ。
そんな風に俺が疲れていると、ライダーは普通に扉を開けて入っていった。
いやまぁ普通にとは言ったが若干扉のノブが鈍い音をしていたような気がしないでもないが、というかひょっとしたら鍵が掛かっていたと思うんだが、どうやら征服王には関係なかったらしい。
俺は仕方ないと、ライダーに続いてすぐ後ろをついて行ったウェイバー君に続き中へと入った。
「城を構えていると聞いて来たみたのだが、何ともしけた所だのぅ」
「そりゃ王様が住む城から考えれば寂しいでしょうよ」
入ってみればそんなことを言っているライダー。
すげぇよライダー、押し入っておいてそこまで言いますか・・・・・・。
一応俺も数年(未来の話になるが)ここで暮らしていた身としてはそう言われると少しばかり寂しい気分になる。
むしろ元々が一般人な俺からすればこれだけでもかなり広く感じる方なんだけどね。
「嘘、バーサーカーまで・・・・・・」
「どうもこんばんは。通りすがりのバーサーカーです」
俺が入ってきたことに、驚きの声を上げたのは当然、城の主であるアイリスフィールさんだ。
セイバーは既に完全装備で彼女の前へと出てきている。
そんな彼女たちに俺は違う違うと首を振った後、とりあえず挨拶をした。
挨拶は大事、古事記にも書いてある。
と、そこで俺の鼻であるモノを嗅ぎ取る。
どうやら切嗣さんは隠れているらしい。
ごめんね、気配とかあんまり分からないけど、貴方の煙草の臭いをこの間覚えちゃったんだ・・・。
まぁそれはさておいて、切嗣さんが居るってことはこれも原作と違う点か。
確か、原作ではこの時、ケイネスせんせーにとどめを刺しに行くため切嗣さんは不在だったはずだ。
しかしこの世界ではそもそもその流れに至るケイネスせんせーの負傷自体が起こっていない。
なら居ても不思議じゃないが、別に隠れなくてもいいのにね。
「あなた達はまさか、同盟を組み私たちを仕留めに来たのですか?」
「いやいやいや」
睨みつける様にそう聞いてくるセイバーさん。
それに対して俺は手をひらひらとさせて否定する。
まぁそう捉えても不思議ではないけどさ。
「俺はこの征服王さんに連れて来られただけさね。どうも酒盛りをしたいらしくてさ」
「酒盛り?」
俺の言葉に、キョトンとするセイバー。
そんなセイバーへとライダーが告げる。
「そう、酒宴だ。だというのになんだその無粋な戦支度は。前の、当世風の衣装はどうした?」
「いやそうではなくてですね・・・・・・」
「むぅ? ああ酒か、それならあるぞ。バーサーカー酒だ。酒を出せ」
そんなことを言いながら俺の頭を帽子越しにポスンポスンと叩くライダー。
これ以上小さくなったらどうするんだ、とライダーへ鋭い視線を向けるも、はようはようと急かすだけだった。
駄目だこれ聞いてない。
俺は仕方なく、アイテムボックスから酒樽やら酒瓶やらを幾つか出す。
原作の様に樽一つではないのは、俺も買わされたからだ。
未来の新一万円札とかしか持ってなかったから間桐家から持って来ていたんだが、それを知られて買えるだけ買わされた。
イリヤにまた貰わないと・・・。
「これで文句は無かろう。ほれ、突っ立ってないでどこか場所は無いのか。宴に誂え向けの庭園でもあれば尚良しだ」
その言葉に、互いを見るセイバーとアイリスフィールさん。
うん、そうなるよね。
俺も原作知らなかったら何言ってんだと思うもの。
しかし二人は、2,3言交わした後、こっちへと言って歩き始めた。
ライダーはそれに樽を持って着いて行き、当然の様に残されている残りの酒を俺は大人しくアイテムボックスに再び仕舞いこんだ。
「自分で言ったわけだけど、
一人残された俺は、チラリと切嗣さんが隠れているであろう扉の方を見た後、後を追った。
・
・
・
「聖杯は相応しき者の手に渡る定めにあると聞く。そしてそれを見定めるための儀式がこの聖杯戦争だというではないか」
そう語り始めるライダーは、片手に
そう、柄杓だ。
それでライダーは樽の中に入ったワインを飲み始めたのだ。
それを俺はセイバーと共に庭園の中心部に腰を下ろして見ていた。
俺は何とも感慨深い気持ちと、込み上げる笑いを押さえるのに必死だった。
アニメで見た時は何してるんだよと笑っていたが、目の前でされるとこの場に立ち会えた嬉しさと同じくらいにこのシュールさで腹筋がやばい。
そして誰もツッコまないものだから、そのまま進む会話。
これはまずい。
「何も見定めるだけならば血を流す必要は無い。そうは思わないか?」
「お、思うけど、とりあえず持っているそれをくれない?」
「お、いける口かバーサーカー!」
「じゃなくて、くふ、これ飲むための器じゃない、から」
「なんと!」
俺の言葉に驚くライダー。
そんな彼に俺は、手の中に生み出した泥から酒器を造りだした。
と言ってもよく有るようなワイングラスではなく、いつだったかに買ったびいどろのガラスコップだ。
やや大きめで、ライダーの手に在ってもそれほど小さく見えないし、このサイズなら大丈夫だろう。
あ、わざわざ作ったのは酒飲みでもないのに酒器なんぞ常にアイテムボックスにいくつも入れてないからだ。
マイルームに行けばそれなりに器は有るけど、これくらいなら作った方が早いしね。
「ほう、中々の一品ではないか」
「美しいものですね」
「この国のとある土地に売ってるやつだよ。俺も色が気に入って買ったんだ。とりあえずそれを使ってくれ」
「感謝するぞバーサーカー。うむ美味い!」
渡すなりそれを持ったまま樽に手を突っ込んで掬い上げ、それを水の様に流し込んだライダー。
そのワイルドさは呆れを通り越してちょっとカッコよくすら見えてくる。
そんな彼を見て俺もと手を突っ込もうとするが、やはりダイレクトは流石に気が引けた。
そこで気づく先程受け取った柄杓・・・。
うむ、お前の出番はまだあったようだ。
「あ、セイバーのも入れるね」
「は、はい。お願いします」
セイバーに渡したコップを一度受け取り、そこに流し込んで再度渡した。
続けて自分のにも入れ、ライダーの様に円を作る形で座った。
「ありがとうございます」
「いえいえー」
律儀にもそう言ってくれるセイバーが癒しです。
そして座った俺を見て、改めてライダーは続けた。
「英霊同士、互いの格に納得がいったのなら自ずと答えも出よう」
「つまり、先ずは私達にその格を問おうというわけですか」
「お互いに王を名乗っているのだから捨て置けまい。ならば互いに王であることを証明するのみよ」
あの、俺王を名乗ってもないし当然そうでもないのですが・・・。
そう思っていると、セイバーもそうなると何故俺が居るのかが気になったようで、目線を俺へとやった。
それに気づいたライダーが俺を見ながら言う。
「此奴はあの金ぴかの言葉が真実なれば神だという。ならばそのような存在にあってもまだ聖杯を求めるというならば、それほどの理由があるのであろう。それを我らは問えば良い」
「それなら良いんだけど、何だろうこの場違い感・・・・・・」
「これは聖杯戦争ならぬ聖杯問答、どの者がより聖杯を得るに相応しいかを酒杯に問うのだ。さすれば詳らかになるであろうよ。故に貴様も当事者だバーサーカー。当然キャスターもな」
「イリヤも、ね・・・・・・」
俺がそう口にすると同時に、庭園のすぐ傍で気配が産まれた。
そしてもう一つ、城壁を飛び越えてきた存在があった。
前者はアーチャー、ギルガメッシュ。
そして後者は、イリヤだ。
「ふん、何を戯れている雑種共」
「あら、私が最後かしら」
「アーチャーとキャスター。何故ここに」
セイバーはそれぞれ俺達が座る中心部へと歩み寄ってきた二人を見て、そう口にする。
俺はそんな彼女へと返した。
「どうもアーチャーの方はライダーが町で見かけて声を掛けていたらしいよ。イリヤは俺がメールした」
「は、はぁ……」
俺の言葉に何とも言えない表情で返すセイバー。
なんだよ、サーヴァントだってメール位するんだぞ。
「このような鬱陶しい場所が酒宴の場所だと? 王の宴に相応しいとは言えんな。この落とし前はどう付けるつもりだ?」
「これでも我が家なのですけれど、その位にしてくださる? 英雄王」
「ふん、ならばもう少し歓迎の意を示せば良いだけの事であろう」
アーチャーに返すイリヤはいつもの調子で微笑みながらそういった。
それにアーチャーは鼻を鳴らすも、大人しく座るイリヤを見た後、自らも俺達のように座った。
「うし、それでは駆けつけ一杯だ。ほれバーサーカー、出さんか」
「俺はどこぞの青ダヌキじゃないんですけどねぇ…・・・」
そう口にはするが、俺も出さないつもりはない。
先程と同じような工程で酒器を出し、ワインを掬って注いだ。
それをとりあえず二人の前に置く。
「ほう……」
アーチャーはワインの注がれた酒器を手に取り、それを見る。
流石に英雄王の宝具には及ばないだろうが、それでもあいつの赤点は免れたようで、そのまま口へと運んだ。
が、中身は駄目だったようだ。
「何だこの安酒は、愚弄しているのか?」
そう言いながらグラスを後方へと放り投げ、地に着いたそれは中身を散らして割れた。
同時に、バキンっと俺の手の中で音がした。
どうやらグラスに罅が入ったらしい。
俺はすぐにグラスを交換するが、ちょっとバサカりたい気分になってきた。
そんなことをしている間にアーチャーは自分の蔵から霊酒と黄金の酒器を取り出し、それをライダーへ放った。
ライダーはライダーでそれを受け取り飲み始める。
こんな事で怒るのは何とも小さい気もするけど、日本人精神をしている俺としてはMOTTAINAI精神もあって何とも言えない気持ちになる。
まぁ器自体は俺の出したものだけどさぁ……。
そんな風に悶々としていると、袖を引っ張られた。
そちらを見ればイリヤだ。
「コウジュ、その位でむくれてないで、料理も出しましょうよ。折角なのだし、またシロウの料理が食べたいわ」
「……うい、分かったよイリヤ」
微笑ましい顔で言われては俺もなんとも言えない。
イリヤの言う士郎の料理、残り少なくなりチビチビと食べていたのだが、残るすべてを俺は出した。
足りなくなったら仕方ない、魔力で作り出すしかないだろう。
「おお、これはまた美味そうな料理ではないか。重畳重畳」
「我の財には劣るが、まぁ及第点と言ったところか」
「……素晴らしい」
一通り出し終わると、ライダーは酒器を掲げ、告げた。
「さて、それでは聖杯問答を始めるとしようではないか」
これで本格的に始まるようだ。
酒がある。肴がある。参加者も万全だ。
ライダー、セイバー、アーチャー、キャスター、そしてバーサーカー。
本来よりも多いこのメンバーでどう問答をするのか、原作ファンとしてここに居られる事への喜びと共に、彼らを打倒しなければならないことを改めて実感する。
彼らはサーヴァントだ。
俺と違い、生きた肉体を持つ訳ではないが、確かにここに居る存在だ。
魔術的には、彼らは生きていると定義は出来ず、実際彼ら自身が亡霊の様なものだと自覚さえしている。
しかし、俺にはそう割り切る事も出来ない。
けどそんな彼らを、俺は退けなければならない。
ああ、ならば、問答でも負けるわけにはいかない。
格も何もないが、俺にも負けられない理由がある。
俺は、第5次聖杯戦争の様にではなく、今度は俺の意志で以て、俺の力で、勝つ。
奇策を用いず、他者の力を頼りにするわけでも無く、俺は俺として、勝ってみせる。
これは俺の雪辱戦でもある。
結局まともには打倒しきれなかった英雄王も居ることだし、この3人を倒して俺は一皮むけてみせるのだ。
だから、まずはその一歩からだ。
始めよう!
サーヴァント達の格付けチェックを!!
いかがだったでしょうか?
前回の綺麗綺礼の際は申し訳ありませんでした<(_ _)>
申し開きも無い位にやらかしていました。
第五次の時は出来ていたのにこっちで失敗するとは・・・…歳でしょうか?w
訂正修正ありがとうございました!!
さて、それでは内容に関してですが定番の聖杯問答ですね。
始める手前で終わってしまいましたが、次回で中身に行きたいと思います。
あまり中身の無い今回でしたが、是非次回をお楽しみに!
あ、そういえばもう少しでお気に入り5000を越えられそうです!
ほんと、拙作ではありますが、読んで頂き感謝の極みです。
また暫く更新がズレタリするかもしれませんが、消えることはありませんので、気長に待っていただければと思います。
ではでは皆さま、またよろしくお願いします!
P.S.
お月見が来て次は監獄だそうで。
あれ、エレシュキガルは・・・・・・?
ピックアップ濃厚だという話だったのに、まだ焦らすんですか!?
これが運営のすることかよぅ!!!(血涙
ま、まぁ、1・5部への繋ぎでしょうし、きっとあと少し辛抱するだけですよね……。
P.S.2
VRマシュが登場するらしいですよ(小声