◯奴良桔梗(ぬら ききょう)
・本作主人公。・リクオと双子の妹。・珱姫にそっくりな容姿。・なのでぬらりひょんに着物ではなく小袖に打掛という江戸のお姫様みたいな格好をさせられている。
・珱姫と同じ治癒の力がある。
・病弱(妖怪の血が体に適応しておらず、小さい頃から少し動くと熱をだしていた。・成長とともに体に馴染んでいくとのこと)
・常に敬語。・物腰柔らかだが心は強い。
・ダークマターを作ることができる(料理が下手。本人気づいてない)
・前世はお嬢様(記憶あり)・。原作知識あいまい(ほとんど覚えていない)。
・鴆を師匠と仰ぎ、医療知識を教わっている。・薬を作る練習中であり、実験は初代チームが請け負って(犠牲になって)いる。
◯あらすじ
夜の旧校舎へ清継たちと探検にいくと、そこには奴良組のものではない妖怪がはこびっている事実を知る。
そんな時、鴆一派の頭領、鴆が奴良組の屋敷にやってきた。
鴆は桔梗の医学の師匠であり、今は薬の精製を課題としている。
リクオが小さい頃から一緒に遊んでいた仲の鴆は、リクオに三代目になることについて聞くが、リクオは答えない。
それに激怒し、鴆は自分の屋敷へと帰ってしまった。
「まったく、とんだうつけじゃないですか、奴良組の跡継ぎは。こんなに無理してでてきたのに」
そのことに鴆は何も言わず、酒をあおる。
「抜けましょう。奴良組を抜けるのです。鴆様なら、奴良組の威光がなくてもやっていけます」
「・・・・・・ありがとう蛇太夫。だが、俺たち鴆一派は、奴良組には大恩がある」
鴆という妖怪は強力な毒を扱う代償に体が弱い妖怪。
その鴆を守り、それだけでなくいっぱしの妖怪として扱ってくれたのは、ぬらりひょんだけだった。
鴆は懐にしまってある手紙を思い出す。
「俺の命ももう少ない。残り少ない命を奴良組のために使おうと思っていたが、あれじゃぁ、決心も揺らぐってもんだ。・・・・・・だが、妖怪の成人まであと少しある。それまで、見極めてやらぁ」
「・・・・・・」
※※※※※※※※※※
【奴良組屋敷】
【奴良桔梗】
鴆さんが帰って暫く。
私は夕食の手伝いをしようと台所へ向かいましたが、その途中リクオにすれ違いました。
「リクオ?」
「・・・・・・桔梗?」
リクオは私の顔を見るとすぐに顔を反らしました。そして、そのまま通り過ぎようとします。
が、そうはいきません。
「リクオ」
「あ、ちょっ!」
私は戸惑うリクオの手を引き、一番近かったリクオの部屋に入りました。
「桔梗、何をーーーー」
「リクオ」
私はリクオの手を握り、額を合わせました。
「・・・・・・なんで、桔梗にはわかっちゃうんだろうね」
「さぁ。どうしてでしょうね」
「・・・・・・鴆くんはさ、昔はよくぼくと遊んでくれたんだ」
「はい」
知っています。
その日遊んだことを楽しそうに話してくれたのを覚えています。
「一緒に、桔梗の身体に効く薬草を探したりしたんだ」
「はい」
泥だらけになりながら探してくれましたね。
「鴆くんが頭領になって遊べなくなって、がっかりしたのと同時に嬉しかった」
「どうして?」
「鴆くんがね、言ってくれたんだ。・・・・・・『俺はお前の義兄弟だと思ってる。お前が継いだ奴良組に仕えるのを楽しみにしてる』って」
リクオがかすかに笑ったのを、接している額から感じました。
「ぼくが三代目になること、疑ってもいなかった。人間のぼくは何の力もないのに」
「・・・・・・」
そんなことない。
といっても、今のリクオでは信じてくれないでしょうね。
どんなに鍛えても、どんなに願っても、人間の力では奴良組の総大将は荷が重い。
だから必要になります。
七十二団体構成妖怪一万匹の妖怪を納得させるだけの力が。
仲間が。
「・・・・・・喧嘩、しちゃったな」
「つらいですか?」
「・・・・・・うん」
「仲直りしたいですか?」
「うん」
「なら、すべきことは一つですね」
「うん」
私たちは額を離し、笑いあいました。
※※※※※※※※※※※
「おい、見ろ黒田坊」
「こ、これは『妖銘酒』!飲もう!」
青田坊が、棚にしまってあった桐箱に入っているお酒を見つけてしまいました。
盛り上がる妖怪たちに、リクオは慌てて止めに入りました。
「こらこら。ほんと、お前らは」
「え、これ若の?何で酒?」
「鴆くんに謝るためだよ。ぼくの考え、ちゃんと伝えてなかったし」
「今日、行くのですね」
「うん。今からおぼろ車で行けば今日中に戻ってこれると思って」
「夕飯はどうするのですか?」
「うーん、今日は諦めるかな」
「そうですか・・・・・・」
今日は久しぶりに一品だけですがおかずを作ったのですが、残念ですね
『!リクオ様、もしかして逃げる気ですか?』
『拙僧たちは覚悟を決めてるのですよ!』
『そ、そんなことはないよ!二人こそ、酔いつぶれて食べそこなったふりをするつもりじゃなかったの?』
『『ギクリ』』
「そうです!いいことを思いつきました!ーーーー伝風!」
縁側により、伝風を呼びます。
伝風は答えるように鳴くと、私が差し出した腕にとまります。
「伝風、変化です」
「ぽーっ!」
ポンッ
伝風は腕から飛び立つと、空中で巨大化しました。
そうです。
伝風がこの妖怪屋敷にきて十一年。
伝風が妖怪化しました。
もともと頭のいい子でしたが、まさか妖怪になるとは思っていませんでした。
普通の動物が、妖怪屋敷で妖怪たち・・・・・・それも、妖怪の総大将がいる組の中にいれば、普通ではいられなくなるということでしょうか。
以前と変わったところというと、白い胸の部分に赤い模様が増えました。
本人は気に入っているらしく、最初のころは自慢げに胸をつきだしていました。
以前の真っ白な羽根もよかったですが、赤い模様の伝風もかっこいいですよ。
「伝風で行けば、おぼろ車よりも早く移動できますから、夕食に間に合いますよ」
「え゛」
「さ、行きましょう」
「桔梗も来るの?」
「当たり前でしょう。伝風は基本私しか乗せないのですから」
リクオが苦々しげに伝風を見ました。
そんなリクオに、伝風は『やんのか?』というようにリクオを見下ろします。
「ほら、謝るのでしたら善は急げですよ」
「~~~~っ、わかったよ。夕食までに帰る・・・・・・」
「「い、いってらっしゃいませ、若・・・・・・」」
※※※※※※※※※※
【鴆一派屋敷】
【鴆】
「おい、蛇太夫はいるか?ちょっと買い出しに・・・・・・ん?」
買い出しを頼もうかと思ったが、台所には誰もいなかった。
いや、台所だけではない。
静かすぎる。
「誰もいねぇのか?」
それはおかしい。
奴良組の屋敷ほどではないが、鴆一派の屋敷にもそれなりに妖怪はいる。
それが、小妖怪一匹もいないとは・・・・・・。
何かがおかしいーーーー。
「ん?あれは・・・・・・っ!?」
気づいたとたん、目の前が真っ赤に染まり、同時に熱気が襲ってきた。
「火事!?こりぁいったい・・・・・・」
「屋敷の者はみな出払っていますよ。私がそうさせました」
「蛇太夫!・・・・・・てめぇ、反リクオ派にそそのかされたな」
蛇太夫が何匹かの妖怪を引き連れ、鴆の周囲を囲むようにして立つ。
鴆は刀を抜き、蛇太夫に突きつけた。
「盃をかわした忠誠心はどこいったーーーーっ」
胸からこみあげてくるものを感じ、思わずうずくまる。
以前だったら血を吐きながらむせていたところだが、まだ桔梗に調合してもらった薬膳茶の効果が残っている。
帰る際、余分に調合したものをくれたのだ。・・・・・・手作りの差し入れも一緒に。
「忠誠心?なんのことやら」
「この裏切りものめ!」
「いうならば先に裏切ったのはあんたさ」
「何!?」
「あんたがもっと大物になってくれりぁ、俺ももっといい目がみれたのに。・・・・・・奴良組のため、奴良組のためと・・・・・・愛想が尽きたね」
「どうせお前も用が済めばお払い箱だぞ」
「そんときはそんときだね」
蛇太夫が完全に開き直っている。
盃の誓いを破ることにも、何にも思ってはいない。
「そうか・・・・・・。だがなぁ、俺はまだやることがある。だから死なねぇ!」
「ふん。あの奴良組のバカ息子のことか」
「ま、それもあるがな・・・・・・」
鴆は服の上から、懐にある手紙を押さえた。
「俺は、こんなところでお前に殺されるわけにはいかねぇんだよ」
鴆の言葉を悪あがきととった蛇太夫は、胸を押さえてうずくまる鴆を見てあざ笑う。
「せいぜい軟弱鳥は大げさに羽根飛ばしながらくたばりな!!」
蛇太夫の首が伸び、鋭い牙が鴆に迫る。
しかし鴆は、火事の煙と熱気に具合がさらに悪くなり、体が思うように動かない。
「くそっ」
ここまでかーーーー。
諦めかけたそのとき、炎に包まれた壁や屋根が吹き飛び、あたり一帯がむき出しになった。そしてーーーー
『くるっぽーっ!!』
でっかい鳩が現れた。
ストックは旧鼠編まであります。
手直ししつつなので、不定期です。
表示形式を少し変えました。
視点や場面が変わるところには【】で書くことにします。
最近主人公以外の視点が多いので、追加してみました。