ぬらりひょんの孫~双子の妹に転生しました~   作:唯野歩風呂

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第21話

 

 

 

 

 遅刻するといっていた割には、いつもより早めに学校へ到着しました。

 こんなことなら、お母様にお弁当を頼めばよかったでしょうか。

 いえ、それとも私が作ってしまった方が

 

 「き、桔梗?何か変なこと考えてない?」

 「変なこと?」

 「い、いや。ないならいいんだ」

 「?」

 

 変なリクオですね。

 

 

 私とリクオは双子なので、クラスが分かれています。

 私が一組でリクオが二組です。

 リクオは私が体育なので無茶をしないか心配のようですが、私だってリクオが心配なんですからね。

 進んでパシリになっていること、知っているんですから。

 いじめられているわけではないのでいい奴と思われていますが、人間らしいを目指していてももう少し他に方法がなかったのかと思います。

 

 「あ、キーちゃん、おはよう」

 「おはようございます。カナちゃん」

 

 カナちゃんです。相変わらずかわいい子ですね。それにいい子です。いつもリクオが忘れ物したとき届けに来てくれますし、私が寝込んだときもお見舞いに来てくれます。

 

 「おっはよう二人とも」

 「おはようー」

 「紗織さん、夏実さん。おはようございます」

 「おはよう二人とも」

 

 紗織さん、相変わらず中学生とは思えないプロポーションです。

 私は背が低いのでうらやましいです。

 

 「な、なに睨んでんのよ」

 「いえ、睨んでませんよ」

 「そ、そう?それより、聞いた?旧校舎の話」

 「旧校舎?何それ」

 「学校の敷地内にあるのに誰もいけない場所にあって、妖怪がでるんだって」

 「怖いよねぇ」

 「妖怪がでる、ですか……」

 

 確かに、旧校舎など誰もいつかなくなった場所には妖怪が住み着きやすいですが、噂になるほど暴れているのでしょうか。

 それはいけませんね。

 

 「妖怪なんているわけないでしょ。ね、リクオ君」

 「えっ!?あ、うん」

 

 おやおやリクオったら、そんな苦笑いではばれてしまいますよ。

 

 「それより、今日の宿題やった?数学の宿題、結構難しくなかった?」

 「あー、あれね。確かに難しかったなぁ。でもあんた、あたしより成績よくなかった?」

 「せ、成績はよくても難しいことは難しいんだよ」

 「奴良君の場合は、わからなくなったら桔梗さんに聞けばいいんじゃない?学年トップだし」

 「えぇ。いつでも教えるって言っているんですけどね。リクオ、お兄ちゃんなんだから、って私を頼りたがらないんです」

 「なるほど、兄の意地ってやつ?いいじゃない別に。双子なんだから」

 「むっ。そ、それでも!桔梗にはなるべく頼らないようにするんだ!桔梗はすぐ無茶するんだから」

 

 少し怒らせてしまったようで、リクオは一人で教室に行ってしまいました。

 自分で何とかしようとするのはいいことですが、頼るべき時に頼れないことは、美点にはならないんですけどね。

 

 やはり、男の子の意地ってやつでしょか。

 

 

 

 中学校の問題は、やはり一度経験している私には簡単です。

 だからといって、授業中寝るということは私のプライドに反します。

 例え前日遅かったとしても!今日早く起きたとしても!

 

 「ぬ、奴良?先生、怒らせるようなこと、したかな?」

 「記憶にありませんが?どうぞ、授業を続けてください」

 「は、はい」

 

 

 寝ませんよ、私は!

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 やっとお昼になりました。

 

 そういえば、今日お弁当がないんでした。

 一階の購買に買いに行かなければなりません。

 

 しかし、今から走ってもパン一つ買えるでしょうか。

 

 「桔梗!」

 「リクオ?」

 

 他クラスのリクオが廊下から手招きしています。

 その腕の中には、購買のパンが何個か抱えられていました。

 

 「どうしたんですか?」

 「桔梗、ぼくに付き合って弁当なしだろ?購買で桔梗の分も買ってきたから、みんなで屋上で食べよう」

 「わかりました。けど、そんなに沢山、食べれるんですか?」

 「あ、これ?これは島君の分も入ってるから」

 「へー……」

 「……いっとくけど、ぼくから行くって言ったんだからね」

 「わかっていますよ」

 「……」

 

 

 

 屋上には、すでにみなさん集まっていました。

 

 清継君に島君、カナちゃんに紗織さんと夏実さん。それから、私とリクオを含めて七人グループです。

 小学校からのグループで、カナちゃんはずっと仲がよかったのですが、清継君たちや紗織さんたちはあのバス事故から仲良くなりました。

 

 あのときから、お昼などはいつも一緒です。

 

 

 「ところで君たち。今夜は大丈夫だろうね」

 「もちろんだよ清継君。奴良も行くだろ?」

 「うん」

 

 今夜?いったい何の話でしょうか。私は聞いてませんよ?

 

 「今夜、旧校舎の探検を結構する!妖怪を見つけるんだ!」

 

 これはこれは。……少々不味いですね。

 

 旧校舎には、奴良組でない妖怪が住み着いている可能性があります。

 そんなところに行ったら、本当に襲われかねません。

 

 リクオがその可能性について気づいているかわかりませんが、どちらにしても行くのは危険です。

 

 「噂じゃないさ!四年前ぼくはこの目で見たんだんだから!妖怪は間違いなくいるって!」

 

 「……」

 「……」

 

 清継君、あなたってきっと妖怪にからかわれやすいタイプね。そのせいで、きっといつまでも妖怪を見ることができないのでしょうね……。

 

 「それに君たち見ただろう!四年前、ぼくたちを助けてくれた闇の世界の住人にして若き支配者の姿を!」

 「た、たしかに……」

 「見たような、見てないような」

 

 「むむむっ……。はっ!そういえば君は「君?」……失礼。桔梗さんはたしか雄々しく妖怪に立ち向かったあと力つき、闇の支配者に家まで送ってもらったのではなかったかね!?」

 

 ぎく

 ぎく

 

 清継君、よく覚えていますね。しかし、これはまずいです。これ以上は面倒なことになります。

 

 なんとか誤魔化しましょう。

 

 「……そうだったかしら?」

 「あぁ、たしかに――――」

 「(にこっ)」

 「あのとき――――」

 「(にこっ)」

 「……」

 「……」

 「ま、まぁ、この話はいつでもできるとして……。それより旧校舎だよ!君たちも参加するだろ?」

 

 ふう。何とか誤魔化せたようですね。

 しかし、もとの問題に戻ってしまいました。

 

 「お、女の子たちは危ないんじゃ」

 「わたし、いってもいいよ。妖怪なんてどうせいないし」

 「私も行かせてもらいます」

 「なっ、桔梗!?」

 

 リクオが怒って私に詰め寄りました。

 おや、こうして怒るということは、危険かもしれないことはわかっていたのですね。

 

 「リクオ」

 「っ……」

 

 あなたが行くというのなら私も行きます。

 それに、本当に妖怪がいた場合、リクオ一人では対処できないでしょうに。

 

 そう、目で訴えると、リクオは諦めたようで、深ーい溜息をつきました。

 

 「うむ。決まりだな!では、今夜七時。学校に集合だ!」

 

 さて、何事もなく終わればいいですが、そんなわけにはいかないでしょうね。

 少し、対策をしていきますか。

 

 

 

 

 

 

 その前に。

 

 「島くん?」

 「な、なんすか?」

 

 

 ちょっとお・は・な・しをしましょうか?

 

 

 

 

 




旧校舎の回が終わりましたら、閑話を入れるかもしれません。
小学校での話や、屋敷での話など、オリジナルの話を入れられたらと思います。

では、またいつか!

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