Kranteerl y io kladi'a   作:xelkener

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9.第一作戦_三日目

イェクト、クラディア含む翔太捕縛部隊は損害が激しく、爆発物処理部隊は行方不明。時刻は今、11:56だ。最初に入ったときよりもほこりが増えたように感じるこのETCA事務室で転送の時間を待っていた。

 

私たちは任務に失敗した。この失敗がどのような被害をもとの時間に及ぼしているのか、容易に考えることは出来ない。しかし、どんなことがあっても私たちを『今』に戻すとアレスは私たちに約束をしていた。彼女自身何かを負っている。そう思わせるほど、彼女の意志は強かった。

 

皆が時計を凝視している。今、11:59になったところである。秒針がその秒数を刻んで行く。転送まであと5...4...3...2...1.

 

目の前が白い光で包まれた瞬間、私たちは気を失った。

 

--

自分たちの目の前には見たことの無い光景が広がっていた。黒、黒、黒、一面が焼け野原、歩けば灰が舞いまわりに頑丈そうでもない建物が一つ立っていた。私たちはこの光景に怯えながらもその建物の中に入っていった。

 

「ああ、貴方たちね。」

そこには、アレス・ラネーメ・リパコールが居た。相変わらず、ウェールフープ学の重鎮というオーラを放ち計算機器の前に座っていた。立ち上がって、クラディアの元に近づく。

 

「いい、良く聞いて、貴方たちが任務を失敗してから八ヶ崎翔太は、Xelkenを破滅に追いやろうとしているの、反戦派まで殺そうと『彼の組織』は動いた。だから、連邦は、それを留めようと軍を派遣したけど連邦は敗れたわ。彼と彼ら組織による攻撃でね。そして、残ったのはこの研究所だけ。貴方たちのことは『ユーバリ=ハフルテュ』というラネーメ人…いや、ハタ人から聞いたわ。本当なの?」

 

イェクトがこくこくとうなずく。

 

「アレスさん、私たちは謎の組織に作戦について邪魔をされました。謎の組織についてハフルテュからなにか聞いてませんか?」

今は少しでも情報が欲しい。アレスはすこし考え込んでいたが何かを思い出したような顔になって言った。

 

「彼は陰謀がどうたらとかXelkenの殺戮は止められないとかこの事情にやけに肯定的だったわ。」

そう、か。

それでは、もう一回戦うしかない。

リファーリン、謎の組織を殲滅し、翔太を逮捕し、こんな世界にした元凶である『ユーバリ・ハフルテュ』を逮捕する。それだけだ。

 

「…皆さん、良く聞いてください。」

アレス、イェクト、12班の皆、14班の皆がこちらを向く。

 

「私たちは特別警察です。これら戦争の元凶は八ヶ崎翔太ですが、事件を止める作戦を破壊したのはユーバリ・ハフルテュという人物です。私たちは彼を逮捕しこの現状を変えます。」

 

「…今ならまだ、ハフルテュの元で悪人となって平和に暮らすことも出来ます。貴方たちは、この新たな作戦に、私についてきますか。」

 

…。

彼らは数秒黙っていたが、イェクトの頷きから皆がこくこくと無言で頷いた。

 

「それでは、アレスさん、準備をお願いします。」

アレスは、無言で頷き部屋の奥へ行った。


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