Kranteerl y io kladi'a   作:xelkener

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6.第一作戦_一日目

― 一日目

クラディアが目を覚ますとそこは、ETCA支部の仮眠室だった。

「移動…できたのか?」

イェクトが言う。

周りを見る。移動した時間が12:15だったが今の時刻は8:05のようだ。カレンダーは・・・あの事件が起きた年になっている。移動には成功したようだ。

「皆、移動できているようだ。それでは、指定された各場所に待機してくれ。」

イェクトは皆に言った。作戦の流れ上、今日は準備日になっているがあまり情報収集などを行わない私たちは各人指定されたマンションなりアパートなりホテルに泊まることになっている。

 

クラディアは同じ特別警察の人とホテルに泊まる。名前は…ターフ・リファン・リファーリン。女性だ。

「クラディアさん。」

歩いていると、リファーリンがこっちを向いて後ろに手を組んでクラディアの前に出てきた。

「何でしょう?」

「折角、フェーユに来たんですからちょっと観光していきませんか!?」

どうやら、相等面倒な性格な人物みたいだ。この人が鉄面皮をかぶってない限り。

「いいですが、取り敢えず特別警察制服を着替えて行きましょう。あと、情報収集も兼ねます。」

「そうですね!私、服い~っぱい持って来ましたよ~!」

そういって、リファーリンはキャリーの中いっぱいの服を見せてきた。リパラオネ風、ラネーメ風、ハタ風…大量の服の種類、これだけ作戦前に集められるのは在る意味の尊敬に値する。

「家にはもっとあるんですけれどね~」

--

該当のホテルに着いた。

リファーリンのあまり派手でない服を選び外へ出た。当のリファーリンはフリフリのフリルスカートなど派手な服をわざわざ選んでいた。注意すると「あ~、そうですね~すみませ~ん、あはは~」などと言っている。危機感が無いのだろうか、こちらまで作戦の重要性が頭から飛びそうである。

 

フェーユの町に出たとりあえず、フェーユの町市場に行く。

「おお~!私、フェーユ・ゼェユ・ユッミユには、死ぬ前に行きたかったんですよ~」

訛っている、デュインの方言だろうか?

「ほら、このりんごおいしそ~♪、おじさん!これいくら?」

「ぁあ~お嬢ちゃん可愛いからまけてやるよぉ。」

任務も忘れてずいぶん楽しくやっているものだ。リファーリンはりんごを買ってどんどん先へ進んでいく。

「クラディアさん!私、見せたいとこがあるんです!来てくれますか?」

ここまで、来たらもう何を見せられても驚かない。

「ええ。」

 

--

ちょっとした坂をあがって行く。

結構上った先に森があった。

森を抜けるとユエスレオネ全体が見れる見晴らしのよう場所に出た。

「綺麗でしょう、この風景。」

「ええ、そうですね。」

イェクトとのETCA屋上の風景を思い出す。

ここもなかなかの風景だった。

「―でも、それが見れるのも今日までよ。」

リファーリンはふところから拳銃を取り出してグリップでクラディアの後頭部を殴った。クラディアはその場に倒れこんで動けない。

「ぐっ・・・」

「あの事件もすべて正義の意志よ。貴方たちに止めさせはしない。」

ターフ・リファン・リファーリン…どこかの馬の骨の差し金だったか。しかし、どこのだ。

「貴方は・・・誰なのですか・・・」

「そうね、貴方が死ぬ前に教えましょう。」

リファーリンは近くの木に寄りかかって言った。

「私は貴方たちにあの事件の隠蔽を阻止し、八ヶ崎翔太の事件を成功させるに作られた武装組織の一員よ」

「誰に・・・雇われたのです・・・」

「ユーバリと呼ばれる人物よ。」

ユーバリ…夕張のことか?

しかし、夕張が何故・・・彼はもう死んでいるはず・・・

しかも、彼はこの事件に直接関係していない・・・

 

「お喋りもここまでね、さようならクラディア。無の世界でまた会いましょう。」

銃口をクラディアに向ける。

トリガーを引こうとする…しかし、クラディアがそれを蹴り上げる。

「くっ。」

クラディアは蹴り上げた反動で立ち上がり両者が身を引く。クラディアはラーデミンの力を解放しリファーリンは手に力をためていた。

 

「―!!」

 

先に動いたのはリファーリンだった。クラディアに向けてプラズマが誘導される。一瞬の動作でプラズマを避けたクラディアは氷塊を複数飛ばす。リファーリンもそれを目視で確認しクラディアと距離をとりながらプラズマを誘導して破壊していく。リファーリンのプラズマ誘導能力は高い。通常のフレンタトゥオレア―プラズマ使い―よりも正確に当てようとしてくる。しかし、プラズマの誘導のための動作に一瞬の間が生まれていた。さすがリファーリンレベルのプラズマ使いでもプラズマの誘導には流儀というものがあり、同時に決まった『礼儀』が生まれる。それを見極め決戦に持ち込む―

 

またもや、リファーリンがプラズマを誘導する。今度はクラディアを掠めていった。一体どうしたのか。

 

「残念、はずれちゃった~」

クラディアの後方の柵を破壊した。その先は崖だが地面が抉られでもしない限り落ちることは無いだろう。

 

「――!?」

ががっ、とプラズマの束がクラディアの目の前に落ちる。衝撃でバランスを保てずによろける。クラディアは地面に氷塊を投げ反動でリファーリンの上を飛ぶ。リファーリンもそれを見逃さずにプラズマを誘導する。クラディアは冷気でバランスをコントロールしながら着地しリファーリンを目認する。リファーリンは森の木々をプラズマでなぎ倒しながら近づいてくる。

「もう終わりだ!死ねぇッ!」

プラズマを誘導しようと構えた瞬間クラディアは後ろに氷塊を投げ反動で高速移動する。

「無駄だ!」

リファーリンが後ろを向く。しかし、そこにはクラディアは居ない。

「糞ッ、どこへ行った!?」

「―ここです。」

クラディアの氷塊がリファーリンの後方からリファーリンを吹き飛ばす。一個の氷塊が粉砕した後、クラディアはリファーリンをさらに追撃する。リファーリンは避けきれず崖側に追い詰められる。クラディアは、追撃を止めた。

「は、ははっ、もう、終わりか・・・」

リファーリンは後ずさりをした。すると、そこは先程破壊した柵の部分だった。

「うわっ!?」

リファーリンが落ちてゆく。落ちたのを確認してクラディアもそこから降りていったちょうどリファーリンの頭部を氷塊で刺し反動で着地した。

「・・・不思議ですね。最後にユーバリのフルネームを教えてくれますか?」

「・・・その名は・・・ユーバリ=ハフールテュ・・・」

ハフールテュ・・・hahurtyuか、つまり、ハタ人?

 

この作戦を実行するETCA、それを阻止し事件を成功に導こうとする存在、そしてその依頼者ユーバリはあの事件の犯人八ヶ崎翔太の友人の夕張と名前が酷似していた。これが、指すことは一体。

 

森から出ようとクラディアは歩き出した。瞬間リファーリンが起き上がり最後の力を振り絞りプラズマを放つ。クラディアは全てのプラズマを避けリファーリンを氷塊で壁に打ち付ける。

「はは・・・仮想反理・・・私を殺しても我らの作戦は続く・・・」

クラディアは無言でリファーリンの頭を氷塊で潰した。

 

「貴方たちに、任務の邪魔はさせません。私は、翔太もラヴュールも皆守って見せます。」

 

暗い森の中、クラディアの声だけが響いていた。


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