Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
「クラディアとイェクト含むチームは今回の作戦では八ヶ崎を捕らえろ。」
何故か窶れ気味のアセロアフィスが言う。
今回の作戦ではただ、翔太をXelken平和式典で捕らえ音沙汰無しに現地を去る。翔太を特警なりなんなりに引渡し地球に転送するんだそうだ。
「それでは、捕縛部隊は時空ウェールフープの準備をしてくれ。」
アセロアフィスは咳き込んでいる。あまりにも苦しそうにしているのでETCA職員が近づく。しかし、大丈夫だ、旧軍人をなめるなといって引き下がらせた。アセロアフィスは旧軍人だったのか、ユエスレオネの?ならなぜETCAに居るのだろうか?
「クラディア君、行くよ。」
イェクトが呼びかける。クラディアは考え事をやめてイェクトに付いていった。
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ETCAの廊下を歩いている。赤いカーペットが引かれ壁は木目模様にデザインされていた。時空ウェールフープは、ウェールフーポを大量に消費する。このために理論上で可能であっても、個人で行うには不可能であった。しかし、あのウェールフープ学の重鎮『アレス・ラネーメ・リパコール』が近年連邦からの援助を受けながら成功したとの発表が出た。それは、特殊な装置でWerlfurpu'd liestu'd snidosta'd apia、略してWLSAと呼ばれているらしい。
「クラディア君、君はWLSAは初めてかな?」
イェクトが話しかけた。
「いえ、技術が出来てからはWLSA自体も見たことはありませんね。」
「そうか、僕はあれに乗った記憶があるんだよ。しかも、技術が出来た以前だと思う。」
WLSAに乗った記憶…技術の出来た以前に?
「よく思い出せないけれどもね…ほら、見えてきたよ。」
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いつの間に、とは思ったがETCA支部ビルの目の前に巨大な物体が置かれていた。
胴長で途中から切れ込みが入っている鉄製メシェーラのような形状であった。切れ込みの端は青い光を放ち謎の煙を上げていた。
「どうも、ユエスレオネ連邦フェーユ中央大学ウェールフープ研究室のアレス・ラネーメ・リパコールです。」
髪の長い女性がクラディアたちの方へ歩いてきていった。
「連邦特別警察警護部のクラディアです。」
「連邦国家公安警察のイェクトです。」
アレスは、何かを警戒しているような目で見ながら付いてくるように言った。
「これはWLSAです。巨大なWPによる力ではなくNy管による循環方式で強力な力を持続させています。」
そういって、WLSAの後方のドアらしきものを開いた。
「ここに乗ってウェールフープ力で時間航行を行います。ただ、さっきも言ったようにこれはNy管の循環によって強力な力を得ています。だから、一回これで時間航行をした後冷却に三日かかります。」
つまり、これで時間をさかのぼった後、任務を終えても三日たつまでは帰れないということか。
「なので、その点を留意してください。」
アレスはそういい残しWLSAの整備員に呼ばれ行ってしまった。
「三日もあれば僕の記憶も戻るかな。」
イェクトがWLSAを遠目で眺めながら言った。
「そうですね、早めに任務を終わらせて記憶にまつわる情報を集めましょう。」
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「それじゃあ、任務を遂行してきてくれ。」
アセロアフィスが捕縛部隊に言う、相変わらず体調が悪そうだ。
「皆さん、着くのはXelken平和式典の前日です。一日で準備をし二日目に任務、三日目に帰ってきてください。」
捕縛部隊の人間たちが威勢のいい声で応答する。
後に、WLSAのドアを開け直方体状の箱に入り座った。
「WP波遮断率90%、Ny管確認完了、それでは、行きます…」
周りの人の気配が無くなる。WLSAから離れているのだろう。
「5…4…3…2・・・1・・・」
カウントダウンと共に箱の中がまぶしい青い光で埋め尽くされる。
「0!」
高速で射出された感覚と謎の浮遊感、恐怖がクラディアを襲った。
そして、数秒後いきなり意識が無くなった。