Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
……。
クラディアは目を覚ます。それと共にイェクト達も体を起こした。ハフルテュが私達を眠らせたんだ。あんな、ハフルテュを解放してしまったら何をするか分らない……。
「くそっ、奴を逃がしたぞ。」
スカースナが言う。リファーリンはすぐに立ち上がり周囲を警戒する。イェクトは怪しそうにハフルテュの居た場所を見つめていた。
「……一体何をやるつもりなんだ。ユーバリ・ハフルテュ……。」
虚空にそう唱えても、もちろん答えは返ってこなかった。瞬間、クラディアの携帯デバイスが着信音を鳴らした。携帯を取り持ち直す。
「はい、クラディアです。」
「スカルムレイです。八ヶ崎の軍勢がネステルへ向け侵攻しているようです。今のところ王国軍で押さえていますが、劣勢のようで……。」
……。
この基地も私達を陥れるためのトラップだったというのだろうか。しかし、今はそんなことを案じている場合ではない。ネステルで何が起きるか、それが容易に想像できたからだ。
「イェクト、直ぐにネステルへ行きましょう。ハフルテュがネステルを侵攻している模様です。一刻も早く。」
「しかし、私達だけで勝てるのかい?」
イェクトが尋ねる。そう、シャスティの声はもはや一つも聞こえなかった。そう言った瞬間、スカースナがシャスティたちの方を向いて歩いていった。
"Lrad. Lrad. Mi'i uhhluer'i ohnna fghphass hudoslss'd hulgo'i junap plashe."
そういってスカースナは手を上げた。するとスカースナの手に光が集まってその光が散った。眩い光はシャスティたちを包み込んだ。そして、シャスティたちはひとりひとり目を覚まし起きてきた。
「よろしいですね。さぁ、最後の決戦とやらをぶち壊しにいきましょう。」
クラディアはそういって高い位置にある基地から遠くにあるネステルの方向を目を細めて見ていた。
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戦闘車両に乗り込んだシャスティ達と共に急速に基地を離れる。ネステル・アルパに近づいた時から違和感を感じていた。人の姿が見えない。一人の人も姿が見えないばかりではなく、人の気配すらも感じられなかった。しかし、少し進んだ所でその違和感は次の瞬間に解消された。
「これは……。」
路上に大量の人が倒れたまま動いていない。血まみれになっているものや、肢体が四散してるのもあった。建物には血がべっとりと付いていた。無論、これらは全てハフルテュの仕業であろう。そう思いながら車両は死体の山を通り抜けてゆく。暫くすると高層ビル地帯に差し掛かった。ネステル市に入ったのだ。相変わらず、死体が散乱し腐乱臭とともに建物が真っ赤に血塗られていた。進んでゆくとそれらすら消えた異様な状態となっていた。
「奇妙ですね……イェクト、周囲に特定WP波は確認されますか。」
「いいや、ないね。」
そういった瞬間、爆発音が耳に聞こえた。
「何だ!?」
イェクトがそう言った瞬間無線が入る。
「こちら、一号車多数WP銃による攻撃を受けている。このままでは」
無線が途切れる。それと共に先頭車両が爆発したのが確認された。WP銃か、なるほど。いい、ウォーミングアップになるだろう。第一車両を避け先頭車両から散会してゆく。私達がその兵士を見つける頃には自動機銃が皆今まで通ってきた時の死体のように穴だらけの肢体四散にし、その上を車両が通り轢き潰して行った。それぞれ、ネステル・アルパに到着し車両から降りて門の前で待機する。リファーリンが爆弾を設置して離れる。
「準備完了した。」
無線が伝わる。
「爆破しろ。」
爆破でネステル・アルパの門が破損して穴が出来る。スカルムレイの御所を破壊するなどハタ王国民に殺されかねないが、今はそんなことを考慮している場合ではない。シャスティたちが突入する、それと共にクラディアたちも突入した。
「もぬけの殻だ……」
回りを見渡してイェクトが言う。雇っていたはずのハフリスンターリブ兵一人すら見えない。
「先に進みましょう。」
そうクラディアが言って、先に進もうとした所銃声と思わしき音が耳を掠った。
「!?」
「良く来たね、クラディア。面白いステージの始まりだよ。」
ハフルテュが高台でそう言った瞬間に、周りのシャスティ達が一斉に倒れた。ハフルテュが一瞬で攻撃を仕掛けたのだ、どこかにスナイパーが居る……しかし、そのスナイパーはクラディアたちは撃たなかった様だ。
「さあ、クラディア最後のお遊びさ。」
そう言って、何かを引き摺って行った。リファーリンがWPライフルを出し撃つが当たらなかった。
「……あれはまさか……。」
「リファーリン何か気付いたのですか?」
リファーリンは顔を歪ませて言った。
「あれ、もしかしたらスカルムレイじゃないか?」
「ま、まさか……。」
「もし、そうなら早く行かねば。」
四人はアルパの中を進んでいった。
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「……。」
少女が青をが赤色の壁の部屋の中で睨んでいた。
「何故、こんなことを……。」
少女は言う。青年は自分の持っているナイフを弄びながら貼り付けになっているその少女を見つめていた。
「何故?」
「何故、連邦民も王国民も巻き込んでまでこんな凄惨なことを……。」
青年は瞬きをして、少し笑って、それに答えた。
「俺の世界に、お前等が必要ないからだよ。」
そういった瞬間その広い部屋に、クラディア達が入ってゆく。
「ハフルテュ……。」
「おお、主役の登場だ。みんな拍手してあげないとな。」
そういって、ハフルテュはおどける。もちろん、拍手をするものは居ない。部屋の中には、拍手を要望した者と主役と壁に貼り付けにされた少女のみしか居ない。
「スカルムレイ氏をどうするつもりですか。」
「まぁ、そんなカッカとなさんな。このお嬢ちゃんも事情を聞きたがってるからもう一回説明してやる。何で、こうなったか。」
そういって、ハフルテュは写真を投げた。
「これは……。」
「アレス・シャル、Xelken.valtoalと戦っていた一人の偽りの人物だ。」
ハフルテュが歩きながら話す。その姿は楽しそうに見えた。
「私は元々ADLPだった。私はこのユエスレオネ、否ファイクレオネの全ての人間を幸せにするのが使命であった。」
「しかし、」
「そんな矢先に連邦とXelkenが癒着していたことが分った。ADLPと連邦は正義をお互いに愛する組織同士であったと信じていたのに、そんなことが分っても証拠をADLP内部に持ち出しても揉み消されるだけ。全て、あのファフス・ザシミとか言う糞爺の下へも行かずにな。そう、ADLPとXelkenですら癒着していたんだ。」
クラディア達の前にあったシャルの写真が自然発火し灰になる。
「絶望したさ、その次に強い怒りを覚えた。そして、俺もあいつ等のように俺の望む世界にこの世界を作ろう思ったのさ。」
「……そのために今までどれだけの人が死んだか知っているのか!!」
スカースナが激昂する。しかし、ハフルテュの顔は少しも変わらない。先程よりも、私達の反駁、焦りを楽しんでいるように見える。
「死んだ?死んだよ、死んださ、死 ぬ だ ろ う よ。」
ハフルテュの目がいっぱいに開かれ口角が引き上げられる。
「この世界に蔓延る屑どもを殺して俺の心が安らげる世界を作るんだよォ、そのために旧世界の人間なんて幾らでも死んでいいんだ。俺の選んだ人間が新世界の清き正しき住民となり、俺が新世界の神になるんだだァ。ア ハ ッ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ッ ハ ハ ハ ッ ハ ハ ハ ッ ハ ハ」
ハフルテュの高笑いが部屋を満たす。狂気と寒気が室内の万物を急速に襲う。その瞬間ハフルテュの頭が破裂する。それにイェクトが近づき話す。
「ハフルテュ、今までありがとう。」
イェクトがクラディア達の方を一瞬だけ見て言う。
「僕の本当の名前はレシェール・ラヴュールだ。僕は最初から記憶喪失なんかしていない。」
クラディア達とともにハフルテュの息が止まったかのように感じた。
「僕は、ユーバリ・ハフルテュ……いや、アレス・レヴィア・ユーリアフィス、お前が何をやるかさらから知っていたのさ。だから、記憶障害になったフリをしてそのことに確証を持ち、クラディアをここまで誘導したのさ。全て事は上手く進んだよ。」
「ラ、ラヴュール……?」
イェクト、もといラヴュールはクラディア達の方を向いた。
「ごめん、クラディア。僕は君を騙してここまで来た。ここまで来れたのも全てクラディアのおかげd」
その先を言いかけて、ラヴュールは倒れた。そこにはWPライフルを持ったハフルテュ、もといユーリアフィスが立っていた。
「お世話になった人に失礼だなァ、俺がそんなことも知らなかったとでも言うのかい?」
そういった、瞬間、クラディアの横のリファーリンとスカースナが吹き飛ばされ二人とも意識を失う。
「俺がこの場を用意したのはクラディアちゃんと一対一で勝負しようと思って用意したんだ。」
そういって、ナイフでスカルムレイの手のひらを切る。滴る血を霧にしてハフルテュは浴びた。
「すまんな、どこぞの大虐殺の時からADLPが戦闘するときは誰か神聖なものの血を浴びなきゃいけないとかなんとかいう規則があってな。新世界の神は寛容だからそんな古い慣習もやってあげるのさぁ。」
そういって、ユーリアフィスはナイフをクラディアに投げる。クラディアはそれを氷板で防ごうとする。貫通こそしたが防げた。板を投げ捨て距離をとりながら氷塊を投げ続ける。しかしそれらをユーリアフィスは一づつ、WPライフルで射撃する。全ての氷塊を銃撃したあと、思いもしない衝撃と爆音が聞こえた。それと共に体から力が抜け、後ろに倒れる。
「あ~ぁ、弱いねぇ。俺の能力言ってなかった?小空間時間停止。小さい空間だけだけどそこの時間を停止することが出来るんだよね~今のは、クラディアちゃんと無駄話していたときに撃った銃弾だよねぇ。」
「くっ……」
ハフルテュの能力に関しては意識していなかった。銃撃による衝撃音が聞こえないのも銃弾の空間の時間を停止したから、門に入ったときのシャスティを撃ったのはスナイパーではない。ハフルテュだったのだ。
「さぁ、企画も疲れちゃったしそろそろ、死んでもらおうか。」
造・発モーニ体を撃たれたのか。ウェールフープを放つことが出来ない。もがいても力が抜けて動けない。
「さようなら、クラディア。無の世界で会おう。」
クラディアは目を瞑った。死ぬのだと、甘すぎたと、自分を悔やみながら。
「グハッ……」
ハフルテュが倒れた音がした。クラディアが目を開き確認する。その姿は黒いマントを背負い、出血しながらも手をハフルテュに掲げる翔太であった。
「しょう……た……」
「もう大丈夫だ。クラディア。」
クラディアをハフルテュから引き離し、治療のウェールフープを発動する。造・発モーニ体あたりの出血が止まり、ウェールフープもできるようになった。翔太は、ラヴュールらにも治療のウェールフープを発動する。
「翔太……ありがとうございます……恥ずかしながら……私だけでは止められませんでした。」
「大丈夫、大丈夫だ。もう、これ以上失いたくなかったから。」
翔太はそういって最後の一人の治療を終えた。ハフルテュを見つめて何か言っていた。
"Naisè effailedous ja."
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クラディアはある場所を歩いていた。喫茶店に入って喫茶店の角へ、男の居るテーブルに座る。
"Mait, Nai andaivaide ĵouin?"(で、何か分りましたか?)
"Ne, andaivaide ne if...Mesyen."(いや、何も……すまない……)
"Ja...chais..."(そうですか、ありがとうございます。)
そういって、クラディアは喫茶店を出ようと椅子を発とうとする。
"Kenoais ĵouaile?"(何か飲まないのか?)
"Ne, chais."(いいえ、ありがとう。)
ハフルテュとの対決から一ヶ月。連邦と王国の協力で復興は急速に進み連邦のフェーユもアルパも完全に修復された。スカルムレイはというとあんなに戦闘が行われ流れ弾が当たってもおかしくない場所でありながらも幸運に手の傷のみで済んだらしい。今度、お茶でもなどと言われたがいつのことになるやら。そんなことは置いとくとして、私は翔太を探している。あの決戦の後翔太は姿を消した。地球全体ユエスレオネも王国も探したが、居なかった。一体何処に行ったのか。私を救った翔太を探してここ、東諸島共和国に居た。
クラディアは喫茶店から出てくる。歩道に出てきたところ誰かとぶつかる。顔を上げるとそこには翔太がいた。
「翔太……。」
「クラディア……。」
この異国の道の上で二人は再会を果たし、世界は元通りに動き始めた。世界は繰り返す。しかし、繰り返す内容は分らない。もしかしたら、幸運なことも繰り返されるかもしれないし、不運なことも繰り返されるかもしれない。私は、これからどんな道を歩いて行くのだろう。それは分らない。ただ,確証は無いがもう誰もこの手からは失わない気がした。
Afzarflirga'd tarveltesti, liaxa co celdin unde.
Ad la lexe'd rifleersti, Co es stiestud.
Ad la lexe'd zirkesti, Co es malnef.
Menasti, xace fal cirla