Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
クラディアは、暗闇の中にパイプ椅子に座らされていた。
ただ、縛っている紐などは無く
何も見えないが錆びた鉄の臭いが流れてきた。
カチャ、と音がすると大きめの電球が後ろの方から付いていった。
「起きたな。」
そこにはチャルズが居た。チャルズは私の方に向かってくる。
「おはよう、クラディアさん。」
そう問いかけた瞬間、チャルズの後方に立ちウェールフープライフルを持つ兵士たちが銃口をクラディアに向ける。ウェールフープライフルはFF-12Fの改良型か。ずいぶん古い銃を使うものだ。チャルズの目的は不明だがどうやら私から何か情報を割り出そうとしているらしい。
「そうはいきませんよ、チャルズ」
「チャルズ・・・ああ、そうか。」
そういって、目の前に居るチャルズは首に手を回して自らの皮を剥いだ。否、振り落ちた物体は精巧に作られた顔面マスクだった。と、すると…この人物は一体…?
「銃を降ろせ、可愛い子に嫌われる。」
どういう風の吹き回しだろうか。私は護衛任務中に誰かにここにつれてこさせられハタ人の依頼者に扮ていた男がユエスレオネ人だった。
「すまない、さすがに情報を全く与えずにやるのは無理難題だな、
私はサニス条約機構アフの事件対策本部、AMCDZEの本部長アレス・アセロアフィスだ。」
ETCAが関係している? よく分からないけれども公権力が関係しているようだ。
そういえば、この本部長とやら『あの事件』の名前を口に?
「我々は今まで君を確保する機会を探していた。そして、今回護衛を称して君をここまで連れてきた。」
「どういうことですか。」
クラディアは好奇心に動かされ反駁する。
「そう急かすな、君は私たちにとってのラ・ヴィェティストなんだからな。」
La vietist―回答―?
アセロアフィスはクラディアの横にこつこつと歩きながら話しを始めた。
「アフの子孫事件以降我等が、ETCA加盟四国の経済・治安・政治は悪化を続けあまりよろしくない状態になっている。このことも全てアフの子孫、八ヶ崎翔太のせいだ。」
いや、それは違う。悪いのは全てXelkenと結託した共産党上部だ。
「このために各国の情報機関は様々な方法で改善策を考えたが最終的には改善しなかった。このために我々、サニス条約機構はこれに対する対処策を考えた。」
「それが、私を利用して解決できるのですか?」
廃墟ガレージの隅に在る錆びた鉄の棒をWPで破壊するとアセロアフィスはクラディアの方を向いて答えた。
「ああ、できるとも。なんたって"事件をなかったことにするのだから"。」
まさか、こう来るとは思わなかった。現世界を救うために事件を無かったことにしておいてユエスレオネの汚職を無くす。
「君にはあの事件の時代に行ってもらい八ヶ崎らを救って欲しい。」
…急な話だ。
だが、逃げられも出来なさそうだ。