Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
基地内をくまなく探す。すると、広い広場に出てきた。その先に、「本部」と書かれた場所があった。ハフルテュはきっとあそこに居るはず。そう思って進もうとした所、衝撃音が身を揺らした。
「!?」
後援のシャスティたちが皆倒れている。生き残っているのは、私とイェクト、リファーリン、スカースナだけだ。
刹那四人の目の前に閃光と共に一人の男が現れた。リパラオネ人らしき白い肌に似合わないスカルタンにラネーメ人のような黒髪。フードを外したその姿は、
「ユーバリ……ハフルテュ……」
「やあ、連邦と王国の皆。良くここまで来れたね。翔太はどうしたんだい?」
「ハフルテュ……翔太は消えました。ここであなたを倒します。」
「そうか、逃げたか。まぁ、いい。」
ユーバリはフードを揺らして振り返り、「本部」へ歩いてゆくそれをイェクトとリファーリン、スカースナが追いかけようとした瞬間、彼等も倒れた。
「ふふ、大丈夫だ。最終決戦に向けて少し昔話がしたくてな。」
ハフルテュがにやけ顔で振り返って言った。
「話とは、なんでしょう。」
そういった瞬間、ユーバリが一瞬見えなくなったと思ったら、自分の真後ろに移動していた。ユーバリがクラディアの顔を覗き込む。
「アレス・シャルの真実だよ。」
「!?」
シャル……翔太の、私達の大切な仲間だった。そのシャルを何故、ハフルテュが知っている。あのあと、あの事件は混乱を避けるために秘匿されてきたはずなのに。翔太が教えたとして重要な真実など知らないはず……。
「教えてあげよう、アレス・シャルなんて人物に君はあってない。」
「は、い?」
あの人がシャルじゃない……?じゃあ、あの人は誰なの……?私と翔太が会ったあのシャルは一体誰だったの?
「アレス・ファルカスの娘、アレス・シャルは翔太と私の雇った人間が会う一ヶ月前に死んでいる。」
「それは嘘です。」
シャルは、死んでた?まさか、私達はシャルの怨霊でもが人間に見えたとでも言うのか。ハフルテュの眉が少し上がる。その表情は反応を楽しんでいるようであった。
「クラディアちゃんが会ったのは私が雇った人間だよ。シャルを装って翔太をxelkenと連邦にぶつけさせた。私はそうして、反戦派xelkenと連邦民を残しあとはxelkenを排除しようとたのさ。良い働きをしてくれたと思うよ。でも、そこに二つ誤算が生じたのさ。」
「……」
黙って聞くしかなかった。それが本当だろうと嘘だろうと心を揺らす者であるからだからだ。
「一つ、連邦の内部もxelkenも分離して治安が悪化した。予想以上に分離したあとの治安悪化が著しくなったのさ。」
確かにそうだ。私があの作戦に参加させられたのもそういうことだった。
「二つ、ファルカスのバカ親父がシャルを殺しちまったんだ。それのせいで翔太が暴走しかけた。そうだから俺は翔太を利用してxelkenを、連邦をこの世から消して綺麗な国を作り直そうとしたのさ。」
「……」
声が出てこない。つじつまが合ってしまった。今までの出会い、出来事がハフルテュに計算されたものだったとは思いたくなかった。それを否定できるだけの精神状態になかった。変な汗が出てくる。手足が振るえ息が荒くなる。
「一つ質問したい、あのあと翔太のお父さんはどうなった?」
翔太のお父さん……そういえば、xelkenに捕らわれてそのあと、行方を知らない。震える唇を制しながら小声で「知らない。」と言う。
「私達が拉致して殺した。Xelkenが拉致したというのはこちらが流した全くの嘘。でたらめだ。」
ハフルテュがクラディアの肩を持って顔を覗き込んで言う。
「あいつは、元々xelkenだったのさ。地球に来てアフの子孫をxelkenとして利用するために翔太の母と結婚して生まれたのが翔太さ。それで、」
「黙れええええ!」
氷塊がクラディアの回りを囲う。それらは一瞬にて菱形に整形されハフルテュを目掛け飛ぶ。聞きたくなかった。全てが制御されている。その状況を認めたくは無かった。折角得た人間性を破壊するその存在に全てをぶつけたかった。
しかし、惜しくもその氷塊たちは目の前で霧となって散った。
「うん、やる気満々のようだね。だけど、まだ準備が整ってないんだよね。」
「……」
震えで手が動かない。このままでは、殺される。
「……決戦はすぐ行おう。」
ハフルテュは消えた。それとともにクラディアは膝を折って眠るようにゆっくりと倒れた。