Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
走り上ってゆくと銃声が聞こえた。門にたどり着くとそこにはシャスティ数人とともにハフリスンターリブ兵が倒れていた。WPライフルとウドゥ・ミトの精鋭。同時決戦だったのであろう。門が閉まっている。スカースナとリファーリンが電撃で破壊する。中にシャスティが突入し安全を確保する。
「……」
シャスティに銃を向けられて立っているのは翔太だった。
「八ヶ崎……」
イェクトが言う。黒い衣服に身を包んだ翔太が武器をもたずに立っていた。その目はただ一点クラディアを見つめていた。
「久しぶりですね、翔太。」
「ああ、久しぶりだね。クラディア。」
感動の再開、というムードではないがすぐに私たちを殺そうという雰囲気でもなさそうだ。ともかく、自殺していなくて安心した。
「クラディア、僕は君たちを無傷で返すことができる。シャルを殺した諸悪の根源はxelkenだ。」
「しかし、翔太……私たちはあなたを止めに来たんです。さぁ。」
しかし、翔太はかぶりを振ってクラディアに近づく。それと共に、シャスティたちがWPライフルを斉射する。
「無駄だ。」
しかし、その銃弾が翔太にあたるまえに速度を急激に失って地面に落ちる。クラディアの耳元に顔を据えて囁く。
「夕張は止められない、xelkenは滅びる、夕張には誰も勝て無い。夕張の気に触れなければクラディア達は生き延びられる。」
「……」
翔太が顔を遠ざける。数歩クラディアから離れて言う。
「さあ、早く。」
翔太を止めたい、ハフルテュを止めたい。でも、翔太が勝てないと自覚するほどの相手に勝てるのか。怖い。恐怖という感情を強く憶える。でも……ここで翔太を止めなかったらどうなるだろう。もちろん無実のxelkenまで殺戮されるという究極の悪事が執行されるだろう。でも、それ以上に私はこのチャンスを逃したらもう翔太に会えなくなるのではないかという恐怖も大きくあった。
そうしたら、もう決まったも当然である。この世界を救いたい。笑顔の翔太の隣にいつも居たい。その願いを達成するために私はこの戦いに立ち向かう。
「翔太、やはりあなたを置いて行く事は出来ません。翔太、私はこの世界の人々もあなたも皆救いたいのです。翔太、私達が救えるのはあなただけです。」
「……」
翔太は黙ったままだ。そして、その瞬間に翔太の姿は消え去った。ただ、声がはっきり聞こえた。
「クラディア、僕は信じてたよ。君がそういってくれることを、夕張を倒すんだ。頼む。」
翔太がどこに行ったのかは分らない。でも、私がハフルテュを捕まえる。その約束を翔太と交わした気がした。シャスティとクラディア達はこのことに困惑しながらもハフルテュを倒すために深奥へと進んで行った。