Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
「やはり、そのようだね。」
イェクトが言う。
暗がりの会議室、地図を囲んでいるのはクラディアたちとスカルムレイであった。先程の爆破でシャスティ達を多く失ってしまった。出撃の予定を控えてのいきなりの事件であった。この爆発もハフルテュたちが仕掛けたWPミサイルだったらしい。
「さて、どうしますかね。」
スカルムレイが言う。打つ手を失ったわけではないが状況が厳しい。しかし、一つだけ分ったことがある。
スカースナが地図を指でなぞり20キロ先の山岳地帯を指す。
「敵がここからミサイルを発射したことを確認した。だから、とりあえずここに偵察を入れて、」
「その必要は無いよ。」
そう聞こえた瞬間、会議室の戸が開いた。その姿はリファーリンであった。
「早かったのですね。」
「いやぁ、少し寝てただけだよ。」
偵察の必要が無いとはどういうことだろうか。
リファーリンは地図を見て言った。
「この地図には見覚えがある。この山の地形とか、アルパの周辺もなんか地図に見覚えが在るなと思ったの。病院で考えてたら、あることに気付いて。」
「あること?」
イェクトが尋ねる。
「そう、私がハフルテュ様の元に居たときこの地図を見せてもらったわ。基地の構成も頭に入っている。」
「本当なのですか?」
スカルムレイが尋ねるとリファーリンが「もちろん。」と答えた。なんて収穫だろう。自分達の目の先に眩い光が差したようであった。
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シャスティ達が次々と武装車両に乗っていく。王国の街中を走る武装車両とその風景の違和感がその王国民の興味をそそったのか、路上を走る武装車両の列を人々が怪訝な目で眺めていた。
「どうするつもりなんだ、クラディア。」
イェクトが尋ねた。どうするつもりって、それは。
「作戦も、偵察もせず。リファーリンをまるっきり信用しているじゃないか。」
「彼女は、もうすでに私たちの……」
「まだだ、まだ完全には終わっていない。この戦いが終わるまで彼女は僕達の仲間か証明できないんだ。」
「……。」
完全回答、ごもっともの言文であった。リファーリンを完全に信用できるわけではまだ無いのだ。
少しすると山岳地帯に入った。舗装されていない道を走っているからか車両に強い振動が伝わってくるようになった。どがどがと道を登って行く。これからの戦闘をリファーリンから先程聞いた基地の情報と合わせて考えていた。そのときだった。
「一号車スピンして道から脱落しました!」
操縦士の声が聞こえたのは耳が正常に聞こえるようになってからだった。走っている途中、爆発音が聞こえ停車した所、先頭車両が転落してしまった。上部からの攻撃だったためシャスティたちを車両から武器を持たせて脱出させた。崖の壁際を走って上る。何回か爆発が起きたが死んだシャスティはこれ以上確認されなかった。とにかく走る。この上にハフルテュが居ると信じて。