Kranteerl y io kladi'a   作:xelkener

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24.懐疑心

「疲れたな~」

リファーリンが言った。

 

私達は宿を出発しハタ王国警察本部を目指し歩いていた。イェクトが地図を見ながらリファーリンのほうを向く。

「もう少しだよ、ほら、見えてきた。」

 

―Kyuresa fo naara

王国警察本部だ。ネステルに位置するその建物は伝統的な木造建築の門と外壁に囲まれた中央に一つのビルが建っている。クラディアが門に近づくと門番が進路を遮った。

 

"誰だ。"

"ユエスレオネ連邦政府・特別警察庁警護部レシェール・クラディアと申します。王国警察に本邦での捜査許可と協力を求めにここに来ました。"

"…んな…"

"え?"

門番が握りこぶしを作ってクラディアを殴ろうとするまでそれほど時間はかからなかった。しかし、クラディアがそれを見抜き避けたので拳は空を切った。

 

"いきなりなんですか、警察なのに…"

"そっちこそいきなりだ!特別警察といきなり言われて通せる奴がいるか!"

そうか、そりゃそうだけど。

"では、証明章を"

"うっせぇ!母国に帰れ、連邦人め!"

 

---

「追い返されてしまった…」

とぼとぼとネステル郊外を歩く五人、あのあと何を言っても通してもらえなかった。翔太の危険性も知っているはずなのに実情でも仕事でもなく何かの壁が私達とあの門番の間を隔てているようであった。

 

そこに屋台があった、屋台にはユーゴック語で"Saara gartsevedis"と書いてあった。リファーリンは空腹を訴えて五月蠅くなってきた事だし屋台に入ることにした。

 

「ザラーu、ぐぇ」

屋台ののれんをくぐったイェクトから変な声が聞こえた。

「ほれ、食え!」

店主の声らしき声が聞こえた。クラディアが慌ててのれんを上げるとイェクトの口に焼き鳥が突っ込まれていた。

「うまいだろう?」

「え、あ」

「よし、40ケテな」

…あまり良くない人だったらしい。まぁ、いい。店主を呼び焼き鳥を人数分頼む。何故か、店主が「酒はいらんのか?」とか言っていたが空気を読んだのか黙ってしまった。ここらへんの人間はこういう人が多いのだろうか。焼き鳥を丁寧に一つづつ串から抜いて食べながら、何か記憶に引っかかっているとクラディアは思っていた。

 

「これから、どうしますか」

スカースナが問う。

「…警察本部に追い出された形だから。公安にも目を付けられているからね。」

イェクトがいう。

リファーリンがきょろきょろを周りを見渡す。

「んにょんにょ~はったはたおうこく~」

そういって机に突っ伏す。リファーリンがおかしいのは今に始まったことじゃないが今回は何かおかしい。

「あぁ、勝手に注文しちゃって。」

イェクトがタンブラーを持ち上げる。…アルコール臭が。

「ええと、まぁ、どうしましょうか…」

クラディアが困惑した声で言う。すると、店主が顔を上げていった。

「話は聞かせてもらったよ。君たち、ネステル・アルパに行ってみたらどうだ。」

ネステル・アルパ…?

「すみません、ネステル・アルパとはなんですか?」

「ネステル・アルパにはスカルムレイ陛下が住んでいる。そこにいる陛下に懇願すれば、聞いてもらえるんじゃない?」

…確かにこれからの案も少ない。この国の最高権力の塊であるスカルムレイに頼めれば…しかし、

 

「そんな簡単にスカルムレイに近づけるのぉ?」

 

酔いつぶれリファーリンがか細い声でクラディアの心を代弁する。そうだ、そんな簡単に近づけたら最高権力の塊がどこぞのピスティルナルにつれてかれるだろう。しかし、店主は少し笑って言った。

「大丈夫だ、なんたって特別警察だろう?」

 

その声を聞いた直後、胸の特別警察章が少し輝きを取り戻した気がした。


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