Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
クラディアとイェクト、スカースナの三人はハタ王国へ向かうため南フェーユWDへバスで移動していた。WD、ウェールフープ・ドイエイはユエスレオネ連邦ウェールフープ交通法によって定められている認可ウェールフープ航行を行う場所である。空港のウェールフープ版と考えてもいいだろう。私達連邦勢力は北のユエスレオネを翔太勢力に占領されており残ったWDは南アルWD、南クワクWD、そしてここ南フェーユWDだけである。
「着いたね。」
リファーリンが窓の外を眺めて言う。バスの中に連邦国家のメロディーの後に自動音声が流れる。
『南フェーユWD, 南フェーユWDです。』
もう、夜になってしまった。クラディア達はバスから降りる。何時もならこんな時間でも騒がしいWDも今は物静かだ。内戦時なので自由に旅行が出来ないので人が居ないのであろう。私達は連邦政府の許可をとってハタ王国に行くのだ。出国ゲートから入出国審査場に入る。クラディア達は許可を貰っているので書類を審査官に見せるだけで通れる。
「…パスポートをお願いします。」
やつれた審査官が言う。クラディア含む三人のパスポートに『連邦出国』のスタンプが押される。そのまま三人はゲートに向かう。私達が乗るのは連邦国際交通A12便連邦特別便だ。機体の中に乗る。中には、他の人間も数人居た。談笑している者、一人で書類を読み込んでいる者、中には下を向いたままびくともしない人間も居た。
機内でポーンと音がなる。
「皆様、まもなく出発いたします。航行時間は15分を予定しています。航行中は保安上の理由でシートベルトサインの消灯時でもシートベルトをお付けいただくようになっております。それでは少々のお時間ですがどうぞ、ごゆっくりおくつろぎください。」
同じ内容がユーゴック語で復唱される。後に三回ほどシートベルトサインが付けられたり消えたりした。離陸の合図だ。
「皆様、まもなく離陸いたします。お手数ですが、もう一度シートベルトをお確かめください。」
そう聞こえた数秒後、急激に後ろから押される感触を受け機体は空へ浮かび上がった。後に、窓から見える景色は黒くなる。WPで移動しているのだ。こうなると、機体は安定する。シートベルトサインも消えリファーリンがアテンダントを呼び出してオレンジジュースを頼んでいた。
「クラディア、現地でどうするのかな。」
「分かりません、ですがとりあえず現地当局に協力を得たいと思っています。」
「と言うと、何処へ?」
「現地警察、軍本部へ行きます。そこで事情を説明し作戦を組みます。」
ポーンと音がなりアテンダントの声が聞こえる。
「皆様、まもなくハタ王国スケニウ国際WDに到着いたします。時刻は夜の11時50分、現地の天候は雨とのことですが30分以内に天候が回復するとの予報です。暫くすると入国書類をアテンダントがお配りしますので記入して入国審査でご利用ください。」
アテンダントが出てきて入国書類をわたす。記入し鞄に入れると機体が着陸態勢に入ったとのアナウンスが聞こえた。