Kranteerl y io kladi'a 作:xelkener
クラディアとリーサはある部屋の前に待機していた。ヴァレスとカーナも無事に所定の位置についている。この基地の最後部の小室。クラディアはその中の会話を聞いていた。
「おいおい、どうしたんだ、翔太。最前線基地を潰しあがって。手駒であることを知らない馬鹿なハフリスンターリブらは泣いてるぞ。」
笑いながら一人の人物が言った。男の声だ。
「ふざけるな。聞かせてもらおう。どうして、俺に協力する、夕張。」
ユーバリ、そう聞こえた。やはり、翔太に協力しているのは夕張であったか。
「何を、友人である翔太の志に共感して協力しているんだよ。」
「とぼけるな。」
翔太が抑えた声で言う。
「貴様、俺を利用しようとしているな。」
「はっ、何を馬鹿なことを。」
「正直に答えろ。Xelkenの滅亡は確かに俺が言ったことだ。しかし、それにハタ王国を巻き込ませる理由が分からん。」
「…いずれ、分かるさ。小さいヒントを授けよう、レタジャハルだ。」
「何を、言っているんだ。」
「済まないな、時間がたてば分かるさ。さて、もうそろそろリファーリンちゃんが帰ってくる頃合か。」
「待て、話を聞け!」
口調が強まり机を叩く音が聞こえる。
「私は一足先にあの国に戻っているよ。」
「待て!夕張!!」
その声と同時にまた一人の気配が感じられた。
「ヤツガザキ様、ハフールテュ様、リファーリンです。」
「あ~あ、可愛い娘が来ちゃったから国に帰れないよ~。」
足音が聞こえる。リファーリンに近づいているようだ。
「リファーリン、部外者の報告を受けたがどうなっている。」
翔太が言う。
「それが、ハフリスンターリブらが皆取り逃がしてしまい…」
「それはそうだろう、奴らはケートニアーではない。お前は奴等のうちの一人にあったようだが。」
「そ…それが…」
「取り逃がしたんだね。」
「…」
沈黙を肯定と受け取ったか。ユーバリが歩き出す。そして、その瞬間に平手打ちの音が聞こえた。
「っぐ…」
「糞ガキ、我等の軍勢に入れ錬度を上げてやった恩を既に忘れたか。」
「ハフルテュ様…そんなことは…」
「何回も生き返らせてやったのに皇族令嬢の一人倒せないとは不覚だったな。無の世界でも一生俺に詫びてろ。」
「…様、ま、まさか、そんな、ま、まだ私は…」
一人が早足で歩く。
「夕張、殺す必要は無い。こいつはまだ使える。」
「だめだ。こいつは情にまみれ過ぎだ。殺す。」
「くっ、勝手にしろ。」
そういって、一人気配が消えた。
「ハ…ハフルテュ様、わ、わ、私は、まだ戦えます、、あなたの元で、た、た、戦えます。ど、どうか、私を、殺さないで、あ、貴方だけが、こ、心のたy」
「黙れ、そんな甘い言葉は聞き飽きた。貴様が情に塗れた弱者など前から分かっていた。その上で使って貰えた事だけでも喜べと思え。」
WP拳銃を取り出す音がする。
「さようなら、リファーリン、次会う時は無の世界だ。」
「は、はhh、ハフルt、ss、さmあああああ」
銃声が聞こえるが声は止まらない。もはや、言葉になっていない。もう片方の夕張はその様子を見ながら笑っているようだ。敵が一人死ぬということはこちらにとっては優勢ではある。だが、こんな殺され方は見たくもないし聞いているだけの方が惨い。と、その瞬間無線が聞こえた。
「カーナ、突入します。」
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「ハ…ハフルテュ様、わ、わ、私は、まだ戦えます、、あなたの元で、た、た、戦えます。ど、どうか、私を、殺さないで、あ、貴方だけが、こ、心のたy」
「黙れ、そんな甘い言葉は聞き飽きた。貴様が情に塗れた弱者など前から分かっていた。その上で使って貰えた事だけでも喜べと思え。」
WP拳銃を取り出す音がする。リファーリンが殺されてしまう。彼女は連邦の敵だ。でも、私の敵ではない。彼女はたった一人、私を見ていてくれた。それとともに私も彼女を見続けていた。そんな、私の人生の重要人物が今殺されてしまう。
「さようなら、リファーリン、次会う時は無の世界だ。」
「は、はhh、ハフルt、ss、さmあああああ」
銃声が聞こえる、声もまだ聞こえている。もう、耐え切れない。カーナはそう思った。私の『友人』を傷つけた。ユーバリ=ハフルテュ、貴様は許さない。
無線のスイッチを入れて言う。
「カーナ、突入します。」
目の前にあるドアをWPライフルで破壊する。ヴァレスが制止したがそんなもの気に留めない。
「ファ…ファフス・ファリーア…」
リファーリンが言う。腰の辺りから血が出ている。古代WP学においてウェールフープの力は腰周りに溜まるといった。まさにその通りで現代WP学でも造モーニ体が腰周りにあるとされている。ケートニアーは大体は回復能力を持っている。通常の戦闘でも破壊された身体は修復される。しかし、このように造モーニ体を攻撃されると回復の速度が遅くなる。
「ユーバリ=ハフルテュ、貴方を殺人未遂及び幇助で逮捕しますわ。」
「特殊部隊かな。」
ハフルテュが言う。ハフルテュはユエスレオネには不似合いのスカルタンを着ていた。
「特別警察です。」
カーナが答える。
「そう簡単に君みたいな可愛い娘には逮捕されないよ。」
そういって、ハフルテュがカーナに手を翳す。それをも越える速度カーナがWPライフルでハフルテュの頭を打ち抜いた。喀血しながらハフルテュはその場に倒れこんだ。カーナがWPライフルを捨てリファーリンの元へ走る。
「リファーリン、大丈夫ですの?」
「……ファフス・ファリーア、何故私を救った。」
「それは、」
リファーリンが立ち上がる。
「私は貴様の敵のはずだ。その敵である私を敵であるお前は救ったんだ。」
「それは、貴方がただ一人の友達だったから」
リファーリンの目が開く。
「貴方がただ一人私を理解していたからでしたのよ。」
リファーリンがカーナを見る。
「何を、今更。」
「今からでもやり直せる。さあ、行こう、リファーリン」
手を差し出すカーナ、その手の上に自然にリファーリンの手が乗った。
「わ、私だって頑張っちゃうからね!」
リファーリンの口調がまたおかしくなったのは照れ隠しだろう。クラディア達を呼び出そうと無線のスイッチを入れた瞬間、肩が手で叩かれた。振り返ると、そこにはハフルテュが居た。
「あ~、感動シーンの所済まないけど殴らせてね~」
瞬間、何か凄い衝撃を受け壁に打ち付けられた。ハフルテュが歩いてくる、しまったさっき倒したのは残像だったか。
「あれ位で逮捕されないって言ったよね。って、お~い、大丈夫~?聞いてる~?」
ユーバリはカーナの頬をぺちぺちと軽く叩く。
「まぁ、いいや、計画の確実性も増すからお前等は殺しておかない。」
ユーバリが後ろを向いて言う。
「後ろに居るお前等も覚えていろWP銃の使い手である我に勝てる者は居ない。向かってくる者は殺すだけだ。」
そういって、ハフルテュの気配は消えた。と共にカーナの意識も混濁し始め闇の中に入った。