Kranteerl y io kladi'a   作:xelkener

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11.軍隊の記憶

クラディアらは、研究所のガレージに来ていた。ティーオヴが指し示した方向に武器が数個置いてある。

 

「では、これらの武器の整備を宜しくお願いします。整備は皆さん、特別警察なんで分かりますよね。アハハハハハハ」

特別警察演習では武器整備も良く行われた。古代では、ケートニアー単体でもウェールフープを行うことは可能ではあるが、人間としての特性や外因、精神的な影響を受けて不正な動作やプレス現象が起こったりした。このために薬品やウェールフープを安定化する器具の開発を旧国戦争時代に各国の研究機関が挑んだが最初に安定化に成功させたのはウェールフープ学の祖、シェルケン・スカーナが開発に成功した。その技術を元に連邦などが改良したものがウェールフープ安全装置、そのほか連邦はウェールフープに関する器具、兵器を開発しておりWPライフルなどは有名でハタ王国にもともとあった銃を改良してケートニアーを殺せるようにしたものだ。特別警察は潜入先の武器を使えるようどんな状況でも整備できるよう訓練されている。

ガレージの外側の空に第二のファイクレオネが光っている。

「うぇぁ…これは…酷いねぁ…」

独特の訛り、クラディアの後ろでWPライフルを持って作業している背の低い特別警察の若い男性がそう嘆いていた。

「フェンテルヴェンスがきちんと使われてないねぁ…えぁ…これぁ何年放置したんだらぁ…」

クラディアが男性に近づく。

「フェンテルヴェンスが必要ですか?」

フェンテルヴェンスとはWPによる大体の侵食や破壊に対する耐性を付けるための油でWP交換による侵食・破壊に耐性を持たせる。装甲に直接塗ったり、二重の装甲の間に流したりして使う。

「えぁ、あい…あなたは…特別警察のぁ…誰だったっけぁ。」

男性が尋ねた。

「私は連邦特別警察警護部のレシェール・クラディアです。」

「えぃぁ…14班員、連邦特別警察研究所のヴァレス・ゲーンでぁす。」

クラディアは近くにあったフェンテルヴェンスをヴァレスの机に移動させた。

「あ~、自己紹介ですか?では、私も自己紹介させていただきすわ。」

ヴァレスの席の横の少女が言った。特別警察の制服の袖に何故かフリルが付いている。リファーリンっぽい人間だ。

「私は14班に所属している特別警察研究所のファフス・ファフス・ファリーア・カーナ・フォン・ファッファルカンですわ。」

「宜しくお願いします。」

会釈する。ファフス・ファリーアというとファフス一族であろう。何故、そんなお嬢様がこんな所まで。

「そういえば、ファフスさんはファフス家なんだよねぁ、何で特別警察に居るんのぁ?」

ヴァレスが尋ねた。

「…私は…あそこから…あの家から離れたかった…それだけですわ。」

神妙な面持ちでヴァレスがファフスを見つめていたが静寂が続くと「ちょっとぁ、トイレ行ってくりゃぁ」とばつが悪そうに出て行った。そう言えば、特別警察研究所は国家公安警察研究所と繋がっているんだった。何か、イェクトの情報が得られれるかもしれない。

「ファフス・ファリーアさん、話は変わるのですが今回同行しているイェクト・ヴィェーナのことについてですが。」

ファフス・ファリーアはクラディアの言葉を聴くとクラディアを睨み付けて手招きをしていった。

「レシェールさん、何故かは分かりませんがイェクト・ヴィェーナを知っているんですの?」

それは当然だろう。今回の作戦で同班であるし。

ファフス・ファリーアはクラディアに近づき言う。

「もし、死にたくないのであれば彼の事を詮索するのはやめたほうがいいと思いますわ。」

冷酷に告げる。

「どういうことですか。」

「彼について調べ、詮索した人間は皆殺されましたわ。それについて、連邦警察部は全体的に隠蔽しようとしましたわ。しかし、イェクトが殺したものではなく。」

どういうことだろうか。

イェクトについて調べると何か支障があるのか。

「分かりました、それでは。」

そう告げ、クラディアはファフス・ファリーアから去って行った。

 

--

夜、明日からの進撃に備え全員研究所の個室を借りて寝ていた。

クラディアは、謎が深まりすぎて眠れずに居た。

イェクトは一体何者なのか、ハフルテュの正体は、イェクトを調べた人物は何故殺されたのか、翔太を支援している組織とは、

 

挙げればきりが無いだろう。

ただ、明日からの進撃がその謎の解明のための鍵となることは違いないだろう。

ふと、窓の外を見ると研究所の周りを車が通っていた。今日保護された少女のように逃げてきた人々をかくまう町は違う場所に立っているらしい。車の発進を確認してからクラディアが目を瞑ろうとした瞬間、研究所が揺れた。

 

「敵襲、敵襲、全研究員は所定の装備で位置に付け、繰り返す…」

サイレンと放送が繰り返された後クラディアの部屋のドアが急に開いた。そこに居たのはアレスだった。

「敵襲よ。先に皆を連れて避難町に逃げなさい。」

避難町へ逃げる?先程の爆発のレベルで?

「いえ、戦います。」

アレスが目を開いて「は?」と言う。

「反撃の始まりです。」

 


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