Kranteerl y io kladi'a   作:xelkener

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11/6
今日も寒い。
彼を助けるために私も行こう。

11/7
また失敗した。
イェクトの言うことは本当なのだろうか?

11/8
また失敗だ。
これでは埒が明かないだろう。


愚かな作戦
1.始動


私の名前は、レシェール・クラディア。

ユエスレオネ連邦特別警察警備部所属。

 

私も数年前の連邦の陰謀をひっくり返した事件『アフの子孫事件』の禍根の影響を受け続けている人間の一人。アフの子孫事件…あのただの少年であった八ヶ崎翔太が仲間と共に…いや、極端に言うと一人で連邦とXelkenの陰謀を阻止した事件だ。

 

まぁ、これだけならまだしもこの話には続きがある。八ヶ崎翔太は最後のXelken総統との戦闘で大切な仲間―否、恋人かもしれない―を失った。

 

そして、戦闘全てが終わったXelkenの平和式典で平和を語ったXelken新総統を殺そうとして私の同僚、ラヴュールに殺された。そうして、気を負ったラヴュールも自らその命を絶った。

 

--

純白のシャツを着る。

上着をその上に羽織った。

上着には特別警察の紋章の上に略称であるFFが書かれた特別警察章が新入生だった頃の輝きを無くし燻し銀になり光を鈍らせていた。

 

今日も顔色を変えずいつも通り特別警察に出勤する。私は翔太に出会うまでシュカージュの事の影響で感情というものが理解できなかった。でも、彼と出会えた事で私は気分の高揚、怒り、楽しみ、苦しみの共有と今まで出会えなかった感情というものを理解できた。だが、

 

今では、彼はもう居ない。そこには彼が死んだ―殺された―事実しかない。

特別警察の自動ドアを通り受付に身分証を見せる。

 

受付の男性が気だるそうに首を振って「さっさと行け」と指す。

私は三階の警備部の合同会議室に足早に階段を上っていくのであった。

今日もいつもの惰性の毎日が繰り返されると思っていた。

 

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"Als, Fqa daliu lot es la sesnud hata'd klieer zu dza'khalta.chalza'i y io fery=andelfhi'an."

(諸君、今回も護衛任務だ。ハタ王国の来訪者であるジャッハルタ=チャルズをフェーユ・アンデルフィアンで護衛してもらう。)

ハタ人の名前をユエスレオネ人らしく間違えながな主任は手に持った紙切れを読み上げる。

アンデルフィアンでの外国人護衛は特別警察の一任務だ。ユエスレオネ連邦に来る外国人、そのために準備されたアンデルフィアン―外国人居留地の事で社会票を持たない人間の観光地―の安全を守ることは、ユエスレオネの観光業として重要な案件である。このためにこれらの任務はケートニアーの多い特別警察に任される。

 

"Mal, Liaxi fqa'd la jescesta'i lkurf. Lexerl.kladi'a sesnud y io mele chalz"

(それでは、今回の担当を呼び上げる。レシェール・クラディア、側近で警護を担当する。)

"Jad."

(はい。)

銀髪の少女が答える。

その後も次々と呼ばれる。

ターフ・イヴァネ、近辺警護を担当。

スカースナ・エリ・シュカージュ、遠地での監視担当。

アレス・リーサ・ツィセドーラフィア、同じく遠地での監視担当。

"Ternejafna jalfkark'i vydyl ler plax."

(それでは、明日からの任務に備えておいてくれ)

四人は解散し方々へ散っていった。

私も帰ろうとしていたところ主任に呼び止められた。

"Kladi'asti, letix fqa'i."

(クラディア、これを。)

手渡されたのは封筒であった。

"Liaxu fqa'l en sneest kyluseser'dy. Akranti liaxu."

(依頼者からの手紙だ。読んでおけ。)

そういって、主任は部屋を出て行った。


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