ソードアート・ストラトス   作:剣舞士

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久しぶりの更新。

文章とかが変になってないか、心配です。


第6話 白の絶刀技

第二試合。一夏 VS セシリアの試合が始まろうとしていた。

先ほどのキリトの人外スキル。飛んでくるレーザーを斬ると言う驚愕の光景を目にしたセシリア。すでにシールドエネルギーの充填は終わり、アリーナの上空で待機している。

さっきと違い、その目に油断や情けと言ったものは感じられない。

そして、それを迎える一夏は、SAO時代の愛刀、雪華楼を腰にさし、ゆっくりアリーナ上空へと向かう。

 

 

 

「よお、機体は大丈夫なのか?」

 

「あなたに心配されなくても、準備は整っていましてよ。ですから、この試合は……わたくしがなんとしても勝たせていただきますわ!!!!」

 

 

 

一夏に向けて、ただならぬ敵意を剥き出しにするセシリア。

一夏は和人と同じゲームで二年間の時間を費やしてしまった人物。しかし、そのゲーマーである和人にセシリアは敗れた。

なので油断は出来ない。代表候補としての、IS乗りとしての勘がそう告げていた。

 

 

 

(この男も近接格闘型の機体ですか……。さっきの試合は油断していましたが、今度は最初から本気ですわ。開始直後に先制、そして、ビットでの包囲、集中砲火……完璧ですわ!)

 

 

 

この試合のビションを既に描き、自分の勝利のイメージが完成しているセシリア。揺るぎない自信と確信が、カタパルトデッキで観戦していた刀奈たちにも伝わってきた。

 

 

 

 

「一夏は、大丈夫でしょうか?」

 

「うーん、心配ないんじゃない?」

 

 

 

心配そうに空中ディスプレイを眺める箒の言葉に、刀奈は軽く答える。刀奈だけでなく、和人も明日奈も、特に心配している様子はなかった。

 

 

 

「しかし、桐ヶ谷がすごいのもわかったし、一夏がそれと同等の力を振るえる事もわかりましたが、向こうだって何か対策を練っているでしょう……。

確かに、一夏や桐ヶ谷が使うソードスキル・システムは驚異的ではありますが……」

 

「スキルの使用後、一定時間の硬直がある事?」

 

「えっ?」

 

 

 

刀奈の言葉に箒が驚く。自分の答えを見透かされていた様だ。

そう、箒も気づいたように、一夏たちの機体はナーヴギアに内蔵されていたローカルメモリーを搭載した事によって、SAO時代のステータスやスキル熟練度などが事細かに再現されている。

それ故に、片手剣スキルやレイピアスキル、槍スキルも忠実に再現できているのだが、それは同時にSAOの時と同様、スキル硬直がある。

どんなソードスキルにでも、この硬直はついており、それはアスナのレイピアスキルはもちろん、キリトの二刀流スキル、チナツの抜刀術スキルも、カタナの二槍流スキルも例外なく存在する。

この場にいた箒もなんとなくだが、ソードスキルを使ったあとの和人の動きが少し止まった様に見えたので、もしかしたらと思ったのだが、それをあの試合中に真近で見ていたセシリアが見逃すはずが無い。

 

 

 

「わかっているなら、なおさら一夏の不利では?」

 

「大丈夫よ。まぁ、試合を見ているとわかると思うけど、動けなくなった所を狙われる心配はないわ……」

 

「そ、それはどういうーーー」

 

「あっ! カタナちゃん、箒ちゃん! 始まるよ」

 

 

 

すっかり話し込んでいた箒と刀奈だったが、明日奈の声に反応し、再び空中ディスプレイに映し出された一夏とセシリアを見る。

両者共に構えを取り、臨戦態勢に入っていた。

 

 

 

 

 

〜アリーナ上空〜

 

 

 

(勝ちますわ。絶対に、完膚無きまでに! そうでないと、わたくしは……ッ)

 

「………………」

 

 

 

カウントダウンが始まり、互いの集中力が高まる。スターライトの銃口を真っ直ぐ一夏に向けるセシリア。純白の鞘を左手で握り、鯉口を切る一夏。

スナイパーとサムライの勝負が今始まろうとしていた。

 

 

 

5……4……3……

 

 

 

スターライトの安全装置を解除し、狙いを定め、一方は右手を純白の柄のところへと持っていき、静かに狙いを定める。

 

 

 

2……1……Battel Start!!!!

 

 

 

「もらいましてよ!!」

 

 

 

開始直後の先制。完全に意表を突いた形だった……が、セシリアの視線の先に一夏の姿はなかった。

 

 

 

「へっ?」

 

「銃口を初めから向けてたら、どこを狙うのかバレバレだぜッ!!!」

 

「ッ!?」

 

 

 

姿の消えた一夏を探すべく、あたりを見回していたら、突然自分の目の前に姿を現した白い機体。低い姿勢から、こちらを射貫くような視線が、しっかりとセシリアを捉えていた。

 

 

 

「い、いつの間にーーー」

 

「はああッ!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

抜刀一閃。鞘から放たれた剣閃は、横一文字にセシリアの胴を斬った。完全に意表を突かれたのは、セシリア自身であった。

 

 

 

「くうッ!」

 

「まだまだッ!」

 

 

後退する為に、地上へと降下していくセシリアを追う一夏。その刀、雪華楼が真紅のライトエフェクトを纏い、追撃する。

 

 

「龍槌ーー」

 

「インターセプター!!!!」

 

 

 

先ほどの和人との試合で、もうソードスキルを見ているセシリア。今度は最初からインターセプターを展開し、一夏を迎え撃つが、元々近接格闘が苦手なセシリアだ。インターセプターで一夏の攻撃を防ごうとするも、多少のダメージを受けてしまう。

 

 

(くっ!! なんて重い攻撃ですの!? ………ですが、これは好機ですわ!)

 

 

スキルの使用後、その使用者は一定時間の硬直が起こる…これがソードスキルの弱点だ。それは先ほどの試合をしていたセシリア自身も理解している。だからこそ、この瞬間は、絶好のカウンターチャンスなのだ。

それに合わせるかのように、雪華楼から紅いライトエフェクトが消え、元の純白の刀身に戻る。

 

 

「ふふっ、かかりましたわね……終わりですわ!!!!」

 

 

 

隙が出来た一夏にセシリアの銃口が向く。絶対絶命の光景に誰もが焦ったが、その例に入らない生徒が三人。カタパルトデッキで試合の様子を見ていた和人と明日奈と刀奈だった。

そして、それを裏付けるかのように、純白の刀身に再び緑色のライトエフェクトが灯された。

 

 

 

「へっ?」

 

「ーー翔閃!!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

 

下段からの切り上げ。切り上げと同時に、切先に当てられた拳の打撃も加わり、更にダメージを与える。

 

 

 

 

〜カタパルトデッキ〜

 

 

 

「いまの……硬直がありました……?」

 

 

箒は唖然としていた。それもそうだ、完全に隙を作ったと思ったからだ。だが、一夏の剣戟は留まらず、セシリアを下段から切り上げた。

そんな箒に刀奈が答える。

 

 

「ええ、確かに硬直は存在するわよ? でも、その時間が “極端に短い”のよ……チナツの抜刀術は……」

 

「 “極端に短い” ですか……?」

 

「そう、SAOではどんなソードスキルも硬直は存在するって言ったでしょう? それはチナツの抜刀術スキルも例外なくとも言った……でも、抜刀術……と言うより、あのドラグーンアーツだけは、硬直の時間がほとんどないも等しいのよ」

 

「そ、そんな事があっていいんですか?! それではフェアではないでしょう?」

 

 

 

箒の言うとおり、確かにそれではフェアとは言えない。あのゲームを作った茅場 晶彦がどういう人物だったのか、箒は知らないが、それでも、以前少しだけ一夏たちの話を聞いていた限りでは、そんなハンデをつける様なやり方をする様な人には思えなかった。

では、何故その様なスキル、その様な剣技を作ったのか……。

 

 

「まぁ、確かにあの剣技は驚異的なものよね……ほとんど硬直がないし、それによる反撃も受けないでしょうけど、それでも短所はあるのよ?」

 

「短所?」

 

「うん。確かに続けざまに剣技を放つ事は出来ても、それをいかに効率よく、相手の隙を突いて放てなければ意味がないし、そもそもドラグーンアーツの与えるダメージ量は通常のスキルのダメージ量よりも少ないの」

 

「ダメージ量が少ない?」

 

 

 

そう、ドラグーンアーツの特徴は、タイムラグがほとんどない事に対し、ダメージ量が通常のスキルよりも多少少ないのだ。一撃で沈めれる敵を二撃、三撃で倒さなくてはならないのだ。そして、どんなに攻撃を続けられてもモンスターや相手プレイヤーの反撃を喰らっては、剣撃を繋げる事は出来ない。故に相手を倒せない事に繋がってしまう。

 

 

 

「では、一夏は……」

 

「そう、元々チナツの戦い方は、キリトのような一撃一撃が重い重攻撃型じゃなく、敏捷力を活かした高速剣撃型なの……。そして、あのアーツを使いこなすには、判断力の速さや敵の動きを読む速さ、身のこなし、敏捷力……それらがうまい具合に噛み合わないと出来ないと思うわ……」

 

「……ぁ……」

 

 

 

刀奈の説明に自然と惚けてしまう箒。自分の知らないところで、一夏の剣術はそこまで進化していたのだ……。どこと無く置いてけぼりを食らった気分だ。たかがゲーム。だが、その剣技は一言で言うなら、純粋に美しいと思えた。

 

 

 

 

 

〜アリーナ〜

 

 

 

(そんなッ! 隙がない上にこの攻撃の速さをどう凌げばいいと言うんですの!?)

 

 

 

セシリアの頭はパニック状態だった。それもそうだ、唯一自分の勝機だと思っていたものを覆されたのだ、パニックになるのも当然だろう。だがそれでも、態勢を立て直し、反撃に移る。ライフルの単発攻撃がダメなら、ビットの多方向攻撃で包囲し、進路と退路を塞いでしまえばいい。

 

 

 

「これで……落ちなさいッ!!!」

 

 

 

四基のビットが射出され、一夏を包囲していく。一夏もそれをなんとか躱すが、それでも苦戦を強いられている。

 

 

 

「チィッ、キリトさんはこれを凌いだのかよ!? 厄介だな……。ならばッ!」

 

 

 

一夏は何を思ったのか、雪華楼を鞘に納めると、低い姿勢で構える。そして……

 

 

 

「せいやァッ!!!」

 

 

 

鞘から放たれた雪華楼……の斬撃が、一夏の目の前を飛んでいた二基のビットを斬り裂き、爆散させた。

 

 

 

「はあぁッ!!?」

 

 

 

あまりの出来事に、セシリアも素っ頓狂な声をあげてしまった。雪華楼で直接斬るならわかる。普通出来ないが、斬るならわかる……だが、今のは少し離れたところから、抜刀した……つまり斬撃を飛ばしてビットを落としたのだ。

 

 

 

「ふぅー。なんとかうまくいったな……。まさか、ISでもこいつが出来るとは思わなかったよ」

 

「な、なな…なんなんですの!? 貴方方は!!」

 

「何がだよ? なんでそんなに驚いてんだ?」

 

「はあぁッ!? なんで驚いてるか? そんなの、ソニックウェーブを起こした事に決まってるでしょうッ!? 貴方方は本当に人間ですの?! あり得ませんわッ!!」

 

「失礼だな……あんなの誰でも出来るだろ?」

 

「出来ませんわよ!!」

 

「出来るって! 気合いでなんとか!」

 

 

 

最早声も出なかった。そんな事を言う人間が本当に居たとは……。もう何も言いたくないと本気で思ったセシリアであった。

 

 

 

 

〜カタパルトデッキ〜

 

 

 

「……なんだ…この光景……さっきと全く同じなんだが……?」

 

「「……うん……そうだね……」」

 

 

箒も半ば唖然としていた。桐ヶ谷もそうだが、まさか一夏まであんな人外スキルを持っていようとは……露ほどにも思っていなかったからだ。

それを再び苦笑いで答える明日奈と刀奈。和人は横で「ん?」っと首を捻っている。

 

 

「大体、あんなのを本当にゲームの中でもやっていたんですか?」

 

「あぁ、それは俺が保障するぜ」

 

 

そう言って、近づいてくる和人。まず保障されても困るのだが……。

 

 

「前に一度、植物型モンスターが出現するトラップに引っかかっちまってな……。見た目は樹木の化け物だったんだが、そいつが厄介でな……」

 

 

淡々と話す和人。それは今から一年と少し前、まだSAOがデスゲームとして公式サービスを始めて間もない頃、二人でパーティーを組んでいたチナツとキリトはキリトの案内や知識を活かし、どんどんレベルを上げて行った。

そんな中、運悪くトラップに引っかかってしまったのだ。

 

 

「それからどうしたの?」

 

「あんたたちが厄介って言うぐらいだし……」

 

 

実際に、今ここにいるのだから二人は無事、そのトラップを掻い潜ったのだろうが、それでも心配になった明日奈と刀奈が聞いてくる。

 

 

「あぁ、そいつがな、自分の分裂体を作り出すやつでな……本体を倒さないと子分たちがわらわら出てくるって感じで……俺とチナツもそれに苦戦してたんだ…」

 

「うわぁ〜……確かに厳しいね」

 

「じゃあ、もしかして……それを打破したのって……」

 

「あぁ、チナツだ。あいつがいきなり「ちょっとやってみます!」って言ってな、鞘に納めた刀を抜いて、斬撃を飛ばしたんだよ。そのままその斬撃が、奥の本体を斬り倒して、それからは二人で分裂体を倒していったんだ……いや〜あれは俺にも出来ないわ」

 

「「「……………………」」」

 

 

和人の話を聞いても納得いかない。三人はしばらく黙ったままだった。

そして、その話題は管制室で見ていた千冬と山田先生も……。

 

 

 

「お、織斑君……本当に人間ですか?」

 

「私の弟ですよ? あれくらいは出来るでしょう?」

 

「いや、あの……普通は出来ないんですよ? 織斑先生……」

 

「しかし、あいつもこの技を使えていたとはな……。一度、そのSAOの時のあいつと一戦交えてみたいものだな……ッ!」

 

「えっ?! お、織斑先生も…アレ、出来るんですか?」

 

「ん? 第一回モンド・グロッソの時の決勝で戦った相手にな……あいつは結城と同じイタリアのテンペスタに乗っていてなぁ……すばしっこかったから面倒になってな。ついやってしまった」

 

「はあー……。もういいです……。本当、織斑先生って織斑君にそっくりですね……」

 

弟が弟なら、姉も姉か……。そう言いたそうに溜息をつく山田先生だった。

 

 

 

 

 

(くっ‼ このままでは……)

 

 

 

近接格闘武装しかない白式にあれほどの裏技があって、セシリアも内心穏やかではない。

一人はレーザーを斬り、一人はソニックウェーブを起こし、ビットを斬った……とても “普通の男性” と呼ぶには相応しくない。これが、ゲームで得た技量……ゲームで得た戦い方なのだ……。

だが、そんなの認めたくない……認められない。自分と違い、二年も費やし人生を無駄にしたこの二人……いや、四人には、絶対に負けたくない……セシリアの心にあったのは絶対に譲れないプライドだった。

 

 

 

「認めませんわッ! 絶対に! ゲームの技などでッ!」

 

「………オルコット。お前は一体何を焦っているんだ?」

 

「えっ?」

 

 

 

突然の問いかけに、セシリアは拍子抜けた。しかも、自分が焦っていると……。

 

 

 

「な、なにをーー」

 

「さっきの試合でも思っていた……最初は的確に、正確に相手を射るほどの精密射撃が出来るのに、何故今はそれが出来ない? 俺は射撃なんて出来ないし、分からないが、これだけなら分かるぜ……お前は、一体何に焦っているんだ?」

 

 

焦る? 一体何を言っているのか……セシリアには分からなかった。確かに、自分の予想に反し、この男と先ほどの黒ずくめの男は中々に善戦し、自分を苦しめている。とても数日前に機体を動かしたばかりの人物の動きではない……だかそれでも、技術や知識、経験の差では、自分の方が断然上だ。だから焦る必要もない。このくらいで動じていては、代表候補生は務まらないからだ。だが……。

 

 

(なんなんですの……この男。私は一体何を……)

 

「お前が俺たちの事をどう言おうが構わない……。認めたくないのも分かった……けどな、それ以上に、あの世界で一生懸命頑張って生きてきた人達をバカにするのは許せないんだ!! お前に譲れないプライドがある様に、俺たちにも誇りがあるんだ!」

 

「ッ!?」

 

 

まっすぐ自分を見る一夏の目は、とても強く、雄雄しくかっこよかった。自分の知らない男の人の目。そして、その戦い方から分かる修羅場を潜り抜けてきた者の纏う気迫。

 

 

 

「そ、それでも……わたくしは……ッ!」

 

 

残り二基のビットを操り、なんとしても一夏に当てようとするセシリア。しかし、先ほどと違い精密度が落ちた攻撃だ。一夏はそれを難なく躱す。

 

 

「飛燕ッ!!!」

 

 

抜刀し、素早い三連撃が閃く。残り二基のビットも今の攻撃で細切れにされ、爆散した。

 

 

「あ、ああ………」

 

 

自分の得意分野で敵が倒せなかったから、だけじゃなかった。自分の技量では、到底倒せない領域にいるこの人物との違いに呆然としてしまう。

脳内でどれほどシミュレーションをしても、この男に勝てるビジョンが浮かんでこない。

 

 

 

「さて、そろそろ決着をつけようか……」

 

「くっ!」

 

 

 

一夏が刀を納め、構える。得意の抜刀術だ。対してセシリアは、右手にスターライト、左手にインターセプターを持ち構える。

だが、この局面はセシリアの不利だ。スナイパーライフルは超遠距離からの狙撃が真骨頂な武器だ。対して、今の局面は数十メートル離れているとは言え、一夏に分がある。ましてや先ほどの斬撃を飛ばすという離れ技もある。

 

 

 

「どんなに無様な勝利でも、勝てば同じ……ッ! この一撃に全てを賭けますわ」

 

「分かった……。なら俺も、全力を以て答える……」

 

 

 

静寂の中、一歩も動かない二人。それが数分なのか、数秒なのか、あるいは一瞬なのか、どの言葉が合うのかわからない時間を二人は感じていた。

そして、その時間を破ったのは……セシリアだった。

 

 

 

「はあぁぁぁぁッ!!!!!」

 

 

 

片手でスターライトを操り、一夏を射る。だが、その射撃にもう正確も精密も無かった。言ってしまえば、乱れ撃ちだ。特に狙ってる訳でもなく、当てようとはしているみたいだが、そんな攻撃が一夏に届く筈もなく、一夏は抜刀術の構えのまま、まっすぐに突っ込んでくる。

 

 

「おおぉぉぉぉぉッ!!!!!」

 

 

やがて、一夏の間合いにセシリアを捉える。あと一撃を入れれば、一夏の勝ち。

 

 

「させませんわッ!!!」

 

「ッ!?」

 

 

間合いに入った瞬間、セシリアは射撃をやめ、左手に持っていたインターセプターで一夏を突いてきた。しかも、即、右手のスターライトはエネルギー充填に入っており、おそらくインターセプターで一夏のバランスを崩したあと、高エネルギーのスターライトによるゼロ距離射撃でとどめを刺そうとしているのだ。

 

 

 

(もらいましたわ!! これでわたくしの勝ちーー)

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「ッ!?」

 

 

 

突然の怒号。見ると、一夏の雪華楼が鞘の中で激しく光り輝き、溢れんばかりの黄色いライトエフェクトがほとばしる。

 

 

 

「抜刀術スキル、三の型! 〈閃光斬〉!!」

 

 

 

 

 

剣閃が閃き、パリィッ!! っと言う金属が砕ける音が鳴り、左手を見る。そこには、柄の部分しか残されていないインターセプターがあった。

 

 

「……えっ?!」

 

 

宙に舞うインターセプターの破片が日の光に当たり、光を反射していた。そして、さらに上段から降りてくる黄色い剣閃。〈閃光斬〉の二撃目。その刃が今度はセシリアの体とスターライトを両断し、シールドエネルギーが一気に消耗してしまった。

 

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

 

地面に落ち、仰向けに倒れたセシリア。そして、再び空を……自分を負かした相手を見る。純白の刀を振り、鞘に納めるその姿は……正にサムライだった。

 

 

 

 

【試合終了 勝者 織斑 一夏】

 

 

 

 

アナウンスが、この試合の勝者を言い渡し、第二試合もまたセシリアの負け、一夏の勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

 






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