ソードアート・ストラトス   作:剣舞士

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久しぶりの更新です!


今回はキリトの戦闘! まぁ、勝つのは分かってるんっているとは思いますが、楽しんでいただければ嬉しいで^_^


では、どうぞ!


第5話 黒の剣舞

あれから二週間後、とうとうセシリアとの決闘の日を迎えた。ファースト・シフトを終え、アリーナで刀奈の指導の元、操縦はかなり上達したと思う。

元々、ALOでの飛行戦闘の経験があるからなのか、それほど苦労はしなかったのだが、細かい操作やイメージの仕方が少しばかり違ったので、そこを何とか修正してきた。

今のチナツとキリトはALOと同じくらいの飛行戦闘が可能になったのだ。

 

 

「さてと、今日はいよいよ決闘の日だな!」

 

「何だかワクワクしてない? キリトくん……」

 

「そりゃあまぁな!」

 

「はあ〜。またキリトくんの悪い癖が……」

 

 

 

場所は第ニアリーナのカタパルトデッキ。そこには既に和人と明日奈、一夏と刀奈がスタンバイしている。

相変わらずのバトルジャンキーな和人に、明日奈が頭を抱える。それを一夏と刀奈は笑って見ていた。

 

 

 

「にしても、箒はなんでここに?」

 

「ん……私がここにいては不満なのか?」

 

「いや、別に不満じゃないけどみんなと一緒に見なくていいのかと……」

 

「別に……どうでもいいだろう。私はただ、その、お前の応援にきてやったのだ! それではダメなのか?」

 

 

 

顔を赤くし、そっぽを向く箒。

俺とキリトさんは、「どうしたんだろう?」と頭を捻るが、アスナさんとカタナは二人して微妙な笑みを浮かべていた。

相変わらずこういうところは鈍感で朴念仁な二人だ。

 

 

 

「さて、お前たち! 準備はできているのか?」

 

 

 

管制室から千冬姉の声が響く。

セシリアはとっくにアリーナの中央上空にて待機しており、あとは俺とキリトさんのどっちが先に相手するかだが……。

 

 

 

「どうしますキリトさん? 先に行きますか?」

 

「うーんそうだなぁ……。じゃあ俺が先に行こうかな」

 

「了解です。ちなみに、一刀で行くんでしょ?」

 

「あぁ、手札は隠しておきたいからな。…そんじゃ、いっちょ派手に行くか!!」

 

 

 

気合を入れ直して、和人は右手につけられた月光の待機状態のブレスレットに意識を持っていく。

 

 

 

「行くぞ! 月光!」

 

 

 

全身を光が覆い、黒い鎧を纏った和人が姿を現す。ここにまた黒の剣士 キリトが降臨した。

 

 

 

「それじゃあ行ってくる!」

 

「気を付けてね、キリトくん…」

 

「あぁ、大丈夫だよ。いつもみたいにひと暴れして帰ってくるさ」

 

 

 

勢いよく射出される月光。今大空に黒い羽を生やした黒い剣士が飛びたった。

 

 

 

「まずはあなたですか……。まぁこの勝負は初めから見えていますわ。

貴方は何もできずにわたくしに完膚なきまでに敗北する……ただそれだけですわ」

 

「そうか? 勝負ってのは、やってみなきゃわからないもんだぜ?

それに、いつ俺が何もできない、弱いって言ったよ。悪いが、俺は手加減なんてできないぜ」

 

「ッ! 望むところですわ!!」

 

 

 

カウントが始まり、互いに自分の得物を抜く。

セシリアはスターライトを構え、和人は黒い剣 エリュシデータを抜剣する。

 

 

 

「ふんっ、遠距離射撃型のわたくしに近距離格闘型で挑もうなんて滑稽ですわね」

 

「ならその滑稽の技……その身に味あわせてやるよ!」

 

 

 

3……2……1……Battel Start!!

 

 

 

「お別れですわね!!」

 

 

開始直後からの先制攻撃。スターライトから放たれたレーザーはまっすぐ和人へと吸い込まれて行くかに思われたが…

 

 

「よっ!」

 

「なっ!?」

 

「危ねぇ〜。やっぱりレーザーは速いな」

 

 

 

まるで、初めから先制攻撃を仕掛けて来るのをわかっているような動きで、放ったレーザーを躱した和人にセシリアは驚愕の色を浮かべる。

 

 

 

「ま、まま、マグレですわ!! もうそんな奇跡は起きませんことよ!!」

 

 

そうだ。マグレに決まっている。

セシリアの考えでは、そう思うしかできなかった。熟練のIS操縦者でさえ、速すぎるレーザーを見て躱すのは困難だ。それを目の前の少年は避けた。そんな事はあり得ない。セシリアは自分に言い聞かせるように頭の中でつぶやく。

が、同時にもし彼が今のを見て避けていたなら……という考えが頭をよぎる。

 

 

 

「どうした? さっきから動きが鈍ってるぜ!!」

 

「はッ!?」

 

 

 

すぐ近くで和人の声が聞こえる。

今まで自分の世界で考え込んでいたセシリアは、ふと視線を目の前に向ける。そこには右手に持った黒い剣を振り上げ、こちらを見下ろしている和人の姿があった。

 

 

「なッ! いつの間に!?」

 

「せぇぇやあぁぁぁ!!!!」

 

 

突如、黒い剣が黄色い光を纏って振り下ろされる。

無駄のない動き、容赦の無い剣閃がセシリアを斬り裂く。

垂直四連撃片手剣スキル〈バーチカル・スクエア〉。黄色いライトエフェクトが煌き、ブルー・ティアーズのシールドエネルギーを削る。

 

 

「きゃあぁぁぁぁッ!!!!!」

 

「まだまだ!!」

 

「くっ!!」

 

 

 

斬り落とされるセシリア。それを追う和人。和人は再びソードスキルの発動モーションに入ろうと来ていたが……。

 

 

 

「もう一切の躊躇も油断もしませんわ! 全力を以て、貴方を落とします!!」

 

 

 

セシリアの宣言と同時に、ブルー・ティアーズから四つの小さいパーツがパージされ、それぞれがまるで意思があるかの様に動き回る。

 

 

 

「んッ!?」

 

「お行きなさい! ビット!!」

 

 

四方に散った四つのパーツから、スターライトと同じ蒼いレーザーが放たれる。今度は一直線だけではなく、多方向からの集中攻撃だ。

それに伴い、徐々に被弾の数が増えていく。

 

 

 

「くっ!! こいつは厄介だな……」

 

 

 

流石の和人も死角などからの全方位攻撃には、対応が狭められてくる。ましてや和人が持っている武器はエリュシデータ一本のみ。

 

 

 

「さあ、踊りなさい! わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで!!!!」

 

 

 

先ほどよりもビットの動きが早くなり、徹底的に和人を狙う。だか、和人はというと、慌てるどころかさらに冷静になり、ジッとビットを観察している。

 

 

 

「…………やってみる価値はあるか…」

 

 

 

 

ジッとビットの軌道、レーザーの射出タイミング、そして、セシリアの動き……。それらを観察した上で、和人ある結論に達した。

そして、セシリアは決めるべきチャンスと思ったのか、ビットを戻し、スターライトの銃口を和人に向ける。

 

 

 

「左脚、いただきますわ!!!!」

 

 

 

スターライトのトリガーを引き、放たれたレーザーの弾丸は、和人の左脚めがけて真っ直ぐ伸びる。確実なクリティカルヒットを与えたと思えたが……。

 

 

 

「はああッ!」

 

 

 

セシリアの放ったレーザーが、和人の前で四散してしまった。そうさせた正体は和人の持っているエリュシデータ。

黄色いライトエフェクトが、まだ剣を覆っていることから

、導き出される答えは一つ……。和人がレーザーを斬ったのだ。

 

「へぇッ!?」

 

「う〜ん…うまくいったな」

 

「れ、レーザーを……き、斬ったぁッ!?」

 

「ふぅー、やってみるもんだな。まさか、本当に成功するとは思わなかったけど…」

 

 

 

セシリアの顔は驚きで満ち溢れていた。それもそのはずだ。本来レーザーは目では捉えきれない光。それをハイパーセンサーなどが補足し、初めて目に見えるものだ。

それを躱すならともかく、斬ったのだ。たった一本の剣で。

 

 

 

「あ、ああ、貴方! 本当に人間ですの!? ありえませんわ!」

 

「失礼だな……。こんなの誰でもできるだろう?」

 

「できませんわよ!!」

 

 

 

いちいち反応するのも馬鹿馬鹿しくなってしまった。

この少年は普通ではない。セシリアはすぐさまそう結論づけた。それもそうだ、今までレーザーを斬った人間を見たことが無いからだ。

ISの世界大会 モンド・グロッソでも飛んでくるレーザーを躱した者ならいそうだが、斬った者はいない。と言うより聞いた事がない。もし出来るとしても、ブリュンヒルデの称号を持つ千冬ぐらいだろう。

 

 

 

 

〜カタパルトデッキ〜

 

 

 

「な、なな……」

 

 

 

和人のやってのけた芸当に箒は驚きを隠せない。

口を大きく開けたまま絶句し、体を震わせていた。

 

 

 

「一体、何者なんだあいつは!!?」

 

「「「うーん……何者と言われると……普通の男子高校生???」」」

 

「あんなことをする奴が普通なわけあるかッ!!!」

 

「「「ですよね〜〜〜」」」

 

 

 

まぁ、当然と言うかなんと言うか……。

しかし、明日奈達からすれば何度となく見ている光景なので、今更驚かないのだが……。

 

 

 

「今のは何だったんだ……」

 

「え? あぁ、あれは片手剣スキルの技で、『スラント』って名前なんだけどな」

 

「そうじゃない! 一体何をすればあんなことできるんだと聞いているんだ!!」

 

「あぁ、なるほど……」

 

 

 

箒の質問に素直に答えたつもりだった一夏だが、少しズレていたようだ。

 

 

 

「まぁ、原理としては、飛んでくるレーザーの軌道を読んで、それに合わせてソードスキルを発動させた……ってところじゃないか?」

 

「な、なんて奴だ……あんな速いものに反応したというのか!?」

 

「まぁ、キリトさんって武器破壊もやってのけてたしなぁ〜。システム外スキルって言って…」

 

 

 

もはや聞いてておかしくなりそうだった。

今までの常識を覆す和人も、それを平然と話す一夏達も。

SAO生還者の中でも、この四人はあまりにもズバ抜けている。あの世界がどんなものだったのか、箒にはわからないが、同じ剣の道を志す者として感じ取ってしまう。

 

 

 

 

 

〜アリーナ上空〜

 

 

 

 

「くうッ! この、落ちなさい!!」

 

「その攻撃は見切った!」

 

 

 

ビットを自身の周りに集めさせ、一点集中で和人を攻撃するセシリア。しかし、それすらも持ち前の反応速度の速さを活かした和人の動きで全部躱される。

 

 

 

「ここだァッ!」

 

「なッ!?」

 

 

 

レーザーの雨を躱しながら、和人がスキルの発動モーションに入る。

エリュシデータが真紅に染まり、ロケットブースターの如くセシリアに向かって一直線に突撃する。

片手剣スキル〈ヴォーパル・ストライク〉

 

 

 

「てぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「イ、インターセプーーー」

 

 

 

セシリアはとっさにブルー・ティアーズの副武装のナイフ型装備、インターセプターを呼び出そうとしたが、時既に遅し。

真紅に染まったエリュシデータがセシリアの懐を深く穿ち、絶対防御を発動させる。

 

 

 

「ううッ……ぅぅあッあああッ!」

 

「くぅッ! はああぁぁぁぁッ!」

 

 

 

 

突き刺さる剣の衝撃に苦悶の表情を浮かべるセシリア。そして、トドメを決めるべくさらにセシリアへ剣を穿つ和人。そして……。

ガシャアァァァン!!!!っとガラスが割れた様な音が鳴り響き、ブルー・ティアーズのシールドエネルギー残量がゼロになった。

 

 

 

 

【試合終了 勝者 桐ヶ谷 和人】

 

 

 

 

場内アナウンスがこの試合の勝者を宣言する。

たちまち会場は大歓声と拍手の渦に巻き込まれる。

 

 

 

「すごい!! あのセシリアさんに勝っちゃった!」

 

「桐ヶ谷くんかっこいい!!」

 

「あの光る剣、凄かったぁ!!!!」

 

 

 

見事な剣技を見せた和人に一組の生徒達は熱狂した。

そして、それを見ていた一夏達も……。

 

 

 

 

「やっぱりキリトさんが勝ったか…」

 

「まぁ、それくらいはやってのけるのがあいつよね」

 

「うん、キリトくんなら大丈夫だって信じてた」

 

「………ゲームの技とはいえ、それでも国家の代表候補生を倒したのは、認めるべきですよね……」

 

 

 

ゲームの技とはいえ、その剣技の一つ一つは洗練されたものだった。同じ剣を振るう者として、そして武を志す者として箒は和人を見ていた。

 

 

 

「さて、次は俺か」

 

「チナツ、抜刀術は使うの?」

 

「ん? あぁ、片手剣スキルよりも抜刀術の方がもう慣れたからな。それに、あいつももう油断はしてこないだろう……なら、全力で相手しなきゃ、失礼だしな」

 

「そうね…。まぁ、チナツなら大丈夫でしょ」

 

 

 

 

 

〜アリーナ上空〜

 

 

 

 

「そ、そんな……わたくしが……負けた……?」

 

 

アリーナの場内アナウンスが勝者を告げたその瞬間、セシリアは呆然とその場に漂っている事しかできなかった…。

たった数日前にISに触れ、急ごしらえの専用機を与えられ、最新システムを導入したカスタム機とは言え、負ける事は無いと思っていた。

だが、実際は自分の完敗。相手の少年はレーザーを斬るといった離れ技を使ってくるし、幾つものレーザーの雨を反応力だけで躱す始末だ……。

セシリアの中で、何かが崩れ始めていた。それがなんなのかはわからない。でも、自分の知らない何かがある……ただ、それだけが頭の片隅にあった。

 

 

 

 

「よっ、お疲れ! いい勝負だったな」

 

「へっ? え、えぇ……」

 

「俺はこれで戻るけど、大丈夫か? さっきからラグってたけど…」

 

「だ、大丈夫ですわ! で、ではお先に失礼致しますッ!」

 

 

 

 

そう言って、セシリアは自分のピットに戻っていき、それを見届けた和人も一夏達が待つピットへと戻った。

 

 

 

 

「お疲れ様です。キリトさん」

 

「おう。いやぁ〜楽しかった♪」

 

「もう、見てるこっちはヒヤヒヤしてたんだから…ッ!」

 

「あはは……ごめん」

 

「でも、流石は黒の剣士。腕は鈍ってないみたいね」

 

 

 

 

ピット内へと入り、月光を解除し地面に降りたつ。そこへ一夏に刀奈、明日奈が集まってくる。和人を賞賛する刀奈と一夏、心配していた事を話し、和人に軽いお説教をする明日奈。なんだかんだで平和で幸せな時間だ。

 

 

 

 

「次はチナツか。絶対勝って来いよ」

 

「えぇ、もちろん。……それに、あいつに証明してやりたいですし」

 

「証明?」

 

 

 

 

一夏の言葉に反応し、刀奈が一夏に尋ねる。

 

 

 

 

「確かに、たかがゲームの技だけどさ、俺たちの意志や誇りは本物なんだ……分かってくれとは言わないけど、それでもさ……」

 

「「…あ……」」

 

「やっぱ、そう言うのは俺よりもお前の方が適任みたいだな……頼んだぞ、チナツ!」

 

「えぇ、もちろん!」

 

 

 

 

想いを伝えたい。一夏の意志に明日奈と刀奈がホッとする。昔から一夏はこういう所に敏感と言うか、ほっとけない所があった。故に、チナツの戦い方はキリトやアスナ、そしてカタナも好意を持てる。

ただ力や技術だけで圧倒するのではなく、その人物の本音や本質に優しく触れる様な……そんな戦い方が。

そして、それを聞いていた千冬も笑みを浮かべ一夏を見下ろす。

 

 

「ふっ……」

 

「良かったですね織斑先生。一夏くんはとってもいい子です!」

 

「んっ。なんでそこで笑ってるんですか? 山田先生」

 

「いえ、なんでも♪ ウフフっ♪」

 

「はぁー。まぁいいです。織斑、オルコットはまだ整備と補給が終わっていない。後数分は待っていろ」

 

「了解です!」

 

 

 

 

 

 

 

〜Cecilia Side〜

 

 

 

 

(負けた……わたくしが……)

 

 

 

ブルー・ティアーズのエネルギー補給が終わるまでの間、先の試合でかいた汗を流すため、セシリアはシャワー室に入っていた。

そして、再び振り返る。自信満々で挑んだ先の決闘。しかし、勝ったのは相手の男。自分が負ける可能性なんて夢にも思わなかった。イギリスで、それほどの腕を磨き、勝ち続け、代表候補生という地位にまで登った。なのに……。

 

 

 

(わたくしが……嘘ですわ…ッ! こんなの……)

 

 

 

流れるシャワーと共に、セシリアの瞳から涙が溢れた。悔しくて、自分が情けなくて……。

とても人には見せられない姿だ。両親が死んで、会社を自分で立て直し、死に物狂いで頑張って来た。

最後に泣いたのは……いつだっただろうか……。

 

 

 

(次こそは勝ちませんと……。何も誇れない……お母様になんて言えばよいのか……)

 

 

 

自慢であり、目標だった母親に情けない姿は見せたくない。それがセシリアの誇りであり、信念。

 

 

 

「次こそは……絶対に勝ちますわ…ッ!!!」

 

 

 

静かな闘志の炎を燃やし、戦いに挑むセシリアであった。

 

 

 

 




そう言えば、ISのワールドパージ編見ました!

みんなエロエロでしたね^o^
早くISの10巻が出ないかなぁと思う今日この頃……。


次回は知っての通り、一夏の戦闘です。
頑張って更新しますね^o^


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