ソードアート・ストラトス   作:剣舞士

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今回は、最初に虚さんルートに入ってから、シャルルートに行こうと思います!


それではどうぞ!


第15話 自由を手に……

「ありがとう虚ちゃん。後は私の方で何とかするわ」

 

「かしこまりました。お嬢様」

 

 

 

生徒会室の扉を開け、走り去る主人の背中を見て、深く溜息をつく虚。

学校の……というより、どこでもそうだが、廊下を走ってはいけないというのは、基本であり、普通であり、マナーだ。

だが、生徒の長たる刀奈自身がそのマナーを破っているのだから、他の生徒に示しがつかない……後でお説教だな。

そんな事を考えながら、虚は生徒会室の端っこの方に置いてあるティーセットへと手を伸ばす。

余談であるが、自身では思ってもいないのだが、虚の作る紅茶は、主人である刀奈と、この学園で用務員として働いている事実上の運営者たる男性……轡木 十蔵は虚の紅茶を『世界一』と評価している。

そして、虚がティーカップに紅茶を注いでいると、ふと横目で見てしまった。だるだるの制服を重そうに引きずりながら机から顔を上げる少女を。

 

 

 

「ウイィ〜……良い匂いぃ〜」

 

「はぁー……本音、もう少しシャキッとしなさい。あなたもこの生徒会の一員なら、もう少しみんなの模範になるような生活を心がけなさい」

 

「うう〜〜ん……眠いんだもん……」

 

「ダメです。今日の分の仕事、早く終わらせなさい。でないと、お菓子はあげません」

 

「うわぁ! それはないよぉ〜お姉ちゃん!」

 

 

 

動くトリガーが『お菓子』という点は、もう見飽きた。

姉である虚にとって、妹である本音の行動パターンは手に取るようにわかってしまう。

 

 

 

「それにしてもたっちゃんさん、気合入ってたねぇ〜」

 

「えぇ、そうですね。それほど織斑くんのことが大事なんです」

 

「ふっふぅ〜。おりむーも果報者だねぇ〜」

 

「そうですね。……いえ、果報者はお嬢様の方ですね」

 

「えぇ? たっちゃんさん?」

 

 

 

紅茶を一口啜り、一息ついてから、自身の席に座って作業を続ける虚。

 

 

「えぇ、あなたも覚えているでしょう? SAOから開放されたお嬢様を……」

 

「うん。かんちゃんが凄く喜んでたから、よく覚えてる」

 

 

 

 

 

姉妹は共にあの日のことを……いや、もっと前、二年前の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

〜二年前〜

 

 

 

『あなたは何もしなくていい……。私が全部やってあげる。だから、あなたは ”無能” なままでいなさいな……』

 

 

 

 

 

刀奈が発した、妹・簪に対する言葉。

その言葉をきっかけに、二人の仲に深い溝ができてしまった。

更識家は、昔から裏工作などの実行を承っている対暗部用暗部の家系だ。

とても由緒ある家系で、その当主は代々『楯無』の名を継いで来た。

そして、その名の襲名もまた、二人を引き裂く要因たり得た。周りの人間も、刀奈を当主にと煽り立て、簪の事をその補欠とばかりに考えるものも少なく無かった。

 

 

 

 

 

「お嬢様。幾ら何でも簪様にあの様な……」

 

「…………うん。わかってるのよ、私だって……」

 

 

 

覆水盆に返らずとは言ったものだ。やってしまったものは取り返しがつかない。

もちろん、刀奈が何を考えてその様な発言をしたのか、虚だってわかっている。妹の簪を守る為に、言った事だというのは刀奈の側にいた虚が一番よくわかっている。

 

 

 

「でしたら、なおのこと簪様には直接そう言わないと……簪様は、あれからより塞ぎ込んでいますし……」

 

「わかってるッ!! …………わかってるから……」

 

 

 

次期当主候補といっても、まだ十四歳の女の子なのだ。

そんな子にこれほどまでの重圧をかけている自分達の愚かさが嫌になってきていた。

それでも刀奈は次期当主の資格たり得るようにふるまっていた。

どんな事も一人でこなし、なんでも出来ていた。だが、それでも、簪との間に生じた溝は、埋まるどころか、深くなっていくばかりだけだった。

 

そして、時は過ぎて、刀奈が中二、簪と本音が中一、虚は中三となった。虚は受験生として勉強に精を出す。受験先はもちろんIS学園だ。

刀奈、簪、本音もともにIS学園への入学を希望しており、虚は一足早く入学し、他の三人を待つ準備をしていた。

そんな時だった……学校から帰ったその日の夕方前。

 

 

 

「ねぇ虚ちゃん……」

 

「どうかしましたか? お嬢様」

 

「これが、簪ちゃんの部屋にあったんだけど……何なのかわかる?」

 

 

 

そう言って、あるパンフレットを見せてくる。そこに書いてあったのは……。

 

 

 

「あぁ、Sword Art Onlineですね。今話題のフルダイブ型のMMORPGです」

 

「Sword Art Online………ああ、テレビやってたわね……簪ちゃん、こんなのに興味があったのね……」

 

「そうですね……IS同様、世界初の快挙でしたからね。私も一般的な知識しか知らないのですが、仮想世界なのに現実とほぼ遜色ないものらしいですね」

 

「ふーん……まぁ、ISにも電脳ダイブとかがあるし、そういう感じなのかなぁ〜とは思っていたけど……」

 

「しかし、お嬢様はこう言うのにはいち早く興味を持つと思ったのですが……」

 

「いやぁ〜流石に専用機組んでるときに遊んでられないわよ…」

 

 

 

そう、刀奈は政府の働きで、IS適性の検査を受け、その結果判定はAの出て、更識の特権である自由国籍権を行使し、専用機をもらえる手筈になっていた。

まだ当主の座には付いていなかった為に、まだ予定の段階だったのだが、それでも本人の希望で、ある程度は設計を立てて、着工していたようだ。

なので、本人曰く、遊んでいる余裕がないらしい。

 

 

 

「まぁ、確かにそれはそうですが……ん?」

 

「ん? どうかしたの?」

 

「いえ、着信が入ったみたいで……本音?」

 

 

 

虚の携帯がなり、表示画面には妹の名前が出ていた。

本音からの連絡は、簪と二人、学校の居残りがあるために、今夜は帰りが遅くなるとの事だった。

 

 

 

 

「そう、簪ちゃん達、遅くなるの……」

 

「えぇ、そうみたいですね……。残念でしたね、このゲームの話題で、簪様に近づく作戦が出来なくて」

 

 

「なっ!? 何のことかしらぁ? おほっおほほほほ〜〜」

 

「わざとらしいですよお嬢様」

 

「う、うるさいわねっ!」

 

「直に触れて、やってみてはいかがですか?」

 

「へ? 何を?」

 

「 ”それを” です」

 

「えっ? もしかして ”これ” ?!」

 

 

 

虚が示すもの、それは一つしかない。今刀奈が持っているSAOのパンフ。つまりは、自ら簪の見ている世界を見て来いって事だと、刀奈は察した。

 

 

 

「いや、でもこれって簪ちゃんがやりたいから買ったのであって……私まで……」

 

「いいんじゃないですか? しかも都合がいいことに、このゲームの公式サービスが開始されたのは、今日らしいですし……別に何時間も遊べとは言っていませんから……少しでも、簪様の世界を見てくるのもいいかもしれませんよ?」

 

「ん……そう、なのかもしれないわね……ありがとね、虚ちゃん」

 

「いえいえ…」

 

 

優しく諭す虚に、穏やかな笑みを浮かべて礼を言う刀奈。刀奈はそのまま簪の部屋へと赴き、部屋に入り、ドアを閉めた。

そして、それが現実世界での最後の会話となった。

 

夕方の五時半。いつもみたく勉強をし、ちょうど今日の課題を終えたところで、自室のパソコンから、ネットニュースを閲覧していた……。刀奈がゲームを開始して約二時間が経つのではないかと思われたその時だった。

 

 

 

「え? な、何、これ……?!」

 

 

 

パソコンの画面上。そこにデカデカと書かれた記事に、虚は頭が真っ白になった。

 

 

 

 

ーーー公式サービス開始の世界初のゲームにて、死亡者多数続出‼︎ 魔のゲームとかしたSword Art Online!!!ーーー

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って! これって今お嬢様が!?」

 

「虚くん!!!」

 

「ッ!?」

 

 

 

 

いきなり部屋のドアが勢いよく開かれ、そこには、刀奈と簪の父である先代の楯無が立っていた。勢いよく走ってきたのか、その息はとても荒れていた。

 

 

 

「はぁ……はぁ……虚くん! 刀奈はどこだ?! 今ニュースでも報じられている、SAO! あれは私が簪に買ってやったものだ。だが、今日は簪は帰りが遅くなると給仕の者に聞いたぞ? だから問題ないと思ったが、刀奈の姿が見当たらん! どこに行ったか知らんかね!」

 

「ぁ……あの、お、お嬢様は……」

 

 

目尻から涙がこぼれ落ちる。

何かの間違いであってほしいと願う自分がいる。

 

 

 

「刀奈はどこだ……?!」

 

「か、簪様のお部屋に……」

 

「ッ!? い、いかん! 刀奈ぁぁぁぁっ‼︎」

 

 

 

全速力で走る。やっと簪の部屋の前に到着し、二人して簪の部屋に入る。

そして、見てしまった。簪の部屋のベッドに横たわり、頭には、SAOをするためのゲーム端末であるナーヴギアが装着された刀奈の姿が。

 

 

 

「くっ……! なんと言うことだ……」

 

「お、お嬢様……?」

 

 

 

父・楯無はその場に崩れ、両手を付いて悔しさをあらわにしている。

そして虚は、一歩一歩ゆっくりとした足取りで、刀奈に近づく。

 

 

「お嬢様……?! お嬢様! 目を開け下さいっ‼︎ お嬢様ッ!」

 

 

 

 

体を揺するが、一向に起きない。そして、絶望した。

 

 

 

「わ、私の……私の所為で……! お、お嬢様……」

 

 

両手で顔を覆う。しかし、溢れた涙はその両手では堪えきれる筈もなく、頬を伝い、床に流れ落ちる。

 

 

 

「も、申し訳ありませんっ‼︎ 私が……私があんな事をいわなければ……!」

 

「お姉ちゃんっ!」

 

「ッ!? か、簪様……」

 

 

 

おそらくは給仕の者から連絡が入ったのだろう……。

簪は、汗だくなのも気に留めず、すかさず刀奈の側に来て、手を取る。

 

 

 

「なんで? なんで、お姉ちゃんがナーヴギアを被ってるの?! 本当なら、私が……!」

 

 

 

そう言いながらも、何もできない一同。

テレビでも、ナーヴギアの強制切除を行ったことにより、死亡者が出ているニュースが流れていた。

なので、今ここで外せば、それは……刀奈の死を意味していた。

 

 

「どうして?! なんで! なんでお姉ちゃんがっ‼︎」

 

 

 

本来ならば、これを被っていたのは簪だった。

だが、運良く被る事を免れた。本当に運が良かったのかもしれない。

だがそれで、刀奈が犠牲になった。

そして、それはまるで刀奈が簪を守るためにやったようにも思えて仕方なかった。

だからなのか、簪がこんなにも泣いているのは……。だからなのか、こんなにも虚たちが無力を感じているのは……。結局、すべてを刀奈に委ねてしまったのだ。自分たちが何も出来なかったが故に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜生徒会室〜

 

 

 

 

「結局、我々がやった事と言えば、お嬢様の体を病院へ移した事くらいですかね……」

 

「う〜ん……ナーヴギアを傷つけないように、しんちょーにしんちょーに運んだもんねぇ〜……」

 

「えぇ、そして……結局、二年もかかってしまいましたが……それで、お嬢様も何だか変わりましたしね……」

 

「うんうん! 何だが、憑き物が落ちたみたいな感じ♪ 何だか、『女の余裕』って感じだったぁ〜」

 

「えぇ。まさしく女の幸せを手に入れて、その余裕がにじみ出てましたね……」

 

 

 

 

そして再び、二人は過去を遡る。

 

 

 

 

〜SAO開始から約二年後の十一月〜

 

 

 

突如、約六千人ものSAOプレイヤーが一気に目を覚ましたのだ。

SAOの中で、一体何が起こったのか……。それはわからなかったが、そんな事どうでもよかった。

その約六千人の中には、刀奈も含まれていたのだから。

 

 

 

「お嬢様っ‼︎」

 

「っ! ……ああ! 虚ちゃん……っ!」

 

「〜〜〜っ‼︎ お嬢様ァァァっ!!!」

 

 

 

今思い出しただけでも恥ずかしい。

涙を流し、大声で泣きながら刀奈に抱きつく自分が。

しかし、その当時はそんな事考えていなかった。そんな小さな事よりも、今は主人である刀奈が帰ってきたことが何より嬉しかったからだ。

 

 

 

 

「お嬢様……良かった! 本当に良かったです……っ‼︎」

 

「心配掛けてごめんね……。でも、ちゃんと帰ってきたよ?」

 

「はい……! ううっ……」

 

「ほら、もう泣かないの」

 

 

 

 

帰ってきた刀奈は、何だが大人の雰囲気に包まれていた。自分の方が歳上で、いつも従者であり、姉のように接してきたつもりでいたが、今は正にその逆。刀奈によって慰められている虚……といった状況が成り立っていた。

 

 

 

 

「お姉ちゃん!」

 

 

 

続いて、病室のドアから二人の少女が入ってくる。

妹の本音と刀奈の妹の簪だ。簪は既に涙目になっており、

目が赤くなっていた。

 

 

 

「おねぇ〜ちゃ〜〜んっ!!!」

 

「うわっ!? か、簪……ちゃん?!」

 

「良かったよぉ〜……本当に……! もう会えないかと思った……ずっと、謝りたかったのに……‼︎ それも、出来なくて……」

 

「簪ちゃん…………ううん、やっぱり謝るのは私の方よ。……ごめんね、簪ちゃん。私、あなたを大切にしてるから、大切に思っているから、あなたを傷つけさせたくなかったから……でも、あんな言い方しちゃった……ごめんね、簪ちゃん」

 

「お姉ちゃん……」

 

 

涙ぐむ簪の顔をそっと両手で包み込み、顔を上げさせる。そして、あげた顔を間近で覗き込む。そして、優しい表情で再び語りかけた。

 

 

「簪ちゃん……あなたは、私の自慢の妹。私はあなたを誇りに思う。そして、とても大切に思っています……今までごめんね……」

 

 

そう言って、刀奈は優しく抱きしめる。

その抱きしめた本人もうっすらと涙を浮かべていた。

 

 

 

「お姉ちゃん……! うわあぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!」

 

 

 

号泣だった。引き裂かれた姉妹の関係を、こういった形で取り繕うことになったのは、あまり腑に落ちなかったが、それでも今この瞬間を目にしている者たちにとって、そんな事はもうどうでもいいと思った。

なんせ、今まで切り裂かれていた二人の関係が、ここまで修復したのだから……。

 

 

 

 

「あ! 虚ちゃんに頼みたいことがあったんだ!」

 

「はい。なんなりと」

 

「人を探して欲しいの。その人も私と同じSAO生還者よ」

 

「は、はぁ……それで名前は何と? それに、どうしてもお急ぎなのですか? まだ、お嬢様はリハビリなどもあるのに……」

 

「うん。どうしても今すぐに逢いたいの……だからお願い!」

 

 

 

 

今までの刀奈がしてこなかった頼み事。

その相手は一体誰なのか、そして、刀奈と同じSAO生還者であることから察すると、向こうで知り合った ”友人” と言う線か……?

 

 

 

「か、かしこまりました……それで、お名前は?」

 

 

刀奈の気迫に押され、了承する虚。

同じSAO生還者ならば、絶対にどこかの病院に搬送されている。ならば、病院の入院患者の情報をちょっと悪いが覗かせてもらえば、すぐに逢うことなんて朝飯前だ。

そう言うことで、虚が名前を聞くと、刀奈はほんのり頬を赤く染め、微笑んだ。

 

 

 

(ん? お、お嬢様がこんな表情をされるなんて……今までなかった……!)

 

(お姉ちゃんが逢いたい人って……向こうで知り合った友達かな?)

 

 

 

虚と簪はともに驚愕し、勝手に ”友人” だと決めつけた。

が……

 

 

 

 

「名前は……『織斑 一夏』。向こうで知り合った、私の自慢の ”旦那様” よ♪」

 

 

 

 

 

満面の笑みで答える刀奈。

その答えに、一同は驚愕の悲鳴を上げ、病院内にその悲鳴が伝わったのは、言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

〜再び生徒会室〜

 

 

 

 

「しかし、旦那様ときましたか……」

 

「うんうん! しかも、同じ病院にいたのは凄いよねぇ〜」

 

「まぁ、織斑くんもまた、あの織斑先生の弟さんですから、お嬢様と同じ、有名大学病院に搬送されているのも当然です……しかしまぁ、あのお二方がまさか恋人を通り越して夫婦になっていたのには、流石に驚かされました」

 

「でもでも〜なんか良い雰囲気だったよね〜」

 

「えぇ、そうですね」

 

 

 

 

 

学校だろうが病院だろうが何だろうがイチャつく二人の光景に何度胸やけしそうになったことか……。

考えるのも馬鹿らしくなってくる。

 

 

 

 

「おりむー大丈夫かなぁ〜? でゅっちぃーに狙われてるんでしょ〜?」

 

「大丈夫でしょう……お嬢様があんなに本気になっていて、失敗したことなんてありません」

 

「そうだね〜。さぁ、お菓子お菓子〜♪」

 

 

 

本音が机のお菓子に手を出した瞬間、忽然とお菓子が姿を消した。

いきなりのことに驚いていると、真上から低く、怒気のこもった声が聞こえてくる。

 

 

「本音? あなた仕事は?」

 

「ふぇ〜! ご、ごめんなさい! やります、やりますからぁ〜!!!」

 

「ダメです‼︎ そこに正座なさい!」

 

「うえぇぇぇ〜〜〜〜ん…………」

 

 

 

 

 

その後、本音は簪が迎えに来るまで延々と叱られ続けたとか……。

 

 

 

 

 

〜一年寮とある一室〜

 

 

 

 

(確か……ここにデータが……)

 

 

自室である筈なのに何やら緊張した面持ちで、パソコンを操作する少年が一人。

 

 

「ごめんね一夏。でも、仕方ないんだよ……こうしないと、僕は……」

 

 

 

一夏の使用しているPCにメモリーディスクを差し込む少年……シャルル・デュノア。

そして、PCを立ち上げ、キーボードをタップしていき、ある情報を見つけ出した。

 

 

 

「あった……白式の稼働データ……」

 

 

 

そう、一夏の今までの戦術データが入ったファイルだ。

パスコードは既に入手できていたので、問題はなかった。

後はタイミングだ。一夏達と離れ、一人で作業出来る瞬間を待っていた。

一夏と和人を……みんなを騙していることに、負い目は感じていた……どうしようもないくらいに。

しかし、それでもやらなければいけない。

 

 

 

「後はこれを、メモリーに移せばーー」

 

「移して……どうするのかしら?」

 

「ッ!?」

 

 

 

突如背後から声が掛けられる。

全く気配を感じず、部屋の中も外も警戒していた筈だった。安全を確立させたからこそ、作業に移った筈だった。

なのに……。

 

 

 

「ど、どうして……! どうして、楯無さんがここに‼︎」

 

「あら? 私が夫の部屋に入ることに、何か不都合でもあるかしら?」

 

「…………ッ」

 

「やっぱり、あなたの目的はチナツの専用機『白式』のデータね?」

 

 

 

鋭い視線が、シャルルに突き刺さる。

相手は国家を代表するIS操縦者。代表 ”候補生” の自分とは違い、間違いなく選ばれた存在。

ましてや、この学園が誇る『学園最強』の称号を持ってる。

たとえIS戦だろうが肉弾戦だろうが敵う相手ではない。

 

 

 

「だったら……どうだって言うんですか……」

 

「何故あなたがそんな事をするのか、その理由はわかっているわ。今その罪を認め、その行為をやめるのなら、交渉の余地を与えるわ」

 

 

 

夫、一夏に対する行為を許さないとばかりに圧力を掛けてくる刀奈に、シャルルはたじろぐ。

 

 

 

(どうしよう……データは取れずじまい、目の前には楯無さん、逃げようにも逃げられない……!)

 

 

 

どうにかしてこの場を切り抜けようと模索していると、突如ドアが開かれた。

 

 

 

「ただいま……ってあれ? カタナ? どうしたんだ……それに、シャルルは……なんで身構えてんだ?」

 

「一夏!?」

「チナツ!?」

 

 

 

 

丁度その場に一夏が登場し、ドアが開いたままになっていた。

それを見て、好機と思ったのか、シャルルは動いた。

思いっきり走り出し、一夏を突き飛ばしてもおかしくない勢いのスピードに乗る。

 

 

 

 

「ッ!?」

 

「ごめんね一夏っ‼︎」

 

「チナツ‼︎」

 

 

 

シャルルは一夏を人質にして、この場を切り抜けようと思ったのか、一夏の襟首めがけて、右手を伸ばそうとする。

そこから背後を取って身動きを封じ、刀奈の動きを少しでも止められれば、逃げ切れるかとしれない……。

そう思ったが……

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

襟首を掴もうとした瞬間、目の前にいた筈の一夏の姿が、なかった。

そして、不意に伸ばした右手を、右側から別の手がつかむ。

 

 

 

「はあっ!」

 

「うわあぁぁっ!?」

 

 

 

バタンッ!!!!

 

 

 

一年寮の廊下で、激しく打ち付けられる。一瞬のことでシャルル自身もわからなかったが、次第に思い出す。

右手を掴まれた直後、自分の勢いを利用し、一夏は廊下へと投げたのだ。

勢いに乗ったシャルルの体は、宙で一回転し、そのまま背中を叩きつけられたという事だった。

 

 

 

 

「ううっ……! くうっ!」

 

「あ、わ、悪りぃ‼︎ 反射的に……」

 

 

 

痛そうにしているシャルルの元へと駆けつけ、声をかけるが、それと同時くらいだっただろうか、一夏の隣から、龍牙の矛先がシャルルに向けられた。

 

 

 

 

「お、おい、カタナ」

 

「チナツは黙ってて。さて、詳しい話をしてもらいましょうか…… ”シャルロット・デュノア” さん?」

 

「…………っ」

 

 

 

刀奈が言った名前を聞いた途端、シャルルは全く抵抗しなくなり、刀奈の提案で、そのまま一夏の部屋へと入っていった。

 

 

 

 

 

「さてと、どこから話してもらいましょうか? まず、あなたの目的からかしらね?」

 

「……っ!」

 

 

 

ベッドに座り、俯くシャルルとその前に仁王立ちし、睨みつける刀奈。

そして………

 

 

 

 

「まあまあカタナ……。ほらシャルル、お茶……熱いうちにどうぞ?」

 

「へっ? え、あ、うん……」

 

 

 

おもてなしをする一夏という絵面だ。

 

 

 

「ちょっと、チナツ‼︎ 何普通におもてなしてるのよ!」

 

「いやまぁ、とりあえず落ち着いてからの方がいいと思ってな。ほら、カタナのも淹れたから、ちょっと落ち着こうぜ?」

 

 

 

そう言ってカタナにも湯のみに入った緑茶を渡す。

刀奈も、せっかく淹れてもらったものなので、もらって飲む。心が落ち着くような美味しい緑茶にホッコリしてしまう。

 

 

 

「あとそれから、キリトさん達も呼んだから、それからで良いんじゃないか?」

 

「うん……そうだね……和人にも、迷惑…かけちゃったし、和人にも謝らないといけないから……」

 

 

 

一夏の提案に、力なく頷くシャルル。

それからは、みんなしてお茶を飲みながら、和人を待っていた。

だいたい十分くらい経った時に、和人がやって来て、その後ろから付いてくる感じで明日奈も登場した。

 

 

 

 

「どうしたんだ、急に呼び出したりして?」

 

「何かあったの?」

 

「ええ、シャルルのことについて……」

 

「シャルルくんの?」

「はい。シャルル……話してくれないか? お前の事を。包み隠さず……とまでは言わない。話したくない事は話さなくてもいい」

 

 

 

シャルルに優しく諭すようにいう一夏。

 

 

 

「ううん。こうなったら、全てを話すよ一夏。それにみんなも。僕の立場、僕の役目、そして……僕の事全てを……」

 

 

 

シャルルは俯きながら、まずは自分の生い立ちを話し始めた。

 

 

 

「楯無さんはわかっていると思うけど、その……僕はね、愛人の子なんだ……」

 

「「「ッ……!」」」

「…………」

 

 

 

刀奈以外の三人は驚き、刀奈はじっと黙って耳を傾ける。

 

 

 

「父と僕のお母さんは、愛人関係になって、僕を産んでからは、お母さんとフランスでも田舎の方で二人で暮らしてたんだ……。

だけど、お母さんが数年前に他界して、僕は一人になった……それからだよ、父の使いの人たちが、「保護する」って言ってきて、父の会社に連れて行かれたんだ」

 

「それから、シャルルくんは……どうしたの?」

 

 

 

シャルルの事情に悲痛な表情で聞いていた明日奈が、シャルルに問いかける。

 

 

 

「それからは、父と会って、本妻の人にも会ったんだ……。そしたらいきなり叩かれたよ、「泥棒猫の娘が‼︎」ってね……。ほんと、びっくりしたよ……お母さんも少しくらい言ってくれたらよかったんだけど……」

 

「じゃあ、シャルルが代表候補生になったって言うのは……」

 

「うん、色々検査していく中で、僕のIS適性が高いことがわかって、それでデュノア社のテストパイロット兼代表候補生になったんだ…」

 

「なるほどな……父親としては、自分の目の前に宝石が転がってきたようなもんだったんだろうけどな……それで? その親父さんとは話をしたのか?」

 

 

和人の問いに、シャルルは横に首を振った。

 

 

 

「話らしい話なんてしたことがないよ。してたとしても、今までの時間を通算しても三十分満たないと思う……」

 

「そんな……っ! そんな親父さんの言うことなんか、聞かなくたって良かったんじゃないのか?!」

 

「それは無理だよ和人……。お母さんが死んだとき既に、親権は父が握っていたんだから……」

 

「…………」

 

「それで、なんでシャルルくんはこの学園に? こう言ったらなんだけど、社長の娘が愛人の子って事が暴露たら、会社としては不味いんじゃ……」

 

 

 

明日奈の疑問は最もだった。

同じ大企業の社長令嬢である明日奈ならわかるが、規模の大きな会社であるならあるほど、そう言った小さなことでもスキャンダルになり、大きな損害を及ぼす。

 

 

 

「それにもちゃんと理由があるのよ」

 

「カタナちゃん?」

 

「シャルロットちゃん……話していいかしら?」

 

「…………はい、大丈夫です」

 

 

 

シャルルの許可をもらい、刀奈が話しだした。

 

 

 

「シャルロットちゃんのお父さんが経営してる会社……デュノア社は、世界でも有数のIS開発企業……これはみんな知ってるわよね」

 

「ああ。確か、量産機の世界シェアは第三位だったよな?」

 

「そう、チナツの言う通り。日本の打鉄、アメリカのアラクネに、イギリスのメイルシュトローム……そして、フランスのリヴァイヴ……だいたいの量産機はこの四機で、そのほとんどは、打鉄とリヴァイヴで締めているわ……でも……」

 

「デュノア社は……今、倒産の危機にあるんだ」

 

 

そう答えたのは、シャルルだった。

 

 

 

「と、倒産!? でも、デュノア社は……」

 

「所詮リヴァイヴは ”第二世代型” なんだよ……。オルコットさんやボーデヴィッヒさんが、この学園に来たのは、新型機、”第三世代型” の稼働データを取るためなんだ……。

欧州では今、最新型のIS開発……『イグニッション・プラン』を各国で進めているんだ……けど、開発に成功したのは、イギリスのBT兵器を搭載したティアーズ型、ドイツのAICを開発したレーゲン型、イタリアの最高速機のテンペスタⅡ型……でも、デュノア社は開発出来なかった……」

 

「そう、だったのか……」

 

「ISの開発には、とてつもなくお金がかかる。そして、その稼働データもとって行かなきゃいけない……たった一機作るだけに、相当な時間を掛けるの。

ましてや、新型機になると余計にね……」

 

 

刀奈の付け足しに、その場の雰囲気がより重くなる。

 

 

「でも、それでなんでシャルルくんが男装して入学してくるの?」

 

「それは……」

 

「広告塔……そして、俺たちの専用機のデータを奪取する為……だろ?」

 

 

 

明日奈の質問に、刀奈が答えようとすると、隣に座っていた一夏が答えた。

一夏はただじっと話しを聞いて、シャルルの役割を考え、導き出したのだ。

 

 

 

「うん…一夏の言う通りだよ……。男の操縦者が、デュノア社で現れたとなれば、否応なしに実験やデータ収集の為に、会社に開発資金が入る。そして、よりデュノア社のIS開発が進みやすくなるんだよ……。

でも、それだけでISは作れない……。だからこそ、僕はあの人に言われたんだ……「日本に現れたイレギュラー二人、織斑 一夏と桐ヶ谷 和人のデータを取ってこい」って……そして、とりわけ一夏のデータを優先しろとまで言われたんだ……」

 

「チナツの? 俺のデータでも、今までにないデータが得られるだろう……チナツ一人のデータを採取するだけなら、確かに難易度は下がるけど……。どうしてそこまで……?」

 

 

 

和人とて男性操縦者なのだから、データを採取しても無駄にはならない。同じリヴァイヴをカスタムした和人の専用機、『月光』ならば、デュノア社の開発したリヴァイヴにデータをインストールしやすいと思ったのだが……。

 

 

 

「それはだって、一夏はあの織斑先生の弟さんだからだよ…」

 

「……っ! なるほどな。それなら納得いくな」

 

「どう言う事? キリトくん」

 

「チナツのお姉さん……織斑先生は、世界最強の称号『ブリュンヒルデ』を持った人だ。なら、世界の価値観では俺なんかよりも、同じ血を受け継いでいるチナツの方を欲しがっている連中の方が多いって事さ……」

 

「っ! そっか、そう言えばそうよね……!」

 

 

 

和人の説明で、ようやく納得がいった。

日本において、和人と一夏の存在はIS関係はもちろんの事だが、それよりもVR関係の方で各界で有名になっていた。

それはもちろんSAO事件に際して、和人は黒の剣士キリトとして、デスゲームと化したSAOを攻略し、約六千人のプレイヤーを救った英雄として。一夏は和人とはまた違い、SAOにおけるアインクラッド内の裏世界、決して表沙汰にはならない闇の部分を見てきた事や、白の抜刀斎チナツとして、大小様々な問題を解決していった流浪人として……だ。

だが、世界では違う。

日本にて起こったSAO事件の事は、世界ではあまり詳細な事は分かっていない。ただ単にゲームで人が死ぬというありえない話が飛び込んできた事に驚きはしたが、それだけだ。だからと言って、それで感心したわけでもないし、世界がこれに対処したわけでもない。

今の世の中は、ISによって大きく変わったのだ。最新鋭の兵器と、それを開発する事に執着している。

そして、モンド・グロッソにおける一夏の姉・千冬の存在。

世界中の誰もが認めるブリュンヒルデ。IS中心に動いているこの世界で、それ以外に大きなものはない。

 

 

 

「だから、父も一夏のを優先するように言ったんだと思う」

 

「そうか……これで、全部なのか?」

 

「うん。そうだよ……これでおしまい……はぁー……なんだか話したら少し重荷が取れた気がするよ……。

今までごめんね、みんな……仕方なかったとは言え、みんなを騙してて……」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 

シャルルに悪意があった訳ではないが、これは立派な条約違反だ。当然学園側もこれに対処するだろう……。

そうなれば、シャルルの身は、デュノア社が持とうとする。

 

 

 

「シャルルは……それでいいのか?」

 

「仕方がないよ……僕には、どうしようもないんだ」

 

 

 

 

一夏の問いにシャルルは力なく答えた。

もはやシャルルに反抗の意思はないようだ。

 

 

「でも! それならシャルルくんはどうなるの? 学校をやめて、それからは……?」

 

「多分、デュノア社が僕を回収しにくると思います……。女だって事が暴露たから、任務は失敗……よくて牢屋行きかな……」

 

「そんな……!」

 

「そんなの、あっていいわけないだろッ!!」

 

 

 

突如、一夏が叫んだ。

今まで静かにしていた一夏が、豹変したように叫ぶ姿に、一同が驚く。

 

 

「チナツ…」

 

「チナツ……落ち着いて……」

 

「っ! ……わ、悪りぃ……ちょっとカッとなって……」

 

「ど、どうしたの一夏?」

 

 

シャルルは一夏の豹変に一番驚き、俯いた一夏の顔を覗き込む。

 

 

「確かに……親がいなければ、子供は生まれない……。だがな、親が子供の未来を好き勝手にしていい理由にはならねぇんだよ!」

 

「一夏……」

 

「俺は……俺と千冬姉は、幼い頃に両親に捨てられた」

 

「「「ッ!!!」」」

 

 

 

今度は一夏のカミングアウトにみんなが驚く。

だが、一夏は続ける。

 

 

 

「幼い頃……物心つく前だ。そんな頃から俺は千冬姉に育てられた。親の顔なんて知らないし、今更興味もない。俺と千冬姉は、そうやって生きてきた。親なんていなくたって、自分たちの意思で生きている。

千冬姉が外で働いて頑張っているなら、俺は少しでも千冬姉の為に、美味しい物を作ったり、千冬姉の物、家の事は全部管理してきた……そうやって生きてきたんだ……‼︎

だからシャルル、お前だって、お前の事をただ道具のようにしか扱わない親の言うことなんかに従う義務も権利もないんだ! お前の生き方は、お前が決めていいんだ!」

 

「そ、それは……そうだけど…………!」

 

 

 

一夏の話を聞いているうちに、シャルルは顔を暗くさせていた……。

そして、目元からは涙が見えていた。

 

 

 

「僕だって……! 僕だってそうやって生きていきたいよッ!!!」

 

「ッ!?」

 

「でも無理なんだよ! 無駄なんだよ! たとえ僕がそう望んでも、僕には鎖がついている……絶対に切れない鎖が、あの人からかけられてるんだ!」

 

 

 

あの人……シャルルの父のことだろう。

父親のことですらあの人呼ばわりなのだから、もはや親娘ですらない……。

しかし、シャルルの言ったように、シャルル自身にも、父親の鎖が繋がれているのは事実だ。

 

 

 

「はぁ……はぁ……僕だって……僕だって、みんなと一緒にいたいよ……!

みんなと一緒に勉強して、遊んで、仲良くなって…………いろんな事がしたいよ……っ!でも、無理なんだよ……僕にはもう、何もできないんだよ……」

 

 

 

自身の思いをぶち撒けるように言うシャルル。

涙は絶え間なく流れ落ち、目は赤くなり、腫れている。

 

 

「ぐすっ……うう……」

 

「……シャルルは、今もそう願ってるじゃないか……なら、その願いすら叶わないのは嘘だ」

 

「そうだよシャルルくん! シャルルくんの思いは、決して無駄なんかじゃないんだよ?」

 

「そうだ。シャルルがしたい事、願っている事は……決して間違いなんかじゃない……そうだよな、カタナ」

 

「ええ、そうね。それからシャルロットちゃん? あなた、何か勘違いしてるけど、何もできないのは、むしろあなたのお父さんの方よ?」

 

「ぇ……? どういう……事ですか?」

 

 

 

そう言うと、刀奈は一夏に目配せをし、一夏は自身の机の上に置いてあった生徒手帳を開く。

 

 

「シャルル、安心しろ。お前の身柄は、今この学園が所持していると思っていい」

 

「なるほど……! その手があったな」

 

 

 

一夏の言葉に納得した和人が、一夏たちの考えを悟った。

 

 

「IS学園特記事項……本学園の生徒は、その在学中、あらゆる国家、組織、企業に属さない……」

 

「じゃあ、シャルルくんは、この学園にいる間……つまり三年間は、その身を保護できるって事だよね!」

 

「その通りだ。シャルルはこの学園にいる間は、お前の親父さんにも、フランス国家にも手出しできない……」

 

 

 

明日奈の補足と和人の決定論で、チェックメイトだ。

この学園における特記事項は全部で五十五個。そのすべては、この学園と、そこに通う生徒・職員を護る事。そして、ISを正しく使う事のためにある。

これで、シャルルの身柄の安全は、確立されたと思ってもいい。

 

 

 

「それじゃ……僕は……」

 

「ああ、また俺たちと一緒に、いろんな事が出来るんだ。勉強して、遊んで、いろんな事が出来るんだ……シャルル!」

 

「ぁ……一夏……僕、僕は……」

 

 

 

今まで我慢していた辛い思いが、涙とともに流れ出ているようだった。

その日、シャルル・デュノア……もとい、シャルロット・デュノアは、真の自由を手に入れたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏……みんな……ありがとう……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?


感想待ってまーす^o^


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