ソードアート・ストラトス   作:剣舞士

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今回は色々と詰め込みました……。

長かった……疲れました……。

それでは、最新話どうぞッ!!!




第12話 新たな一歩

あの謎の襲撃事件の翌日。

今朝から全校集会が行われ、あの事件は訓練中のISが謎の暴走を起こした為、と全生徒に伝えられた。

もちろん、当事者であった俺たちには、本当の事が教えられた。

学園の地下にあるシェルターに運び出し、解析したところ、やはり無人機だったそうだ。

詳しいところまでは教えてはもらえなかったが、どこかの組織、あるいは軍関係の仕業なのではないかと、俺たちは推測している。

まぁ、終わったことを蒸し返してもいいことはないので、この話はここで終わりにしよう。

 

 

話は変わって、あれから鈴とは仲直りをし、共に訓練に勤しみ、そして鈴のALOデビュー。

キャラネームは『鈴』という呼び名を、リンから ‘スズ’ と呼び変えただけと言うなんとも安直な付け方だったが、それを言った途端、「あんただって変わんないじゃないのよッ!」とキレられた。

そして、種族はケットシー。

リアルと同じ茶髪の髪に、シリカ達と同じようなネコミミ&シッポ。そして、鈴の特徴でもある長い髪のツインテール。元々ネコっぽい印象があった為か、よく似合っている。

ステータスはSTRーVIT型。パワーと安定性で構成しようとしているみたいで、甲龍の持ち味そのものだ。そして、甲龍で使っていた武器。青龍刀をリズさんに依頼し、作製してもらった。

クエストを共にこなし、スキルを上げていっている。飛行も、先にALOデビューをしたティアことセシリアにレクチャーしてもらっている。元々そういうものに対しては、天才肌なのか、すぐに随意飛行が出来るようになり、空中戦闘なんてお手の物だった……。

今でもシリカの落ち込む様子を思い出してしまう。

 

 

そして、その日の授業は問題なく終了し、明日は土曜日。

カタナは生徒会。キリトさんはアスナさんとお出かけ。

そして、俺はーー。

 

 

 

 

「それで?」

 

「何だよ?」

 

「何か話聞かせろよぉ〜! お前と和人さん以外はみんな女の子なんだろう? いい思いしてんだろうなぁ〜‼︎」

 

「んなわけねぇーだろ、バカ。だいたい、俺もキリトさんも彼女いんだぞ?」

 

 

 

一夏in五反田家。

定食屋を営んでいる親友の家の二階。その親友、五反田 弾の部屋にて、対戦型ゲームで絶賛バトル中だ。

ゲームの名前は、インフィニット・ストラトス スカイバーストだ。フルダイブ型のゲームではなく、一般的なコントローラー式のテレビゲーム。ISが世に出てから、フルダイブゲームが発売されるまでの間に、爆発的に売れたゲームで、過去の選手データを元に、各国代表の機体や選手を自分の手で操作し戦うのだ。だが、機体の能力値などをゲームのシステムで拘束している為、上手く操作出来ずにボロ負けしてしまう事があり、各国の軍事関係者からは、「うちの代表はここまで弱くないッ!」と反発があったようだが、なんとかシステム上の不利を極限まで無くしたのが、今一夏達がプレイしているゲームだ。

SAO事件に続き、ALOでも人体実験が行われていた事が報道で流され、今のVRMMO事情はあまり良くない。

どうやら五反田家でも、俺が囚われた事がきっかけで、家族がVRMMOをする事をよしとしていないみたいだ……。

だが、弾は「いつか必ずアミュスフィアを買って、ALOをやる!」と豪語している。

弾の祖父。五反田 厳さんに殴られなければいいけど……。

 

 

 

 

「かあーー! いいよなぁー! お前も和人さんも! あんなに美人でスタイル良くて、おまけにもう結婚の約束までしてるって言うんだからさぁーー! くう〜! 羨ましいぜ!」

 

「いや、結婚の約束までしてないから……。でも、いつかはしたいと思ってるぜ? 今の俺の年齢じゃ無理だけどな」

 

「はいはい……。リア充はこれだから……。そういえば、鈴が学園に来たんだって? メールが来てたからさ。あいつ、元気にしてたか?」

 

「あぁ、元気過ぎて俺一度殴られてるから……」

 

「まぁそうなるわな……。ちゃんと謝ったのか?」

 

「もちろんだよ。それに、あいつもALOやるっていって、この間から一緒にクエとかやってんだ」

 

「マジか!? そっか……あいつもやってんのか〜ALO……」

 

「それはそうと。お前、隙が多すぎだぜ? えいっ」

 

「なっ!? ちょっと待ーー!」

 

 

 

テレビ画面上の俺のキャラが、弾のキャラを追い詰めていき、最終的にはブレードで斬り裂き、決着となった。

 

 

「ちくしょう〜〜〜〜!!! って言うかお前! 前までめっちゃ弱かっただろうこのゲーム! なんでいきなりこんな強くーー」

 

「いや、お前の動き単調過ぎるから、読みやすい……」

 

 

 

どうやら、SAO事件で変わったのは、本人たちも同じだったそうだ……。

弾がそんな事を考えていると、不意にドアが蹴破られた。

 

 

 

「お兄ィッ! ご飯できたって言ってるじゃない! 早く降りて来なよ!」

 

 

 

蹴破られたドアの先にいたのは、弾と同じ赤みがかった髪に、弾とは色違いのバンダナを巻いて髪を結んでいる女の子。その格好は自宅であるからか、なんともラフであり、ピンクのキャミソールに、青い短パン。しかもへそ下のボタンとチャックが開いているため、ほんのすこしだが、縞パンが見えてしまった。

 

 

「よう、蘭! 久しぶりだな」

 

「へっ?! い、一夏さん!? うわあぁぁぁ!!?」

 

 

俺の存在に気付き、慌てて壁の向こうに隠れる女の子。

この子の名前は、五反田 蘭。弾の妹である。

 

 

「き、来てたんですね…。すみません、はしたないところを……」

 

「あぁ、今日は家の様子を見にな。そのついでで寄ってみたんだ」

 

「そ、そうなんですか……」

 

「おい、蘭。ノックくらいしろよ。はしたない女だと思われるぞ?」

 

「くっ‼︎」

 

「うっ…」

 

 

 

蘭の一睨みで縮こまる兄の弾。

そんな事でいいのか? って思いつつ、自身も姉には敵わないので、人の事言えない。

 

 

「なんで言わないのよッ! 一言くらい言っておいてくれればいいじゃないッ!」

 

「あ、あれ? 言ってなかったけ? そりゃ〜悪かった………あは、あはははは…」

 

 

 

これが五反田家での日常だ。

兄なのだが、この家では祖父の厳さんどころか妹の蘭にも頭が上がらない。

懐かしい様子に、ホッと胸を撫で下してしまう。

そうこうしていると、今度はその厳さんからの呼び出し。

急いで一階の食堂へと降りて、昼食をご馳走になった。

 

 

 

 

「おう、一夏! 久しぶりだなぁ〜おい! 体はもういいのか?」

 

「厳さん! お久しぶりです! えぇ、体の方はもう全然大丈夫ですよ。それと、お見舞いとか心配かけてしまって、本当にすみませんでした! ありがとうございました!」

 

「良いってことよ! おめぇさんが元気になったのなら、それでいい! ほら、とっとと食っちまいな! これは快気祝いだ、俺からのサービスだ!」

 

「いや! そんな、悪いですよ!」

 

「良いってことよ! いいから食ってけ!」

 

 

 

半ば強引に席に座らせられ、卓上に料理が並べられる。

 

 

「はい! お兄ぃはカボチャの甘煮定食でしょ? それと、一夏さんは業火野菜炒め定食ですよね?」

 

「あぁ、ありがとう。じゃあいただきまーす!」

 

 

 

割り箸を割って、早速食べる。

久しぶりに味わう厳さんの業火野菜炒め。程よい野菜のシャキシャキ感に、シンプルな塩コショウの味と醤油がほんのり香る風味が、なんともたまらない。

 

 

 

「あら、一夏くん! もう大丈夫なのかい?」

 

「あぁ、蓮さん! お邪魔してます。体ならもう大丈夫ですよ」

 

 

白い割烹着に三角巾を頭に巻いた女性が近づいて来て、先ほどの厳と同じ事を確認しに来る。

この人は、弾と蘭のお母さん。五反田 蓮さんだ。

両親が幼い時からいなかった織斑姉弟を心配し、まるで本当の母親のように見てくれた人で、篠ノ之一家と並んで、昔からお世話になった人だ。

 

 

 

「そうかい? でも、もっと食べてお肉つけないと! まだこんなに痩せ細ってるじゃないかい!」

 

「あはは……。結構食べてるんですけどね、まだまだみたいです」

 

「そうかい……。まぁ、ゆっくりしていってね? ほら蘭! これ、4番卓さんに!」

 

「はーい!」

 

 

今の時間帯はちょうどお昼時なので、結構人が入りだしてきた。蘭も先ほどから、あっちこっちに注文を取りに行ったり来たりしている。

 

 

「あぁ! そうだ! 一夏くん、彼女さんが出来たって本当?!」

 

「えっ?」

 

 

いきなりの質問に唖然としてしまう。

だがまぁ、隠すことでもないし、今更なので……。

 

 

「えぇ、まぁ、弾から聞いたんですか?」

 

「そうなのよぉ〜! よかったわぁ〜一夏が一生共に生きていきたいって、そう思える人が出来て!

お母さん、嬉しいわ……ッ!」

 

 

 

 

そう言って、目から涙を流す蓮さん。

いや、そりゃあ今までいなかったけれども、それで心配されていたとは……。

ちなみに、この事を蘭に話した時は、思いっきり泣かれた。

その場に厳さんがいなかったから良かったものの、もしいたとしたら、俺は間違いなく血祭りにあげさせられてただろう。

 

 

 

「今度、家に呼びなさい! 私にも紹介しおくれよ!」

 

「あぁ、その時は私もお願いしますね! 楯無さん……でしたっけ? 会って色々話してみたいですし!」

 

 

 

そう言ってもらえると何ていうか、ありがたい。

鈴の時もそうだったし、蘭の時も納得してもらうのにすごく大変だった。

でも、改めて自分がこんなに愛されているのが、分かったような気がする……なんとなくだけど。

そうして、お腹いっぱいご飯をご馳走になり、その日は家の掃除の為、そのまま帰宅した。

 

そして、次の日曜日。

今日は朝から訓練だ。

俺はセシリアと一緒に、キリトさんは鈴が相手をして、カタナの指導の元、シューターフローとサークルロンドと言うのを教えられている。

元々が射撃戦闘型のバトルスタンスなのだが、カタナ曰く、「このご時世、火器が主力になっているのに刀一本で立ち向かうには、あまりに無謀でしょう?」とのことだった。

確かに、いくら白式が速いとはいえ、持っているのは、雪片弐型に、雪華楼のみ。そして、同じくキリトさんもエリュシデータにダークリパルサーの二振りのみ。

ならばせめて、射撃武器の特性を理解しておかなければならない。

だが、それはいいとしてだ……。朝からこのスパルタは厳し過ぎないだろうか?

 

 

 

 

「チナツ! そこからもう少しスピードアップッ! そして、それを維持し続けて!」

 

「りょ、了解ッ!」

 

「キリトも! 速度が落ちてるわよ! もう少し速く!」

 

「お、おう! って、スパルタ過ぎんだろ……っ!」

 

 

 

 

カタナの指導は、とてもわかりやすく効率的だ。俺たちの苦手分野を即座に割り出しては、それを補う訓練メニューを考えつく。

まぁ、鈴やセシリアも一応代表候補生ではあるのだが、

 

 

 

 

『はぁ? そんなもの感覚よ! 感覚! わかるでしょ?』

 

 

と鈴。いや、分からないから聞いているんだが……。

 

 

 

『回避の時は、体を左斜め45度! 防御の時は、右斜め25度が最適ですわ!』

 

 

 

とセシリア。ごめんなさい、余計分からないから……。

 

とこんな感じだ。ちなみに箒にも教えてもらったことがあったが、その時は……。

 

 

『グイッと言う感じだ! ズガァーンって言う具合だ!』

 

 

らしいです。

 

 

まぁ、感覚的な問題なので、分からなくはないのだが、個性的過ぎて分かりずらくなる事もある。

その分、カタナのは覚えやすいし、スゥーっと頭の中に入ってくるのだが、その分スパルタ過ぎる。

今日もこのシューターフローとサークルロンドだけしかしていないのに、結構な疲労感が襲う。

流石に勝手が違うため、この日だけではこの2つの習得には至らなかった。

 

 

 

その後は昼食を学生寮の食堂で取り、午後からは自由に過ごした。夕方からはみんなで予定があるので、少ない時間だが、簪の専用機の作製なんかも手伝ったりして……そして、約束の時間だ。

 

 

 

 

「チナツくん、カタナちゃん! もうそろそろ行かないとッ!」

 

「はーい! 今行くわねぇ〜!」

 

 

整備室の入口から、明日奈が呼ぶ。その後ろには、和人とセシリア、鈴が待っていた。

 

 

「簪、今日はこれくらいにしよう。そろそろ時間だし…」

 

「うん! ありがとう、一夏、お姉ちゃん」

 

「どう致しまして♪ ほら、簪ちゃんも早く早く!」

 

「あわわ…ま、待ってよ、お姉ちゃんッ!」

 

 

 

そう言いながら、簪の手を取って整備室を後にする刀奈。

そして、その後を追う一夏。

今日はこれから大事なイベントがあるのだ。

それはーー

 

 

 

 

 

「でもいいんですの? わたくしたちもそのぉ……『オフ会』と言うものに参加しても……」

 

 

 

おずおずと尋ねるセシリア。

そう、今日はSAOをクリアしたキリトさんを祝うためのオフ会を、エギルさんの店で行うのだ。

SAOクリア後、皆現実世界での生活を着々と進めていき、俺たち学生はSAO帰還者専用の学校へ入学。成人の人たちは政府からの援助によって仕事への復帰も叶った。

まぁ、俺たちはISを動かしてしまった為に今こうなっているのだが……。

ここ最近は忙しく、ALOでしか会えなかったのだが、今日は久しぶりにリアルでの顔合わせになる。

 

 

 

 

「もちろんよ! セシリアちゃんに鈴ちゃんもみんなとは向こうであっているんでしょう?」

 

「えぇ、まぁ、何度か一緒にクエストをやりましたわね……」

 

「簪もこの間、リーファと一緒にクエに行かなかったっけ?」

 

「うん。リー…直葉がほしいアイテムがあったらしくて……」

 

「なら、みんなとは向こうで顔は合わせてるんだろ? だったら問題ないと思うぞ?」

 

「まぁ、あんた達が良いって言うなら別にいいけど……」

 

 

 

刀奈に続き、一夏、和人が促し、三人を連れて行く。

一行は、モノレールに乗って学園を離れ、東京の下町にあるエギルことアンドリュー・ギルバート・ミルズが営んでいるダイシーカフェへと向かう。

 

 

 

 

「おーい! お兄ぃ〜ちゃ〜ん!!!」

 

「お! スグ! 悪い、待たせたか?」

 

 

都市部に入ったところで、一人の女の子がこちらに手を振って呼んでいる。

名前は、桐ヶ谷直葉。和人の妹…正確には従兄妹。

ALOをやっているゲーマーでもあり、SAO事件終了後に、ALOで囚われの身になった明日奈を救出すべく、ログインした和人、一夏、刀奈を世界樹《ユグドラシル》まで導いた人物だ。

ALOではシルフ族の長刀使い、リーファとして活動しており、同じシルフ族の刀使いである一夏ともよくクエストをやっている。

 

 

 

「ううん、私も今来たとこ!」

 

「よお、直葉! 久しぶりだな」

「うん! 一夏くん久しぶり! それに、楯無さんに明日奈さんも!」

 

「久しぶりぃ〜直葉ちゃん!」

 

「今日は来てくれてありがとうね、直葉ちゃん」

 

 

 

一夏と刀奈、明日奈ともリアルでは何回か顔を合わせているが、入学してからは、中々会えなかったのだ。

久しぶりの再会に、お互い話が進む。と、そこで直葉が後ろからついて来ていた三人の存在に気付く。

 

 

 

「えぇっと、お兄ちゃんこの人たちは?」

 

「こちらでは、‘初めまして’ ですわね直葉さん。わたくしはセシリア・オルコット。ティアと言えばお分かりいただけまして?」

 

「えっ!? ティアさん?!」

 

「じゃあ私もね。中国出身の凰 鈴音よ。向こうじゃスズだけど」

 

「ええぇぇッ!! スズさんも?!」

 

「直葉、私は、わかる? 更識 簪です」

 

「あー!! カンザシちゃんも!」

 

 

ALOでしか会ったことがない三人に会えるとは思ってもいなかったためか、驚きを隠せない直葉。

 

 

 

「へぇー! 本当にみんなIS学園の生徒さんなんだねぇ〜! いつもお兄ちゃんがお世話になってます!」

 

「いえいえ、そんな……。むしろわたくしたちの方こそ、ALOの事や剣技の事で、色々と教えていただいてますし……」

 

「まぁ、そうよねぇ〜。それに、直葉には一夏がお世話になったし……」

 

「私も、お姉ちゃんがお世話になってます」

 

 

 

三人ともリアルで初めて会う直葉と挨拶を交わし、エギルの店へと向かう。

 

 

 

「そう言えば、みんなはエギルと会ったことあったけ?」

 

「うん! 向こうで何回か狩りしに行ったよ。おっきい人だよねぇ〜」

 

「アメリカの方だと聞きましたが、随分と日本語がお上手でしたわね……」

 

「日本の生活が長いのかしらね?」

 

「なんか、生粋の江戸っ子みたいな感じ……」

 

「リアルも向こうと同じだからなぁ…絶対びっくりするぞ」

 

 

 

そんな話で盛り上がり、すばらくすると目的の店が見えた。

ダイシーカフェと表された看板の下には、『本日貸切』の掛札が掛けられていた。

和人が先頭に立ち、入り口のドアを開ける。と、中には参加メンバー勢揃いでの出迎えが待っていた。

 

 

 

「おいおい……俺たち、遅刻はしてないぞ?」

 

「ふっふーん♪ 主役は最後に登場するものですからねぇ〜。チナツに頼んで、あんた達にはちょっと遅い時間を伝えていたのよ」

 

「チナツ、お前……」

 

「あはは……リズさんには逆らえないので……」

 

「ほら、みんな入って! それから、あんたはこっち!」

 

「とッ!? お、おい!」

 

 

 

リズベットこと篠崎 里香に連れられ、和人は壇上に上がり、他のみんなは参加していたクラインこと壷井 遼太郎からドリンクを受け取り、配置に着く。

そして……

 

 

 

「えー、それではみなさん! ご唱和ください! せーのっ‼︎」

 

『『『キリト! SAOクリア! おめでとうッ!!!!』』』

 

 

 

里香の合図で、和人を祝福する声と大量のクラッカーの音が、店内に鳴り響く。

そして、和人の後方にある壁から垂幕が下がり、手書きで書かれたCongratulations!の文字。

 

「あ……あぁ……」

 

「はい! これ持ってぇぇ〜〜かんぱぁ〜〜いッ!!!」

 

『『『かんぱぁ〜〜いッ!!!!』』』

 

 

 

こうして始まったSAOクリアを祝するオフ会。

女子は女子で、新たに仲間となったセシリアたちを中心に話が進み、男は男でリアルの仕事事情や生活っぷりの雑談など、みんな、思い思いに楽しんでいた。

そして、俺たちはーー

 

 

 

「マスター。バーボン、ロック」

 

「じゃあ、俺も同じので」

 

 

カウンターに座り、マスターであるエギルに注文する。

すると、二人の目の前にロックグラスに入った茶色の液体が配られる。

差し出した本人を見てみると、「ふんっ…」と鼻で笑って見ている。

まさか、本当にバーボンなのか? と思い、少しだけ飲んでみる。そしたらそれは……

 

 

「なんだウーロン茶か……」

 

「まぁ、当たり前ですけどね。俺たち未成年ですし」

 

「エギル! 俺には本物くれ!」

 

 

そして、一夏のとなりに遼太郎が座ってきて、本物のバーボンを頼む。

 

 

「クラインさんいいんですか? この後会社戻るんじゃないんですか?」

 

「プッハァ〜〜! 残業なんて飲まずにやってられるかってぇーの! それに……ウフフ……♪」

 

 

 

下心満載の目で女子メンバーを見るその姿は、まるで不審者のようだった。まぁ、これは本人には言わないでおこう。

 

 

「やぁ、久しぶり」

 

「ああ! シンカーさん!」

 

 

 

今度は和人のとなりに、かつてアインクラッド解放軍のギルドリーダーであったシンカーが座る。

クラインがワイシャツの袖をまくり、頭にはトレードマークのバンダナを巻いている異様な格好なのに対し、シンカーはきちんとした格好のいかにもサラリーマンというような感じだ。

 

 

 

「そう言えば、ユリエールさんと入籍されたそうですね。遅くなりましたが、おめでとう!」

 

「いや〜まだまだ現実に慣れるのも精一杯といった感じなんですけどねぇ…」

 

「いやー、実にめでたい! そう言えば見てるっすよ、新生MMOトゥデイ!」

 

「いやぁ〜お恥ずかしい。まだまだコンテンツなんかも少なくて、今のMMO事情だと、攻略データやニュースなんかも無意味になりつつありますしね……」

 

「正に ‘宇宙誕生の混沌’ って言う感じですね…。それでエギル。どうだ? その後、種の調子は?」

 

 

そう言って、全員がエギルの方を向く。

するとエギルは、カウンターの傍に置いてあったパソコンの画面をこちらに向ける。

 

 

「すげぇ〜もんさ。およそミラーサーバーが50、ダウンロード数が10万、実際に稼働している大型サーバーが300ってところだな」

 

 

 

ALO事件の終盤、和人が妖精王オベイロンを自称していた須郷を倒し、ネット世界に意識だけをスキャンさせ、存在していたヒースクリフこと、茅場 晶彦と対峙し、彼が言う世界の種子《ザ・シード》を受け取った。

そしてそれをエギルの店に持って行き、解析した結果、フルダイブ環境を動かすプログラムパッケージだという事が分かった。

これにより、誰もが簡単に異世界を作れるようになり、今では様々なタイトルのVRMMOが誕生し、それまで死に絶える筈だったVRMMOは息を吹き返した。

ALOも違う運営会社に、システムの全てが移り、ALOも無事再開された。

そして、ザ・シードがもたらしたのはプログラムの基本骨子だけではなく、そこから他の世界のゲームに、自身のアバターをコンバート出来るようにもなったのだ。

茅場 晶彦がどう言った理由でザ・シードを和人に託したのかは和人自身しか、もしくはその和人ですらわからないかもしれないが、彼の残した技術が、今後もVRMMOを支えていくことには間違いはないだろう。

 

 

 

「おい、二次会の予定に変更はないんだよな?」

 

「あぁ、今夜11時。イグドラシルシティ集合だ」

 

 

 

盛り上がる店内。男達はカウンターで話し込み、女性陣は復帰後の話をしながら、再会した喜びに浸っていた。

そして、その様子を、眺める四人の姿。

 

 

 

「皆さん…とても楽しそうですわね……」

 

「ほんとねぇ〜。あんな一夏も初めて見たし…」

 

「私も、お姉ちゃんがあんなに笑ってるとこ、初めて見たかも……」

 

「なんだか……みんなのいるところが、遠く感じちゃうなぁ……」

 

 

 

初めて参加したオフ会。

そして、同じ世界を生き延びたSAO生還者達が集うこの場において、セシリア、鈴、簪、直葉の四人は、なんだか気まずさと言うものいだいていた。

 

 

そうなことを知らず、周りは大いにはしゃぎまくっている。

その時一夏は、シンカーと何やら話し込んでいた。

 

 

「やぁ、チナツくん……隣、良いかい?」

 

「シンカーさん? えぇ、どうぞ」

 

 

そう言って、一夏の隣に座り、共にドリンクを飲み始める。

 

 

「久しぶりだね。こうして飲むのはいつ頃以来になるかな……」

 

「そうですね……俺が軍を抜ける前なので、大体一年半ぐらいじゃないですか?」

 

「そうか……。もうそんなに経つんだねぇ……」

 

 

 

昔、SAOにおいて、一夏とシンカーは同じギルドに所属していた事があったのだ……。

言わずも知れたアインクラッド解放軍である。

シンカーがそれをまとめるギルドリーダーであり、一夏はその陰で、単独での治安維持活動をしていた頃があった。

会うのは一夏が軍を抜けて以来。その頃は特にいろいろあったのだ。

 

 

 

「チナツくん……私は君に…」

 

「もう終わったことですよ」

 

「しかし!」

 

「シンカーさん。俺は確かにあの時、いろんなものに絶望しましたよ……大切なものを失くして、生への執着なんてものもなかった……でも…」

 

 

 

そう言って、一夏はふと刀奈の方を向き、愛おしそうに眺める。その顔を見たシンカーは、何も言えなかった。

 

 

 

「俺にはもう、大切な人がいますから……何があっても、どんな事をされても、守り抜くと誓った人がいます……。

俺は……もうあの時とは違いますよ?」

 

 

 

光に満ちたその瞳を見たシンカーは、もう何も言わず、ただただ微笑んでいた。

 

 

「分かった……。もう何も言わないよ。君には、絶対幸せになって欲しい」

 

「えぇ、いつかはわからないですけど、俺もカタナと結婚を前提に進めていきますよ。

あぁ、それと、入籍おめでとうございます! シンカーさん。ユリエールさんと幸せになって下さいね」

 

「あぁ、ありがとう。お互いこれから大変になるね」

 

「あはは!」

 

 

 

最後には笑って終わる。後腐れなく、これから訪れる未来のために今は全力で生きると、二人は誓ったのだった。

 

 

そして、その日の夜。

時間はPM11時前……。

一匹の妖精が世界樹《ユグドラシル》の近くの空を思いっきり早く、高く飛んでいた。

なびく金髪をポニーテールで結い、緑色の羽根がなんとも綺麗だ。

その正体は、言わずと知れた和人の妹の直葉……もとい、リーファだ。

リーファはさらに加速すると、今度は月に向かって上へ上へと上昇していく。

雲を突き抜け、どんどん近づいて行っていたが、途中で飛行が中断された。

目の前には『飛行限界高度』と赤い注意表示が出でおり、リーファはそのまま地上に向かって落下していく。

 

 

 

「っ……‼︎」

 

 

 

落下していく最中、今日行われたオフ会のことを思い出す。自分やセシリア達以外は、デスゲームを生き抜き、絆を深めたメンバー達だった。そんな中に自分達の入る余地はないのではないかと思うと、すごく怖かった。

自然と両手が、自身を守るように体を抱きしめる。

そんなことをしていると、雲の中へと入りそうだった。

だが……入った瞬間、誰かに捕まえられた。

その正体は……

 

 

 

「どこまで登っていくのか心配したぞ? 時間だから迎えに来たよ」

 

 

リーファの兄であり、自身が少しの間好意を寄せていたキリトこと和人だ。

以前共に旅に出たときと同じ装備の姿だったので、すぐに分かった。

リーファは「ありがとう……」と言うと、キリトの腕から離れ、ホバリングしてその場で停滞する。

 

 

 

「ねぇお兄……キリトくん。ALOの運営会社が変わって、前のアバターが使えるようになったのに、何で、前のアバターに戻さなかったの?」

 

「うーん……」

 

 

リーファの質問に、キリトは少しばかり考え込んで、こう答えた。

 

 

「あの世界でのキリトの役目は……もう、終わったんだよ……」

 

「……そっか。じゃあスプリガンのキリトくんと初めて会って、初めて旅をしたのは、私なんだ……」

 

 

 

そんなことを言うリーファの顔は、どこか安心した様な、それでいて、とても嬉しそうな顔だった。

 

 

 

「ねぇキリトくん! 踊ろう?」

 

「え?」

 

「最近開発された高等テクなの。羽根をゆっくり動かして、ホバリングしながらゆっくり動くんだよ」

 

「へぇ〜……ん、よっ……」

 

「そうそう! うまいうまい!」

 

 

 

 

そう言って、今度はアイテムを取り出し、右手に持った小瓶の蓋をあける。

すると、中からはまるでオーロラの様な幻想的な煙が漂い、キリトとリーファを周りを色鮮やかに彩る。

 

 

 

 

 

一方、チナツ達は……。

 

 

 

 

 

「ねぇ、そろそろ何を見せたいのか教えなさいよ」

 

「ダメだ。着いてからのお楽しみなんだよ」

 

「ですが、アルンへは私も何度か行きましたし、そう驚くような物は、多分無いと思うのですけれど……」

 

「あぁ、それなら大丈夫よ? これから行くのは、アルンじゃ無いし」

 

「じゃあ、何処に行くの?」

 

「それはカンザシちゃんにも秘密ぅ〜♪」

 

 

 

チナツとカタナは、この日オフ会に参加した三人。セシリアことティア、鈴ことスズ、簪ことそのままカンザシを連れて、キリトと同様、アルンへと向かって飛んでいた。

三人はALOで二次会をする……という事を聞いてはいたが、どこで何をするのかは聞いていない。それを聞くと、チナツとカタナは執拗に「着いてからのお楽しみ♪」と話してくれないのだ。

リアルと同じ髪型で金髪の髪に、エメラルドの瞳。白と黒基調とした燕尾服の様な外套。袖は捲られて、七分袖になっており、リズ作の刀《クサナギ》を腰に差したシルフの少年、チナツ。それとと同じく、リアルと同じショートカットの髪で癖っ毛が外側に跳ねていて、リアルよりも濃く混じり気の全くないコバルトブルーの髪に、同じくコバルトブルーの瞳。まるでくノ一装束の様な和服に、下は黒いスカートに黒いニーソ。SAO時代と違うのは、上の服の色が赤から水色に変わったぐらいか……。

そして、その背中にはその存在感を示している蒼い長槍。これまたリズ作《蜻蛉切》を背負っている少女、チナツの恋人であるカタナだ。

そして、それに続く形で後ろから追付いする三人。

サファイアブルーの髪と瞳。ゆったり目のドレスの様な服が、幻想的な雰囲気を漂わせている少女、ティア。

手に持った杖《ザード》は青色を帯びており、月光と合わさると程よい光を放つ。

それと、茶髪の髪に紅い瞳。特徴的なのは、大きなネコ耳とツインテールそして、腰から生やした尻尾。ティアとは違い、短パンにブーツ、体にぴったりとフィットした黒いインナーに赤い半袖のジャケットを羽織った、いかにもすばしっこそうな雰囲気がある少女、スズ。

得物の青龍刀《宝剣・光姫》を背中に差している姿は、物語なんかに出てくる精霊のようだ。

そして最後にカタナと一緒に飛んでいるもう一人のウンディーネ。カタナと同じショートカットだが、その癖っ毛は内側に向いており、リアルと遜色ない水色だが、瞳は紫色で、どこか魅惑的だ。

服装は、大人し目な感じで、黒いインナーに上は白と水色を基調したジャケット。白いスカートでブーツというシンプルな感じだ。背中には薙刀《鬼灯》がある少女、カンザシ。名前は姉と同じようにリアルと同じ名前にしたそうだ。

 

 

「それで、カンザシとティアは飛ぶのにまだ慣れないか?」

 

「はい……。コントローラー無しで飛べるようにはなりましたが……」

 

「まだ、少しぎこちない……」

 

「まぁ、それは慣れよね……。そう言えば、スズちゃんは難なく飛んでいるわよね?」

 

「まぁ、そんなに飛び方にこだわりを持ってるわけじゃ無いし……感覚の問題じゃない?」

 

「うわぁ〜……前に同じことをカタナの口から聞いたなぁ〜それ……」

 

 

 

ALO事件当初の事を思い出し、少しデジャブっているチナツ。自身も飛ぶのには早い内から慣れてはいたが、カタナやスズほど早くはなかった為、何とも言えない感に包まれている。

 

 

「っと、チナツ、もうそろそろ時間じゃない?」

 

「ん? うわ、ほんとだ! 急がねぇと……二人とも少し急ぐぞ!」

 

「へ?」

「ふぁ?」

 

「カンザシちゃんはお姉ちゃんと一緒にね♪」

 

「え?」

 

 

 

チナツらスズとティアの手を、カタナはカンザシと手を取ると、一気にトップスピードで加速する。

いきなりのことに三人とも驚いていたが、徐々に接近する世界樹《ユグドラシル》の存在に気付き、視線を奪われる。

 

 

 

 

 

そして、その頃、キリトとリーファは……

 

 

 

 

「私、今日は、ここで帰るね……」

 

「えっ? なんで?」

 

 

 

一通り踊った後、急に手を離しては、そのような事を言うリーファに驚き、聞き返すキリト。

 

 

 

「だって……遠いよ。お兄ちゃん達のいる所……私じゃ、そこまで行けないよ……っ‼︎」

 

「スグ……。そんなことない! 行こうと思えば、何処へでだって行けるんだ‼︎」

 

 

 

するとキリトは、リーファの手を再び握り、一気に加速して、ユグドラシルに向かう。

その途中、11時を報せる鐘の音が鳴り響く。

その鐘の音を聞いた途端、キリトが急停止し、その場にとどまる。勢い余ってキリトの胸元にダイブする形で停止したリーファをキリトは優しく抱きしめて止める。

 

 

 

「リーファ、あそこ!」

 

「え?」

 

 

指差された方向には、今なおALOの空を美しく彩っている大きな満月があるだけだ。

 

 

 

「月が、どうかしたの?」

 

 

当然の疑問だ。だが、そのリーファの疑問は月のその奥からやってくる大きな影にによって振り払われた。

 

 

「なっ……あれは……」

 

 

 

やがて、その大きな影が月の前で止まり、全体の灯りが灯った。その輝かしい光はその影を払拭し、影の正体を暴く。そこにあったものは、積円型の大きな構造物だった。

下から上へと上がっていくごとに、その幅が大きくなり、やがては収束して途切れている。

そう、その建物こそが……

 

 

 

「あれは…もしかして……」

 

「そうだ……あれが、浮遊城《アインクラッド》だ」

 

「なっ!? なんで、そんなものが?!」

 

 

 

かつては兄を…キリトを奪い、閉じ込め、最後には消えて無くなった城が今ここにある。

その光景をリーファは信じられなかった。

そして、チナツ達の方も……。

 

 

 

 

「な、何よ、あれ‼︎」

 

「大きい……城?」

 

「一体、あれはなんですの……?!」

 

 

 

突然現れた巨大な城の迫力におされ、目を見開いていた。

 

 

 

「あれは…私たちが二年間戦い続けた場所…」

 

「全100層からなる浮遊城《アインクラッド》だ!」

 

「「「ッ!!!」」」

 

 

 

カタナとチナツの答えにさらなる驚きを隠せない三人。

 

 

 

「でも、なんであんなもんがあるのよ? SAOは…もう無くなったんでしょう?」

 

「いや、まだだ……!」

 

「えぇ、まだ……終わりじゃないわ!」

 

「どういうことですの?」

 

「……今度こそ、あの城を100層全部攻略して、あの城を征服するーーッ!!!」

 

「そして、私たちの二年間に、終止符をうつッ!!!」

 

「じゃあ……これが、お姉ちゃんたちの見せたかったもの……?」

 

「ああ!」

「ええ!」

 

 

 

 

満面の笑みで、カンザシの問いに答える二人。

その目は、とてもキラキラしていて、まるで新しいおもちゃをもらった子供のようだった。

 

 

 

「なぁ、ティア、スズ、カンザシ……」

 

「「「???」」」

 

「今度のアインクラッドは、以前と比べてかなりモンスターが強力なってるみたいでな……だから、手伝ってくれないか? あの城の攻略をさ…」

 

「「「ッ!!!」」」

 

「みんながいてくれたら、お姉さんも嬉しい〜なぁ〜♪ だから、みんなの力を貸して……っ! 今度は、みんなであの城を落とすわよ‼︎」

 

 

 

 

そう言って、手を差しのばす二人。

二人の言葉に、カンザシとスズは涙を流しながら手を握り、それを見たティアもまた、チナツに手を伸ばし、握る。

 

 

 

「うん! 今度は、一緒に‼︎」

 

「私が力を貸してやるんだから、攻略なんて楽勝よ!」

 

「わたくしの華麗な魔法で、頂上まで導いてさしあげますわッ!!」

 

 

 

 

覚悟は決まった。各々は、新たな決意を胸に、その羽根を羽ばたかせる。

 

 

 

そして、キリトとリーファも……

 

 

 

 

「決着をつけるんだ……‼︎ 今度こそ、100層全部攻略して、あの城を征服するーーッ‼︎

リーファ、俺、ステータスをリセットして弱っちくなっちまったからさ……手伝ってくれよなーー!!!」

 

「っ!」

 

 

キリトの言葉は、今まで凍りついていたリーファの心をそっと溶かしていった。

そして、その瞳からは、自然と涙が流れた。

 

 

「うん! 行くよ! お兄ちゃん達と、どこまでも、一緒に!!!」

 

 

そっと抱き合い、二年越しに届いた想い。

今度は一緒に行ける。

そう思うと、胸がドキドキし、熱くなった。

 

 

 

「おーい! キリトォォッ!!!」

 

 

声のする方向を見ると、そこには、新たな姿で空を飛ぶ仲間たち。

サラマンダーのクライン。ノームのエギル。レプラコーンのリズベット。ケットシーのシリカと相棒のフェザーリドラのピナ。

そして……

 

 

「キリトさ〜ん!!!」

 

「キリト〜〜!!!」

 

 

新たに三人の仲間を引き連れ、キリト達の元へとたどり着いた妖精達。

シルフのチナツ。ウンディーネのカタナ。ウンディーネのティア。ケットシーのスズ。ウンディーネのカンザシ。

 

 

 

「先に行くぞぉぉ!!!」

 

「お先ッ!」

 

「ほら!」

 

「早く‼︎」

 

 

 

みんながキリト達を追い抜いていく。

そして、その後を一羽の妖精が辿り着く。

 

 

 

「さぁ、行こう。キリトくん! リーファちゃん!」

 

「ほら、パパ早く!」

 

 

最愛の恋人のアスナと愛娘のユイ。新たにウンディーネとしてログインした彼女は、水色の髪に白いワンピースのような服と、彼女の象徴とも言えるレイピアを腰に差し、ユイはユイで、ナビゲーションピクシースタイルで、キリトの肩に乗っかる。

みんなが集まり、視線を一点に集める。

今ここに出現した浮遊城に向かって、希望にあふれた眼を向けて……。

 

 

 

「よし! 行こうッ!!!」

 

 

 

 

キリトの言葉とほぼ同時。

新たなゲームの幕開けに、プレイヤー達のボルテージは最高潮。

過去の因縁に決着をつける為に……。あの時出来なかった、共に頂上へと登る為に……。

各々が各々の目標を胸に、今、飛び立った……。

 

 

 

 

 

 

 






次回はとうとうあの二人と登場ですね……。

頑張らないとッ!!!

感想待ってまーす^o^


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