ソードアート・ストラトス   作:剣舞士

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ISとSAOのクロスものがいっぱいあるのでかぶらない様に頑張って書きますので応援よろしくお願いします!!!





プロローグ

「キリトさん!!!」

 

「ダメェ!!! キリトォォォォ!!!」

 

「キリト君ッッッ!!!」

 

 

 

 

 

アインクラッド第75層で繰り広げられたボス攻略戦。

クォーターポイントである第75層のボス〈ザ・スカルリーパー〉との戦闘は、一言で言えば悲惨なものであった。

これまでボス戦を戦いぬき、熾烈な最前線を戦ってきた攻略組のメンバー、14名の尊い犠牲の元、俺たちは何とか生き残る事が出来た。

ユニークスキル《二刀流》を携えた黒の剣士 キリト。その恋人でアインクラッド最強ギルド 血盟騎士団の副団長にして《閃光のアスナ》の二つ名をもつアスナ。

俺の恋人で、ユニークスキル《ニ槍流》を携え、水色の髪に紅い瞳が特徴的な少女 カタナ。

そして、第1層 始まりの街でからキリトと共に歩み、同じユニークスキル《抜刀術》を携えた白の抜刀斎 チナツ。

 

 

俺たちは何とかスカルリーパーを倒し、安堵と失望に苛まれていた。するとキリトさんが立ち上がり、あろう事か攻略組を率いていた血盟騎士団団長のヒースクリフに対し、ソードスキルを発動させた。誰もが彼の驚愕の行動に驚いたが、その後に起きた事象がその場にいた全員を震撼させた。

 

 

 

「なッ!? …………システム的不死?!」

 

「どうなっているんだ!?」

 

「団長…あなたは一体…ッ!?」

 

 

突如ヒースクリフのアバターの頭上に現れた文字に誰もが驚いた。それはアスナさんに俺にカタナも全員がそうだ。

 

 

 

「まさかとは思っていたが…やっぱりな。ずっと俺たちのそばにいて、監視していたんだろ? ヒースクリフ……いや、『茅場 晶彦』ッ!!!」

 

 

 

そう、誰もが最強だと思い、このゲームを終わらせるにあたり最も重要な人物だと思っていたヒースクリフの正体が…この世界を作り、一万人のプレイヤーを閉じ込め、デスゲームへと変えた張本人。茅場 晶彦本人だったのだ。

 

 

その後、キリトさん以外の全攻略組メンバーがシステムによって強制麻痺状態となり、ヒースクリフはキリトさんに一対一のデュエルを申し込んだ。しかし、それはただのデュエルではない。本当の命がかかったただの殺し合いを意味していた。

 

 

「やめろぉぉぉ!!! キリトォォ!!!」

 

「キリト!!!」

 

 

同じく攻略組で俺たちの兄貴分であった風林火山のリーダー クラインさんと自ら保護者と言っていた商いの斧戦士 エギルさんがやめさせる様に叫ぶ。

 

 

「クライン…第1層でお前を見捨てた事、ずっと謝りたかった…すまなかった…」

 

「ばっかやろおぉぉ!!! 謝ってんじゃねぇぞ!! リアルでなんか奢って貰わなきゃ承知しねぇからな!!!」

 

 

 

涙を流し、絶対に生き残れと言う思いをキリトさんに対して叫ぶクラインさん。

 

 

「エギル…お前が店で稼いだ金で中層エリアのプレイヤー達のレベル上げなんかに貢献してたのは知っているぜ」

 

「…ッ!?」

 

「お前がいてくれたから、中層プレイヤー達は生き残れた…。ありがとな…」

 

「…ッ!!! クソォッ!!!」

 

 

 

なにも出来ないとわかっているエギルさんは自分に対して怒りをあらわにしていた。

 

 

「カタナ…いつもお前のイタズラに引っ掻き回されて、正直大変だったけど、お前のその性格が、俺たちを絶望から這い上がらせてくれたんだ……ホントにありがとう…チナツと、これからも幸せにな…」

 

「キリト…約束しなさいッ! 絶対に………絶対に、勝ちなさい!!!」

 

 

 

もはや、それすらも怪しい。なんせ、このヒースクリフはこの世界で唯一キリトさんを倒した男なのだから。それでもカタナは叫ぶ。勝って来いと…。

 

 

 

「チナツ…」

 

「キリトさん…」

 

「ビーターって言われてた俺なんかをずっと慕ってくれて、ありがとう。お前がいたから俺は一人じゃないと思えたんだ…絶対にカタナを守れよ? 約束だからな…」

 

「キリトさん……なら俺からも約束です! 絶対に勝って、みんなで現実世界に帰りましょう!!! そして…そして……またみんなで集まって、遊んだり、話したり、いろんな事をしましょう!!! 約束ですよ!!!」

 

「あぁ、約束だ…」

 

 

 

俺の言葉を受け、最後に恋人であるアスナさんに視線を向けるキリトさん。しかし、言葉はかけず、まっすぐヒースクリフを見つめる。

 

 

「ひとつ約束してくれ…」

 

「何かな?」

 

「俺もそう簡単に負ける気はないが、もし、俺が死んだ時は…しばらくでいい。アスナが自殺しない様に取り計らってくれ……ッ!」

 

「ッ!!!?」

 

 

 

その言葉にアスナさんは驚いた。しかし、ヒースクリフはそれを了承し、向き合う。

 

 

「キリト…君…そんなの…そんなのないよぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 

アスナさんの叫びがボス部屋内に木霊する。しかし、その叫びは届かず、二人の最強による、本物の命をかけたデュエルが始まってしまった。

 

 

 

「てぇええやあぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

キリトさんの怒号と共に、繰り出される二刀流の剣閃。しかし、その全ての剣がヒースクリフの盾によって弾かれる。俺たちと同じくユニークスキル《神聖剣》をもつヒースクリフ。攻守一体のスキル、そして、なんと言っても最硬と言われたリベレイターの盾による圧倒的な防御力の高さ。中々通らない攻撃に徐々にフラストレーションが溜まっていく。そして、痺れを切らしたのか、二刀流において最上級スキルにあたり、最強にして、最多連撃のソードスキル。ジ・イクリプスを発動させる。…が、それすらも盾で受けきり、同時にスキルを使った後に起きる長い硬直がキリトさんを縛る。

 

 

 

「さらばだ…キリト君!!!」

 

 

 

その言葉と共に、上段に掲げたヒースクリフの剣が深紅に染まり、キリトさんめがけて振り降ろされた。

 

 

 

「キリトさんッ!!!」

「キリトッ!!!」

 

 

 

思わず、俺とカタナは叫んだ。しかし、その剣がキリトさんに当たる事はなかった。その代わりに誰もが動けないでいる中、唯一一人だけ動き、剣を受けたものがいた。……そう、キリトさんの恋人であるアスナさんだった。

 

 

 

「ッ!!! そんな…アスナ…嘘だ…こんな…こんなの…ッ」

 

「………………ごめんね」

 

 

 

最後の言葉を残し、粒子となって消えたアスナさん。それを拾い集めるかのように光の粒子を追うキリトさん。その場に残されたアスナさんの愛剣〈ランベントライト〉だけが、光り輝いていた。

 

 

そして、無情にもキリトさんの体を突き刺すヒースクリフ。キリトさんのその目は、もう死んでいた。誰もが終わったと思った…その時だった…。

 

 

 

「……うっ…くっ…まだだ…ッ!」

 

「んッ?!」

 

「くっ……まだだッ!!!」

 

「な…ッはぁッ!!?」

 

 

 

 

体は透明になり、今にも消えそうになっているキリトさん。しかしその足は一歩ずつヒースクリフに近づき、やがて左手に持ったランベントライトがヒースクリフの体を突き刺した。

 

 

 

「これで……いいかい…?」

 

 

 

そう言って、キリトさんとヒースクリフは共に光の粒子となって消えた。

突如、真っ白な空間に引き込まれ、そこで俺は、最愛の人、カタナと向き合う。

 

 

「これは…」

 

「私たちの意識が現実世界に戻り始めているのね…」

 

「そっか…もう終わったんだな…」

 

「そうね……。ねぇ、チナツ…」

 

「なんだ?」

 

 

改まって俺を見るカタナ。ずっと思い、愛している彼女。今更ながら、よく自分が付き合い、結婚まで出来たと思う。

 

 

「名前…教えて。本当の、現実世界の名前」

 

「一夏。織斑 一夏……これが俺の名前。たぶんリアルじゃ十五歳だと思う」

 

「一夏…そう、これがあなたの名前ね…私はね、更識 刀奈。十六歳です…」

 

「更識……刀奈…」

 

 

 

俺たちは互いにリアルでの情報を交換し合い、そして抱きしめ合い、キスをした。

 

 

 

「待っててくれ刀奈。絶対に君のところへ行くから」

 

「うんッ! 待ってる。早く来ないと、私から会いに行っちゃうからね♪」

 

 

 

最後の言葉を交わし、そしてもう一度キスをする。やがて彼女温もりが消え、俺の意識はなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、こは…」

 

 

 

見知らぬ天井。そして、全体が白を占めている部屋のベッドの上で俺は目覚めた。

 

 

(どこだここ? 家? いや、違う。くそ、体が…)

 

 

 

二年もの間、全く動かす事がなかった体は目に見えて痩せ細っており、起き上がるだけでも一苦労だった。そして、頭につけられたナーヴギアを取り外す。その中からは二年間、伸びに伸びた長い黒髪が垂れ落ちる。

 

 

 

(俺は……帰ってきたのか…現実に……刀奈…ッ!)

 

 

 

約束した。必ず会いに行くと。

 

 

 

ガシャアァン!!!

 

 

「ん?」

 

 

突如、部屋に響いた何かが割れる音。耳がよく聞こえない状態ではあったが、なんとかその音がした方を見た。そこに立っていたのは…。

 

 

 

「一…夏…?」

 

「あぁ…ッ。千、冬…姉…」

 

 

 

挙げるのも一苦労な左手を伸ばし、その名を呼ぶ。俺の唯一の家族にして、姉の織斑 千冬がそこに立っており、その足元には落として割れた花瓶と花が散らばっていた。

 

 

 

「〜〜〜〜〜ッ!!! 一夏ッ!!!」

 

 

 

すかさず俺に抱きつき、俺が今まで見た事がないくらい号泣する千冬姉。とても心配させてしまっていたのだと、そして、こうやって抱きしめてくれる姉の愛情に心打たれる。

 

 

「い、たいよ…千冬…姉。……でも…ありがと…」

 

 

 

言葉を出すうちに自然と涙を流す自分がいた。

 

 

 

「ただいま…千冬姉…」

 

 

 

この日、俺、織斑 一夏は二年間のデスゲームを生き抜き、現実世界に帰ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、IS起動事件に行きたいと思います。


感想などありましたらよろしくお願いします(^.^)

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