「私はもうおしまいだ。だれも信用できない。自分さえも。」
byヨシフ・スターリン
爆音が辺り一面に響き渡り、眩い光がまるで道しるべのようにまっすぐに目標を照らしている。
暗い闇の支配する夜には巨大な飛行船が悠々と浮かび、その光の道しるべ―サーチライトで眼下の少年少女らを照らしていた。サーチライトによって照らされた彼ら……ナイトレイドのマイン、タツミそしてラバックは眼を細め手をかざして光を遮る。
『おいおい、ラバックよ。作戦が違うぞ?命令通りに動きたまえ。』
その彼等に、否正確にはラバックに向けて一人の少年というにはまだ幼さが残る声がスピーカーを通して聞こえて来る。その声を聴いてラバックは苦虫を噛み潰したような顔をする。そしてそれをマインは見逃さなかった。
『さあ仕事だぞ、初仕事だ。新しい
「ッ……了解。」
ラバックは纏う雰囲気を変える。
「……ラバック!なんであんな連中なんかに寝返ったのよ!?」
「……直にわかる、だから何も言わずに投降してくれ!頼む!」
ラバックは悲痛な顔をしてマインの問いに答える。
その顔はどこか焦りが見える。
マインはそのラバックの姿に違和感を感じたが、彼はすでに裏切り者であると切り替える。
悲しいかな暗殺者ゆえの思考である。
ラバックもそれを悟ったようで糸を操作し彼の体の周りに漂わせる。
その場を張り詰めた空気が漂う。
そして……。
「ッ!!」
先に動いたのはラバックだ。糸を操りマインへと飛ばす。マインはなんとかそれに反応することができ、後ろへ下がる事で回避する。可笑しとばかりにマインは下がりながらパンプキンを撃ち返す。ラバックは糸を束ねて壁を作るとそれで銃撃を受け流し、その後すぐに糸をマインの上方向から襲わせる。マインはそれに気が付けなかった。夜の闇に糸が溶け込み見つけにくかったのである。
「ッ!?この!!」
鋼糸がマインを絡みとる。
マインはそれを振り払おうと体に力を入れようとして寸での所でやめる。
「……懸命だなマイン。」
「…………。」
鋼糸は細い、少しでも身じろいだり力を入れようものなら糸が体に食い込み体の自由を一層奪う。
マインにはそれがわかっていた、なにせその鋼糸の使い手はほんの数分前まで……いや最早何時からなどわからないが少なくとも始めの頃からの仲間だったのだから。
「マイン!……頼む降伏しろとはいわねぇ、何も言わずに捕まってくれ。」
「……御断りよ!!」
ラバックはマインに答えに苦虫を何匹も噛み潰したかのような顔をした。鋼糸もすぐにでも締めて殺せるはずなのに態と緩くしていた。
その行動にもマインはどこか違和感を覚える。
しかしその際の数秒間がラバックの予定を……皇帝側の予定を狂わす事になる。
「?、!?タツミ!?」
―体を貫かれ地面に倒れていたタツミがゆらりと立ち上がった。
しかしその状態は酷い者で腹からは血が多く流れ服を赤いどころか真っ黒と言えるほどに染め上げ、息が荒く立っているだけで辛いのかふらふらとしていた。
「…………けるな……。」
「?」
だがその時のタツミは……。
「ふ……るな……。」
赤い……いや紅い闘気が見えるようで……。
「ふざ………な!」
怒気を孕んだその姿は……。
「ふっざけるな!!」
―まるで“鬼”のようであった。
瞬間、閃光が走る。
紅い光が走り、タツミを中心に光がましていく。
同時にラバックはマインへ絡めていた鋼糸を解き一気に後方に飛びのいた。
本能が警告をしきりに出している。
しかしそれはマインも同じだった。
「タ……ツミ?」
マインの間の抜けた声を出す。
しかしすぐ光が消える。そしてそこにいたタツミは……。
『裏切リ者ハ……誰デアロウガ、コロス!!』
ブラートの時とは全く姿の変わったインクルシオ“であった”鎧を纏い、獣のような目をした“化け物”となっていた……。
時はほんの少しだけ戻る。
タツミは朦朧とする意識の中で、周りの状況を完璧に把握できていた。
何故かはわからない、だが瀕死であったタツミには理解できた。
―ラバが裏切るのか?
『そうだ、お前の仲間は敵に魂を売ったのだ。』
―アイツに味方する?
『そうだ、貴様の敵になる。』
―許せない。
『ならば我を受け入れよ、我に身を委ねよ。』
―それも許さない。
『何故?』
―俺は裏切られた……それが憎い。
『……よせ。』
―憎い。
『…よせ。』
―憎い。
『よせ!!』
―憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
『止めろ!!』
―ダマレ!!
英雄の器の意志は強大だった、故に古代竜の屈強な意思すら呑み込み喰らうことなど造作もなかった……。
その時、インクルシオの意志はタツミという化け物に完全に取り込まれたのだった……。
『Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!』
咆哮だった。
それはもはや人の物では無い。
ヴィクターは言う
「まるで化け物だな……いや化け物そのモノだ“アレ”は。」
その日古代の化け物を負の心だけで喰らってしまったタツミは人ならざる物へと堕ちたのだった……。
投降遅れて申し訳ありません。(土下座)
就活終わったらだらけてしまいまったく書いてませんでした!
しかも今回わけわからんって人が多そうでちょっと怖いです。
超展開だったかも。
※ここで述べさていただきますが今後の更新も気まぐれです。ご容赦ください。