ショt…幼い皇帝に憑依した。   作:サテライト

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           『流された血により、時は進んでいる。』



                             byベリート・ムッソリーニ





前篇をほぼ同時に投稿しました先にそちらをご覧ください。


ショタと戦闘Ⅱ

10000トン級の豪華客船竜船で始まった、強制参加の帝具持ちだらけの戦闘。

 

すでにセバスチャンの手により、リヴァは倒される。

 

 

 

 

―そして次は“ナイトレイド”ブラートと“武装SS”大尉の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

竜船の甲板が破砕音を出しながら砕かれ大穴を開ける。

それは軍服を着た白髪の男、大尉が甲板を殴り破壊した物であった。

 

「ッグ!・・ラア!!」

 

ブラートはインクルシオの武器ノインテータを大尉の首めがけて振るう、しかし大尉はそれを右手で柄の部分を掴んでブラートごと放り投げると艦橋の根元にぶつかるブラート。

 

「アニキ!」

 

タツミが叫びブラートの所へ移行とするが直ぐに接近してきた別の人影が“巨大な鋏”を振るってきたからだった。

 

もうもうと煙を上げる艦橋の根元……、大尉はそれをじっと見ている。

すると……。

 

「うおおおおおおおおおお!!!!!」

 

雄叫びと共にブラートが飛び出し接近ノインテータ―の連撃を凄まじい速さで喰らわせる。

大尉はそれをいなすように最初躱すが、その内さらに手数の増えた連撃を食らい・・ついには足に一撃喰らってしまう。

 

するとそれを見たブラートは一瞬でノインテータを振り上げ、一瞬で振り下ろす。

大尉は一瞬バランスを崩していたため勢いで押し負けノインテータを叩き付けられてしまう。

 

そして大尉の体は先ほど自身が開けた穴にダイダラのように叩き切られながら、叩き落とされたのだった。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

そう肩で息をするブラート、ダメージを食らった後での連撃はさすがに辛かったようで片膝をついてしまいインクルシオも解除されてしまっている。

 

「凄いじゃないか、あの大尉を倒すなんてな。」

 

「っへ、当たり前だ!なんたって俺には熱い男の血が流れてる、そう簡単にはやられないぜ!」

 

艦橋から見下ろす皇帝が軽くブラートに話かけてくる。

その皇帝の様子に、ブラートは少し違和感を感じつつキリッした決め顔で答える。

 

「そうか?だが貴様は今日死ぬではないのか?」

 

「ん?どうい…………!?」

 

皇帝の不思議な言葉に不信を感じたブラートは次に気配が後ろに現れた事に驚く、特にその気配がさっき倒したはずの男の物ならば尚更である。

 

「な!?どうして!……まさか!?」

 

―そういった直ぐ後、ブラート振り向くと・・胸に手が刺さった……。

 

突き刺したのはほかでもない、大尉だった。

 

「馬鹿、な・・さっき・・倒、したは・・ず。」

 

ブラートは途切れ途切れに言葉を発する。

自身の胸に深々と突き刺さる手、さっき斬ったはずの相手。

 

 

その時ブラートの頭の中は混乱していた。

何故生きてるのか?という疑問が時に大きかった事だろう。それもそのはず、先ほど大尉はブラートの帝具インクルシオの副武装ノインテータ―の一撃でダイダラ同様叩き斬られ、自身の作った大穴に落ちて行ったからである。

 

普通の人間ならば即死と考えても仕方がない……そう普通ならばだ……。

 

 

「はい残念、大尉の本当の名前は帝具“霧身餓狼(むしんがろう)【ヴェアヴォルフ】”、帝具人間さ。」

 

「なん・・だと!?」

 

皇帝は面白いものを見た子供の用に顔を笑みで歪めるとその歪みは次第に狂気の笑みへと転じていた。

 

「貴様も残念な事だ。

大尉の弱点さえ知っていれば勝てたものを・・だが見ていて楽しかったぞ?そうだ、褒美をやろう。」

 

皇帝は右手をブラートに向け手の平を開く。

 

 

 

 

「死と言う、永遠の休みをな!」

 

 

 

 

右手を握り潰すように皇帝が握ると大尉はブラートの心臓を引き抜き、握り潰した。

 

 

「アニキイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ナイトレイド残り6人―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を少し戻しタツミが巨大な鋏でブラートの所へ向かうのを邪魔された所まで戻る。

 

迫りくる巨大な鋏をとっさの判断で避けるタツミ……、通常なら持っている剣で防ぐ所なのだろうがその巨大な鋏を知っているタツミはそれをしなかった。

 

「ッ!………それは!」

 

「え?知ってるの?この鋏の事?」

 

それを見てタツミの歯はギリッと強く音を立てる。

タツミの顔には怒りが浮かんでいた。

 

次の瞬間にはタツミは素早く巨大な鋏を持つ少年……フィニアンに接近するとその巨大な鋏“エクスタス”を掴む。

 

「それを返せよ!それは!シェーレのだ!!」

 

そうそれはタツミのかつて死んだ仲間の使っていた帝具“万物両断”エクスタスであった。

しかしフィニはそれを聞くとむっとした表情で・・、

 

「ちがうよ~。これは僕のだ・よ!!」

 

エクスタスを振りタツミを引きはがすと同時に切りかかる。

しかしタツミは剣先を見切りそれを避け剣をフィニに突き立てようと振り下ろす。

 

そしてその剣がフィニに当たる……だが、その後タツミは焦りを露わにする、何故ならそれきり動かなくなってしまったのだ……剣、がだ。

 

「はふないじゃないでしゅか~。」

 

「ッ!?」

 

その光景を見てタツミは驚くも通り、かなりの速さで振るわれた剣は相手の頭を着るどころか“相手の口”で噛まれて止められていたからだ……。

 

「そんな!?」

 

バキン!っと金属の割れる音がするとフィニは剣をかみ砕く。

 

「ッ!?ウオオオオオオ!!!!」

 

するとタツミは今度は格闘に素早く切り替えると素早い蹴りを放つ。

 

「うわ!?」

 

行き成りの蹴りで驚いたフィニはとっさに左手だけでガードする。

その時、床が濡れていたためかフィニはバランスを崩すとそこに拳の連撃を入れるタツミ。

 

実は強化兵士であるフィニには何ともない攻撃だったのだろうがハプニングの連続で気が焦っていたのか慌ててしまい、攻撃をもろに受けて場所が船の端だった事も災いしバランスを崩した拍子に船縁をエクスタスで掠ってしまい切り落としてしまう。

 

そしてそのままフィニは船から落っこちてしまう。

 

「ふぇ?う、うああああああああ!!!!」

 

この船も伊達に10,000トンもある訳ではない、そのため喫水線はかなり上にあったので落ちる高さも相当である。

軽く紐無しバンジー程では無いにしろ、十分怖い物である。

 

フィニはそのまま真っ逆さまに落ちる。

 

「よし!」

 

タツミはそれを見てガッツポーズをとった。

まあ偶々うまく行った程度にしか思ってもいなかったが。

 

「あ、アニキは!」

 

そうふと思い出したタツミは甲板中央付近を見ると……そこにはインクルシオを解除したブラートがいた。

 

「よかった、ぶ」

 

無事だった、そう言おうとした瞬間出かかった言葉が詰まった。

 

何故なら……。

 

 

「そうか?だが貴様は今日死ぬではないのか?」

 

見るからに幼い皇帝がそう言った後、ブラートの後ろに先ほどの長身の男・・大尉が現れ……。

 

 

―振り向いたブラートの胸にその手を深々と突き刺したからだった……。

 

「あ、アニ・・キ……。」

 

タツミは驚愕のあまり動けなかった……。

自身の尊敬する人が、目の前で殺されかけていても……その体は一切動かない……まるで動きを封じられているかのように……。

 

 

「だが楽しかったぞ?そうだ、褒美をやろう。」

 

 

艦橋で手を開き前に出す皇帝……。

 

それを見てやっと体の拘束が外れたかのように動けるようになった。

直ぐにタツミはブラートを助けようと走る……。

 

―だが。

 

 

 

「死と言う、永遠の休みをな!」

 

 

 

皇帝が手を握りつぶすように握ると大尉がブラートの心臓を引き抜き握りつぶす。

 

 

―それは届く訳が無かった…。

 

 

 

「アニキイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!」

 

 

―そして虚しく叫びだけが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ナイトレイド残り6人―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それらの光景をニャウはただ見ているしかなかった、最初はリヴァを救おうとしたがリバがやられてしまうと味方は誰も居ない状況になっていた。

 

そんなか彼は直ぐに逃げる事を選択した、恐怖が勇気を上回ったのである。

幸いにもこの竜船には非難用のボートがあるそれを使えばいいし最悪運河に飛び込んで逃げればいいと考えていた。

 

兎に角生き残る事を優先したのだ、そうすればきっと復讐できる時が来ると考えていた。

 

 

―しかしそのニャウも絶対絶命の危機を迎えていた。

 

 

ニャウが救命ボートのある区画まで走って逃げている時、廊下にはおぞましい数の死体が散乱していた。

船員から客までありとあらゆる人だった物のなれはてだった。

 

だがニャウは仮にも三銃士、こんな光景は何回も見て来たし何回も作ってきた……なので慣れている、がそんな彼でも今は恐怖に襲われていた。

 

「なんなんだ!あの化け物は!!」

 

 

ニャウは必至に走っていた理由は危険種に追われているためだ。

今まで危険種という物には出会っていたが基本ダイダラかエスデス将軍が狩っていたため本人はそれほど危険種との戦闘は少なかったのだ。

 

しかしかれには帝具軍楽夢想スクリームがある、大抵はこの音色を聞かせれば危険種と言えど幻覚をみせその間に逃げる事が出来るはずだった。

 

だが先ほど試したが、効果がまったくなかったのである。

 

 

だから恐怖していた。

 

 

だから逃げていた。

 

 

しかしこの鬼ごっこも蛇型の危険種という鬼がニャウに追いつき終りとなる。

 

「なんだこの怪物は!!」

 

走った先が行き止まりでしかも船内、最早逃げ場は無く完全に袋小路。

 

―近場にあった船室に転がりこむニャウだがそれでも状況は変わらない。

 

「僕はまだ、死にたくはないんだ!」

 

そう言ってニャウは笛を吹いて自身にその効果を持たせる奥の手“鬼人招来”をしようした。

それでやってくるだろう化け物を何とかしようとした。

 

『無駄だ、我には勝てんぞ小僧』

 

「!?」

 

その声に驚き演奏を中断してしまったニャウ、急いで吹きなおそうとすると尻尾が飛んできて笛をはじかれてしまう。

 

「ああ!?」

 

笛を手から弾かれニャウの顔をには本格的に絶望の色が浮かんでいた。

 

『終りだ。』

 

 

そう“化け物”が言うと、不思議とその船室の扉がすうっと閉じる……。

 

 

 

 

「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

耳を覆いたくなるような絶叫が船内に木魂した。

 

 

 

―余談だが、その化け物は巨大なトカゲのようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三獣士壊滅―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、迎えはまだか?」

 

「後少しでございます陛下。」

 

そうやって全てが終わった後の甲板で話すのは我らが幼き皇帝とその執事セバスチャンであった。

 

「それじゃそれまでに状況をまとめてみるか?」

 

「かしこまりました。」

 

そうセバスチャンは了承すると一旦影の中にもぐり直ぐに出てくる。

 

「こちらが状況をまとめた書類になります。」

 

「ん、ご苦労。」

 

そしてその光景の後にさも騒然と受け取るヴィクター皇帝。

 

―すでに慣れきっていると言った感じであったのは言うまでもないだろう。

 

それはそうとその書類には結果報告が事細かに書かれていた。

 

内容は―

 

Ⅰ:三銃士の内一名(リヴァ)を捕獲残り二名は死亡。

 

Ⅱ:ナイトレイドの二名の内一名死亡、一名はもう一人の持っていた帝具も奪い逃走する。

 

Ⅲ:副目標である官僚、貴族、役人などは全員武装SS所属“ミレニアム大隊”所属一個小隊(約50人)により殺害。

 

Ⅳ:最終目標は未だ健在、陛下を回収後速やかに最終目標を破壊する。

 

という事が掛かれていた。

 

「あのナイトレイドには惜しくも逃げられたが、一人狩れただけでも良しとしようか。」

 

尚、ナイトレイド唯一の生き残りであるタツミはあの後、ブラートが死に際にタツミのいる方向へ帝具インクルシオを投げていた。それをタツミは拾い船から運河へと直ぐに飛び降りたため逃げられたのである。

最初はスネークの帝具“爬地制帝(はちせいてい)【スティグマ】”で操れる水中でも行動可能な危険種に襲わせようとしたが、本人いわく。

 

「『水の中で動ける子を今回連れて来ていないのよ~』ってゲーテが言ってる。」

 

との事らしく、追撃は断念していたのだ。

 

ちなみにスティグマは危険種を操る事が出来るが自由に出し入れはできないので危険種をわざわざ連れて来なければならず、また使役できる危険種も爬虫類系や翼竜系位なので結構制約があったりする。

また帝具の形は彼の体に生えている鱗のようなものである。(恐らくエスデス将軍やセバスチャンのと同じ形式だと思う)

最後にニャウを襲ったのも彼の使役する超級危険種(しかも上位ランクの)である。

 

余談だが船から落ちたフィニはスネークの操る巨大蛇にすでに落下前に助けられている。

 

さて、結局の所……。

 

「圧倒的勝利だな。」

 

色々と戦果が良かったのは間違いのない事だった。

 

じゃまだった官僚、貴族、役人は今回の騒ぎに乗じて小型艇から侵入したミレニアム大隊の一個小隊によって簡単に壊滅させられたのだ。(ニャウの笛の効果も簡単に終わった理由の一つである)

 

「さて、早く帰って大臣がどういう反応をするか見たいものだ。」

 

そういって顔を笑みで歪ませた幼い皇帝……。

 

言うまでもないがその笑みは狂気にねじまがった物だった。

 

 

 

 

 

―その後、迎えに来た“フォッケ・アハゲリスFa223”に皇帝と大尉、セバスチャン、フィニ、スネークは捕虜のリヴァと回収した三獣士の帝具、及びインクルシオと共に乗り込み、ミレニアム大隊の一個小隊は乗って来た小型艇に再度“危険種”と一緒に乗り込んで帝都に帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして一万トン級豪華客船“竜船”はその後飛来した砲弾によって一撃の元にその木造の船体を破壊さればらばらに砕け散ってしまった。

 

そして運河には大量の血と、河岸に打ち上げられた大量の木材が残った。




はいと言う事で竜船編終了でございます。
書いてたら一万字オーバーしそうだったから2つに分けたけどどうですかね?
自分はそのほうがいいと思いましたが……。


また帝具の名前を考えていただいた方々深く感謝いたします(平服


今回の竜船編、取りあえず戦闘描写を頑張った!
でもあっさりしすぎてるのは大尉とセバスチャンが強いせい?
それとも作者がへぼいせい?(多分こっち

取りあえずタツミはインクルシオを手に入れる事無く終わった竜船編!
アニキは死が死んじまったぞ!どうしてくれる!!(激オコ)←殺した張本人

三銃士は何時も通りですねはい……でもリバさん生きてるよ!次回以降も生きてるかは知らないけど(意味深


また何時も読んでいただいている皆様ありがとうございます。
感想などを見て何時もニヤニヤしています。

こんなつたない文章の作品ですがこれからもどうぞ良しなにお願いします。(ぺこり




※文章を改編、タツミはインクルシオを手に入れました。(描写だけですが…。)

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