地獄先生と陰陽師少女 作:花札
一度目は、死闘の末左手に封印した鬼「覇鬼」。
二度目は、その弟「絶鬼」である。
そして……三度目の恐怖が今……ここ童守小学校にやってこようとしていた。
昼休み、学校の校庭で広達は野球をして遊んでいた。
その時、宙に切れ目が現れそして爆発した。
「な、何だ?!」
「おい、お前達」
「え」
「私のパンツを知らないか?」
煙の中から姿を現したのは、露出度の高い鬼風の服を着てツインテールをし頭から角を生やした美少女だった。
「私は眠鬼!地獄から来た誇り高き女戦士である!
亜空間を通って、現世に出る時凄まじいエネルギーの流れで、パンツが脱げてしまってな……」
話をする眠鬼の姿を、広達は顔を赤くし、そして線が切れたかのようにして、鼻から噴水のように血を出した。流れ出た血は眠鬼の顔に掛かり、彼女は手で血をふきながら二人を睨んだ。
「己ぇ!!人間共!!よくも私の顔面に汚らしい鼻血など……
妖力波で、吹き飛ばしてくれる!!そこになおれ!!」
「げ!鬼の手!?」
人間の手から鬼の手に変化させた眠鬼は、鬼の手に妖力波を溜め二人目掛けて放とうとした。だが妖力波は、投げ飛ばす前に眠鬼の手の中で爆発し、彼女顔は吹き飛んでしまった。
「爆発したぞ?」
「ひょっとしてコイツ……
かなりのお馬鹿?」
霊水晶を片手に、ぬ~べ~は険しい顔をして校内を歩いていた。
(くそ!気配を断たれたか……
確かにさっき、強い妖気の出現を感じた!あの妖気は、並みの妖怪ではない……あれは……
鬼だ!
それも……今までに闘った二人の鬼を、遥かに凌ぐ強い潜在妖力を秘めている……
まずいぞ……早く見つけ出さねば!生徒達と接触する前に)
同じ様に、屋上で日向ぼっこをしていた麗華も、妖気を感じていた。
「麗、この妖気」
「絶鬼と似てるけど、少し違う。
けど、鬼だという事には間違いない」
「どうする?」
「……捜そうにも、妖気が感じられない」
顔が元通りになった眠鬼は、濡らしたタオルを受け取り顔を拭いた。
(やはり……鬼のパンツは妖力の源……
あれが無いと上手く力が出せないんだわ……今の私は人間並みの力しかない……
正体を知られないようにしなくては……)
「なぁお前、鬼だろ?人間界に何しに来たんだ?」
(ま、まずい!!何とか誤魔化さなければ)
「さては、あんまりお馬鹿だから、地獄を追放されたんだろ?」
「鬼族のおちこぼれってわけだな!ハハハ!」
「無礼者!!私だって、パンツさえ穿いていれば……」
「あーパンツね。ハイハイ」
「安心しな。探してやるよ、一緒に」
「そうそう、俺達美少女には優しいのよ」
「お前悪い鬼じゃなさそうだしな……
俺、広。よろしく!」
「俺は克也。
取り合えず、心当たりを探してみよう」
「ほう……心当たりがあるのか。それは頼もしいな(ちょうどいい……この二人を私の下僕一号二号にしてやるか)」
広達が眠鬼を連れてきた所は、女子更衣室だった。
「プールの更衣室だ。六年生の女子が着替えてるぞ」
「さすが六年生。みんなええチチしとるのう!」
「おいコラ!
何で私がこんな、デバガメみたいな真似しなくちゃなんないのよ!」
「シー!声が高い!」
「ひょっとしたら、誰かが拾って穿いてるかもしれないだろ。
だったら、こうやって探すのが一番、手っ取り早いじゃないか……」
「う……(確かに)
しかしこれでは、私のプライドが」
広達更衣室の前で、コソコソしているところを通りかかった女子が見つけ大声を上げた。
「キャー!!皆!更衣室覗かれてるわよぉ!!」
その声に更衣室から、掃除用具を武器に女子が一斉に出て行き、そして広達を痛めつけた。
数分後、気の済んだ女子達は再び更衣室へ戻った。頭に五・六個のタンコブを作った広達が伸び倒れていた。
「お、己……この私を、痴女呼ばわりするとは……
いいじゃねぇか!!パンツくらい見せたって、減るもんじゃなし」
「お前それ、女のセリフじゃねぇよ」
「しかし……誰かが穿いてるかもしれないというのは、一理ある。奥の手を使うわよ」
「何をする気だ?」
「攻撃力は無くっても、鬼の魔力のエネルギーは少し使えるわ。
黄泉の女王……伊佐那美の名において、この光の球の照らす所……
皆……パンツ一枚になれ!!」
光の球を空へと登らせると、傍にいた広達の服は消えパンツ一枚になり、その光が照らした場所にいた者全員がパンツ一枚の姿になってしまった。
「もたもたしないで!早く探すのよ!!」
パンツ一枚の姿をした広達は、眠鬼の後を追いながら校舎の中へと入り、廊下を歩いていた。走っていた眠鬼は突然足を止めた。彼女の前にいたのは。広達と同じ格好になったぬ~べ~だった。
「お前が……鵺野鳴介だな?」
「そうだが……お前は」
「私は眠鬼!お前に倒された二人の兄……絶鬼と覇鬼の妹だ!!」
「ええ?!」
「やはりそうか……目的はなんだ?仇討か?」
「お!鵺野君、これは一体どうしたわけじゃね?」
「……あ!
あった!!私のパンツ!!」
背後からやって来た石川の穿いているパンツを指差しながら、眠鬼は叫んだ。その言葉に、ぬ~べ~は体から血が抜けたかのように、真っ白になった。
「い、石川先生」
「ん?これ……今朝、校門の前で拾ったんだけど」
「ぬ~べ~!!大変よ!!広と克也が、覗きをしたって六年生が」
「いかん!!こっちに来るな!!」
広達の事を言いつけに来た郷子達女子は、ぬ~べ~の元へ駆け寄ろうとしたが彼の怒鳴り声に驚き、すぐに足を止めたがそれは遅く、彼女たちの体に合の光が当たりそして、服は消えパンツ一枚の姿へとなってしまった。
「キャアアア!!」
「何よこれ―!!」