地獄先生と陰陽師少女 作:花札
《大蛇誕生まで、後に十分……大蛇誕生まで、後に十分》
「ひ、広……皆」
「何だ、あの武器は?」
「超古代文明が残した、お守り。
彼等の強い感情に反応して、ああいう武器を作り出したんだ」
「強い感情……」
「立野は勇気……稲葉は友情……栗田は優しさ……細川は虚栄心……そして木村は責任感」
久作はもとの状態に戻り、広達の姿を見て目を疑っていた。
(あれは私が発明した古代兵器……超古代の戦士はこの鎧を着て、あの武器を持って戦ったのだ。
あのガキ共、一体どこであれを?)
「誰なのだ?あの怪人……ひょっとして」
「妖怪博士だ……超古代の鎧で、武装しているのさ」
「陽神君!!」
ボロボロになったぬ~べ~(明)を、郷子は駆け寄り支えた。
「酷い怪我……こんなになるまで戦うなんて」
「平気さ……
君達こそ、よくあの妖怪館で無事だったな。神原、お前も良く頑張ったよ」
「……フン、様ぁねぇな!もう戦わなくていいぜ。あとは俺達に任せろ」
「フッ……何言ってるんだ。君等を戦わせるわけにはいかない。
助けて貰ったのは、有り難いが……これ以上は危険だ。隠れてろ。
奴は……俺達が倒す」
「てめ……まだ、俺達の力を信じられねぇのかよ!!」
「当たり前だ!!引っ込んでろ!!」
「いい加減にしてよ!!陽神君!!」
「いい加減にしろ!!陽神!!」
広とぬ~べ~(明)が喧嘩しかけた時、郷子と麗華(司)が間に入った。
「郷子……司ちゃん」
「陽神君……いつも私達を守ろうとしてくれてるのは分かるけど……
あなた、間違ってるわよ!!」
「麗華さんが封印した大蛇が造られたら、私達の大切な人がたくさん死ぬんですよ!!」
「そうよ!!お父さん、お母さん、先生、学校の皆……
私達、自分の力でそれを止めたいの!!」
「私達、そんなに弱くないよ!!」
「そうよそうよ!」
「そうだ!俺達だって、命をかけてでも守りたいんだ!!」
「……」
何も言い返せないぬ~べ~(明)……そんな彼に、麗華(司)は口を開き言った。
「教師が生徒を守るのは当然……
けど、守られっぱなしじゃいつまで経っても成長しませんよ」
「……」
「陽神君、一か八か……
あの子達に賭けてみませんか?もしかしたら、あの子達が……」
「南雲の意見に、賛成です」
数分後……
「待たせたな」
「フフン……何だ?今度はお前等が相手か?
馬鹿め……超古代兵器は、精神力の強さで操る武器……子供に扱えるものではない。私には勝てんぞ」
「フッ…そうかな」
そう言いながら、広は懐から書斎で見つけた『妻と私のラブラブ日記』という本を取り出し、久作に見せた。彼は顔を真っ赤にして恥ずかしがり、広はそんなのをお構いなしに内容を読み始めた。久作は辞めさせようと追い駆けるが、恥かしさのあまり足がヨロヨロ動いていた。
「虚栄の雷!!」
その隙を狙い、美樹は彼に攻撃した。
「や、やった……」
「く、クソ……迂闊」
「空中に、飛び上がんない方が良いぜ!
責任バルカン!!」
「ぐわあああ!!」
「う、上手いぞ克也!」
「妖怪お友達攻撃!」
久作はまことの命で動いている妖怪達に襲われ倒れてしまった。その時、肩に着けていた妖怪が口を開き攻撃の仕掛けをした。
「ま、まずいまこと!
撃って来るぞ!」
ぬ~べ~(明)の言う通り、妖怪は口から人魂を出しまこと目掛けて攻撃した。その瞬間、まことの傍へ郷子が駆け寄り彼を持ち上げた。
「友情バリア!!」
「凄いぞ!郷子のはバリアか!」
「くらえぇ!勇気斬!!」
広の剣で久作の肩についていた妖怪を叩き斬った。
「さてと、私も少し本気を出しますか。
焔!」
焔は地面へ足を着いた。麗華(司)は懐から札を取り霊気を送った。それを見た焔は、口から火の粉を出し札に着けた。火の点いた札を薙刀の柄の部分へ着けた。薙刀は火に包まれ、麗華(司)は柄を握り飛び上がり、久作目掛けて薙刀を振り下ろした。
「ギャァアアア!!」
「例え、式神がいなくとも……私は普通に闘える」
「や、やった!」
「何と、彼等の武器は強力なんだ!」
「いや……武器の力……それだけじゃない」
「己己ぇ!!こ、こんなガキ共!!」
「アイツ等……抜群のチームワークじゃないか……
そして何より、自分達の大切なものを、命をかけてでも守ろうとする強い覇気が、一人一人の体から、ビンビン感じられる。
(アイツ等……俺が知らない間に、こんなに強い子供達になっていたなんて……)」
「少しは、生徒を頼りな。陽神」
「お前に言われたくはない!」
「くそぉ!!己、己、己ぇ!!」
体を光らせ、久作の姿は忽ち変わっていき、先程ぬ~べ~(明)達と戦った姿へとなった
「まずい!!また、狂戦士(バーサーカー)状態になるぞ!!」
「頑張れ!あと少しだ!」
「抑えつけろ!!」
「ち、畜生……これじゃ、動きが取れないぜ!!」
「は、速く誰か止めを!凄いパワーが動き出す」
《大蛇誕生まで、あと十分》
「!!?」
《大蛇誕生まで、あと十分》