地獄先生と陰陽師少女 作:花札
「これが、妖怪ソルジャー……超古代の戦士の姿だ!」
「妖力の鎧を纏った人間か」
「おいそれと、通してくれそうにありませんね」
「ククク……覚悟はいいな?
行くぞ!!」
物凄いスピードで、久作は突っ込んでいった。余りのスピードに、二人は彼の攻撃を避けることが出来ず諸に当たってしまった。
「この鎧は空気中の、妖気を大量に取り込んでエネルギーにしている!
人間がこれを纏えば、強い妖怪と同じ力を得ることが出来るのだ!そう……鬼や天狗と同等の力をな!!」
攻撃の勢いで、二人は壁に叩き付かれ血を出した。
「フ……もうおしまいか?
わりとあっけな」
「あ~、びっくりした!」
「どうもこの体は、死なないと思うと防御に隙が出来ますね」
二人は体をもとの形に戻し、久作から離れ武器を構えた。
「なるほどコイツ等、気を練って作った肉体なのだ。
文献で見たことがある……高度な霊能力者だけが使える「陽神の術」……これがそうか」
玉藻(京太)は、首さすまたを分解しさすまたを手に着け、ぬ~べ~(明)に合図を送った。ぬ~べ~(明)は、殺生石を構え飛び上がった。
「この石は、妖気の体に対しては、加速度がつくほどのダメージが与えられる!」
「おっと!外れ」
ぬ~べ~(明)の攻撃を避けた久作だが、彼の攻撃の後に玉藻(京太)が姿を現し、久作は攻撃した。
「己、ちょこまかと!」
玉藻(京太)を攻撃し、彼は飛ばされ壁に叩きつけられた。その隙を狙い、ぬ~べ~(明)は殺生石を柱から回転させ、久作の顔に攻撃した。
「さっきはわざと外したのさ!
柱に引っ掛けた方が、勢いがつくからね」
「妖怪博士……
アナタも学者なら、気付いたでしょう。僕達の体は、粘土と同じで何をしても無傷」
「だよ~ん!」
「一方あなたは、僕達の攻撃で少しずつだが、ダメージを受けている。
このまま闘い続ければ……あなたに勝ち目はない!」
「フッ……ハハハハハ!!
子供騙しのハッタリは止せ!生憎この鎧は、再生能力があるんでね!
それより君達こそ、妖気で出来た、この鎧で攻撃を受ければ気と気がぶつかり合って……少しずつ、気が飛び散って減少し……ダメージが増えていくんじゃないのかね?」
「っ……」
「さて……ではこの辺りで、この鎧の本当の力をお見せしよう。
ヴュラルラウリルラムヘキトム!!」
呪文を唱えると、久作の肩から別の妖怪が出てきた。
「な、何だ!?肩から妖怪が!?」
「違う!!あれは、超古代の破壊兵器」
「死霊玉!!」
肩から出てきた妖怪は、口から光線を出し二人に攻撃した。二人は何とか攻撃を避け、煙が上がっている方を見た。そこには悲痛の叫びをあげる、怨霊達がいた。
「こ、これは……奴の放ったのは、死者の霊気の玉?」
「しかも、凄い数の……」
「そうだ……空中には何千何万の、成仏していない霊が漂っている……
それらの霊をかき集めて、発射したのだ。今ので幽霊百人分の霊気だ。しかも死霊玉は、その怨念によって色々な種類がある。今のは事故等を物理的な力によって死んだ霊の玉。
そしてこれは!!」
肩の妖怪が口から放った人魂は、二人に向かって突進しそして爆発した。
「家事などの火によって死んだ、霊の死霊玉」
「うわ!」
「す、凄い高熱だ!」
「そしてこれは飢えで死んだ者達の霊だ!」
「くそ!!舐めるなよ!」
「貴様の大道芸に、付き合ってる暇はない!」
「君等に私は倒せん!!喰らえ!殺人によって、死んだ強い怨念の死霊玉!!
直撃!!」
二匹の妖怪が放った人魂は、二人に直撃し爆発した。
「く、クソ……人間如きにここまでやられるとは……」
「畜生……こうしている間にも、広達は……(麗華、持ち応えてくれよ)」
「私は負けん……愛する者のために」
一方、広達は……
「早く!!早く、走ってください!!」
麗華(司)の呼び掛けに、広達は背後から追ってくる妖怪達から逃げていた。麗華(司)は、札と薙刀で何とか退治していくが、全く数が減らずそれどころか増える一方だった。
広達が角を曲がった時、そこに道が無く壁が広がっていた。
「い、行き止まりよ!!」
「どうすんのよ!広!司ちゃーん!」
「どうするもこうするも……」
「短剣を出して、何とか闘って下さい!!
いくら私でも、対処しきれません!(こんな時、氷鸞と雷光がいれば……一緒に石にされちゃってるから……)
焔、火を放って!」
「承知!」
焔は麗華の前に立ち、火を放った……だがいつもより威力が弱く、妖怪達は怯むことなく彼等に攻撃していった。
「わ―!!」
「助けてぇ!」
「くそ!」
「畜生、無力だ!
俺達は……やっぱり、陽神の言う通り何の役にも立たない子供なのか……
ぬ~べ~…晶…麗華……ゴメン」
「力を貸します……さぁ」
強い光が放ち、妖怪達はそれを嫌うかのようにして、広達から離れ逃げて行った。
「妖怪達が、逃げていく……」
「司ちゃんが?」
「いえ…私は……」
「あの絵から出た、光のせい?」
美樹が見た絵は、壁に掛かっている天使の絵だった。まことが手を掛けると、絵は動き開いた。
「この絵、開くのだ!中に部屋が!」
「ええ!?」
「一体何が……」
「!!」
中へ入ると、そこには水が入った巨大な水槽の中に、半分火傷を負った女性が入っていた。