地獄先生と陰陽師少女 作:花札
しかし……今回の最大の危機を、まさかぬ~べ~がいなくなり……僕達だけで闘わねばならなくなるとは……
宿直室で大口を開けて寝るぬ~べ~……
その時、広達がゲームを入って来るなり、ゲームをやり出した。
「お前等ぁ!!ゲームなら、家でやらんかぁ!!」
「うん……そうは思ったんだけどさ」
「呪いのソフトが怖くてさ」
「呪いのソフト?」
「知らないの?超有名よ!
今、この付近の町のソフト屋さんに黒服の男が徘徊して変なソフトを配っているの。そのソフトはカバーだけ人気の作品ゲームで、中には恐ろしい呪いのソフトが入っているのよ。
ゲームを始めると、画面に変な字と目が現れて、それを見たらもう、三日後には死ぬんだって!」
「噂ではもう、五人も死んでるって話よ」
「怖いでしょ。だから今日買ってきたソフトはここでやるんだ。」
「本当にそうか?場所が欲しくて来たんだろ?」
「ぬ~べ~もやってみなよ!面白いぜ!」
「ダメだ。一秒で死ぬから」
「そんな奴、いねぇよ!ほらほら」
コントローラーを持ち、渋々ぬ~べ~はゲームをやり出した……だが、一発で負けた。格闘ゲームの難しさにキレるぬ~べ~を宥める様にして、郷子はレースゲームのソフトを出した。だがそのゲームでも、負けキレた。
「コントローラーの操作がダメらしい」
「そういや、運転もド下手だったよな……」
「ぬ~べ~はゲームオンチなのだ!」
「うるさいうるさい!」
「とにかく、買ってきたソフトは呪いのソフトではないようね」
「だから、嫌だったのに……」
「そういや、晶と麗華はどうしたの?」
「あー、晶は塾だってさ。
麗華は、家の用事だって言ってたけど……」
「フーン」
夕方……
龍二の学校で、麗華は生徒会室の部屋にあるテレビで、真二達とゲームをしていた。
「おっしゃ!!勝ったぁ!!」
「くそ…負けた」
「どうだ!麗華!
これで条件は果たした!さぁ、この俺に…ゲフ!!」
突然後ろから彼の頭に、木の薙刀を緋音が思いっきり振り下ろした。真二はその場に伸び倒れ、頭から魂が抜けたかと思いきや、すぐに戻った。
「全く!
小学生に、何やらせてるのよ!アンタは!」
「か……格闘…ゲーム」
「ゲームに自分が勝ったら、神崎の妹にメイド服を着させる予定でした」
「が!!木島!!お前」
「メイド服ね……」
怒りに満ちた声が聞こえ、真二は恐る恐る後ろを振り返った。そこには怒りのオーラを纏った龍二が腕を組み、彼を見下ろしていた。
「り、龍二…」
「か、会長…」
「真二……お前、いつから麗華を着せ替え人形にした?あ?」
「い、いや…それは……」
「会長…怖いです」
「お前等は、麗華連れて表に出てろ……終わったら、呼ぶ」
「は、はい……」
「麗華ちゃん、調理室行こう。家庭株の友達が、美味しいお団子作ったって言ってたから」
「う、うん……」
同じ頃、塾が終わった晶は、商店街を走りソフト屋へ向かっていた。
「塾で遅くなっちゃったよ。
ったく……みんなみたいに昼間から遊びたいな……
新作ゲームのエノキアス、売り切れちゃったかな……」
そう思いながら、ソフト屋へ入り捜した。捜していると、棚に一つそのソフトは置かれていた。
「よかった。一枚残ってたよ」
家に帰った晶は、早速そのゲームをやり出した。ロボットのキャラが出てきたかと思いきや、突然テレビ画面が砂嵐になり、そして変な字と目が映った。
「わあああ!!こ、これって……まさか。
う、うわ!ど、どうやってクリアするんだ?
ウワァァアアア!!ぬ~べ~!!」
翌日……
「晶!!」
玉藻から連絡を受けたぬ~べ~達は、急いで童守病院へ向かい、中へと駆けこんだ。
中では診察台に横たわる、下半身が石化した晶がいた。
「キャァアア!!」
「か、体が半分、石になってる……」
「何の病気だ」
「これは呪いだ。
石化が心臓まで達すれば、死ぬだろう……後、三日というところか」
「晶!!」
「ちきしょう!!誰がこんな事を……
ぬ~べ~!!麗華!!何とかできないのか?!」
「強力な呪いだ……
正体の分からなければ、手出しが……」
「何とかしたいのは山々だけど……
鵺野の言う通り、正体が分からないと」
「鵺野先生、麗華君、ちょっと」
病室を出て行ったぬ~べ~と玉藻と麗華……泣いていた郷子は、晶の手に握られていた紙に気付いた。
別室へ来た玉藻とぬ~べ~と麗華……玉藻はディスクの上に置いていたソフトを見せた。
「実は、このソフトが彼の家で見つかりましてね」
「まさか……中身は、呪いのソフト!?」
「これをやれば、助かる方法が分かるかもしれませんよ。
ゲームは得意ですか?」
「……」
「言っとくけど、私兄貴から禁止されてるから、ゲーム(真二兄さんのせいで、一週間も禁止令が出されるとは)」
テレビ画面に映ったのは、昨夜晶が見たのと同じ変な字と目だった。そして画面が切り替わり、白い着物に身を包んだ人間が、妖怪だらけの街にいた。
「画面が変わった」
「不気味なアクションゲームです。
亡者を避けて、歩いてください」
その時、背後から霊気が感じられ、玉藻達は後ろを見た。そこには画面と同じ妖怪がいた。
「現実と連動している様です」
画面の中で、プレイヤーが亡者に襲われている時、自分達もその亡者に襲われた。
「鵺野先生!避けて下さいと言っているでしょ!!
何で、わざわざ亡者に向かっていくんですか!!」
「いやその、あの……俺はね」
「このゲームオンチ!」
「う…」
「私がやる!!
?!
この町……どこかで見たことありませんか」
「え?」
「病院……学校……駅……そして公園。
それに、ここは麗華君達の家の神社。すべての位置は」
「じゃあ」
「まさか」
「そうです」
(童守町)
(童守町)
(童守町)
「亡者に追いやられて、あの丘の上の建物に行くようになっています」
「町中の壁にある文字の意味は?」
「分かりません……超古代文字のようだが……」
「何か、どっかで見たことある字だな……」
「本当か?」
「前に京都に行った時、蔵の中で似たような文字を見たんだ」
「……着きました。
中へ入りますよ……」
「邪魔はさせんぞ!!!」
画面から突然顔が浮き出てきた。ぬ~べ~は鬼の手を出し闘おうとしたが、鬼の手は既に石化していた。
「鵺野先生!!麗華君!!分かった。あの壁の字は……
この石化の呪いをかけるための呪文だったんだ!!我々は町を歩くことで、全て呪文を意識の底に送り込まれてしまった……我々は負け」
激しい音に、部屋に来ていた郷子達は、中にいる玉藻達に呼び掛けたが、応答がなかった……広は、ドアを体当たりし中へと突っ込んだ。
中には石化したぬ~べ~と玉藻、そして麗華と焔達が立っていた。
「ぬ、ぬ~べ~!!麗華!!
まさか、本当にやられちまったのかよ!!」
「死んじゃ嫌!!ぬ~べ~!!麗華!!
返事してぇ!!」
体を揺らすと、ぬ~べ~は床に倒れた。
「ぬ~べ~!!」
部屋の外へ出て、病院の外にいた美樹達にぬ~べ~の事を話した。
「呪いなら、何とか解く方法があるはずだろ」
「どうやって!?
ぬ~べ~も玉藻もあんなになっちゃったのよ!?」
「手掛かりは、晶が握っていたこの紙だ。
呪いのソフトをやりながら、地図を描いてたんだ。童守町のこの丘のここに何かがある」
「ま、まさか俺達だけで、何とかするなんて言うんじゃないだろうな」
「バカ言ってんじゃないわよ!!ぬ~べ~と玉藻先生、それにあの麗華がやられるほどの相手なのよ!」
「霊力も無い僕等がどうするのだ!!」
「じゃあどうする気だ!!
晶は三日で、死ぬんだぞ!!見捨てる気か!?」
「……」
「……もう、泣いてなんかいられない。
俺達だけで、解決するしかない!」
「ハハハハ!止せ止せ。命を落とすぜ」
笑い声と共に、茂みから見覚えのある人物が姿を現した。
「ひ、陽神明(ヒノカミアキラ)!!」
「君等の手に、おえる相手じゃないぜ」