SAO:Assaulted Field   作:夢見草

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まさかのミスって途中で投稿って....でもようやく3千字越え出来ました!そして気づけばお気に入り件数が10件とは。うれしいです!それでは《SAO:AF》三話をお楽しみください。


Ep02: Changing World

突然、リーンゴーン、リンゴーンという鐘の音とともに輝かしいまでの光に包まれたレンが気づいた時には、先ほどとは違い、中世ヨーロッパ風の建物が沈みかけている夕日に照らされ金色に染まった始まりの街だった。

 

始まりの街のどこかだろうと判断したレンは、次々と転送されてくるプレイヤーたちを視界に入れると、転送された際にはぐれただろうカズを探すために歩を進めようとした時、

 

「おい!あれを見ろ!」

 

と、一人の勇者風の端正な顔立ちをした男性プレイヤーが、茜色に染まりきった空を指差した。そこには、異様な風景が広がっていた。

 

突如、深紅に染まる赤いタイルのようなものが、第一層の空を染め上げていった。よく見てみれば、それは二つの英文が交互に表示されていた。【Warning】、そして【System Announcement】と書かれていた。

 

ああ、ようやく何かしらの運営アナウンスがあるのだな、とここにいる一万人弱のプレイヤーだれもがそう思った。

 

トレッドパターンに表示された文字の中間の隙間から、血のように真っ赤に染まる粘性を帯びたナニカがドロリ、と垂れてきた。ソレは突如空中で形を変え、現れたのは二十メートルは優に超えるだろう深紅のフード付きローブに身を包んだ巨大な人間だった。

 

ローブから垣間見せる顔の部分にはあるはずの顔がなく、巨人が身にまとっている深紅のローブと相まって一層不気味だった。公式アナウンスメントを告げるだけにしては過剰な演出、その演出にレンはどうしようもなく不安に駆られた。

 

『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ』

 

低く、しかしはっきりと通る声が広場に響く。誰もが状況を飲み込めずに、唖然としているのを、まるで意に介していないかのように言葉をつづけた。

 

『私の名は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

だれかが息をのむ声が聞こえる。茅場晶彦、その名はFPSにしか興味がなかったレンも耳にしたことがあった。

 

若き天才ゲームデザイナーにして、世界最高峰の頭脳を持つ量子物理学者、フルダイブ技術を確立し、それに必要な機具であるナーヴギアを開発、さらには世界初のVRMMORPGとなるこのSAOを作り上げた人物。ゲーム関係の雑誌ではもう何度もインタビューが特集されている。

 

間違いなく世界でいま最も注目されている茅場晶彦が今目の前に立っている…その事実を知ったレンは、少なからず驚愕した。そして、茅場の言った私の世界へ、という言葉。ふつう考えれば、ゲームクリエイターとしての立場からの言葉だろうが、レンは違う。茅場の無機質な声を聞いた瞬間、いやな予感がレンに芽生えた。

 

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気づいていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す、これは不具合などではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である。』

「はい?」

 

予想の斜め上をゆく茅場の発言に、レンは思わず素っ頓狂な声を上げる。ログアウトボタンの消滅、その事実を初めて知ったレンは、急いでウィンドウを操作する。しかし、まさかそんなハズはないだろうと思っているレンをあざ笑うかのように、ログアウトボタンは存在してなかった。

 

「ウソだろ……」

 

そんなレンのつぶやきは、続く茅場の声にかき消された。

 

『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない…さらに、外部の人間によるナーヴギアの解除、または停止もあり得ない。もしそれが試みられた場合――』

 

僅かにためられる間、訪れた静寂にレンの胸がざわつく。

 

『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を焼き切るだろう』

 

脳の破壊、つまり殺すということ。いきなりの殺人宣言に、重い緊張とともに静寂を保っていたプレイヤーたちがザワつく。

 

――脳を焼き切るだって?何言ってんだあいつ――

――そんな無茶どうやって――

 

現実を飲み込めていないのか、はたまた現実を拒んでいるのか。聞こえてくる声はどれも,掠れ、弱弱しかった。

 

「ふざけんじゃねえよ!信じねえ…信じねえぞ俺は。これも何かの演出なんだろ、グダグダ言ってねえでさっさとここから出しやがれ」

 

張り上げるような大声で武者風の顔立ちをしたプレイヤーが、悠然と浮かぶ茅場に対して指をさした。それに後押しされるように、ほかのプレイヤーも騒ぎ始める。罵倒、憤怒、嘆き、さまざまな感情がまるでミキサーでミックスされたようにぐちゃぐちゃに入れ交る。しかし、そんなプレイヤーたちの言動を、まるで気にしていないかのように茅場は抑揚を変えることなく続けた。

 

『しかし、存分に留意してもらいたい。諸君にとって、《ソードアート・オンライン》は、すでに唯のゲームではない。ゲーム内のヒットポイントがゼロになった瞬間、君たちの脳はナーヴギアによって破壊され…君たちは現実世界から永久に消滅するだろう』

 

とたん、再び場を静寂が支配した。ゲームでの死=現実世界での死。この、シンプルかつどこまでも残酷なその方程式は、不思議とすんなりレンの頭に浸透していった。

 

思わずレンは自分のステータスを見る。グリーンで表示されるこのHPバーがなくなってしまえばこのポリゴンで構成されたこの体だけではなく、今現実で眠っている自身の体さえも死んでしまう…その事実にレンは思わずぞっとする。

 

それと同時に何故?という疑問が生じた。天才と言われ、ほしい名をものにしてきた茅場がなぜこんなデスゲームじみたことをしたのか…レンは無意識のうちに、風にはためく深紅のローブを見つめた。

 

『諸君らがゲームから解放される条件はただ一つ、先ほども述べたとおりこのゲームの第百層を攻略すれば生き残ったプレイヤーすべてを解放することをここに約束しよう』

 

脱出するにはこの第百層をクリアするしかないと茅場は言った。違う、俺が求めてるのはそんな回答じゃない。だんだんと湧き上がってくる恐怖と茅場に対する怒り、その二つの感情がせめぎあいぐちゃぐちゃになっている思考をどうにか押さえつけてレンは冷静に事を見つめることにした。

 

『それでは最後にこの世界が諸君らにとって唯一の現実である証拠を見せよう。アイテムストレージにアイテムを送った。確認してくれたまえ』

 

促されるように、レンはアイテムストレージを開く、プレイして間もないレンの質素なストレージの中に《手鏡》なるアイテムが存在していた。

 

レンがクリックし、アイテムを実体化させると何の変哲もないごく普通の手鏡があらわれた。レンが不思議に思って鏡をのぞきこむと、転送たせられた時と同じようにまぶしい光に包まれた。ほんの二、三秒、光が解け、何が起こったんだ、と再びレンが手鏡を覗くと

 

「な!そ…そんなバカな」

 

日本人の特徴ともいえ、憧れでもあった黒髪黒目ではなく、母から受け継いだその瞳は深い海を思わせる紺碧色、そして、スパイキ―ショートにまとめられた薄ブロンドの髪、目はくっきりと鼻もスッと通っていてしていて、全体的に整っただれもが美青年と称するだろう、現実世界そのままのレンの姿が映し出されていた。

 

あわててレンが周りを見渡すと、さっきまでまるで物語にでも出てくるかのような美男美女ぞろいだった集団が一変、いたって普通の顔立ちの集団に変わり、その男女比率も大きく崩れていた。突然の出来事にますます困惑の気色が深まるレンを余所に、茅場による説明は続いていった。

 

『諸君らは何故?と思うだろう。これは身代金目当てなのか?はたまた新手のテロなのか?と』

 

今までと同じ抑揚で話していく茅場、しかし、レンは違った。一見変わらないように聞こえる茅場の声だったが、その言葉一つ一つに今まではなかった茅場自身の感情が表れているように感じた。あらわにした感情は何なのか、『情熱』、『憧憬』次々と浮かんでくるが、そのどれも違うだろうと、レンは結論付けた。

 

『私の目的はただ一つ。私はこの《ソードアート・オンライン》を鑑賞の為のみ考案し、作り上げた。そして私の目的は達成した…以上で、《ソードアート・オンライン》正式サービスチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

そう、一言告げて、茅場の姿が蒸散していった。再び、アインクラッドの空が自然な色合いに戻る。

 

茅場が消え去ってからの間、誰も言葉を発することはなかった。皆、あまりの突拍子すぎる事実にだれも理解しようとは、いや、そもそも受け入れようとすらしていなかった。

 

きっと何かの悪い冗談だ。ただのガラの悪いイベント演出で、きっと何もなかったかのようにログアウトできるだろう、と。

 

「き、キャアアアアアア」

 

突然響くだれかの叫び声、限界まで追い詰められたようなその声に、今までで抑制されていたプレイヤー達の感情の渦が、この始まりの街に爆発した。

 

「ふざけんな!ここから出せよ」

「いやだよ。そんなことって」

「これから塾があるのに」

 

一言では表すことのできない感情の爆発。レンもまた、普段の冷静さを失い、ただぼうぜんと立ち尽くしていた。

 

ログアウトができない?hpがゼロになったら現実の体も消滅するなんて、そんな不条理あっていいはずがないだろ。いつも快活に動いていた体はまるで鉛をのんだように重く、体の熱は冷水につけられたように冷たくなっていった。

 

あまりの出来事に思考は停止し、ひたすら湧き上がってくる恐怖という名の感情に自分を押しつぶされそうになり、どうにかなってしまいそうだった。そんな状態で、なにもできるわけがなく、カカシのように立ち尽くしていたレンの腕を、不意に誰かが引っ張った。

 




レ「さて、覚悟はいいか?」
チャキン(←ナイフ出しながら
夢「いや、ほんとすいません(土下座)」
レ「一応理由は?遅れたのにはちゃんとした理由があるんだろ?」
夢「ゴーストと、Bo2と...デスティn」ザシュ!
レ「処刑だね♪」
夢「(...ゴフ)」
レ「ほんとに駄作者だよな」
夢「そ...そんなことは...な...い...(バタ)」
その後、夢見草を見たものはなかった...
レ「遂に逝ったか」
夢「じゃなーい!人を勝手に殺すな!」
レ「チッ」
夢「ねえ今舌打ちしたよね?ねえ?」
レ「読んでくれてありがとうございました!それじゃあ!」
夢「勝手に終わらせないでよ...」


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