SAO:Assaulted Field   作:夢見草

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いやー。寒いですね。私はようやくテストが終わって、ホッとしている反面、部活が再開されるので手放しには喜べません(笑)
気づいたら、こんな小説にも、お気に入りが100件を超えました!みなさん、本当にありがとうございます!!


Ep18: Spared and taken

命というものは、はかないからこそ、 尊く、厳かに美しいのだ。

~トーマス・マン~

 

 

 

 

 

第二十三層攻略は、レンによって終止符が打たれ、攻略組は第二十四層を最前線に押し上げることに成功した。

 

しかし、そのための代償は決して安いものではなかった。攻略組総勢84名の内、死者13名。そして、“ホワイト・カイザー”カズの死。その立ち振る舞いから、全アインクラッド内のプレイヤー達の希望だった彼の死は、とても大きな爪痕を残すこととなった。

 

そして、誰も目にしたことがない、二対のナイフと、不思議な形状のをした投擲武器を装備し、人とは思えぬほどの身のこなしと体術を駆使して、スコーピオンを一撃で屠ったレンの“A-ナイファー”と、それが属する“ユニークスキル”の存在も、多くのプレイヤー達を震撼させた。

 

***

 

 

散々たる二十三層の攻略を終えてから、数日後。レンは新たに解放された二十四層のフィールドでひたすらモンスターを倒していた。

 

その後ろ姿は暗く、足取りも重い。まるで女性と見間違えるほどに整った顔には影が灯り、紺碧に輝く瞳も、今はうつろだった。死に場を探すかのようにフィールドを彷徨うレンの後姿は、以前の彼とは大きくかけ離れている。実際のところ、レンに生きようとする意志などまるでなかった。

 

俺は人殺しだ。俺の所為でカズはしんだんだ。なら、この身に一体何の価値があるんだ?

 

そんな感情がレンの頭から離れず、ただひたすらモンスターを狩り続けた。

 

「あ………….」

 

第二十四層のフィールド内で、もう何体目か分からないほどにモンスターを狩り続け、たった今、蜂型Mob《キラービー》を倒したところで、アヴァンへと装填する換えの刃のストックがなくなったのに気づいたレンは、仕方なく補充のために主街区である《トールタウン》へと向かった。

 

***

 

「いらっしゃい!何がお望みだい?」

 

こちらの気分など気にすることなく、陽気に喋りかけてくるNPCの店主をレンは無視して、購入ウィンドウから換えの刃を選択。所持金の許す限り購入してその場を後にした。

 

さてまたフィールドに戻ろうかと思ったところを、

 

「待つんダ、レ―坊」

 

アルゴによって肩を掴まれていた。

 

「………………」

「なァ、もうこんなことは止めてくレ。オネーサンはそんなレ―坊はこれ以上見たくなイ」

 

とても心配そうに眼を伏せ、アルゴがレンへと語りかける。しかし、レンは迷惑そうに表情をゆがめ、

 

「お前には関係ないだろ!!」

 

とアルゴの手を振り払った。

 

「俺が何をしようがしまいが、アルゴには何の関係もないだろ」

 

瞳に怒りを露わにして、レンが怒鳴る。当然といえば当然だった。これまでに、レナやキリト、そしてアスナが何度もやめさせようとしても、レンはそれを悉く無視してきたのだから。

 

「ッ!!バカ!!」

 

それを見たアルゴは、居ても立ってもいられなくなり

 

「なっ!!」

 

気付いた時には、レンの右頬をはたいていた。

 

「なんだよ!急に……」

「この分からず屋!!」

「はあ?」

「オレっちは分からず屋と言ったんダ。イイヨ、そっちがその気なラ……」

 

状況が理解できていないのか、驚きながらも文句を無視して、アルゴはレンの右腕を引っ張ってある場所へと向かった。

 

***

 

「ったく、なんだってこんな場所に………」

 

アルゴに無理やりレンが連れてこられてのは、今でもその活気さが失われない二十三層主街区“マララッカ”だった。

 

「おい、どうしてこんな所に」

「………………………」

「はあ…………」

 

アルゴの意図が分からず、先ほどからレンは何度もアルゴに尋ねているのだが、当の本人は押し黙ったままだった。

 

そんなこんなしている内にも、アルゴはメインストリートをずんずん進んでいき、サブストリートへと入る。やがて、サブストリートにある店に入った。

 

「ほラ、そこに座レ」

「………」

 

アルゴに促されるままに、レンは仕方なくカウンターの席へと座った。すると、店の奥から、とても筋肉質な体つきの浅黒の男が現れる。

 

「エギル……」

「よお。久しぶりだな、レン」

「どうしてこんな所に?」

「なんだ、店の看板見なかったのか?ココ、俺の店だぞ」

「はい?」

 

思わず、レンは驚いた。エギルがこんな所に店を構えているなど知らなかったからだ。連れてきたアルゴの方を見るも、アルゴはプイッと顔をそむけるだけだった。

 

「まあ、アルゴも座れよ」

「じゃァ、遠慮なク」

 

テキパキと作業を続けながら、背を向けたままのエギルに、アルゴも同意してレンの隣へと座った。

 

「まあ、とりあえず飲め」

 

やがて、エギルがカップを二つ、レンとアルゴの前に置いた。カップからはコーヒーのようなにおいが立ち込めている。

 

「……………」

「砂糖はあるカ?」

「ああ、一応」

 

レンは視線を向けただけだったが、アルゴはカップを引き寄せると、エギルから砂糖を受け取り、ドバドバと入れてからズズズッとコーヒーを啜っている。

 

「そろそろ説明してもらおうか、アルゴ」

 

そんなアルゴを見て、レンがしゃがれた声で言った。

 

「…ここにレ―坊を連れてきたのハ、カズについてダ」

 

ピクリッとレンは少しだけ反応した。

 

「…それで?」

「本当は口止めされていたんだが、この際しょうがないしな」

 

アルゴの代わりに、エギルがハリのあるバリトンの声で答える。エギルはカウンターに寄りかかると、ゆっくりとした口調で話し始めた。

 

「カズは今まで一人で何をしてきたと思う?」

「…それは、レべリングとか、クエストとかだろ」

 

唐突なエギルの質問に、レンは少し戸惑う。

 

「ちがうな、そんなんじゃない」

「じゃあ、なんだって言うんだよ!」

 

訳が分からず、少しだけレンの口調が強くなる

 

「なあ、レン。カズは今まで自分のためだけに行動してきた訳じゃないんだ」

「それは……」

 

それには、レンにも心当たりがあった。現実でもそうだったし、このSAOでも足手まといになるだろうレンのことを見捨てなかったからだ。

 

「カズは、誰よりも他人のために動いてきた」

「じゃあ何だよ、あいつは人助けでも…」

 

言いかけたところで、レンはハッとした。

 

そんな、そんなハズは…… いや、でも……

 

レンはどうしようもなく動揺した。カズが今まで行ってきた事の答えをつかんだ気がするから。

 

「そう。カズは今まで、右も左もわからないプレイヤー、このデスゲームで危機に瀕しているプレイヤー達のために、出来る全てを以てプレイヤー達を助けていたんだ」

「そんな…………」

「因み二、カズはオレっちにマッピングデータやいろんな情報を提供してくれたヨ」

 

アルゴは半分ほどコーヒーを飲み終えたところで、うろたえているレンへと告げる。

 

「そんな…あいつが……」

「本当だヨ」

 

思い当たらないフシがない訳ではない。それでも、カズが自身を顧みずに他人を救い続けたという事実に、レンは胸を締め付けられる思いだった。

 

あいつは…こんな状況になっても自身の信念を貫いたのか。なのに…なのに…

 

「少し、一人にしてくれないか」

 

そう言って、レンは力なく立ち上がり、ドアノブへと手を掛けると、振り向いて

 

「ありがとう。アルゴ、エギル」

 

そして店を出た。

 

「これで大丈夫かナ?」

「さあな、後はアイツ次第だ」

「そっカ。エギル、コーヒーおかわリ」

「はいよ。あまり砂糖は入れすぎるなよ?」

 

コポコポポ……再び、店内にコーヒーの香りが充満する。

 

***

 

「……………」

 

エギルの店を後にした後、レンはひとまずかつての拠点であった宿屋“レ・ミゼア”へと向かい、今は年季の入りきったボロボロのベッドに身を横たえていた。

 

カズが死に際に見せた、あの微笑み。そして、エギルやアルゴから聞いたこと。それらがぐるぐると回り続け、レンの頭から離れなかった。

 

「…おれは……」

 

どうしたらいいのか。

 

整理しきれていない頭でレンはずっと考えていたが、ソレはまるで靄をつかむかの如く終わりの見えないものだった。左手を顔において、レンはゆっくりと眼を閉じた。

 

“たった一度きりの人生、楽しまなきゃ損だろ”

“いやー。食った食った”

“せやかてもクソもあるか”

“いわば受動部隊だ”

“だから、さ。もし厳しくなったら俺たちを頼ってくれ、いつでも駆けつけるから”

“お前とアルゴは……”

“お前の覚悟を俺に見せてくれ、レン”

“心配…すんな。オ…レな…ら......大丈…夫だから……さ。後の…ことは…”

 

カズの姿が鮮明に思い出される。

 

あいつは…立派に生きたのか……なあ、カズ。俺はどうしたらいいんだ?

 

そんなレンの問いに答える者はいない。

 

チリィン。

突然、レンにメッセージの着信を知らせるウィンドウがポップアップした。

 

「誰からだ?」

 

レンはウィンドウに表示された差出人を見て絶句した。

 

“プレイヤー名:Kazayからメッセージが届きました”

 




レ「さあ、あとがきコーナの時間だ!!」

夢「お、おう(←涙声」

レ「......(←若干引き気味」

レナ「作者は、お気に入りが100件超えたから感無量なんだそうだよ?」

レ「わざわざ解説ありがとな。レナ」

レナ「へへん、もっと褒めて!」

カ「ま、こんな駄作に100件もお気に入りがつくなんて想像してなかったがな笑」

レ「だよなあ。そこんとこどうなんだよ?」

夢「いやあ、本当に嬉しい過ぎて涙が止まらない。こんなにも読んでくれている人達がいるなんて......」

レナ「ハイハイ。みっともないから泣かないの」

ハンカチを差し出す

夢「おお、ありがたい」

レ「さてと、俺たちからもありがとな。こんなにもアホでバカなこいつの作品を読んでくれて」

カ「本当。お気に入りが一件増えただけでも大喜びするからな。こいつ」

レナ「じゃあ、今日はこれで終わる?」

レ&カ「「さんせ〜」」

レ&カ&レナ「「「読んでくれてありがとな(ね)!感想やコメント、批判も待ってるぜ(よ)」」」

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