えーっと活動報告にチョットした質問が有るので、よかったら意見を下さい。それでは、《SAO:AF》をお楽しみ下さい。
「ハア……コルが足りない……」
まだ日が昇り切っていない朝早く。レンは、珍しく朝早起きしてフィールドにこもっていた。
サクッサクッと、ブーツが砂に食い込んでいく感触を足で感じながら、レンは索敵スキルでモンスターの反応を確認しつつ、コルがたまりやすい穴場として有名な狩り場を練り歩いていた。
「お、ようやく第六波か」
次々と反応が増えていく赤点、その湧出スピードは、通常のフィールドのおよそ二倍はあるだろう。
並大抵のプレイヤーだと、レベルとHPが足りないので、危険すぎるのだが、HPとレベルが十分に足りていて、ある程度湧出するモンスターの行動パターンを読むことができれば、この危険な狩り場は、たちまちコルをガッポガポ稼げる穴場と化す。
というのも、この場所で主に出現するワーム型Mob《ゴールド・ソーサー・ワーム》がドロップする、《ソーサーのツノ》は、武器の強化や、作成などに欠かすことのできない、インゴットの一つなのだが、現状、このツノが一番良質なもの。当然、その市場価値は非常に高く、NPCの商人に売っても、一つ500コル。商人プレイヤーに至っては、交渉次第で800コル以上にも買値を釣り上げることができるほど。手早くコルをためるにはもってこいの素材なのだ。
その分、《ゴールド・ソーサー・ワーム》のレベルも少し高めだが、ソレを補ってお釣りがくるこの狩り場は、あまりの人気さゆえに“一人一日45分のみ”と、三代ギルドが中心となって決められている。
が、レンがこの狩り場に潜ってから、もう一時間四十五分が経過していた。早起きは三文の得とはよく言ったもので、まだ朝早いこのフィールドに、プレイヤーはほとんど見あたらない。当然、レンのじゃまをするものはなく、レンは、気兼ねなくこの場にこもっていられた。
「さて、始めるか」
レンは、腰にある鞘から剣を抜いて、こちらへと向かってくるモンスターの大群に切り込んでいった。
***
「いやー、大量大量!!」
すべてのモンスターを殲滅し尽くしたレンは、ウィンドウからドロップしたアイテム一覧をみ、こみ上げる笑いを抑えきれなかった。約七度に渡る、モンスターの大量リポップを蹴散らし、ドロップした《ソーサーのツノ》は、優に五十を越していた。NPCで売りさばいても、計27000コル。レンの予想していた額よりも5000も上回った。
「よし、そろそろ帰るか」
幸福感を十二分に感じながら、レンは帰路へと就いた。
***
レンがマララッカに戻るや否や、近くのNPC商人に《ソーサーのツノ》を十五個だけ自分用に残しておいて全て売りさばき、その足で、そのまま防具店へと直行。今まで、換えたくとも換えることのできなかった、くたびれて、ボロボロだった防具一式を新調する。
「これと、後これも…っと、こんなもんか」
今レンが持っているものよりも数段高性能な防具を次々と買っていき、その総額は10000コルを超えた。
「まいどー!!」
そんなレンの大量買いに、心なしかNPCのこの男性もどこか嬉しそうだった。
その次に向かったのが、今の二十三層の中で一番腕がイイと話題の鍛冶プレイヤーゴ開く店だった。
「よう、シェリー。調子はどうだ?」
「ハロー、レン。まあ、上々ってところよ」
「そっか、早速だが、武器の強化を頼んでもいいか?」
「ええ、もちろん」
シェリーは、グラマスな大人の雰囲気漂う綺麗な女性で、日本人とは思えないほどくっきりと通った鼻と、ハッキリとした目、スッと通った眉毛に、レンよりも濃い、ブロンド髪の女性プレイヤーだ。
シェリーが有名なのは、鍛冶の腕だけでなく、その屈指の美貌も理由の一つだったりする。シェリーはアメリカ人とのクオ―タ―らしく、ロシア人とのハーフであるレンにとっても親しみやすい人物だった。
「この剣を頼む。素材は90パーで、残りの10パーはこっちが用意したのを使ってくれ」
「あら、《ソーサーのツノ》がこんなにたくさん、どうしたの?」
「チョットな」
「まあいいわ。で、内わけは?」
「Aに+2、Sに+3で頼む」
「オーケー、任せなさい」
シェリーはレンから《ソーサーのツノ》と、片手直剣《フラタニティ》を受け取ると、深紅に燃える炉へとくべた。
すると、輝かしいライトエフェクトが飛び散る。やがて熱されたフラタニティを取り出すと、ハンマーでたたいてゆく。カァンカァンカァン!!何度も叩いて、遂にフラタニティに眩い光がともる。
「はい、無事終わったわ」
「サンキュー。で、代金は?」
「2000コルでいいわよ」
「マジで!?」
「ええ、あなたは特別だもの」
魅力的な笑みで、シェリーが笑う。
「そっか、サンキューな」
「もう、本当に鈍いわね」
「??????」
「いいえ。また来てよ?」
「ああ、喜んで」
そうして、レンは店を後にした。日はすっかりと落ち、空はゲームが作り出したものとは思えないほどの綺麗な茜色に染まっていた。
「そろそろ会議が始まるか」
ちょうどころ合いだと考えたレンは、今日開かれる攻略会議の集会場へと向かった。
***
第二十三層がアクティベートされてから、約二週間と三日。
アルゴによって提供、公開されたマップデータにより、攻略ペースはどんどん上がって行き、皆の思っている以上の速さでボス部屋へとたどり着いたのだ。今や攻略ギルドは三つに分かれ、毎回厳粛な話し合いのもと、今回は、
DDAーー聖竜連合ーーのリーダーであるリンドが、主権を握っていた。
「さて、今回も激戦が予想されそうだ。皆!十分に気を引き締めてくれ」
ティアベルを思わせるような青色の髪を揺らしながら、リンドは今回の攻略会議を締めくくった。
「ハア……やっと二十三層攻略か…………」
「どうしたのー?ため息なんて吐いちゃってー」
まるで幽霊のように力なくつぶやくレンに、レナが持ち前の明るさで声をかけた。なめらかな藍色のポニーテールが可愛げにゆれる。
「ハハハ。ため息なんて吐くなよ」
「うっせーよ。誰の所為だと思ってんだ」
カラカラと笑うカズを尻目に、レンはさらに頭を抱えた。レンが深刻なコル不足に陥った理由は、その大多数が彼の隣にいる
ある日、一体どこから入手したのやら、誰も知らないはずのアルゴとレンの出来事について、レンをいじり倒し、その口止め料としてレンは毎日ゆうしょくを奢るハメになっていたのだ。
更にたちの悪いことに、カズは容赦なく高級料理を頼みまくった。おかげで、レンのコルは湯水の如きすさまじさで減っていき、武装の補充や、防具の新調すらままならなかったのだ。
しかし、そんなレンを知ってか知らずか、カズは少しも悪びれる様子もなく、
「なあ、なんでそんなにコルが減るのが早いんだ?俺の使っている食事代以上じゃね?」
などと言う始末。カズは知らないのだ。レンのユニークスキルたる“A-ナイファー”が、どれだけ大コル喰らいであるか。
NPCの武器市場価格、およそ一刃250コル。射出したのちに回収不可能なこの大コル喰らいは、職人プレイヤー達が作成できない以上、レンはNPC武器商に頼るしかない。
「ま、まあ、元気出してね?ね?」
まるで魂の抜けたような表情のレンに、レナが苦笑しながらも声をかける。
「確かにな」
「キリト、お前にだけは言われたくない」
「ちょ、ひどくないか?それ」
レンがキリトをからかい、笑いあいながら、一行は集会場を後にした。
***
「景気づけにパァーッとやろうぜ!」
と、カズの提案により、一行は街の中心区を目指していた。
日はすっかりと落ち、それでもなお鎮まることを知らないこのマララッカの街は、露店や街灯が発する穏やかな灯が、とても幻想的だった。
一行が、ちょうど中心区の真ん中に位置する広場に入ったところで、突然、カズが足をとめた。
「どうしたんだ?」
突然の不可解な行動をとったカズに、レンが不思議に思いながら尋ねた。
「一つ確認しておきたいことがある」
「なんだよ、急に改まって」
カズは目をつぶって、しばし考え込んでいたが、やがて意を決したかのように顔を上げると、静かにレンを見据えた。
「なあ、レン。お前はこれからも前線に出続けるのか?」
「……ああ、当然だろ」
「…そうか」
とたん、カズの纏う雰囲気が変わった。いつもと違い、とこまでも真剣な瞳がレンを捉える。そんなカズに、レンはひどく既視感を覚えた。
あれは…あいつが…..そうだ、あのときと同じだ。
研ぎ澄まされたオーラと、冷静さを感じられるその言いよう。ソレは、かつてレンがデスゲームであることを宣言され、恐怖にのまれそうになったところを助け、この世界で生き残るために戦うことを決断したカズと同じだった。
「じゃあ、お前の覚悟を俺に見せてくれ、レン。その剣でな」
そう言って、カズはウィンドウを操作してゆく。次の瞬間、レンの目の前にポップウィンドウが表れる。
“Kazayから半損決着デュエルを申し込まれました。承認しますか? YES/NO”
「本気か?カズ」
「ああ」
「でも、そんなこと……」
「俺は至って本気だよ。レナ」
それが何を意味するのか、理解したキリトとレナがカズに問うが、まるで、
“もうこれ以上は口を挟まないでくれ”
とでも言わんばかりに見つめるカズに、キリトとレナも黙るしかなかった。
「………一つ聞かせろ、何故こんなことを?」
「これから、モンスターのアルゴリズムも、フィールドもどんどん複雑化していく。そんな中で、お前が取るに足る存在か、俺が見定めるためだ」
言って、カズは自身の代名詞たる白を基調としたコートを揺らし、背中にある鞘から、純白の片手直剣《セイヴァーズ・ソウル+5》を取り出した。
あいつは本気か……はたして、俺はアイツに勝てるのか?“ホワイト・カイザー”とまで呼ばれるあいつの剣戟に。
レンとカズの差は、誰が見ても歴然。そんなこと、一番理解しているレンの脳裏に、不意にカズの言葉がリフレインする。
“お前の覚悟を、俺に見せてくれ”
カズはそういった。つまり、これは勝ち負けなどではないのだ。そう理解したとたん、レンの揺らいでいた心がすとんと落ち着いた。
なら…俺がお前に証明してやる。俺がこのデスゲームで戦い続ける“覚悟”を!!
そして、レンは腰にある鞘から、カズと同じように剣を走らせた。青銅色に輝く片手直剣《フラタニティ+5》レンがYESのボタンを押すと、60秒のカウントダウンが始まる。15……14……レンは剣を正面に構える。
対して、レンは身体と水平になるように真横に構える。
10……9……8……
レンは両足に重心を置いて、頭の中の雑念をクリアにしてゆく。
1……0……
刹那、ブーツと地面が擦りあって火花を散らしながら、二人はその場から爆ぜた。中段の構えから、高速の突進と共に突きを繰り出すレンの《クイッカースパイク》が、自身のAGIの補正を受けて、払い上げるように振るわれるカズの剣先が届くよりも先に、届こうとしていた。
初撃はもらった。
そう思ったレンだったが、カズはにやりと笑い、体を切り返すと、カズが発動したソードスキルによって描かれる剣の軌道をゆがめ、横なぎの一閃をレンへとヒットさせた。大気が震え、レンがそのまま五メートルほど吹き飛ぶ。
「なッ………」
驚いているレンに対し、カズは不敵に笑った。
カズの扱うシステム外スキル《モーション・キャンセル》通常、ソードスキルを無理にキャンセルしようとすると、不快なフィードバックと共に、ディレイが発生するが、ある特定のタイミングで他のソードスキルを発動することにより、強制的にソードスキルを打ち消してキャンセルすることができるのだ。
「くそ!!」
やがて、体制を整えたレンが、再びカズに肉薄した。
「ハアッ!!」
レンは、カズの斬り返してきた剣を防ぐと、そのままなぎ払うように剣を放った。しかし、カズは冷静にその立ち筋を見極め、体を左にスウェーさせてかわし、レンの上半身へと鋭い突きを放つ。
「クッ!!」
レンは半ば本能的にかろうじて反応するが、完全にかわすことはかなわず、右肩に感じるかすかなダメージの残滓と共に、HPが少し減少した。たった二分にも満たない剣の攻防、しかし、状況は圧倒的にレンが不利だった。
どうした?そんなもんか?
レンを見据えるカズの目が、雄弁に語りかけてくる。
「まだだ!!」
再び、レンはカズへと肉薄。
アイツに小細工は通用しない。なら!!俺の全をたたきこむ!!
頭部を狙った払い、そのまま胸部へと斬り込んで、更になぎ払う……レンが振るう最高の剣戟。ソレは、美しくも苛烈なものだった。
「ちッッ!!」
流石のカズも、レンの高速連撃を捌ききれなくなったのか、十七連撃目の斬り上げに、自身の剣をはじかれていた。高く舞い上がるセイヴァーズソウル+5。
がら空きになったカズの上段へと、レンはフラタニティ+5を振りおろした。しかし、不利であるハズのカズは、焦ることなく太刀筋を読んで、振り下ろされるフラタニティ+5の刀身に右手を合わせ、そのまま左手で挟み込んだ。
「ウソだろ………」
キリトが驚きの声を上げる。カズが行ったのは、真剣白刃取り。カズだけがなせるだろう絶技だった。そのままカズはフラタニティ+5を逸らし、遠くへ弾くと背後に落ちてくるセイヴァーズソウル+5をヒールで蹴りあげ、見事キャッチしてレンの首元へつつきつけた。
「終わりだ。レン」
「……ああ、降参だ」
そして、デュエルは終わりを迎えた…………………
***
「うわー。カズってすごいねー」
「まったく、真剣白刃取りなんてできないぜ」
レナとキリトは、カズの実力に舌を巻いていた。よもやこれまでとは思ってもいなかったから。
「負けた、か」
「でも、お前の覚悟は見せてもらった」
背中の鞘に剣を収めると、カズはレンに右手を差し出す。
「お前なら、俺の背中を預けられるな」
「お前がそう言うなら。これからもよろしくな、カズ」
レンも左手でそれに応え、二人はお互いのパートナーの存在を強く感じた。
「じゃあ、レストランに向かうか」
「ナイスキリト!!私もうお腹ぺコペコ」
「じゃあ、早速行きますか」
「「「おーー」」」
そして一行は、レストランで祝杯をあげた。
レ「さて、あとがきコーナーの時間だ」
夢「イェイ!!」
カ「foo!!」
レ「さてと、相変わらずの戦闘描写の下手さ。どうすんのこれ」
夢「すいません。もっと努力します」
カ「でも、俺をカッコ良く書いたのはいいぞ」
レ「ハア、まさか負けるとは」
カ「まあ、まだまだってことだよ」
夢「さて、次回は二十三層の攻略を開始できたらなと思います」
カ「なあ、レン。あの事は言わなくていいのか?」
レ「そうだった。活動報告に駄作者からの質問みたいなのがあるから、良かったら見てやってくれ」
カ「頼んだぜ!」
夢「じゃあ、締めよっか」
一同「「「ここまで読んでくれて有難うございます((な))」