SAO:Assaulted Field   作:夢見草

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どうも!夢見草です。今回でやっと第一層の話が終わります。非常に長く感じましたが、やり斬った感が半端ないです(笑)それでは、《SAO:AF》第9話をお楽しみください。


Ep:09 This is my decision

「手順はセンチネルと同じだ」

「オーケー、キリトに合わせる」

 

そうして、二人はボスへと駆けだしていった。

 

巨木のように大きな野太刀を、まるで棒きれでも振るっているかのように扱うコボルトロードに対し、キリトとレンは最小限の動きだけでかいくぐって行き、間合いへと踏み込んだキリトは、自身の得意とする剣戟を繰り出してゆく。

 

足元を狙った斬り払い、そのままの勢いで剣を切り返し、コボルトロード胸元へと切り込む。豪快に迫りくるコボルトロードの切りおろしを、横に跳び退いて回避し、がら空きになった横腹に大技をたたきこむ。

 

ソードスキル《バーチカル・アーク》、二つの光の軌跡が、Vの字を描いてヒットする。キリトが扱えるスキルの中でも上位に入る大技、しかし、コボルトロードはひるむどころかギョロリッと眼を見開いて、ディレイで動けないキリトへと野太刀をたたきつけんと振りかぶる。

 

「キリト、スイッチだ!!」

 

すると、今まで後ろにいたレンが、キリトを庇うように前に出ると、振り下ろされる野太刀に自身のアニールブレード+3を合わせ、そのまま力をいなすように剣をさばく。

 

いなされ、よろけるコボルトロードに対して、レンは追撃を加える。攻撃をいなし、出来たスキを確実につく。STRにあまりステ振りをしてないレンにとって、コボルトロードなどのモンスター攻撃はあまりにも重い、ならば、自身のAGIにものを言わせた高い回避能力と、攻撃をいなしてスキを作る。

 

これが、レンの作り上げてきたスタイルだった。最後に、単発スキル《クレッセント》を放って、振るわれた野太刀を危なげなく回避して後退する。

 

流れるようなコンビネーション攻撃は、コボルトロードの攻撃を確実に削っていた。しかし、キリトはその結果に満足することはできなかった。その原因は人数不足。レンとキリトとでは、お互いにどうしてもカバーし合えないスキがあり、フォローする人がいないために弱点となっているのだ。

 

…く、あと二人、二人さえいれば……

そんなキリトに答えるように、

 

「私のことを忘れないでよ!」

「私も加勢する」

 

今まで参加してなかったレナとアスナが駆け寄ってきた。

 

「よし、これならいける!レン、行けるか?」

「当たり前だろ!!」

 

そうして、四人は再びコボルトロードへと攻撃を開始した。激しいコボルトロードの攻撃を、レナが軽やかにかわしてゆき、スルリとコボルトロードの懐へと入りこむ。

 

小回りの利いた小さな攻撃を積み重ねてゆき、反撃とばかりに振り下ろされた野太刀に飛び乗って、そのままの勢いで大きくジャンプ。空中でスキル《ドロップダウン》を発動して、無防備なコボルトロードの頭へと直撃させる。

 

一時的なスタンに陥ったコボルトロードに、アスナが洗練されたリニアーによる神速の突きを加える。

 

「ブモォォォォォッ!!」

 

悲鳴にも似た雄たけびと共に、コボルトロードのHP目に見えて減少していった。そんなレナとアスナの姿は、とても鮮明で、この場にいる全てのプレイヤー達が、ボスの攻略のことも忘れて見とれていた。

 

「うォォォォ!!」

「ハアァァァァッ!!」

 

もう何度繰り返したか分からないコボルトロードへの攻撃、しかし、キリトとレンは手を休めることなく剣をふるい続けた。

 

「邪魔だ!!」

 

迫りくる野太刀を、レンは《クレッセント》ではじき返す。

 

「今だッ!!」

「任せろ!!」

 

バランスを崩し、よろけるコボルトロードへ、キリトはソードスキルを解放する。V字型に斬りつける二連撃、《バーチカル・アーク》、更に、ディレイから回復したレンが、キリトとスイッチ、まるで雷鳴の如く唸りを上げる、コボルトロードの《旋風》をかいくぐり、がら空きの巨体へ、《ダブル・アクセル》を放つ。

 

「行けるぞ!!レン!」

「オーケー、これで決めろ!!」

 

その掛け声とともに、キリトが再び駆けだす。

 

「ハアァァァッ!!」

 

叫び声と共に放たれる斬撃、突出したアニールブレード+5を切り返し、横水平への切りつけ。コボルトロードがひるみ、空いたスペースに踏み込む、放たれた《緋扇》の上下攻撃を、身をよじるように回避、続く月が放たれるよりも前に、キリトは自身のソードスキルを炸裂させる。

 

高速で水平に二連撃、そのままの勢いでアニールブレード+5をすくい上げるように斬り放つ。横緑のライトエフェクトが十字を描く、《バーチカル・クロス》に、キリトは自身のすべてを乗せた。最後に放たれた斬撃と共にコボルトロードの体が、無機質なサウンドを奏でながら、ガラス片となり消滅した。

 

とたん、フロア中に勝利のファンファーレが鳴り響き、浮かぶ“Congratulations” の文字、それが何を意味するのか、理解したキリトは、ヘナヘナとその場に座り込んだ。

 

***

 

第一層のボスは、キリトの激しいソードスキルによって倒され、その死闘に幕を下ろした。

 

「ハハハ…ようやく終わった………」

 

緊張の糸が解け、レンは大きくため息を吐いた。キリトのほうを見やると、先ほどのほとばしる闘気はどこへ行ったのやら、力なく地面に座り込んでいた。

 

「お疲れ様、お互いに大変だったわね」

 

レンが休んでるところへアスナが声をかける。

 

「ああ、とんだ貧乏くじひいちまったよ、ったく」

「ふふふ、そうね」

 

少し皮肉を交えながらも笑うレンを見、アスナもふわり、笑った。被っていたローブは先ほどの戦闘で失ったのか、レンの目に映るライトブラウンの髪と、しばみ色の瞳の、整ったアスナの表情は、とてもきれいだった。

 

へえ……アスナって美人なんだなー…………

 

僅かばかり上昇する体温、ソレをごまかすようにレンは話題を変えることにした。

 

「そう言えばカズは?」

「彼ならティアベルさんと一緒にいるわよ?」

 

アスナの指差した方向には、何やら真剣に話し込んでいるカズとディアベルの姿があった。

 

不可解な行動をとったディアベルを、問い詰めたい気持ちがないワケではなかったが、二人の姿を見、まあ、いっか、とレンは区切りをつけることにした。

 

「―なんで、なんでボスの攻撃が読めたんだ?お前は元βテスターじゃないだろうな?」震える声と共に、ピタリ…..と歓声の声が止んだ。叫んだのはC隊のプレイヤー、その表情には怒りがにじみ出ている。

 

「そこにいるあんたらもだ、本当は自分の身分を隠して、私欲目的のために動いてたんじゃないのか?」

 

男はレン達を指差し、問い詰めた。瞬間、プレイヤー達の懐疑的な視線がレンに集まった。

 

…俺だけならまだしも、アスナまで………

 

状況は最悪。レンがこの場をどう収めるかあらゆる手段を模索していると

 

「元βテスター、だって?…俺を、あんな連中と一緒にしないでもらいたいな」

 

冷笑を浮かべるキリトの声がした。

 

「いいか、SAOのCBTに何人のベテランMMOプレイヤーがいたと思う?ほとんどがレべリングも知らない初心者だった。今のあんたらの方がよほどましさ」

「な、なに?」

「だが俺は違う。俺はβテスト中に、他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスのカタナスキルを知っていたのは、ずっと上の層でカタナを使うMobと散々戦ったからだ。他にもいろいろ知ってるぜ」

「……なんだよ、ソレ…」

 

ありえない、とでも言うように男がかすれた声でそう言った。

 

「そんなの……βテスターどころじゃない、チートだ、チーターじゃないか」

 

周囲から“そうだチーターだ”、“βのチーターだ”と、声が上がる。やがてそれらがまじりあうようにキリトには聞こえた。

 

「《ビーター》、か。いいな、それ」

 

気に入ったかのように二ヤリ、と笑い、キリトは、ウィンドウを操作する。やがて、LAボーナスであるユニーク品《コート・オブ・ミッドナイト》を実体化し、キリトは黒色のコートをはためかせた。

 

「二層の転移扉は、俺が有効かしてやる、この上の出口から主街区間でフィールドを歩くから、ついてくるなら所見のMobに殺される覚悟しとけよ」

 

そう言うと、最後まで冷笑を浮かべていたキリトは踵を返して、先へと進んでいった。

 

***

 

…これでいいんだ、これで…

しかし、これで少なくとも他のβテスターに被害が及ぶことがなくなり、当分は俺に嫌悪の視線が集まるだろう……

 

キリトにとっても、先ほどの判断は当に苦渋の選択だった。βテスター、いや、これからキリトは、私欲のために動き続ける薄汚い“ビーター”として、生きてゆかなければならない。

 

そのせいで、今後は前線にでて、パーティーを組んだりはできなくなるだろうが、この際はしょうがないだろうと、キリトは半ば、折り合いをつけていた。唯一の救いは、エギルやレナ、レン、アスナやカズ達だけは“自分だけは知ってる”という目を向けてくれたところだろう。

 

「ねえ、キリト……」

 

不意に、キリトの肩越しからレナの声が聞こえた。ありえないとキリトが振り向くと、そこにはレナをはじめ、カズや、レン、アスナがいた。

 

「どうして……」

「どうしてって、私はキリトについていくよ?」

 

レナが不思議そうに首をかしげる。

 

「ゴメンな、お前に重荷を背負わせてしまって」

「ああ、これは俺たちのせいでもある」

 

カズとレンも、同じように責任を感じていた。

 

カズも元βテスター、本来なら自分にも糾弾が来るはずだが、キリトのおかげで、今のところは糾弾を受けないで済んでいるからだ。

 

「だから、さ。もし厳しくなったら俺たちを頼ってくれ、いつでも駆けつけるから」

「カズ……」

 

キリトは言葉を失ってしまった。あんなあとでもまだ親友と言ってくれるカズがまぶしくてしょうがなかった。

 

と同時に、こんなやつらと知り合えてよかったと思えた。おかげで、先ほどまで覆っていた言いようもない孤独感が和らいでいくようにさえキリトは感じた。

 

「…ありがとう」

「気にすんなって」

 

カズはニカッと笑いキリトの肩をたたいた。

 

「アスナも、キリトについて行った方がいいんじゃないか?」

「何故?」

「俺とレンじゃ、自分のことで精いっぱいだから。少なくとも、キリトペアの方が安全だ」

「…そう、ならそうするわ」

 

カズのもっともな提案に、アスナはうなずくことしかできなかった。カズは、なにか、有無を言わせないようにも感じたからだ。

 

「そっか、じゃあな、アスナ」

「あなたもね」

 

レンとアスナが握手を交わして、今まで組んでいたパーティーを解散。そのまま、キリトとレナのもとへと歩んでいった。

 

「絶対に死ぬなよ、キリト」

「ああ、分かってる」

 

それだけ交わし、二つのパーティーは第二層の門をくぐった。

 

 

 

 




夢「あとがきコーナー始まるよ!」

レ「おーー!」

夢「やっとだよ、やっと第一層終わったよ」(←達成感

レ「何完結させた、みたいな顔してるんだよ、アホか?」

夢「だって、ねえ」

レ「まああれだけの才能のかけらさえ見つからない文じゃな、しゃーないか、今回だってグッダグダじゃん」


夢「ほんとにこいつは...」

レ「何か言った?」(←黒笑

夢「いえ、まったく」

レ「それにしても、原作通りキリトがビーターなんだな」

夢「ほんとは、カズっていう設定もあったけどソレはね、流石にないかなーって思って思って」

カ「ふざけんな!!」

レ「黙れ」
レナ「そうだよ!!」
ガスッ!!(←レンとレナがカズを殴る音

カ「り、理不尽だ...」
ガクッ

夢「...(誰かアイツらを止めてくれ...)」

レ&レナ「じゃあ、またよろしくな(ね)!」

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