強い日差しが、道を行き交う人々を照らしていた。汗が止め度めなく噴き出すような気候の中、ゲームショップと思われる店の前では長蛇の列ができていた。
並んでいる人々の年齢層はさまざまだが、皆の顔はどれも期待に目を輝かせる子供のようだった。人々の目当ては《ソードアート・オンライン》と呼ばれる、テクノロジーの進歩が可能にした人類初の“フルダイブMMO”だった。
そんな中、少年――瀬田煉夜――はその光景を横目で見、興味なさげに視線を戻し、人でごった返す通りの合間を縫うようにしてぬけていった。
「それにしても大変だったな」
なにせ煉夜がお目当てのゲームを買うまでに行きつけの店を3件もハシゴしたのだ。まさかSAOと発売時期が被るとはつゆほどにも思っていなかった煉夜は、結果としてSAO待ちの人々の所為で入店ができなかったのだ。
そんな煉夜が手にしているゲームの名は《COD:AW3》,大人気FPSフランチャイズの最新作だった。世界中から人気を集めたCODシリーズの新作であるこのゲームは、煉夜が発売を心待ちにしていたタイトルだった。
そうして人ごみにもまれながら歩くこと2時間半、煉夜はようやく薄茶色に色あせた壁が特徴の自宅へと帰りついた。少し重いドアを開けて、
「ただいまー」
煉夜は靴を脱ぎながら言った。
「おかえりなさい、遅かったわね。」
すると奥から煉夜の母が出てくる、目は薄い青色で、ブロンドの髪をセミロングまで伸ばした明るい雰囲気の美人だ。
「まあ大変だったよ。でも無事に買えたから。」
「そう、ならよかったわね。」
煉夜はそっけなく返して自室へとつながる階段を上がる。
煉夜の自室はウッドデスクとベット、そして本棚があるだけの質素な部屋だった。これは別に煉夜に趣味が少ないわけではなく、単に掃除がめんどくさいからという理由によるものだった。
煉夜は、デスクの上のモニターに電源を入れ、PS○を起動させる。そして買ったばかりの《COD:AW3》をセットし、コントローラーを握ってさっそくプレイを開始した。
***
「やっぱりCODは面白いな。操作性も前作とあまり変わってないし、十分に楽しかった!」
開始してからおよそ3時間と45分、煉夜は休憩のためにゲームを止めて、プレイした感想を一人つぶやいた。
結果は買ってよかったと思える出来栄えだった。FPS特有の一人称視点からなる、まるで自分がプレーしているかのようなリアル感、そしてスピード感あふれる銃の撃ちあい、そして革新的なゲームエンジンからなる圧倒的なグラフィックなど、すべてが煉夜の期待した以上だった。
「ちゃんとクロスボウも、バリスティックナイフに投げナイフもあったし、これから楽しめそうだ。」
FPSの醍醐味の一つに、“銃による撃ち合い”が挙げられるが、煉夜のプレイスタイルはあまり銃を好んで使用することはない。弾丸が飛び交う戦場でコンバットナイフを持って、敵をばしばし斬って行くのが、煉夜の最も得意で、お気に入りのスタイルだった。
つまり、煉也は全般的に一撃必殺の類の武器をよしとするのだ。おかげでこの3時間強で稼いだ煉夜の合計キル数:2830の内、2710キルがコンバットナイフと投げナイフによるものだった。
何ともすさまじいナイファーっぷりである。煉夜がコントローラーを投げ出し、大きく背伸びをしていると、不意にデスク上に放置されていたスマホがなった。
有機ELディスプレイに表示された相手は、篠原和也と書かれていた。
「もしもし」
「おー煉夜!今何してる?」
「何ってCODしてたけど」
「やっぱりかよ。なあ、今暇なら一緒にSAOやろうぜ!」
煉夜の耳にマイク越しに聞こえてくる和也の声は、興奮を隠しきれないでいた。
「まじかよ、今からクラブに顔出そうと思ったのに」
「いいじゃん。今日は自主トレだろ?少しくらいさぼっても罰は当たらねえよ」
和也は煉夜の小さいときからの幼馴染で、大がつくほどのRPG好きだった。同時に、今日のSAOの発売日を、首を長くして待っていた一人でもあった。そんな和也の頼みを、煉夜も無下にはできなかった。
「分かった。俺もやるよ」
「まじかよ!さんきゅー!待ってるから」
「ああ、じゃあな」
そして煉夜は電話を切った。スマホをベットに放り出し、押し入れへと向かう。
「確かここらあたりに…お!あったあった。」
ものでごった返す押し入れを、煉夜はかき分けるように探しながら、奥でほこりをかぶっていたSAOのソフトとナーヴギアを取り出した。
煉夜がSAOを持ってるのは全くの偶然で、前に懸賞で応募したら、たまたまβテスト版が当たってしまったのである。その頃、煉夜は全く興味がなかったので、そのまま放置していたのだが、それをクラスメートに話すと、和也を中心にもったいないと愚痴をこぼされたこともあった。
「えーっと、確か…ここをこうやって、と」
説明書片手に、煉夜は慣れない手つきでセットアップを行っていく。そして、作業開始から15分後、煉夜はようやくすべての作業を終えた。
意外と手間取ったことに煉夜は内心驚きつつも、自身の使うちょっと古ぼけたベットに身を横たえた。ヘルメットタイプのナーヴギアをすっぽりと頭から被り、煉夜は電源を付けた。キューンという起動音を耳にしながら、煉夜は起動シーケンスの言葉を発した。
「リンクスタート」
夢見草「作者の夢見草です!」
煉夜「一応主人公の煉夜です!」
パチパチ〜
夢「いやあ小説って難しい」
煉「何を今更」
夢「今まで色んな小説んで来たけど、実際に書いてみるとこうも違うとは(汗」
煉「そりゃそうだろ、それにしても駄文だな」
グサグサ!!(←作者への矢が刺さる音
夢「そ、そんなストレートに言わなくても.......」
煉「いいや、お前には此れくらい言っとかないとな。お前程身の程知らずのやつは居ないって」
夢「く、くそう。人の気も知らないで!(涙目」
煉「悔しかったらクオリティーを上昇させてみろ、この駄作者」
クリティカルヒッツ!!夢見草のHPはゼロになった!
煉「メンタル弱いなー。えーと作者が落ちたんで代わりにですが、未だ未だ未熟ですが此れから成長(?)して行くはずなんで、気長に見守って下さい。ホラ、何時迄も寝てないで行くぞ」
ズルズル(←引きずられて行く作者
10月27日 ー煉也の最も〜のくだりのところで、新たに"つまり、煉也は全般的に一撃必殺の類の武器をよしとするのだ。という文章を付け加えました。