うちはオビト憑依忍伝   作:asd

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忙しい時ほど悪いことが起こると言うが良いことも起こる

目覚めたオビトはおいてあった食事を軽く平らげ、今はクシナが作った手料理をがっついている。

 

体内のチャクラを、厳密には身体エネルギーを補給するためである。胃に入ったものがすぐに吸収されるわけではないが、人間は無意識の内にチャクラを生成する。オビトはそれすら尽きかけていたので食べても食べても入ってしまう。これは特に秋道一族が好んで使う技術だが、忍ならば誰でもできることである。

 

味噌汁を一口飲んでオビトはピタリと動きを止めた。

 

「これ、味付けがこの国風じゃありませんね」

 

それに野菜を切っていたクシナが嬉しそうに振り向いた。

 

「すごいね、わかるんだ。それは渦の国風よ」

 

「そういえばクシナさんは渦の国の出身でしたっけ。うまいっすね」

 

よかった、と微笑み調理へと戻った。

 

「じゃ、そろそろ話そうか。食べたままでいいから聞いてくれ」

 

「うす」

 

結果からいえばダンゾウは引退した。暁の面々はそのまま護衛付きで送り、この一件は不問にし、暁は木の葉に借りを作ったと言えるだろう。

 

ダンゾウの後任は大蛇丸になったらしい。そして、火影が引退し、ミナトが四代目火影になることとなった。

 

「色々ツッコミどころがあるんですが。大蛇丸を根のリーダーにするとか、正気ですか?」

 

「勿論。ついでにいうと引退した三代目が顧問として監督するから、あまり、心配しなくていいと思うよ」

 

オビトの脳裏には父親(ヒルゼン)に監視されながら必死に勉強する大蛇丸の姿が映った。

 

「かわいそうに」

 

「なにが?」

 

思わず出てしまった呟きにミナトが触れるが、いえなんでも、とだけ返す。

 

「で、僕が次の火影になるわけだけど、それで早速、暗部を作ることにしたんだ」

 

「火影直轄暗部っすか」

 

「いや、違うよ」

 

あれ?とオビトは肉を落とした。オビトの中では、それで暗部に入ってくれないかい、と誘いを受けるのだろうと思っていたのだ。ぶっちゃけ、飛雷神の術を習える機会なので護衛隊に入りたいから断ろうとは思っていたが。

 

 

「じゃ?どう言う意味で?」

 

「文字通り、第三の暗部組織を作るということさ。柱は二本よりも三本の方がいいからね」

 

「はあ。じゃあ、暗部長は自来也先生か、綱手様あたりですか」

 

ずずず、とお茶を飲んでいたが、オビトは次のミナトの言葉に吹いた。

 

 

 

「いや、暗部長はオビト、君だよ」

 

 

ぽたぽたぽたとお茶がオビトの服を濡らす。

 

オビトにタオルを渡しながらミナトは続ける。

 

「実は三代目とダンゾウさんからの推薦でもあってね。僕としては護衛隊の方に入って欲しかったんだが。まあ、仕方ないさ」

 

「ええー・・・」

 

「二人とも口を揃えてこういったよ。オビトはカガミに似ているってね」

 

 

なんとも言えないが断る理由もなく、給料が上がるなら文句はない。ぶっちゃけ欲しいのだ。チャクラ刀が。命を預ける武器にはいいものを使いたいのだ。正直、鮫肌を使っている鬼鮫が信じられない。

 

 

 

「組織名とか、人員は?」

 

「自分で頑張ってね」

 

ニッコリと鬼畜。

 

マダラ捜索・・・はもういいと思うんだけど。取り敢えず、今日は休んで、明日は暗部集め。明後日にマダラを始末しに行こう。

 

頭で予定を立てて、ご馳走様をする。

 

「うまかったです、クシナさん。ミナト先生、組織名は帳でお願いします。それじゃあ俺は「カカシは火影直轄にいれるから」

 

ミナトがオビトを遮り、さらに先回りする。

 

「え?」

 

「リンもライドウもゲンマもアスマも護衛小隊に入る事になっているし」

 

オビトは頬を引きつらせながら言った。

 

「嫌がらせっすか」

 

まさか。とハハハとミナトは笑った。

 

「参謀役に奈良家のシカクが入る事になってるから上手く協力して頑張ってね」

 

泣きそうになりながら、はいとだけ答えてオビトはミナト家を出た。

 

 

 

 

オビトはこれ以上先回りされては堪らないとオビトはうちは当主、フガクの家へと来ていた。

 

「シスイとイタチをか」

 

「はい。まあ、いきなり危ない任務につかせたりはしないですよ。青田買いです」

 

ふむ、とフガクは顎をさする。確かに二人の才覚ならばという気持ちもないわけではない。獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすとも言うし。

 

「いいだろう。二人には言っておく」

 

内心でガッツポーズ。

 

「それと、警邏隊から一人、上忍を行かせてやろう」

 

さらにガッツポーズ。

 

「組織を作るなら金はいくらあっても足りないだろう。こちらから少し出してやる」

 

 

オビトは勝鬨を上げた。

 

無論、フガクも思惑がないでもない。オビトがそれを感じるかどうかは別だが。

 

 

 


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