うちはオビト憑依忍伝   作:asd

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世の中の大半は予定通りにいくとは限らない。がそれが悪い方向に転ぶとは限らない

オビトは戦慄していた。てっきり単独任務だとばかり思っていたからだ。まさか。まさかまさか。この二人と任務に出ることになるとは

 

「ダンゾウ様。あれが最後の一人のうちはオビトです。久しぶりね、オビト」

 

「こいつがうちは唯一(・・・)の万華鏡の使い手か、大蛇丸」

 

やべぇ。俺、死ぬかも。オビトは素直にそう思ってしまった。だって不吉すぎる。忍の闇と呼ばれた最恐の男+アーーーーーって意味で最叫の男(おかま)と出るなんて聞いていない。

 

オビトの内心も察しず、ダンゾウと大蛇丸はこちらへと近づいてくる。

 

「カガミの写輪眼にはよく助けられた。オビト、お前にも期待しているぞ」

 

「は。ところでおかま・・・大蛇丸様。雨隠れには自来也の弟子がいるそうですが」

 

オビトの言葉に反応したのは大蛇丸ではなく、ダンゾウだった。

 

「自来也の?では、予言の子の可能性があるな」

 

「はい。ミナト先生がいるとはいえ、雨隠れのその弟子。輪廻眼だとか」

 

カッとダンゾウと大蛇丸は目を見開いた。

 

「世界三大瞳術の中でも最も崇高されるあの眼が」

 

「ククク、興味深いですね」

 

「寄り道ついでに少し見て帰りませんか」

 

ダンゾウはうむ、と頷くといった。

 

「親書を届けた後によるとしよう」

 

三人はゆっくりと雨隠れへと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

道中、他愛もないことを話しながら歩き、オビトは大蛇丸から情報を探っていた。

 

龍池銅の話から、仙術の話など。様々なことを聞いた感覚だと、まだ、人体実験には手を伸ばしていないようだ。まあ、次の火影に自分を推薦するためにも少しでも後暗いところはなくしておきたいのだろう。

 

ダンゾウは右目こそ包帯で覆っているが五体満足で、また、柱間細胞には手こずっている様だ。これならうまい具合に交渉できるかもしれないと、オビトは内心で喜んだ。

 

ある程度の目星は付けてあるとは言え、未だマダラの本拠地は見つかっていない。可能であるならば暗部を使いたいと考えていた。マダラから取れる利益が里のためになる可能性は高い。ダンゾウも協力を惜しまないだろう。

 

地図と進行スピードから考えてオビトは影分身をした。分身を走らせて、先に町で宿を予約する算段だ。こういう時下っ端は気を遣う。多分、ダンゾウも大蛇丸も野宿でもそんなに文句は出ないだろうけど。

 

「ダンゾウ様。魚と肉と精進、どれがいいですか」

 

「魚だ」

 

「私は肉よ」

 

「了解です」

 

分身は猛ダッシュでかけていった。流石はオビトの分身、オビトの思いを如実に現した速度だ。つまり、猛烈に逃げたい。

 

「オビト。私が教えた術は使えこなしているみたいね」

 

そういったのは大蛇丸だ。オビトは一時の間、大蛇丸の元で禁術を学んでいた。流石にミナトや自来也に禁術を教えてくれとは言えなかったのだ。

 

代わりにうちはが作った術や写輪眼を使用した術を知っている範囲ではあるが教えることになったが。

 

それから、オビトたちは川の国で一晩の宿をとり、明朝、雨隠れの里へと向かった。

 

全くもって余談だが、オビトは何時でも二人に対応できるように薄い眠りにしか入らなかった。

 

 

 

 

 

「久方ぶりだな。ダンゾウ殿、大蛇丸殿」

 

マスクをした忍が話しかけてきた。

 

一応、位置取り的には俺がメインなはずなのだが、やはり、実際の里での偉さは無視できないようだ。

 

「半蔵殿。こちらが火影様からの親書にございます」

 

よってきた半蔵の腹心に親書を渡した。親書が半蔵の手に渡り、半蔵はじっくりと読み進んだ。

 

「相分かった。火影様には確かに了解しましたとお伝えください」

 

「は!」

 

オビトは短く返事をした。中身が気になったが、態々自分が知る必要がないのだろう。最も、推測はついている。おそらく、岩隠れとの和平交渉の場の提供と仲介だろう。

 

オビトはダンゾウと大蛇丸を連れ、謁見の場を離れた。これ以上ここにいる理由はない。これが国同士の外交であれば祝いの場でも儲けるのだろうが、忍同士においてはそのようなものはない。

 

「自来也の弟子の場所はわかっておるのか」

 

「はい。既に調べが付いております」

 

オビトは二人を先導するように移動していく。しばらく進むと、コンクリートでできた建物についた。

 

 

「何者だ!」

 

建物の入口にいた忍が誰何を問う。

 

「木の葉の忍だ。長門、弥彦、小南さんの何れか、或いは全員とお会いしたい」

 

「何の様だ」

 

「ただの謁見だ。先ほど、半蔵殿ともお会いしてきた。その件も含めてお話がしたい」

 

「分かった。少々お待ちいただきたい」

 

二人いた忍の一人が中へ駆け込んでいった。

 

しばらく待っていると中へと入り、特になにも飾り気もない広間に通された。

 

広間には三人の忍と周りを囲むように多くの忍がいた。

 

「初めまして。俺が暁のリーダーの弥彦だ。こっちが小南と長門」

 

挨拶をした弥彦に対応したのはダンゾウだ。

 

「初めまして。儂は木の葉のダンゾウ。こっちがうちはオビトと大蛇丸だ」

 

ダンゾウが名乗ったあたりで辺りに動揺が走る。それほどまでに彼の悪名は各国に届きわたっていた。

 

「忍の闇が態々俺たちになんのようだ」

 

「何。輪廻眼がいるというのでな。少し見に来ただけだ」

 

ダンゾウの目線はじろりと長門へと向いた。

 

「創造神とも破壊神とも呼ばれるが。長門とやら、お前はその目で何を望む」

 

「俺は、弥彦の理念に共感している。争いではなく、話し合いをもってこの里を、世界を、平和にしたいと思っている。それが、俺たち暁の理念だ」

 

「・・・・・・どうやら、時間を無駄にしたようだ。長門とやら、一つ言っておこう。そのようなことは不可能だ。これまでの歴史がそれを証明している」

 

ダンゾウはそれだけを言うと、帰ろうと歩いていく。

 

「あ、俺、もう少し世間話していくんで先に宿に戻っといてください」

 

「いや、宿は必要ない。儂はこのまま岩隠れにいく。大蛇丸、ついてこい」

 

なるほど、オビトについてきたのはついでのようだ。おそらく、オオノキに和平の親書を送るのが本命だろう。しかし、火影様も博打好きだな。和平反対派筆頭のダンゾウを親書を託すなんて。

 

ダンゾウが出て行くのを見送っていると弥彦が声をかけてきた。

 

「それで、何の用なんだ」

 

「冷たいっすね。一応、兄弟弟子みたいなもんなのに」

 

三人共がくいっと首を傾げ、ハッとする。

 

「お前、自来也先生の弟子なのか!?」

 

オビトはぐっと自分を指差し、

 

「弟子の弟子っす。一応、本人から火遁の術習ったりしたけど」

 

「そーか、そーか。自来也先生は元気か?」

 

「バリバリ。今は木の葉にいるよ。まあ、機会があればまた会えるんじゃ・・・・・!」

 

ダンゾウと交渉(・・・)していた影分身が消えた。

 

「そうなるわけね。これも六道仙人のお導きってわけかい、ええ?」

 

思わず、独り言をつぶやいてしまうほどの結果と情報だった。

 

「どうしたんですか?」

 

只事ではなさそうな雰囲気を感じ取ったのか、小南がこちらを気にかけてきた。

 

「いや、なんでもない。すまんが、もう帰るわ」

 

「帰っちゃうのか?」

 

自来也の話をもう少し聞きたいのか長門がそう言った。オビトはすまんな。とだけ謝り、最後にとを続けた。

 

「もしかしたら、だが、近いうちに半蔵殿を仲裁とする岩隠れと木ノ葉隠れの和平がこの国で行われるかもしれない。折角だから参加してみたらどうだ?理想へと大きな一歩になると思うぞ」

 

「本当か!?」

 

「あるかも、な。確定じゃないが」

 

暁の面々はそれぞれ顔を見合わせている。それを見てからオビトはその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんの用だ」

 

ダンゾウは後ろを振り向きもせずそう訪ねた。大蛇丸は首だけだが、後ろにたったオビトに向けている。

 

「少し、交渉に。影分身で恐縮ですが。その前に」

 

そう言ってオビトは大蛇丸に視線を向けた。

 

「下がっていろ」

 

ダンゾウは言葉だけで何が言いたいのか理解したらしく、大蛇丸を下がらせる。大蛇丸としても内容は聞きたいところではあったが、自らを火影に推すように手回ししてあるダンゾウに逆らうつもりはないらしく、おとなしく下がった。

 

「それで」

 

「暗部を貸していただきたく。なるべく、口が固く、地中の探知能力や仙術探知ができるものがいいです」

 

「根のものは全て、呪印で縛ってある。しかし、その条件にあてはまるのは僅かだな。それで、何を出す」

 

「木遁忍術の祖、千手柱間の細胞です。これを大蛇丸に提供すれば、木遁を使えるようになるのも、大きく近づくでしょう」

 

そこでようやく、ダンゾウはこちらを向いた。

 

「足らんな。お前の不必要になったその目も差し出せ」

 

「・・・・・・これについても色々ご存知のようで」

 

「根を舐めるな。それに儂自身、うちはマダラの話はよく知っておる」

 

「しかし、不要になるのは何時かはわかりませんよ」

 

「否、すぐにでも不必要にできる」

 

「と、言われると」

 

ダンゾウの言い方ではまるで既に万華鏡写輪眼の使い手が他にいるようではないか。シスイは誕生こそしているがまだ八歳だ。万華鏡写輪眼が開眼しているとは思えない。

 

「その様子では知らんようだな。・・・・木の葉にはもうひとりその目が開眼した者がおる。もはや、忍びではないがな」

 

そこまで言われてオビトはようやくその可能性に至った。

 

目の前で夫を失い、息子が親殺しの大罪を犯したのだ、優しい彼女が絶望に打ちひしがれたとしても何ら不思議ではない。

 

「分かったか。幻術マスターの異名を持ち、木の葉創設以来の陰遁使い。お前の母、うちは未菜だ」

 

「あの時、お前が自らの父に止めを指す時、その場には儂もいた。その時、確かに見た。未菜の写輪眼が変質していくのをな」

 

オビトは少し、考えるとすぐに答えを出した。

 

「いいでしょう。母には父の写輪眼を移植します。これも木の葉のため、息子のためとあらば、抗いはしないでしょう」

 

「いいだろう。こちらも暗部の手配はしておく。任務が終わり次第、根の本部へと赴け」

 

オビトは影分身を解いた。

 

これで、準備は整った。

 

 

 

さあ、亡霊狩りの始まりだ。

 

 

 

 

 

 


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