うちはオビト憑依忍伝   作:asd

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浮かないと沈むこともできない。

地下の一室、大蛇丸はマダラの死体をなんやりかんやりしたり、刻んだりして死体がペースト状になるのではないかと思われるほど研究していた。

 

既に死体から柱間細胞も抜き取り、手こずってはいたが培養も始めていた。そんな時、帳からの使者と名乗る者が大きな棺桶を引き下げてやってきた。

 

「薬師カブトを?駄目よ、あの子にはカカシに匹敵する才能があるのだから、こちらで育てるわ」

 

そう言った大蛇丸の目に、オビトに使者として遣わされたトクマは怖気が走るが、オビトから大蛇丸が拒否した時のためのメッセージを受け取っていたので伝えた。

 

「薬師カブトを渡せば、この棺桶の中身をやる。と」

 

「見せなさい」

 

大蛇丸は棺桶を受け取り、中身を検める。中にはオビトが大量に手にいれたゼツの死体が入っていた。大蛇丸はそれを一目で特殊な物だと見抜き、そして、これまでの流れからそれが柱間細胞に関わるものだと感づいた。

 

「それと、数はあるので量が欲しいなら高値で買え、と」

 

「・・・・・・つくづくちゃっかりしているわね、あの子。いいわ、連れて行きなさい。ある分は全て買うとも伝えなさい」

 

「は、はい」

 

トクマは逃げる様にカブトを迎えに行った。大蛇丸はそれを見送ったあと、呟く様にいった。

 

「まだ何か隠しているわね」

 

それがなんなのかは分からない。しかし、オビトという忍を考えると大蛇丸にとって有益なものをまだ隠していると考えられる。大蛇丸はそれがなんなのかを調べようとはしなかった。なぜならば、大蛇丸の知るオビトは普段の奔放な振る舞いからは考えられないほど強かで、容易く悟られるような真似はしないからだ。また、そんなことを調べる暇があるならば研究を進めるべきだと考えたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

岩隠れとの和平はなったらしい。それが、オビトがシカクから執務室で受けた話だった。元根の忍で手練のテラとダジムに命じて、ノノウの回収もしているとのことだった。

 

「ん、んー。シカク、ノノウと後でトクマが連れてくるカブトを綱手姫のところに連れて行ってください。医療忍術と体術を教え込む様に、と」

 

綱手は未だ里におり、今現在は戦線及び、医療活動を離れ、医療忍者の育成をしていた。それもこれも、全ては血液恐怖症のために。

 

すると、コンコンとノックがあり、トクマがカブトを連れてきた。

 

「初めまして、カブト。俺が帳の暗部長、オビトだ」

 

「お世話になります」

 

カブトは丁寧に挨拶をする。オビトは頷くとソファへと座る様に促し、自らも対面の位置に座る。

 

「さて。本来ならば、君とノノウ、あ、マザーね。二人共を孤児院へと戻してやりたいとこなのだが、幸いではなく、災い的に君には才能が、ノノウには実力がある。大蛇丸は変態だが、人の才能を見抜く眼は確かだ。

もし、君が木の葉の忍になり、ノノウも説得してくれるならば、俺は孤児院への資金を現状の半分分、つまり1.5倍に増やしてもいいと思っている。これは既に火影にも打診し、許可を得ている。後は君次第だ」

 

どうする?とカブトへと尋ねる。

 

「マザーや孤児院の皆には会えるの?」

 

「無論、休みは自由に使うといい」

 

「じゃあ、やります」

 

即答に近かった。覚悟自体は出来ていたのだろう。

 

「よし。シカク、後は頼んだ。あと・・・・・・」

 

オビトはソファを立ち、机の引き出しから一枚の書類を出し、シカクへと渡す。

 

「委任状?」

 

「おれは少しの間、木の葉を離れる。その間の帳の指揮はお前がとれ」

 

じゃ、というとオビトは執務室を出て行った。後ろでシカクが何か言っているが、全て無視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんこん、とミナトはペンで机を叩く。

 

今回、オビトが持ってきた話には色々考えざるを得ない。それほどまでに厄介事だった。無論、駄目だと言うのは簡単なのだが・・・・・・。

 

 

「小国にいる岩隠れの人柱力を狩りたい・・・・・・か」

 

「はい。とある人物につけていた影分身が発見しましたので、チャンスかと。今は田の国にいるので、岩隠れに情報が漏れにくいですし」

 

「うーん。オビトは分かってると思うけどさ。尾獣は大国同士のパワーバランスを保つものだからね」

 

「しかし、それは初代の時代のみの話といえます。現状では雷の国と水の国のみが尾獣の制御に成功し、むしろ、尾獣によりその秤は傾いています。写輪眼を持つ俺ならば尾獣のコントロールすることもできますし、火の国が尾獣の制御を怠っている風と土の国の盾となることでバランスを保つことになります」

 

 

ミナトはそれはそうなんだけどね。と言う。しかし、岩隠れとの和平はなったばかりであり、それにヒビを入れる原因を作ることにもなりかねない。忍の世、情報を隠そうとしても漏れるリスクは決してなくならない。

 

「ん。分かった、いいよ。ただし、木の葉が関わった証拠を残さないようにね。額あても預からせてもらう。写輪眼を使うなとは言えないけど、服装から渦のマークと木の葉のマーク、それにうちはのマークも外して任務にあたってくれ。あと、連れて行くのは一人、できれば同年代の女性にしてくれ」

 

どこにでもいそうな男女のカップルを装えということだろう。しかし

 

「いえ、今回は一人でいくつもりです。尾獣を相手では人数を揃えてもダメでしょう。はっきりいって並みの忍では足でまといにしかなりません」

 

尤も、相手にするのはあくまで人柱力であり、尾獣ではないのだが。

 

「ん。いいよ。死なない様にね」

 

「俺を殺せる相手なんてそうはいないですよ」

 

オビトはミナトに額あてを渡すとそういって火影室を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、猿狩りだ。


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