桃井の声を遮り、橙乃は先んじて話を展開した。
相手のペースに飲まれないように、という彼女の意思もあったのだが、それ以上にどうしても確かめておきたいことがあったから。
「白瀧君からあなたたちの中学時代の話を少し聞きました。ただ、その中で納得できない事がありました」
「なんでしょう?」
「あなたは選手の現時点でのデータ分析だけでなくその先の成長予測までできると聞きました。――なのに、どうして二年前に白瀧君が無理を押して練習に復帰するのを止めなかったんですか?」
それは夏のインターハイ、陽泉戦で明らかになった白瀧の過去に関する話だ。
「あなたの力があれば、白瀧君がここまで苦しむことはなかったんじゃないんですか? あなたならば、止められたんじゃないんですか?」
かつて彼は医師から勧められたリハビリを断ってまでチームの練習に復帰し、結果的に筋力の面で大きく遅れを取ることを余儀なくされた。
この話は近くで見ていた、選手の成長を予測できるという桃井ならば理解し、止められたはず。それなのに何故そうしなかったのか。橙乃は話を聞いていた時から疑問を抱いていたのである。
「……少し誤解があります」
当時の話は桃井にとっても苦い想い出だ。
過去を思い返して顔をしかめつつ、桃井は橙乃の話に訂正を加える。
「まず、私のデータ分析も昔から正確だったわけではありません。赤司君からアドバイスを貰ってから少しずつ分析力に磨きをかけました。今のように選手の成長を見抜けるようになったのはしばらく経ってからです。だからあの時はそこまで見抜くことはできませんでした」
見過ごしたのではなく、単純にそこまで読めなかったのだと。
桃井の分析力もキセキの世代と同様に最初から今ほど並外れていたわけではなかった。研鑽に研鑽を重ねて進化してきたもの。ゆえに白瀧の一件も当時はこうなるとは思ってもいなかったのである。
「……そうでしたか」
「はい。ただ、もしわかっていたとしても、ひょっとしたら止めなかったかもしれません」
「えっ?」
しかしたとえ当時から桃井が予測できたとしても、白瀧を止めたかどうかはまた別の話だと桃井は語る。
「私としても嬉しかったですから。自分だって苦しいはずなのに、それでも私の手を取って、挑み続ける彼の姿は」
自然と声が柔らかくなっていた。
彼女の幼馴染をはじめとしたレギュラーたちが離れていき。
次から次へとチームメイトが姿を消し。
桃井の想い人さえもが約束を忘れてしまった中で。
彼の戦い続けるという姿勢は桃井の胸中にも大きな存在であったのだ。
「……なるほど」
「他にも何かありますか?」
「それでは、もう一つ」
僅かに頬が緩む桃井の姿に若干の不満を抱きつつ、橙乃はさらに問いを重ねる。
「中学時代から好きな人がいたらしいですけど、付き合っているんですか?」
「へっ!?」
小細工などなく直球で核心を突くと、さすがに意表を突かれた桃井が慌ただしく表情を二転三転とさせた。
「なんで、白ちゃんから聞いたんですか!? 別に私はテツ君とはそんな、付き合ってなんて!」
「……そうですか。わかりました。大丈夫です」
彼女の必死に取り繕おうという姿勢は本物だった。紛れもなくこれが桃井の本心なのだろう。
この反応で知りたい事をはっきりと理解できた。それ以上は深く切り込む事なく、橙乃はあっさりと引き下がる。
「本当ですか?」
「はい。私の方からはもう大丈夫です。――それで? 桃井さんからの話とは、一体何でしょうか?」
そして今度こそ桃井が本題を打ち明ける番となった。
橙乃に促されると、桃井は一瞬だけどこか迷ったような表情を浮かべた後、ゆっくりと言葉を紡ぎはじめる。
「正直、話すべきなのか、話した方が良いのか迷いました。でも、このまま私の胸の内に留めておくきにはなれなかったので」
そう前置きを置いて、桃井は語りはじめた。
彼女の言葉に、橙乃の目が大きく見開かれる。その反応をみて、桃井は寂しげに視線を落とすのだった。
「……どうして、それを私に?」
「大仁多高校に入ってからの白瀧君の内情まで詳しく知ることはできません。ですから高校に入るよりも前から彼を知っていて、今も信頼されているあなたに、白瀧君に話しておくべきか、話さないべきなのかを判断していただきたくて」
その情報を伝えるのは橙乃次第だと、桃井は言う。
「きっと知っても知らなくても、後悔する話ですから。――では」
用件を終えた桃井は一足先にお湯から上がり、その場を後にした。
再び一人になった橙乃はしばし西條が戻ってくるまでの間、じっと物思いにふける。
はたしてどちらの選択肢が望ましいのか。
正解のない問題は、最後まで答えが出ることはなかった。
橙乃と桃井の遭遇から約一時間後。
栃木の選手たちは次戦の試合前の最後の打ち合わせをするべく栃木県の名義で借りた会議室へと向かっていた。
「……そういえば、白瀧君」
「うん? どうした?」
その道中、光月と神崎のルームメイト達と一緒に部屋に向かっていた白瀧は橙乃と鉢合わせる。
他愛もない話に花を咲かせる中、ふと何かを思い出したように橙乃は話を切り出した。
「さっき温泉で桃井さんと会ったよ。桐皇のマネージャーさん」
「えっ? 桐皇のって、帝光のマネージャーだったっていう?」
「たしか国体にも参加しているって聞いたけど」
「そう」
「……マジで!?」
神崎や光月も反応を示すなか、白瀧が桃井の名を耳にした途端、身を投げ出すほどの勢いで飛び付いた。
「なんで呼んでくれなかったの!? 久々に話せる機会だったのに!」
「温泉で会ったのに?」
「いや、そこはお風呂から上がった後でとか!」
「でもすぐに帰っちゃったから……」
「……そっかー。残念。まあ、いいか」
中学時代から想い焦がれていた相手だ。高校に入ってからは夏の栃木県予選が終わった直後からずっと顔を見れていない。
ゆえに会いたかったのは本心だが、かといって我儘を言い続ける事はなく、白瀧は呆気なく引き下がる。
「あまり試合前に敵と話すのもなんだしな。話は終わってから、だ」
そう口にしてすぐに表情を引き締めた。
彼の表情からは好意を抱いている相手との戦いが目前に迫っているとは想像できないほど割りきっているような気構えが感じ取れる。
「……お前のその落差、すごいよな」
「好きな相手との試合で抵抗を感じるとかまったくなさそうだし」
神崎や光月はこの姿勢に驚嘆とも感心とも取れる言葉を漏らす。
「そうか?」
対して白瀧は屈託なく笑い、言った。
「好きな相手であることと倒す敵であるってことは、別に何も矛盾しないだろ」
あっさりと、事も無げに。
迷いをまったく抱かせない様子は清々しさしえ感じられた。
『彼は行動する時に迷いがない。おそらくは自分の進む道の先が危険だとしても間違いだとしても、目的のためならば進める、いや進む人間なのだろう』
ふと、光月は父親が口にした白瀧に対する評価を思い返した。
心を寄せる相手でも戦える。
結果的に仲間を守るためならば自らが傷つける事も厭わない。
あまりにも達観した彼の決意を改めて知り、光月は眩しげに目を細めた。
「ちなみに二人はどんな話をしてたんだ? 桃井さん、何か言ってたか?」
「えっ……」
白瀧の問いかけに橙乃が口ごもる。
自分の中で問答すること数秒。
何か言葉を紡ごうとして口を開いて、しかしすぐに言葉を飲み込み、ようやく答えを告げた。
「……内緒」
「えっ。なんで? ……何の話してたの?」
「さぁ。想像してみたら?」
「本当になんで!? 言えないこと!?」
追求を続ける白瀧をかわし、橙乃が逸早く部屋へと入っていく。
最後まで白瀧が納得する返事を聞くことはなく、悶々とした胸中のままミーティングは始まったのだった。
―――
ビデオにはインターハイ、そして国体のこれまでの桐皇、東京都代表のビデオが流れている。
その動きは全国準優勝校にふさわしい洗練されたものであり、次から次へと得点を重ねる光景は栃木の選手達の目に驚異に映った。
「やはり凄まじい破壊力だな」
「ああ。これでまだ青峰がいるっていうんだから馬鹿げた話だ」
細谷の呟きに勇作が呼応する。
ここまでの試合、東京都は全ての試合で100点ゲーム、つまり三桁得点で勝ち上がっている。
つまり先の陽泉、秋田県の超防御的チームとは真逆の超攻撃的チーム。
しかもこれでキセキの世代のエースと名高い青峰がさらに加わるというのだから底が知れない。
「それに、攻撃だけじゃない。守備も相手の動きを見切って積極的にボールを奪いに来る」
「……桃井マネージャーの分析か」
さらにディフェンスも侮れないと呟いたのは楠だ。
中澤も白瀧の報告を思い出して原動力である少女の名を挙げる。
敵選手の力量を見極め、その成長予測まで見抜いてしまうという桃井の分析力は味方にとっては頼もしいが敵にとっては厄介極まりない。オフェンス重視の東京都の弱点を補って余りある貢献だ。
「……白瀧さん。青峰さん、桃井さんのお二人を一番よく知るのはあなただ。何か更に補足することはありますか?」
ビデオを見終えると藤代は映像を閉じて視線を白瀧へと移す。
「そうですね……」
敵の主力を中学時代からよく知っているのは彼だ。どんな些細な事でも良いと話を振られ、白瀧はしばし思案に暮れる。
「……大前提として、明日うちが勝つには逃げきるしかないと思います」
数秒の沈黙の後、白瀧がいつも以上に厳しい表情を浮かべてそう答えた。
「やはり終盤になればジリ貧になると?」
「そうですね。青峰の性質的にもそうなる傾向になると思います。……あいつはよく言えば尻上がりに調子を上げる、悪く言えば立ち上がりに難があるスロースターターです。インターハイ、黄瀬との試合でも中盤以降から動きのキレが増していました。桃井さんの分析も試合が進むほど精度が増すでしょう」
栃木が初戦で苦戦を強いられた黄瀬を真っ向から打ち負かした試合を示されると、自然と緊張は強まった。
誰もが息を飲む。
わかりきっていた事だが、やはり簡単な相手ではない。
「……どう見る、藤代?」
「おそらくは次戦はさすがに青峰さんもスターターに名を連ねるでしょう。そうなると苦戦は必至ですが、しかし今の話を聞いた以上は先手必勝しか道はない、でしょうね」
岡田に話を振られた藤代は沈痛な面持ちでつげる。
青峰を擁する相手に簡単な話ではなかったが、されしか手はなかった。
「はい。それに――」
「それに?」
白瀧はそこで一度話を区切り、一呼吸置いて、更に続ける。
「青峰は、まだ何か余裕を残している。そんな気がします」
「……は、あっ!?」
「黄瀬との試合も全力ではなかったと言うのか!?」
「確信はありません。しかしあいつの才能は本物。そう考えておいた方が良いと思います」
チームメイトから驚愕の声が続く中、白瀧は自分の意見を締め括った。
白瀧が死闘を演じ、やっとの思いで突破した黄瀬。そんな彼に夏の試合で勝利している青峰が未だ力を残しているとは考えたくない話だ。
だが、白瀧の言葉には有無を言わさぬ強さがあった。誰もがその最悪の予想を思い浮かべ、身を震わせる。
「……わかりました。その話を踏まえた上で作戦を建てましょう。まずは明日のスターターについて、今ここで発表します」
そんな暗い雰囲気を破って藤代が明日の展望を話し始めた。
一人ずつ選手の名前を挙げ、作戦を説明していく。
どんな困難な相手であろうと、これまでも幾度も死線を乗り越えてきた。
彼らならば次も行けるはずだと、そう教え子達を信じて。
―――
一方その頃、東京都も今一度栃木戦を控えて作戦会議を行っていた。
「明日は、この大会では一番の難関になるでしょうね」
「……はい。間違いなく」
原澤のそう呟くと桃井が大きく首を縦に振る。
「超オフェンス型チームと超オフェンス型チーム。最強の矛同士の激突や。得点がオモロイことになりそうやで」
「笑えんぞ、それ」
満面の笑顔を浮かべる今吉に諏佐が忠告する。
おそらくはインターハイの神奈川戦と同等、それ以上の点の取り合いになることは必至であろう。
「あれ? そういえば青峰は?」
「それが、『もう寝る』と言ってミーティング序盤で部屋に戻りました」
「ハァッ!?」
「あのクソガキ!」と言葉を荒げる若松、そんな彼にひたすら謝り続ける桜井。
元凶である青峰は原澤が明日のスターターの発表を告げた後、すぐに苛立ちを隠すことなく部屋を後にしていたのだ。
ゆえに原因が不在である今、二人のやり取りは今吉が仲裁に入るまで続く。
「まぁ、大丈夫やろ。何時ものように桃井の分析もあるし。なぁ?」
「はい」
今にも若松の怒りが爆発しかねない光景を見かねて、今吉が桃井に語りかける。
彼女は落ち着いた、冷たい瞳で、
「問題ありません。栃木の選手達は全員、白瀧君の分析も終えています。――彼の弱点も含めて」
淡々とそう口にしたのだった。
見知った相手であろうと容赦はしないのは桃井も同じ。
夏よりも筋力を向上させ、個人技も磨きあげた。
それでもなお残る弱点がまだあると、桃井は冷静に敵エースの力を見抜いていたのだ。
――――
『――回国民体育大会三日目。少年男子は三回戦と準々決勝が行われましたが、波乱の展開が待っていました。準々決勝第三試合、インターハイでも顔を合わせた秋田県対栃木県』
「キタキタ!」
「本当にニュースに流れた!」
「これで残るは四校になったしな」
その日の夜。
部屋に設置されたテレビのニュースに自分達の試合が流れ、神崎、光月、白瀧の三人揃ってじっと画面を見つめる。
『先制は栃木県でしたが、圧倒的なディフェンス力を擁する秋田県を前に、苦戦を強いられる栃木県。キセキの世代最強のセンターにインサイドを支配される中、前半戦を八点ビハインドで折り返します』
「うわっ、僕映ったけど止められてるところだ…
…」
「こう見るとマジでデカかったよな、秋田」
「しっかり橙乃や西条さんが映ってるの、カメラマン絶対確信犯だろ」
白瀧や紫原は勿論、光月なども画面に表示されて三人とも機嫌を良くした。
皆が様々な反応を呈するなか、ついにその時が訪れる。
『すると後半戦、栃木県は思いきった選手交代を実行します。ここで出場選手をインターハイにも出場した大仁多選手のみで固める陣容に。夏の悔しさを張らすと言わんばかりの采配でした』
「うおー! 俺も出てる! テレビに出てる!」
「絶対これが理由で注目されただろうな」
「キセキの世代撃破よりもこっちの方が意味合いが強かったかもね」
大仁多の選手が揃う姿を目にして盛り上がりは最高潮。緊張をキレイさっぱり忘れるほどの衝撃だった。
『負けられない展開に、エースが奮起しました。ここまで今大会最多得点を記録中のSF白瀧選手がこの試合も躍動。秋田県のエースC紫原選手と互角以上の死闘を演じて勝利を呼び込みました』
「おおっ。やっぱり要の割合がデケエ。……やっぱりこの二人の戦いに割って入りたくねぇ……」
「言うな。俺だって何度もやりたくはないよ。次は死ぬかもしれないし」
「一度ぶつかる度に死に物狂いになってたからなぁ……」
再びキセキの世代との激突がアップで映り、肝を冷やす三人。
今でこそ笑いながら見ていられる。この何気ない時間が非常に心地よかった。
『神奈川県、秋田県と『キセキの世代』と呼ばれる選手達を倒してきた栃木県は明日、やはりこちらも『キセキの世代』を擁する東京都と激突します。攻撃力に定評のある強豪ですが、勢いに乗っている栃木県は食らいついて欲しいところです』
「おぉい!? 俺達が格下みたいな言い方じゃねえか!? ふざけんな!」
「仕方ないだろ。相手はインターハイ準優勝だぞ。ここまでも万全の勝ち上がりだし前評判が東京都優勢なのは当然だ」
「たしかにこっちは初戦から苦戦してたけど、冷静すぎないか……?」
最後の準決勝に関する総評でアナウンサーの言い方に神崎が意義を唱える。
東京都有利と言う下馬評に、しかし白瀧は平然と受け止めて神崎を諭した。
ある意味人一倍キセキの世代との戦いで気にしているはずの彼のこの様子に、光月は心配げに声をかけると。
「慣れたもんさ。俺達は口喧嘩しに来たわけじゃない。言わせたいやつには言わせておけばいいさ。どっちが強いかは、コートで示せば良いだけだ」
戦うことでしか真の価値は測れない。
白瀧は好戦的な笑みを浮かべて、握りこぶしを作った。
「……あぁ」
「また明日、乗り越えよう」
「正念場続きだが、また明日も良いニュースを見られるようにな」
その言葉で締めくくり、テレビの電源を消す。
苦戦は免れないだろう試合が迫るなか、選手達に焦りの色は見られなかった。
キセキの世代との激闘を二つも乗り越えてきたという実績は選手達に自信を与えている。
「……明日こそ、あの日の続きだ」
特に白瀧には大きな余裕をもたらした。
この時は、まだ。
好敵手との戦いを夢見て。
今度こそ、もう一度昔のように。
また全力をぶつけ合えると。
そう、信じていた。
―――
しかし。
翌日、大会四日目。
ついに残り四校にまで絞られた国体、準決勝の当日。
一試合目は京都府が赤司を温存しつつも無難に勝利を収め、一足先に決勝戦へと駒を進めた。
その約二時間後。
王者・京都府への挑戦権を賭けて東京都と栃木県の戦いの時が訪れた。
多くの選手、観客が見守る中、キセキの世代のエース・青峰とキセキの世代を打ち破ってきた白瀧、かつてのチームメイト達の激突に注目が集まる中。
「…………えっ?」
「なんで?」
人々はコートに集った顔ぶれを目にして、困惑を隠せなかった。
「……嘘だろ?」
「一体どういうつもりだ?」
「さすがに、今日の試合はこれまでとは違うだろうって話だったのに」
「舐メラレタ物ダナ」
それは栃木の選手も同じこと。
小林、楠、光月、ジャンが各々納得できず不満の声を挙げた。
彼らの眼前には対峙する東京都、桐皇の選手達が整列している。
だが。
そこに天才スコアラー・青峰の姿はなかった。
「チッ!」
青峰が東京都のベンチで乱雑に足を組み、舌を打つ。
これまでの試合同様、青峰が試合開始から出場することはなかった。
「……そうか。それが、お前の答えなのか、青峰」
コートではなくベンチに居座る青峰を、白瀧の暗い目が射抜く。
インターハイ、黄瀬との戦いでは最初から一対一の激闘を繰り広げていたのに。
まだ、足りないというのか。
白瀧の嫉妬の炎が燃え上がった。
「…………」
こうして二人が静かに火花を散らす光景を、桃井と橙乃は悲しげに見つめていた。
――黒子のバスケ NG集――
「……内緒」
「えっ。なんで? ……何の話してたの?」
「さぁ。想像してみたら?」
「本当になんで……二人がお風呂で話している所を想像して良いと!?」
「会話の内容だけを想像すれば良いと思うんだけど」
この後白瀧は原因不明の鼻鼻部からの出血多量により無事死亡した。
出場予定の桐皇学園の十番の選手の名前どうしよ(青峰の代わりに出場しているくらいの実力なのにデータ集でも名前がない選手。黒子とマッチアップしていた)