Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
ACfAは未プレイなのでローゼンタールのトップが誰だかわからず、とりあえずお茶会メンバーからダリオを引っ張ってきました。
カラードランクも然り。まぁ、アレは企業の力も含めてのランクだと私は解釈しているので、2番めにレオハルトを入れる以外は繰り下げで行きます
私がシオンと契を交わしてから数ヶ月、私は更なる高みへと登れた気がしていた。
愛する者、守りたいもの、その存在自体が私の力となっていた。
「レオハルト、最近の君の仕事ぶりは眼を見張るものがあるな、なにか変化でもあったのか?」
「そうだな、人としての喜びに気づいたのだよ、私は」
仄暗いオフィスで、ローゼンタールの実質的トップであるダリオ・エンピオと向かい合っている。
ミッションの帰りにドイツ上空を通るため、整備、補給も兼ねてに寄ったのだが……
「わざわざドイツまで来たんだ、聞きたいことがあるんじゃないのか?」
「山ほどな」
――ああ、聞きたいことが山ほどある。
「だろうな、そうだな。まずは、なぜ一度墜ちたのに生きているのか。といったところか」
この男、相変わらずズバズバ切り込んでくる。
私はこの男のそういうところがあまり好きになれない。
「そのとおりだ。何故私が生きている?」
「生かせ、と指令を受けたからだ。相手は分からないがオッツダルヴァから直々に言い渡された」
「そうか、オッツダルヴァから。か」
「お前はよほど気に入られたようだな」
「そのようだ」
そんな指令を出せるような奴は私の周りにただ1人のみ、シオンだろう。
彼女は古くから企業連に関わってきたのだ、裏でのコネクションは計り知れない。
「まぁ、オッツダルヴァの期待を裏切らないようにな。まぁ、この調子なら問題ないだろうが」
事実、私のカラードランクはオッツダルヴァにつぐ2ndまで上がってきた。
トップに君臨するオッツダルヴァはリンクスとしての実力もさることながら、企業連の中の1大グループを率いているのだ。そのカリスマと影響力は大きい。
「ヤツを裏切るなど自殺行為だ、誰がやるか」
「違いない」
そう冗談を言い合っていると、ノックとともにドアが開かれ。
「失礼します、機体の準備が終わりました。確認をお願いします」
そう言って整備担当であろう男が書類を手渡してきた。
「やはりエネルギーの消費が激しいな、飛び続けたから仕方もないだろうが……」
「新型のブースターの開発も進んではいるが、もうネクストの技術も頭打ちに近いな。あまり性能が上がらない」
「そうなのか、だが、技術の頭打ち、というのもウチだけの問題ではないだろう。これからは任務によってアセンブリを変えることも考えるか」
「リンクスとしては合理的判断だが、社としては困る。お前は我が社を代表するリンクスなのだからな」
「わかってはいるが、どうしても日本からヨーロッパ、北米まで飛ぼうと思うと途中で補給と休息が必要になる。時間もコストももったいない」
それは紛れもない事実だ、私が日本に拠点を移したことで、アジア、中東圏で活躍する有澤重工の重量ACではこなしにくかった任務にも迅速に対応できるようになり、任務の幅が広がった。
だが、その代わりに本社からの呼び出しや、GAなど、企業連内での合同演習などに向かう際には時間がかかるようになってしまったのだ――もっとも、GAの合同演習には有澤重工の用意した船に相乗りさせてもらっているため、私だけが遅いというわけではないが―
「私個人の意見では空中での機動が多い時はオーメルのブースターが使いたいのだが…… まぁ、仕方ない、技術者たちの努力に期待しよう」
「たしかにJUDITHモデルはEN効率いいからな、地上ではお察しだが」
「言ってやるな、片方を追求すれば、もう片方は甘くなってしまうものだ。だから我々はよく言うと汎用的な、悪く言えば中途半端なものにこだわり続けているのだろう」
「まぁ、そのとおりだな」
時々有澤重工の装備のテストを請け負うことがあるからわかることだが、無難な装備、というのはどんな人間でもそこそこ使えてしまう。手練が使えば物足りなくなることもあるのだ。
その点、なにか尖った装備はその特徴やクセを正しく理解していなければ使いこなせない。
だから動きが読みにくいし、行動が読まれないということは戦場でのアドバンテージにつながる
我社の装備は軍など、多くの人間が使う環境では高く評価されるが、リンクスの中では無難すぎて面白みに欠ける、などと言う奴も居る。
だが、私のカラードランクの高さは、汎用性の高さから来る対応任務の多さに理由があるのだ。
汎用性が高いことでの没個性的ではなく、マルチロールであることに個性を見出さねばならない。
「では、補給整備も終わったし、私は帰るよ。まだ聞きたいことはあるが、遅くなると彼女に怒られてしまう」
「彼女、か。最近の好調の理由はそれか?」
「ふん、どうだろうな? さっき言っただろう、私は人としての喜びを知ったのだと」
気色悪い笑みを浮かべながら詰め寄るダリオをあしらい、ハンガーへ向かう。
「私は、帰るのだ、日本へ、愛する人の元へな」
システムオールグリーン、射出!
スパァンと蒸気カタパルトの快音の後、ブースターの爆音を響かせ、純白の天使は、日本への家路についた。
「早く帰ってこないのかしら? いい知らせがまっているのに」
幸せそうな笑みを浮かべる愛し人は、天使の帰宅を待ち続けるのであった 。