Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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実習!

学園生活が始まり、3週間

今日はなんの行事も無いはずだが、なぜかクラスの空気がふわふわしている

 

さすがに空気を読めないのはまずいので隣の相川さんに話を聞く

 

「清香ちゃん、今日って何かあったっけ?」

 

「特になにもないけど、2組に転入生が来るとか。この時期だから代表候補生じゃないかって噂だよ?」

 

「へぇ、だからみんな気にしてる。と」

 

「だね。女の子はお菓子と噂に目がないからさ」

 

「こんな空気だからてっきり何かあるのかと思ってたよ。ありがとね」

 

 

噂をすればなんとやらで、いきなりドアが開かれると

 

「一夏!」

 

 

ツインテのちっちゃい女の子が居た。

「アレが噂の?」「じゃないかな?」「織斑君呼んだよね?」「知り合いかな」

クラスがざわめく。もちろん、呼ばれた一夏はそんなことを気にもとめずに旧友との再会を喜ぶ

 

 

「鈴じゃねぇか! なんでここにいるんだ?」

 

「私だって中国の代表候補生になったからね。一夏も居るって聞いたし」

 

「へぇ、よく受かったなぁ、お前」

 

「ば、馬鹿にするんじゃないわよ!」

 

「まぁ、久しぶりに会えたんだ、昼でも一緒にどうだ?」

 

「そうね、話すこともいっぱいあるだろうしね」

 

「織斑君? そろそろ……」

 

一人が気配を察知して警告を発するも時すでに遅し。

 

「久しぶりだな、凰。転入初日からSHRに遅刻しようとはいい度胸だ」

 

「ち、千冬さヘブッ」

 

「ここでは織斑先生だ。ほら、クラスへもどれ」

 

「はい……」

 

「織斑も、さっさと席につけ」

 

 

「よし、HR始めるぞ。まずは注文してあったISスーツが届いたから配布する。名前を呼ばれたものから取りに来い。今日の3,4時間目は2組と合同で実習だ、着替えて第3アリーナに集合。遅れるなよ?」

 

 

ISスーツの配布も滞り無く終わり、1限目が始まる前にはHRを終えて山田先生が教室に入ってきた

 

「今日は前回の続きからです。教科書の135ページからでしたっけ?」

 

 

そんな調子で座学が始まった

 

 

 

-----------------------------

 

 

2時間目が終わると荷物を持ってアリーナへ向かう。

織斑先生の出席簿は喰らいたくない、それは皆同じようで、走る、とは言わなくとも、競歩のようなペースで校舎内を抜ける

 

 

「第3アリーナってどこ~?」

 

「こっち、行くよ」

 

 

早速迷子になりかけたルームメイトを引っ張りアリーナの更衣室へ

すでに1組と2組の生徒でごった返している

 

「満員だね~」

 

「スペース見つけてさっさと着替えないと……」

 

 

なんとか着替え終えるとフィールドへ

まだチャイムはなっていないからセーフだ

 

キーンコーンカーンコーンと授業開始を告げるチャイムがなると織斑先生が出席確認をする

 

「織斑はまだか」

 

「アレじゃないですか?」

 

 

指差された方を見ると全力でダッシュしてくる一夏が

初めての授業でコレは恥ずかしい

 

 

「遅れてスミマセン」

 

「何処で油を売っていたのかは知らんが、まぁ、初めての授業だから仕方ない。次は無いからな」

 

「ハイ……」

 

「よし、全員揃ったな。今日は初めての実技だ。まずは基礎の基礎から始める。織斑、ISでフィールドを一周歩いてまわれ」

 

「はい」

 

一夏が光に包まれると白式を纏う

 

 

「遅いな、もっと早く展開できるようにしろ。行け」

 

一夏がフィールド外周をゆっくりと歩く。

PICの制御がなかったら泣きたくなる重さだろう

 

 

「今日は歩くことから始めよう。あんな感じでな。専用機持ちと教員4人、8つの班に別れて準備からだ。ではまず班分けだ」

 

ちょうど戻って来た一夏に殺到するのは仕方ないか

織斑先生はやれやれといった様子だ。

 

 

「おりむー人気だね~」

 

「唯一の男だしね」

 

 

「ほらお前ら、さっさと別れろ!」

 

千冬がたまらず一喝。うん、無言の連携で綺麗に8等分だ

 

 

「よし、ピットから打鉄かラファール、好きな方を取ってこい。詳しくはピットに山田先生が居るから支持に従うこと。専用機持ちはラインカーで今から言うとおりにラインを引け」

 

「「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

 

 

そうして、初めての実技授業が始まった

 

 

 

「各班準備はいいな、では先頭から順にラインからはみ出さないように歩いて戻ってこい」

 

 

 

「さくさく~、はやくはやく~」

 

「はいはい……」

 

櫻の班は本音の他に北九州から来たあの子や、おっとり系な彼女など10人だ。2組の人は居ない

 

 

「ISに身を任せる感じで座ってみて。よし、繋がったね。じゃ、まずは立つ!」

 

「いよっ!」

 

本音の意思でラファールが立ち上がる。ここまでは良い

 

 

「ISの基本はイメージだからね。普段歩くようにしてみようか」

 

「こ、こう?」

 

無事に歩き始めた。まだ多少のぎこちなさは残るが、与えたれた課題を無事にクリアした

 

 

「次、結衣ちゃん」

 

「は~い!」

 

「さっき本音に言ったとおり、身を任せる感じでね」

 

「わぁ……視界がひらけるよ~」

 

「いいね、次は立ち上がる!」

 

2人目も、ぎこちないものの、転んだり止まること無くクリア

その調子で10人行けるか、と思ったのだが

 

 

「う~ん、どうしたもんかね」

 

「わかんないよ~!」

 

「普通は歩く走る跳ぶくらいはできるんだけどなぁ」

 

最後の一人、おっとり系な彼女、神田琴乃がどうも歩けない

起動、接続、起立までは良かったのだが……

 

 

「琴乃ちゃん、いっかい落ち着いてみよっか。はい、深呼吸して~」

 

「すぅ~はぁ~、すぅ~はぁ~」

 

「そしたらしっかり遠くを見ます。壁じゃなくて壁の向こうを想像するんだよ?」

 

「はい!」

 

「そこに行くにはどうするべきかな?」

 

「歩いて行く!」

 

すると、ラファールは琴乃の願いに答えるかのように、橙色を瞬かせ飛び出した

 

 

「やばっ」

 

「櫻ちゃ~ん!」

 

「スピード落として! そう思えば通じるから!」

 

慌てて櫻はISを展開、一度真上に飛び上がってから加速する

 

壁に向かうラファールに気づいた千冬も始末書を覚悟した。次の瞬間には衝撃音とともに砂煙が上がる。

 

「琴乃!」「こっちゃん!」

 

クラスの面々が慌てて駆け寄ると、砂煙の中から現れたのは

 

 

 

琴乃を抱えた 白い天使ノブレスオブリージュだった

 

 

「神田! 天草! 無事か?」

 

織斑先生ほか、教員が聞けば

 

 

「琴乃ちゃんは。私はちょっと背中が痛むかなぁ」

 

「天草、そのまま保健室まで行けるか?」

 

「ええ」

 

「なら保健室に、他のメンバーは終わってるのか?」

 

「琴乃ちゃん以外は。本音が記録を持ってます」

 

「わかった。保健室まで飛んでいけ。そのほうが楽だろう」

 

「はい」

 

織斑先生も頷いて返すと矢継ぎ早に指示を飛ばす

 

「山田先生、佐藤先生に生徒が2人行くと連絡を。木戸先生はコントロールタワーでアリーナの損害を確認してください」

 

 

櫻はISを再び展開すると"水色"の全身装甲を纏って飛び立った

 

 

 

 

保健室裏に降り立つと、中から養護教諭がドアを開ける

 

 

「織斑先生から聞いてるよ。とりあえずその子はベッドに寝かせておいて、あなたは背中を見せてね」

 

言われたとおりに琴乃をベッドに降ろし、櫻は養護教諭の前でISスーツの上を脱ぐ

 

 

「あー、こりゃ派手にやったね~。すごいグロテスクになってるよ」

 

 

背中をつつかれると思わず呻き声が上がる

まさか背中全体が痣に……なんて事態を想像してうなだれる櫻

 

 

「背中が内出血だらけ、これは処置の仕様がないから自然に治るのを待つしかないね」

 

「えぇ~、寝れないじゃないですかぁ」

 

「そうだね、まぁ、英雄の代償だと思えば」

 

「こんなのいらないよ……」

 

「さ、君の状況は分かった。次の彼女は、ぱっと見は気絶してるだけだね。どれどれ」

 

 

琴乃の首に手を当てたり、体温を測ったりとしてから

 

「うん、気を失ってるだけだね。なんの異常もないよ。これも君のおかげだ。じゃ、この用紙にクラスと番号、名前を書いて。彼女の分もたのむよ」

 

さっさと記入を済ませて用紙を返すと飴玉を一つくれた

 

 

「はい、おつかれちゃん。残りは見学しておきな。それと、寝るときは横向くと背骨が歪むからやめときなよ?」

 

「はぁい……」

 

 

 

-----------------------------

 

 

アリーナに戻り、織斑先生に報告を済ませると本音達に合流する

 

 

「さくさく~、大丈夫? 痛くない?」

 

櫻に抱きつく本音、今はその優しさがとても痛い

思わず涙目になりながらも無理矢理笑みを作り

 

「だ、大丈夫だから。琴乃ちゃんも気絶してるだけみたいだし」

 

「本音ちゃん、櫻ちゃんが涙目になってるから!」

 

「ふぇっ? ごめんね? 痛かった?」

 

「ちょっとね」

 

「ちょっと痛いって顔じゃなかったよ、櫻……」

 

「えへへ」

 

「サクの無理な笑みが辛いっ!」

 

素敵なクラスメイトに囲まれ、とても気が楽になった

やはり人をコントロールできるのは人なのかな、と櫻は改めて思う

 

 

 

 

 

その日の夜、この背中を公衆の面前に晒すわけにもいかず、部屋でシャワーを浴びていた櫻だが、背中を洗うときに呻きをあげていたため、周囲の部屋の住人はなにか出たんじゃないかと噂されたとか何とか


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