Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
放課後、千冬に呼ばれた3人は職員室へ向かっていた
もちろん、その道中には一夏への視線、そしてその左右に付く箒と櫻へも視線が痛いほど集まっていた
「一体なんだろうな、千冬姉は。櫻は見当ついてるか?」
「たぶんISが生まれるまでを話すんじゃないかな」
「そうか……箒、こらえろよ」
「言われなくても、そんな軟弱な精神はしていない」
「櫻を殴ったのはどこのどいつだ……」
職員室へつくと、一夏が先陣を切り「失礼します」とひと声かけて入っていった
千冬はまだ職員室に居ないようで、代わりに、と言っては何だが、寮の部屋の鍵を真耶から渡された。「織斑先生が来たら内線で呼び出しますから、部屋にいてくださいね」とのこと、気が利く先生だ
「まぁ、とりあえず部屋に行くか、どんなところか気になるしな」
「そうだね」
「うむ」
3人が再び歩き出すと集まる視線、一夏はなんともなさそうだが、箒は苛立ちが顔に浮かんでいる
「やっぱ目立つなぁ」
「一夏のせいでこっちまでとばっちり食らいそうでヒヤヒヤなんだけどね」
「全くだ」
入り口でひとまず自分の部屋を確認する
「俺は1025だ、お前らは?」
「私はもっと遠くだね、1064だって、どこにあるんだろ」
「コレはどういうことだ」
「どうした? 箒」
その手には1025号室の鍵。どうなるかは察しがつくだろう
「同室で思春期の男女が過ごすなどありえん……」
「お、おう。きっと何かの間違いだ、あとで山田先生に聞いてみればいいだろ」
「そうだな、ひとまず部屋へ行こう」
「あ、私コッチみたいだから、後でね」
「おう、迷うなよ?」
迷うこと無く自室に着いた櫻は持っていた鍵をシリンダーに差し込み、回す
「ん? 開いてる、同室の子かな」
2人部屋なのだから同室の子が居てもおかしくはないだろう、そう思いドアを開ける
「こんにちは~、同室になった天草です」
「あ、さくさくだ~。こっちこっち~」
この間延びした声は……布仏本音しかいないだろう
「布仏さん? え~っとその格好は……」
本音の格好はだぼだぼのきぐるみのようなパジャマ、それが非常に似合っているのが本音らしい
「これはパジャマだよ? さくさくも欲しい?」
「私はやめておこうかな、似合わなそうだし」
「え~、絶対似合うよぉ、狼とかどう?」
「どうって言われても……」
「じゃあ今度一緒に買いに行こうね、かんちゃんも一緒に」
「そ、そうね。ところで、布仏さん、内線かかってきたりした?」
「なんにもないよ~。私はさくさくにいつまでも苗字で呼ばれてかなしいなぁ」
余った袖で顔をおおい、わざとらしく泣き真似をする本音。
櫻は思わず答える
「え、え~っと本音?」
「そうだよ! さくさくはお友達なんだからいつまでも苗字で呼ぶのも変だしねぇ」
「まだ会って10時間も経ってないよ、本音……」
「そうなの? もっと長いかと思ってたよぉ」
あははぁと笑う本音を見ると溶けそうだが、ここで飲み込まれてはならないと必死でこらえる。本音で和むのは夜にしよう。そう心を抑えこんでいると
「あ、電話だよ~」
「はいはい、いま出ますよっと。はい、天草です」
「天草さん? 織斑先生が呼んでます、応接室に行ってください。それで、お部屋はどうでした?」
「思ったより広くて快適ですね。同室の子もいい子ですし」
「そうですか、良かったです。それでは、応接室に」
「はい、失礼します」
受話器を置くと、本音が寄ってくる
「だれだれ~?」
「山田先生だよ、織斑先生が呼んでるってさ」
「昼のお説教かな?」
「かもね。ああ、恐ろしい」
「生きて帰ってきてね~」
ばさばさと余った袖を振る本音に見送られ、櫻は応接室に向かった