Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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レオハルトさんの日常回
地元に愛されるって素敵なこと何でしょうね。

物語の舞台は天草ですが、私は都民なんです……近所付き合いはある方だと思いますが。
小説やドラマの田舎のイメージを、私なりに描いてみました


猫、可愛がられる

 私が日本に流れ着いて早くも半年が経った。

 その間にも中東へ赴き、紛争を終わらせるべく力を振るったり、アフリカへ赴き、 争いの残骸(地雷)を処理したりと、仕事は絶えなかった。

 

 気づけば、私の力の振るい方は大きく変わっていた、奪うためでなく、守るためへと。

 

「これもすべて、シオンのおかげか」

 

 半年の間に私だけでなく、世界も変わりつつあった、企業連がうまくまとまりつつあり、リンクス同士がぶつかることも減っていた。

 

 ――その影にはオーメルのオッツダルヴァの存在があったようだが……

 

 世界は平和になりつつある、私だけでなく、彼女もそう感じているはずだ。

 

 

 すっかり慣れ親しんだ天草の地、漁港を歩く私に老爺が声をかける

 

「お~い、レオさんや。今上がったばかりの魚、持って行ってくれんか。大漁でなぁ!」

 

 もう、私もこの地の人々に受け入れられたようだ。

 

「これはまた大漁ですねぇ、ありがたく頂いていきます。ここの魚介は美味しいですからね」

「そう言ってもらえりゃ俺もやりがいがあるってもんだ!」

 

 そういって豪快に笑う老爺につられ、私も笑う

 やはりこの地では目立つ私は、散歩をしていればどこかしらで声をかけられる。

 排斥ではなく受容の心で私を受け入れてくれるこの地の人々に私は感謝せずにはいられない。

 

 これも、彼女の存在が故か。

 

 シオンから少し聞いた話では、あの教会には以前、もう一人シスターが居たそうだ。

 彼女が師と仰ぎ、私に力を与えてくれた人だと、そう言っていた。

 その人の教えが、地域の人々に行き渡っているかのようだ、とも。

 

 いただきものの魚が入った袋を手に、ブラブラとする。本国に居た時はこんなことをしただろうか。

 貴族が故に賞賛もされたが。恨まれ、妬まれ、あわよくばと、近づくもののほうが多かった。

 

 それが、此処にはない、私はフュルステンベルク家のレオハルトではなく、ただの、レオハルトでいられる。そんな気がした。

 

「あら、レオハルトさん! 今日もカッコいいわね。そうだ、家でとれたデコポン持って行って頂戴っ」

 

 また声をかけられた。こうしていろいろな人からものを頂くのも恒例となりつつある

 

「毎回毎回すみませんね、夏子さん」

「いいのよ、紫苑ちゃんにはお世話になってるし、あなたも天草の人間なんだから、気にしない気にしない!」

「そうですか、私も幸せものですね。ありがとうございます」

 

 そう、私はいま、とても満ち足りている。

 

「これも、彼女のおかげだな……」

「あら、何かあった?」

「いえ、なんでもありませんよ。デコポン、頂いていきますね」

「遠慮せず持って行ってちょうだいね。紫苑ちゃんよろこぶから」

「そうなんですか?」

「紫苑ちゃんは柑橘すきだからねぇ、よく買いに来てくれるわ。それにしてもレオハルトさん、だいぶ居るのに、彼女の好みもしらないの?」

 

 すこし茶化されるのも慣れてきた、本当に個性豊かな人ばかりだ

 

「彼女って、そんな関係じゃありませんよ」

「あらそう? あなたが来てから、紫苑ちゃん変わったように見えたからついねぇ」

 

 おばさんの悪い癖だわぁ、といって笑う夏子さんを前に戸惑いを隠せない

 彼女は師と出会い、変わったのではないのだろうか

 

 

「レオハルトさんが来てから、彼女、前以上にイキイキしてるように見えるのよ、だからみんな嬉しくてねぇ」

 

 その顔は心から喜んでいるように見えた、例えるなら、この成長を見届ける親のような

 

「あの子、来た時はすごい雰囲気があったと言うか、あまり人を寄せ付けないオーラみたいなのがあったんだけどね、ハルさんのおかげで変わったみたいね。それから、あなたも」

 

 そういって私の目を見ると

 

「だいぶ柔らかくなったわねぇ、本当に嬉しいわ」

「そうですかねぇ」

 

 ええ、もちろん。こうしてみんなに受け入れられてるのが何よりの証拠でしょ? と笑顔を向けてくれる。裏などなく、心の底から喜んでくれているような笑顔が、私にも向けられている。

 

 

「そうだ、これ、さっき五郎さんから頂いた魚なんですが、2人じゃ食べきれなさそうなので、半分もらっていただけますか?」

 

 そう言って袋を差し出すと

 

「五郎さんのお魚は美味しいからねぇ、じゃあお言葉に甘えて半分貰って行くわね」

 

 

 奥へ消える夏子さんを見ながら私は思った

 人を介して人とつながる、その人が更につながる。とても素敵なことじゃないか。

 

 私はこの繋がり(Links)を大切にしよう。そう強く思った




地の文すくねぇし、ヘタで困る。だれか俺に文才を分けてくれぇぇ!


10/3 追記

初投稿から3ヶ月たった今も地の文はとても少ないです。
私なりのルールとして、少し長めの地の文の後は2行改行してセリフに入るように心がけています。

でも、地の文の文頭の1字下げはしてませんし、文末に「。」も付けてません。
結構ものぐさです。 読みにくければ修正しますのでメッセージやコメントでご指摘ください

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