Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
入学式も終わり、各々の教室へ向かう
櫻も教室に入るとあてがわれた席に着いた
すると開け放たれたドアから教師と思しき、背の低めで顔に合わないメガネを掛けた女性が入ってきた
「全員揃ってますか? HR始めますよ」
まだ周囲と馴染みもないのか一瞬で静になる教室
「はい、いいですね。HRでは定番の自己紹介をしてもらいます。まずは私、1組の副担任を努める山田真耶です。1年間よろしくおねがいしますね。では、1番の相川さんからおねがいします」
「はい。1番、相川清香です。好きなことは中学からやってたハンドボール、他にも体を動かすのが好きです――」
と、まぁ、普通に始まった自己紹介。櫻は2番めだ、気は抜けない
「はい、ありがとうございます。次は2番、天草さん」
「天草櫻です。好きなことはなにか考えて作ること。楽しいこと、面白いことは大好きです。1年間よろしくお願いします」
特に可もなく不可もない自己紹介を普通にこなしてぼんやりしていると
「あの、ごめんね、いきなり声かけちゃって驚いたかな? でも、今自己紹介してて、次は「お」で織斑君なんだ、だからね」
聞き覚えのある苗字が出たような。
そういえば一夏がISを動かしたとか何とかで束がバタバタしていたような気がしなくもないが、まぁ、些細なことだろう
「え~っと、織斑一夏です……」
と、普通に始まり、内容を考えているのかとおもいきや
「以上です!」
ズコッと盛大に転ぶ音が聞こえた気がした、その後に破裂音が響く
「ってぇ、千冬姉!?」
「ここでは織斑先生だ。もっとまともな自己紹介はできんのか」
スパーンと出席簿を振り下ろすのは
織斑千冬だった
山田先生に軽く頭を下げて何かを話しているように見えるが
「キャー千冬様ー!」
「私、千冬様に会うためにこの学園に来たんです! 修羅の国から!」
教室を包む黄色い歓声、ほら、窓ガラスが共振して割れるぞ
「はぁ、まったく、どうして毎年毎年私の持つクラスはこうなのだろうな。私がこのクラスの担任、織斑千冬だ。私の仕事はお前らを1年で使い物になる人間にすることだ、私の言うことは絶対に聞け、いいな」
おお、なんという独裁。ほらお前、罵ってとか言ってるとSAN値がガリっと逝くぞ
「天草、なぜお前はここにいる?」
いきなり私に振りますか。まわりもヒソヒソ言ってるし
「え~っと、今の私は日本人として過ごしているので……」
「そういうことが聞きたいわけではないことなど察しているだろう?」
「世界の最新鋭機をフルボッコ―もとい研究するためです。ハイ」
「だろうな、ヤツの差し金か?」
「いえ、私の興味が9割、実益が1割ですよ、織斑先生」
「ふん、そうか。3年間楽しむといい、お前なら普通に過ごしていれば卒業できる。フュルステンベルク」
思わず苦笑いで返してしまうが、千冬はいたずら完了、と言った笑みで櫻を見てから
「よし、時間を食ってしまったが授業を押すわけにもいかん、早速始めるぞ」
そう言って授業が始まる。と言っても最初の授業はオリエンテーションのようなもので、学園生活上の諸注意などを山田先生が説明して終わった。
休み時間にはやはり唯一の男性IS操縦者ということもあってか、一夏の周りには人だかりができていた。その中でも櫻に声をかける友人が居たのだ
「櫻さん?」
「あ、セシリア? 久し振りだね。パーティーの時以来かな?」
「ええ、そうですね。最初は誰かと思いましたわ」
「あれからだいぶ背が伸びたりしたしね」
「それで、なぜ櫻さんのような方がここに?」
「う~ん、趣味、かなぁ?」
世界唯一のIS関連の養成機関に入ることを趣味と言い切る櫻にセシリアは呆れつつ
「会社の方はどうされてますの?」
「今はお母さんに代わってもらってるよ。まぁ、重要なものは手をだすけどね。そういうセシリアは代表候補生に成れたみたいだね」
「ええ、晴れてイギリスの代表候補生に選ばれましたわ」
「専用機もあったりするの?」
「ええ。詳しくは言えませんが、イギリスらしい機体、とだけ」
「それは実技の時間が楽しみだね」
「櫻さんは専用機をお持ちで?」
「もちろん、ウチでは2.5世代機って呼んでる機体だよ」
そう言って左手中指のシルバーリングを見せる
「一瞬婚約されたのかと思いましたわ……」
「中指だからね、これ」
「ええ、私の早とちりですわ」
人気者には人が集まり、親交のあるものは再会を喜ぶ、チャイムが鳴るまでは