Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
第二回モンド・グロッソ時点でトルコ代表だったセレン・エリジェは代表資格を剥奪、専用機も返還された。そして、行動を省みて国際IS委員会に申し出の上、IS学園に出向となった。
国内での発言力の強いオーメル・サイエンス・テクノロジーの意向もあり、これ以上の問責を問われること無く、彼女は自身の行動にケジメをつけた。
だが、織斑千冬はそう簡単に済まなかった
国の持ち物である専用機の個人的利用、試合の放棄、トルコ代表を巻き込んでの市街地でのIS使用、大きくは3つだが、最初に上げた、個人的な理由の独断専行がまずかった。
日本国内でISの管理を行う防衛省は責任を問われ、織斑千冬から代表資格を剥奪の上、専用機も返還、さらに、織斑一夏救出にあたって力を貸してくれたドイツに1年間出向、その上でIS学園教師として赴任することが決定した。
決定に関して本人の意思は反映されず、全てがISに乗れず、理解もしていない政治家や官僚によって決められた。もちろん、世論の反発も起きたが、大きな声に飲み込まれてしまった。
そんな慌ただしい2カ国の動きを見ていたのはもちろん櫻と束だ
「束お姉ちゃんの言うとおりになったね」
「でしょ? 束さんは天才だからね」
「え? 天災?」
「さくちんのはニュアンスが違う気がするけど、まぁいいや。セレたんはオーメルの力でどうにかなったけど、ちーちゃんはどうしようもないね」
「おじさんに諜報活動もお願いしたから、裏で何が起こったのかそのうち情報が上がってくるよ。おじさん曰『私の古い友人にそういうのが得意な奴がいるから頼んでみよう』だそうだよ」
「ほんと、変態のおじさんはコネも変態くさいね」
「ドイツ国内はローゼンタールでどうにか嗅ぎ回ろう、多分千冬さんはドイツ陸軍のIS特殊部隊、
「おお、黒い黒い」
「一夏くんはどうしよ……」
「いっくんは……1年は一人で生きてもらうしかないよ、ここで下手に助けたらいっくんのプライドを傷つけちゃうと思う」
「だよねぇ。じゃ、時々何か地元の美味しいものを送ってあげる程度にしようか」
「それがベストだね、見放しては居ない、でも手は貸さない。いっくんには自分の足で立ってもらわないと」
やはり2人は一夏を大事に思うが故に厳しい手を下すのだ、決して後押しはしないが邪魔立てもしない、見守ってくれる姉が居ないのなら、自分達が代わりになろう、と
「じゃ、これからやることはあらかた決まったね」
「準備を始めよっか」
「だね、ドイツの第三世代コンペティションもあるから、しばらくは家を拠点に仕事しようかな」
「在宅ワークは束さん大好きだよ!」
「家から出たくないだけでしょ?」
「ぐぬぬ……そんなことないもん!」
「どうだか、じゃ、リーネさん呼んで、ドイツに帰ろうか」
「よし来た! ところでさくちん、飛行機買わない?」
本当に話が飛んだ。飛行機だけに
「なんで?」
「私達結構世界を飛び回るじゃん? それで毎回チケット手配するのも面倒だと思うんだよね」
「まぁ、たしかにね」
「それで、ドーンと社用機買おうよ!」
「う~ん、一回重役会議にかけてみて、賛成が多かったら買おうか。小さいのじゃ嫌でしょ?」
「え、なに? でっかいの買う気なの?」
「え? 違うの?」
「さくちんがそういうならいいけど……」
束がイメージしていたのはお金持ちのtheプライベートジェット、な双発小型ジェット機だ。
一方の櫻は大陸間移動を快適に行うだけでなく、空飛ぶ本社としての利用も考えたオール2階建てのジャンボジェット機だった。ここに考え方の差が出ている気がしなくもない
「空飛ぶ研究所、とかかっこ良くない?」
「たしかにかっこいい!」
「ヨーロッパに拠点を置く企業連の会社で分担すれば費用もソコまで痛く無いはずだし、ハブをスイスに置いておけばみんなそこそこ使いやすいでしょ」
「一瞬でそんなことまで考えるんだ……」
「そりゃ、大きいお金動かすんだから、メリットデメリット考えないと」
「さすが社長さまだね」
「あんまり社長って呼ばないでよ……」
「いよっ、社長!」
「あんまりからかうと怒るよ、束お姉ちゃん?」
実際に定例会議で予算が承認され、発注を掛けたのは2週間後の話。インテリオルグループ全社とオーメル、ローゼンタール、BFFの6社で費用を分担することが決まり、飛行機の装備の 充実変態っぷりに、使えない企業のトップは呆れた顔でヨーロッパ組を見ているとか。