Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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千冬との再会

完成間近のIS学園をひと通り見終わり、特にこれといった問題も、いいところも見当たらなかったため、早々に切り上げてこの日本滞在の一番の目的である千冬との再開のため、日本に指定されたホテルへと向かっていた

 

 

「ちーちゃんと会える、ちーちゃんと会える!」

 

「いきなり抱きついたりはしないでね、あの場なら射殺されても文句は言えないから」

 

「最初はグッと堪えるんだね、ちーちゃんが気を利かせてくれることを祈るよ……」

 

「千冬さんに抱きつきたいのは私も一緒ですから、我慢だよ」

 

「うん。束さん頑張るよ」

 

「じゃ、段取りを確認するよ。まずは、普通に企業連代表として社交辞令をひと通り交わしましょう。千冬さんだけでなく、周囲の人とも」

 

「ほうほう」

 

「そこで千冬さんが気を利かせて、私達だけにしてくれたら、お姉ちゃんが部屋のスキャンニング」

 

「ちゃんと用意してあるよ」

 

「うん、よろしい。それで何もなければ、ハグハグしちゃいましょう!」

 

「わーい!」

 

「何かあったらわかってますね?」

 

「ハグハグは無し、私は篠崎束音」

 

「はい、大丈夫そうだね」

 

 

運転手の「まもなく到着です」の声に気持ちを引き締める

 

到着した先には早くも黒服の男達が

 

 

「こんにちは、企業連より参りました」

 

「お話は伺っております。では、こちらへどうぞ」

 

 

この日のために束が用意したビックリドッキリメカその1、なんでもみえ~る君1号を起動

ただのメガネに見えるコレだが、相手が装備しているアイテムがなんでもお見通しなのだ

さらに色んなサイズ(お察しください)までわかるステキ仕様

 

――テーザーガンですか……やっぱりいきなり抱きついたりはできませんね

 

それは束も似たようなことを思ったようで、すこし残念そうな顔をしていた

 

 

「この部屋でお待ちください」

 

 

そう言って通された部屋は俗にいうスイートだろうか、広々とした部屋に大きなベッド、奥には小さいダイニングも見える

 

束にアイコンタクトで部屋のスキャンニングを頼むと、埴輪のような何かが部屋に置かれ、束がスイッチを入れると埴輪が浮き上がり回転し始めた

 

「とくに怪しげなものは無し」

 

「ふぅ。すごい緊張したよ……」

 

「だね、あの黒服の人達非致死性武装してたよ。どれだけ信用ないんだろうね」

 

「まぁ、仕方ないといえばそうなんだろうけど。アメリカなら普通に銃ぶら下げてるしさ」

 

「お国柄かなぁ?」

 

「そうだろうね」

 

「なにかお菓子とか置いてないかな? あった! さすが、高級パティスリーのクッキーだよ!」

 

「え、なに? 本当?」

 

 

先ほどまでの緊張感はどこへやら、クッキーとお茶に現を抜かしていたら、呼び鈴がなった

 

 

「は、はい」

 

「フュルステンベルク様、篠崎様、準備が整いましたので応接間へご案内致します」

 

「はい、今行きます」

 

 

ついに、待ちに待った旧友との再開、2人は弾む心を抑えながら男に従い長い廊下を歩くと部屋の前でビジネススーツを着こなした男性が待っていた

 

「これははるばるヨーロッパからようこそいらしました。私は防衛省技術研究本部の中田といいます」

 

「企業連を代表してまいりました、総務の櫻・フュルステンベルクです。こちらは本社のIS研究部、主任研究員、篠崎です」

 

「篠崎です、本日はありがとうございます」

 

「いえ、日本国としても、企業連の方をご案内することは有意義なことでありますから」

 

日本のビジネスにありがちな名刺交換会に、早く終わらないかなぁと思う気持ちを飲み込んで愛想良く接する2人、櫻はまだいいが、束は根がアレなため、長くは持たない

 

 

「では、こちらへ、織斑はすでに中で待たせております」

 

 

そう言って中田が目配せすると、黒服達が扉を開ける

中では千冬が黒いビジネススーツを着こなし、立っていた

こちらに気がつくと一礼

それに合わせて2人も一つ頭を下げる

 

「日本国、国家代表織斑千冬です」

 

「企業連より参りました。櫻フュルステンベルクです」

 

「オーメル・サイエンス・テクノロジー社、IS研究部、主任研究員の篠崎束音です」

 

ここでもまた、名刺交換会だ、旧知の仲ということもあり、かなりぎこちない

 

「では、本日はどのようなご用件で?」

 

中田が切り出すが、

 

「用件もなにも、ただ、日本国国家代表との親睦を深めに来ただけですよ」

 

「そ、そうですか」

 

てっきり装備を買わないか、などという話を切り出されるとばかり考えていた中田は拍子抜けしたらしく、どこか焦りが浮かんでいた

 

 

「お久しぶりです、織斑さん」

 

「そうですね、ミスフュルステンベルク」

 

 

よそよそしい会話から、IS開発の立役者との再開が始まった

 


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