Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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MONDO GROSSO

「ちーちゃぁぁぁん!!」

 

「お姉ちゃん! 立場わきまえてよ!」

 

 

さて、束がこんな叫びを上げてる時点でお気づきだろうが、櫻と束はモンド・グロッソの会場に来ている、目の前ではブリュンヒルデの称号を賭けて日本代表の千冬とアメリカ代表が鍔迫り合いをしていた

 

「ちーちゃんのISは?」

 

「純国産IS、暮桜。高機動近接戦闘をメインに据えてるのが日本らしいね」

 

「ちーちゃん得意だしね」

 

「それもあるだろうけど、日本が射撃武器を作れなかった可能性が高いと思うよ」

 

「日本って銃作れるところ数えるほどしかないもんね」

 

「一から開発して間に合っても使いものにならないだろうね」

 

「千冬さんの射撃スコアが物語ってるね」

 

千冬の射撃スコアは下から数えたほうが早いほど、だが、近接格闘ではダントツでトップに立って、最後の総合戦術に挑んでいる

 

対するアメリカISは重厚な作りで、実弾兵装が充実していた、そのため射撃でもイギリス代表に次ぐスコアで2位に、近接戦闘では日本、ロシアに次ぐ3位で総合1位に立っている

近接戦闘と言っても、ブレードを振り回すのでは無く、マシンガンをメインにフィールド上を飛び回ってじわじわと削る戦法で戦っていたが、やはり千冬と暮桜の速さにはかなわなかったようだ

 

 

「アメリカのISは実弾兵装の数に物言わせてる感じだね」

 

「そうだね~いかにもアメリカだね」

 

「ISに各国のクセが現れつつあって結構結構」

 

「まぁ世界中でおんなじもの使ったら気持ち悪いしね」

 

「将来が楽しみだ!」

 

「次のモンド・グロッソは企業連のISでブリュンヒルデとヴァルキリーは総取りだね」

 

「うわぁ、企業連代表様、夢が大きいねぇ」

 

「現実にしてやるんだから!」

 

 

そして、最後は妨害もなんでもありなレース形式の競技だった。

 

「ここで恐いのはイタリアのISだね」

 

「あの国はトコトンスピード狂だからなぁ」

 

「でもカラーリングのセンスは好きかな」

 

「確かにカッコいいね、アレは」

 

スタートラインに世界中から集ったカラフルなISがズラリと並ぶ光景は実に壮観だった

その中でも目を引くのは鋭いシルエットをまとうイタリアの機体、テンペスタ

純白にトリコローレのラインが無骨なパーツ群を引き締める

 

「そろそろだね」

 

櫻の一言で束も見逃すまいと集中する

 

オーロラビジョンに表示されるカウントダウン

 

3...

 

全機ブースターに火を入れる

 

2...

 

だんだんと光が収束していき

 

1...

 

会場が静まり返ると

 

GO!

 

爆音と共に目の前から消え去った

もちろん、瞬時加速であっという間に音速付近まで加速したため、観客の目には追えなかったというのが正解だが。

 

空中にホログラムで描かれたリングを流れ星が駆け抜けていく光景はまさに圧巻の一言であった

 

「さすが、イタリアは速いね。目で追い切れないよ」

 

「だね、順位はイタリア、日本、フランスの順番かな?」

 

「ちーちゃんも頑張ってるね」

 

「機動性は高そうな機体だったからね、あとは回避テクニック次第だろうけど、千冬さんなら心配ないね」

 

 

事実、空中で銃撃戦を繰り広げて大きくタイムを失うことも多々あったが、トップ集団はそんな姑息な手段を使わず、単純スピード勝負になりつつあった。それでも後方からの妨害や、流れ弾は確実に避けていくあたりに3国の操縦者達の技術が高いことが伺える

 

再びメインアリーナを轟音が抜けるとレースもラストラップに入った

 

「順位は相変わらず、か」

 

「でもこの順位をキープすればちーちゃんは総合優勝だよ?」

 

「やっぱり勝って欲しいじゃん?」

 

「まぁね!」

 

 

螺旋を描いて空へ掛ける3機、その速さは後方集団より頭ひとつ抜けていた

 

「イタリアのテンペスタ()にフランスのラファール(疾風)、やっぱり速いね」

 

「そんな風のなかでもどっしり構えるのが桜だよ?」

 

最後のターンを抜けて一気に加速、再び音と風がアリーナを抜ける

 

 

スクリーンには WINNER V.Ferrari/Italy の文字が並んでいた

 

 

「やっぱりイタリアかぁ……」

 

「速すぎてよくわかんなかったよ」

 

「帰ってゆっくり公式映像を見ようよ」

 

「だね、さくちん」

 

「そういえば、束お姉ちゃん、まだ誰もワンオフアビリティ使ってないね」

 

「そうだね、見た感じ 二次移行セカンドシフトしてる機体もないし、まあ、まだ出来てからそんなに時間が立ってないんだから仕方ないね」

 

「じゃあ、サクが頑張って夢見草をセカンドシフトさせちゃおうかな!」

 

「さくちん、それで提案なんだけど、ワンオフアビリティ、使ってみたくない?」

 

「え? それってセカンドシフト後に発現するんじゃないの?」

 

「イメージインターフェイスって言うのを使って似非ワンオフアビリティを使えるようにするんだよ」

 

「それって、個人の才能とか、適正にすごい左右されない?」

 

「そうだね、でもさくちんなら大丈夫!」

 

「それで、夢見草のコアを使いたい、と?」

 

「そうそう、会社のコアも勝手に使えないし、新しく作るのも面倒事起きそうだし……」

 

「そっかぁ、仕方ないね、帰ったらやってみよっか」

 

「本当? さくちん、話がわかるね!」

 

「帰ってからやることたくさんだねぇ」

 

「ちーちゃんの試合観て、レーザーブレードの企画案を出して、それからさくちんのISをいじる!」

 

「しばらく寝れないね」

 

「あはは、確かにそうだ!」

 

 

 

 

天災の頭の仲にはすでに数年先の技術が見えているようだ、世界が追いつこうと手を伸ばしても、それには届かない

だから必死に足掻き続ける

何度でも、何度でも


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