Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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閑話: 突撃!となりの研究所!

フュルステンベルク邸に到着した一行は家の仕事を片付けないとならない紫苑と、お屋敷探検隊に別れて行動を開始した

 

 

「ムッティはここらへんに隠し扉があって、そこから地下に行けるって言ってたんだけどなぁ」

 

「ん? この絵怪しいぞ。どーん!」

 

束が壁に描かれた大きな絵を突き飛ばす

すると、

 

「うわぁぁ、さくちん! 壁が回ったよ!」

 

「地下への扉、オープン! だね!」

 

壁の向こうには地下へと続く石階段、ただし明かりは無く、暗闇へと続いている

 

「とりあえず、降りてみようか」

 

「そ、そうだね。束お姉ちゃん先行っていいよ」

 

「え、さくちんのお家だし、客の束さんが先に行くのも失礼だよ」

 

「この先にあるのは束お姉ちゃんの研究室なんだから平気だよ」

 

「でもやっぱり――」

 

 

暗がりに降りるのはやはり恐怖を伴うもので、小学生と高校生が互いに譲り合う光景がその後も数分続いた

 

 

「よし、じゃあ一緒に行こう」

 

「そ、それがいいよ」

 

「「せーのっ」」

 

先ほどまでビビっていた2人とは思えぬスタートダッシュで石階段を駆け下りる、地面が平らになったと思うと

 

「「へぶっ」」

 

やはり壁に突っ込んだ

 

「痛たたぁ、さくちん大丈夫?」

 

「束お姉ちゃんはぁ?」

 

「おでこ打ったけど平気だよ」

 

「さくちん、いくら束さんが心配だからって、手をかけなくてもここにいるよ」

 

「え、サクそんなことしてないよ?」

 

「じゃ、じゃあコレって……」

 

「そ、そそ、そんなまさかぁ! 束お姉ちゃんがサクを怖がらせようとしてるんじゃないの?」

 

ピトッと水滴が滴る

 

「ひっ!」

 

「さ、さくちん、明かり! 明かり!」

 

「なにか明かりは……これでいっか」

 

そういってポケットから携帯を取り出し、辺りを照らすとそこは

 

 

「さくちん、束さんには研究室にあるべきでないものが見えるんだけど、気のせいだよね」

 

「束お姉ちゃん、サクにも見てはいけないものが見えるんだけど気のせいだよね」

 

 

鉄格子が嵌った牢屋がずらりと並んでいた

左右に広がる廊下に並ぶ鉄格子、中を覗く勇気などやはりなかった

 

 

「て、撤退!」

 

束が思わず叫ぶと

 

「あいあい!」

 

櫻もそれについて、降りてきた石階段を駆け上った

 

 

隠し扉があった広間まで戻るとそこにはハインリッヒが待っていた

 

「お嬢様、タバネ様、お探ししておりました。シオン様より、研究室にご案内しろと」

 

「さっき見たアレは……?」

 

「おそらく中世頃使われた牢獄でしょう、この屋敷には様々な隠し部屋がございます」

 

「あぁ、そう」

 

「ハインリッヒおじさん、幽霊とかは……」

 

「居るかもしれませんね」

 

「「ひぃぃぃっ」」

 

「ははっ、冗談です。ご案内致します。こちらです」

 

冗談とは思えぬ体験をしてきたことなど知らないハインリッヒが手をかけたのは隣の本棚、その中から赤い背表紙の辞書と思しき本を取り出すと

 

「こちらにお手を」

 

本を開いて差し出した、そこにはバイオメトリクスセンサーと、テンキーが並んでいた

 

「なにこのハイテク!」

 

「シオン様より、研究室の防犯を厳にせよと言われております故」

 

「束さんの手で開くの? パスワードも聞いてないよ?」

 

「最初に使用者認証を行います。主な使用者たるタバネ様にまず登録していただき、そのあと、中でお嬢様やシオン様の登録を」

 

「そーゆーことね、わかったよ」

 

センサーに手を重ね、テンキーにパスワードを打ち込む

カチッという音とともに本棚が開いた

 

「それではお嬢様、タバネ様、私はこれにて、ご夕食の際にまたお呼び致します」

 

「ありがとね、執事さん」

 

「ハインリッヒおじさん、ありがと」

 

恭しく一礼すると、足音も立てずに去っていった

 

本棚から先は牢獄へと続く石階段にそっくりな作り

 

「さて、行きますか!」

 

「おーっ!」

 

 

一歩踏み出すと石階段が明るく照らされる

かなりの距離が有るようにみえる

 

「うわぁ、さっきより深いね」

 

「そうだね、今度は明るいから平気だよね。行こ!」

 

 

 

そして競争だと言わんばかりに再び石階段を駆け降りた


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