Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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桜舞う中歩む騎士

「やぁやぁ、ちーちゃん、そこからさくちんが見えるかい?」

 

いきなり頭に直接語りかけるように束の声がする

 

 

「これはISの機能の一つ、惑星の端から端まで届かせることのできる通信機能だよ! 普通に喋るようにすればいいよ。声に出さなくても聞こえるからね!」

 

「こ、こうか?」

 

「そうそう、流石ちーちゃん、飲み込みが速いね!」

 

「それで、櫻がどうしたんだ?」

 

「いまそこら辺を飛んでないかな? 見たら一発でわかると思うんだけど」

 

「何も見えないぞ」

 

「じゃあ、ISのハイパーセンサーを部分展開してみようか。前言ったみたいに、頭だけISを展開するイメージだよ!」

 

千冬は物陰に入り、束の言ったとおり、頭だけISを着けるイメージで部分展開させた

 

「アレか?」

 

ハイパーセンサーがとらえたのは空を翔ける桜色の光

 

「桜色のアレがそうか?」

 

「そうそう、あれがさくちんの専用機だよ! 改良点とかをどんどん洗ってるところなんだ。またあとでいっぱい話すから、とりあえずいつものところまで来てよ!」

 

「ああ、あと数分でつく」

 

白騎士を待機形態に戻し、一路、駅前のマンションへ向かう

 

 

 

「束、来たぞ」

 

「やっほーちーちゃん! さくちんはどうだったかな?」

 

「速すぎて点にしか見えん、私より速いのか?」

 

「そうだね~、さくちんはちーちゃんより早くISに慣れたし、かれこれ半日近く飛んでるからちーちゃんより上手く飛べてるよ」

 

すこし肩を落とす千冬だが

 

「じゃあ、早速、データを取って、さくちんの夢見草から得られたデータをフィードバックさせよう!」

 

自分の騎士が進化する、そう考えるとやはり嬉しくおもう千冬だった

 

「ちーちゃんニヤけてるよ?」

 

束に指摘されて顔を赤くするくらいには千冬もまだ乙女だ

 

 

しばらくして櫻も舞い戻り、白騎士の拡張領域に何かを入れていた

 

 

「白騎士にはまだ基本装備もありませんし、拡張領域も空っぽです、だからいろいろ入れてみました」

 

そう言って頼りない胸を張る櫻を撫で

 

 

「その、拡張領域とやらに入れたものはどうやって出すんだ? またイメージとか言うのか?」

 

「そうですね、基本的にはすべての操作をイメージで行いますから」

 

「なるほど。それで、何を持たせてくれたんだ?」

 

「刀です」

 

刀? 聞き間違いだろうか?

 

 

「すまない、もう一度言ってくれないか?」

 

「刀ですよ、千冬さん。千冬さんにはISでの高機動試験をやってもらいます」

 

「高機動試験と刀がどうつながるんだ?」

 

「ISで剣道をやって欲しいんだよ、ちーちゃん!」

 

後ろで束が言う

 

「束お姉ちゃんの言うとおり、ISで剣道をやってみて欲しいんです、それも3次元機動の」

 

確かに、ISを持ってすれば3次元機動など簡単だが、それでなおかつ剣を振れというのだから、操縦者には負担がかかるだろう。これはどちらかと言えば、機体のテストと言うより、人間がISについてこられるか、というテストだ

 

 

「なるほどな、櫻が相手をしてくれるのか?」

 

「はい、もちろん」

 

少しばかり危機感を抱いた千冬だった

 

 

 

「ちーちゃん、白騎士のアップデート終わったよ。じゃあ、さくちんと楽しんできてね」

 

「ああ、そうしよう」

 

千冬は剣道の腕では櫻より分があるが、ISの操縦では櫻に分がある。

それを埋められるだけの判断ができるかが千冬の悩みの種だった

 

 

「それじゃ、千冬さん、行きましょう!」

 

「よし、頼んだぞ、束」

 

「頼まれた!」

 

飛び出す白と桜、似た2色が空瞬く

 

「千冬さん、白騎士のアップデート内容はわかってますか?」

 

「いや、だが見たところ翼が変わったか?」

 

「そうですね、翼はメインブースターです、そして、スカートみたいなところにはサイドスラスターが装備されています。翼にはもうひとつ仕掛けがあるんですが、これの説明はまた今度にしましょう」

 

「なるほどな、だから昨日より速く感じるのか」

 

「そうですね、それに、サイドスラスターを組み合わせれば、人間には不可能な動きも出来ます」

 

「ほほう、おもしろそうじゃないか」

 

「面白くないことはしないってことくらいわかってるでしょ?」

 

「そうだったな」

 

「では練習してみましょう!」

 

 

そうして千冬の高起動練習が始まった

基本的なコンバットマニューバから、IS独特なマニューバまで、櫻が考案したもの、千冬がその場で思い浮かんだもの、様々な飛び方をした

そして、ISはその動きに答えた

 

 

「昨日より飛べる時間も長くなってるな」

 

「気づきましたか? 燃費も改善してます、だからもっと遠くまで飛べますよ!」

 

ここまで飛びっぱなしで、更に瞬間的にブースターを強めに噴かしたりしているのに飛行時間は昨日の比では無いほどに伸びていた

 

「サクがもっと飛べるように~って束お姉ちゃんに言ったら本気出しちゃって……」

 

「まぁ、束らしいといえば束らしいな」

 

束はもはや櫻を妹の如く溺愛していた、実妹にも負けない妹バカっぷりを発揮し、櫻のお願いに全力で斜め上の回答を返してきた

 

 

「一回戻りますか?」

 

「そうだな、今日はもう帰るよ、昨日みたいに遅くなると一夏に怒られる」

 

「最近道場にも行ってませんし、箒ちゃんや一夏くんにも会ってませんねぇ」

 

「一段落ついたらまた来ればいいさ」

 

「そうですね」

 

「では、戻るぞ」

 

「あっ、千冬さんおいてかないでよぉ!」

 

「ならば全力でついて来い!」

 

 

 

夕焼けの空を2つの光が駆けて行った


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