Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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第171話

 先日行われた学年別トーナメント。専用機汎用機訓練機、代表も候補生も一般生徒も入り混じって1週間に渡る激戦が繰り広げられた。

 結果だけ言ってしまうと、3年は楯無サラフォルテの順。2年はマドカラウラシャルロット。1年はニーナアメリアにフィンランドのエリーカが続いた。

 我らが主人公、櫻は逆関節を通常関節に戻した市販プロトタイプのLAHIRE-3G(ライール)に機体を変更の上参加したが2年の中では8位、下にいるのがセシリアと一夏のみのなかなか不甲斐ない結果に終わった。

 一方、先日のインタビューで自信が無い、と宣言したセシリアは運が味方したのか、苦手とする対一夏戦を回避し続け、総合順位では一夏の上に立った。

 

 そして、トーナメント一番の目玉は2年生ではなかった。

 時は遡り3年準決勝。サラ・ウェルキン対フォルテ・サファイアの一戦。

 

 

「さぁ、3年も準決勝! すでに決勝進出を決めた生徒会長、更識楯無に勝負を挑むのは一体どちらか!?」

 

 放送部員がアリーナに声を響かせる中で最初にフォルテがピットから飛び出した。ネイビーブルー機体に同じくネイビーブルーのISスーツ。すこし凹凸の乏しい身体とやる気のないすこし下がった目尻。だが、彼女と親しい物にはわかった。いつもどおりの気だるげな顔の中に闘志が見え隠れしていることを。

 対するサラは学園のラファールに実弾装備を揃え、専用機も混じる中を勝ち上がってきた。だからなおさらやる気が出た。反対側のピットを見つめる。そして中から紺に近い青の機体が飛び出したに、思わず目を見張った。

 

 

「ハロー。やっとこの子が出せるわ」

 

「ふふっ、これで同じ土俵ってことっすね」

 

 気だるげな顔はどこへやら。ニヤリと笑うと候補生試験の時よりもずっと真面目な表情でサラを見つめる。

 蝶の羽に似た大型のウィングスラスター。触覚のようなセンサーと顔の上半分を覆う銀色のバイザー。

 

 

「さぁ、最高のショーにしましょう」

 

「望む、ところっす!」

 

 イギリスのBT2号機、サイレント・ゼフィルスがそこに居た。

 

 ブザーとともに両者武器を展開。先手を打ったのはサイレント・ゼフィルスの大型ライフル、スターブレイカーのエネルギー/実弾混合射撃だった。

 銃声と共に赤紫の光がフォルテの横を通り過ぎる。危なげなく第一射を回避すると瞬時加速(イグニッション・ブースト)で一気に距離を詰め、両手に持ったエネルギーブレードを薙いだ。

 

 

「ンなっ! 銃剣なんて聞いてないっすよ!」

 

「これ、改良型だから、ねっ!」

 

 剣、と言うには長いスターブレイカーと左手に展開したナイフで両方から迫る刃を防ぐと姿勢が崩れたフォルテを蹴飛ばし至近距離で1射。すぐさまレーザーガトリングに持ち替え削りに掛かった。

 だが、相手も候補生。黙ってやられるほど弱くない。背中に衝撃を受けながらもまっすぐ離脱。一度距離を置いて視界の片隅を埋める赤い光を尻目にアリーナを飛び回る。その間にマシンガンに持ち替えるとサラのいるであろう方向に適当にばら撒く。

 

 

「システムフル稼働、行きなさい!」

 

「げげっ。ビットまでぇ……」

 

 アリーナ外周を飛び回るフォルテを追う4機のビット。それも放つレーザーは容赦なく"曲がり"フォルテを襲う。

 サラはアリーナの真ん中でシールドビットを自身の周囲に待機させながらもガトリングで逃げ場を奪う。

 その後も試合展開は変わらず、サラがフォルテを一方的になぶり続け、3年準決勝は幕を閉じたのだった。

 

 その試合を見ていた早期敗退組(一夏、セシリア、櫻)はサラの圧倒的戦力に開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

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「途中から専用機なんてズルいっすよ、サリー」

 

「そう? ルールには『2機以上の機体を使ってはいけない』なんて書いてなかったわよ?」

 

「ぐぅ。それでも、サリーのところに専用機が来て良かったっす。でも、いつ練習してたっすか?」

 

 決勝が終わった後のアリーナで閉会式に出るべく歩く2人。話題はもちろんサラの専用機だ。

 

 

「放課後よ? 誰も使わない第6アリーナで」

 

「あぁ…… あそこはキャノンボール・ファストにならないと人が寄り付かないところっすからね。遠いし」

 

「それに、特別コーチで前サイレント・ゼフィルス操縦者に来てもらってたからあっという間に偏向射撃(フレキシブル)も会得できたわ」

 

 サラがサイレント・ゼフィルスを受領したのが2週間前。その1週間前には彼女に専用機が託される事が伝わっていた。そのため恥も外聞も一切捨ててサイレント・ゼフィルスに誰よりも乗っているマドカに指導を頼んでいたのだ。事前知識として機体や武装などのクセなどスペックシートではわからないことを知識として学んでから実機で確認。同時進行ではない分、機体に乗る時間を増やせた事が細かいビット操作やフレキシブルに現れた。

 

 

「まぁ、楯無に勝てなかったのは残念っすけどね」

 

「たっちゃんは強いから。でも、結構いいところまで行ったと思うわ」

 

「エネルギーと実弾を混ぜるとあの水が抜けるって事がわかっただけ大収穫っす」

 

「そうね。次は専用機タッグトーナメントかしら? フォルテ、やってくれるわよね」

 

「モチロン。楯無をギャフンと言わせるっすよ」

 

 楯無に15連敗しているフォルテ。せめて卒業までに1勝はしたいのだ。それも、勝つからには公式戦で。

 新たな決意に燃える少女たちに大会委員長、織斑千冬からトロフィーが贈られた。

 

 

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 7月に入るとトーナメントの熱気冷めぬまま校外学習がやってくる。1年は毎年海に。2,3年は毎年行き先が異なるのだ。

 今年の2,3年生は4日の行程で京都観光から舞鶴にある有澤重工の工場と隣接する海域で操縦と整備で別れて実習、そして歴史学習を経て学園へ戻る日程だ。更に言えば今年は希望者には関西国際空港に駐機してある企業連の社有機『インテレクト』の見学も含まれている。もちろん学園の偉い人(轡木)が学園にいる企業連の人()お願い(強要)して決まったことは言うまでもない。

 

 1年と違ってバスではなく飛行機で京都まで移動する今年の校外学習。一夏ラヴァーズ(箒、セシリア、鈴)の面々は案の定、一夏争奪戦を始めたために京都散策のルートがいまいち定まっていない。櫻は本音、簪、楯無で身の回りを固め、シャルロットとラウラはクラスメートと合流したようだ。

 大きな荷物は事前に送られ、ハンドバッグを持った生徒たちは各々に空港へ足を向け修学旅行1日目が始まる。

 

 

 




校外学習で京都に来たIS学園一行。彼女らを待ち受ける運命とは!? 

次回! 京都ゆけむり殺人事件(嘘)!


乞うご期待!



殺人事件なんてモチロンやりませんよ?

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